もう何年も前になるが、高級住宅地に住むブルジョワな人達をコケにしたギャグソング（Neuilly Auteuil Passy)をヒットさせたDidier Bourdonがまた面白い歌を出し、ヒットチャートに登場している。
タイトルは「何も言えない（On peuplu rien dire)」。歌詞はここで見られる。内容はこんな感じだ。
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一人ぼっちになりたくないなら余計なことを言うな
みんな実は同じことを考えているのだが、言ってはならないのだ
「アラー」も「キパ」も口にだしてはだめ
「イエスキリスト」に至っては誰も興味を示さない
それなら「ブッダ」はどう？え、それってオランダのチーズのこと？
ちょっと体重が重いと厳しいダイエット
タバコをまた吸おうものなら「今年中に肺がんで死ぬ」
スポーツしようと思ったら「無理は禁物」
まったくもう何も言えない
（同性愛者や小児愛などに関する歌詞が続く）
フランスは美しき国
何いってるの、フランスは腐った国
そう言われてみればなるほどそうかも
ばかだねー、じゃあなんでそんな国にいつまでも住んでる？
「セリーヌ」を読んだことがあると言ったら密告され
若かりしころトロツキストだったら直ちにレ島にお蔵入り
善意ですと言えば「お決まりのせりふ」といなされ
グループ内で反対を唱えればバカでイヤな奴と呼ばれ
「もう投票なんかしないぞ」といえばそれはいけないと言われ
誰に投票したか話せば「おまえばかだな、あいつらみんな腐ってる」と言われ
スピード探知機、バイク野郎、酒、麻薬、警官、身分証明書に気をつけろ・・・
（「思想の自由はあるんだよね」などなどと続き、）
気をつけろ、飲料水にも株式市場にもウィルスにも罰金にも紫外線にもボヴェにもサルコジにも
何か言っちゃいけないこと言ったかな？
やば、今言ったこと全部消してー
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歌自体はギャグではあるが、確かに今のフランスではこういう感情を抱いている人は多い。
−イスラムやユダヤに関することは一歩間違えば大変なことになるので言わないのが懸命
−肥満は社会の敵
−タバコを吸うと肺がんになる上、社会保障の出費をかさませるのは周知であるのにタバコを吸うとはなにごとか
−仕事も趣味もあまりがんばりすぎると良くない
−同性愛者の話題はタブー
−「子供が好き」などと発言すると小児愛者と思われかねない（特に男性）
−教養があることはなるべく隠した方が良い
−共産党傾向もなるべく隠した方が良い
−政治家は何を言っても批判される。何もしなければ何もしないと言われ、何かすれば良くないことをしたと言われる。
−酒も麻薬もやりにくくなった
−車で外出したらスピードメーターに目を釘付けにしていないといけない
−外出の時は身分証明書を必ず持たないとやっかいなことになりかねない
−何を飲んでも食べても危険がつきまとう
自由とは名ばかりでなんとも暮らしにくい世の中である。
コメント(9)| Track back(0) | 2005年06月28日
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