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「繊研新聞」掲載記事から就職・採用関連記事の一部を掲載します。文頭の日付は掲載日です。

【2006年12月】

2006/12/28
〈フォーカス人材〉 イノセント “信者”がいるから大丈夫 初めの時給800円でも成長を体感
 「販売員の確保に困ったことはない」とは、イノセントの吉川修一統括本部長。店舗運営を担う子会社ドゥニームの執行役員を兼ねており、各地で採用面接を重ねている。現在の出店ペースは年間7店。地方店の販売員は地元で自ら採用し、販売代行には頼っていない。17店あるFCは卸先から発展した店で、ほか41店は直営ショップ。生地の企画から顧客管理まで自営にこだわるメーカーだ。
 時給の高さが魅力なのかと思いきや、なんといまどき800円。「それでも働きたい」と、「募集しなくても問い合わせがある」という。面接に来る子は基幹ブランド「ニーム」のファン。創業した88年からナチュラルフレンチというテースト軸をぶらさず、全国に信者を増やしてきた結果だ。
 「ル・プティ・ブルー」の後藤ひかり店長もその1人。「とっつきやすさが入社の動機」と、クリーニング店勤務から転職した。日常着を中心に食や住を彩るブランドやショップを生み出してきたことが、保母さんや普通のOLなどアパレル未経験者を引き寄せている。
 見逃せないのは定着率の高さだ。7、8年の経験を積む販売員は少なくない。最大の理由は任せる勇気。売り方や見せ方は実践で学ぶ。仕入れ権限は店にある。実績を積むと海外買い付けに同行できる。教育マニュアルは一切ないが、「やらされている感ではなく、やってる感」がここにはある。
 もう一つが処遇制度。新卒も中途も時給800円でスタートし、1年後にはみんな正社員になる仕組みだ。ボーナスは黒字店も赤字店も平等に分配。社内から反発は一度もない。「全員で成長を体感する社風」が、販売員の力を引き出している。

2006/12/27
繊維RC 展示会支援、人材育成で成果 地域ブランド戦略も加速
 中小企業基盤整備機構(中小機構)がまとめた「産地の特性を生かした繊維リソースセンター(RC)の今後のあり方に関する調査研究報告書」は(1)産地振興支援の財源確保と経営の自立(2)有効な事業への選択と集中とRC間などとの連携(3)産地振興の中核的な実施機関としての提案力強化――を提言している。そこで報告書をベースに独自取材を加え、全国各地の6RCが取り組んでいる重点的な既存事業や新規事業などを2回に分けて紹介する。国際ファッションセンター(東京RC)は「ファクトリー・イー」などの展示会支援事業が初期の目標を達成しつつある。大阪繊維リソースセンター(大阪RC)は展示会の企画・運営・支援事業が高い評価。倉敷ファッションセンター(倉敷RC)では人材育成事業で成果が上がっている。

国際ファッションセンター(東京RC) パターンメーキング、IT研修など本格化
 国際ファッションセンター(KFC=東京リソースセンター〈東京RC〉 )は、情報収集提供事業、人材育成事業、展示・交流事業、創業支援事業、不動産賃貸事業などに取り組んでいる。情報収集提供事業ではファッショントレンド・セミナーを開催。「ファクトリー・イー」(墨田区のニット・カットソー企業グループ)をはじめとする地域企業に対する展示会支援や、会員用無料会議室貸し出しなどの産業振興事業も好評である。人材育成事業ではカットソーパターンメーキング講習会、中小企業IT(情報技術)経営者研修会、ファクトリー・イーが行う勉強会への支援などが本格化している。創造支援事業では墨田区と共同運営しているクリエイティブ・スタジオ(13室、原則無料で3年間貸し出し)から巣立って成功している人も出始めた。
 東京産地の製品は紳士・婦人・子供・ベビー等のアパレル、洋品(織物、編物)、布帛製品など非常に幅広い。代表格は全国最大級の産地であり墨田区のリーディング産業であるニット製品。東京RCの主要支援対象も東京ニットファッション工業組合(TKF)
 自主グループのファクトリー・イーは丸和繊維工業、精巧、村澤繊維、大石メリヤス、ピーコンポ、和興ニット、マツマル、百瀬繊維の8社で構成し、合同展「アクト21」を5回、KFCの会場ホールで開催した。ファクトリー・イーの事務局はKFC内に設置し、KFCが事務局機能を担っている。
 KFCがファクトリー・イーの事務局として実施している事業は勉強会の実施と講師の選定、アクト21展示会場への集客・来場促進など。勉強会は社長と社員向けに年間延べ二十数回開いている。例えば07年春夏物の06年9月合同展に向けて06年6月頃から(1)06年春夏物商戦結果の分析(どんな生地が売れたかなど)(2)07年春夏物の流行予測(3)8社の分野別MDへの落とし込み(4)各社でのサンプル製作――などの勉強会を実施し、「アパレル企業同様の業務に取り組んで企画提案力をつけている」。集客・来場促進もKFCを中心に、出展企業8社や講師陣で行っている。
 ファクトリー・イーの参加企業の中では自社ブランドによるビジネスや百貨店との取引も一部で始まっている。「下請け的地位からの脱却」をめざした“第1段階”は達成しつつある。今後、東京RCでは「産地企業のマーケティング開発」をめざした事業の新規展開も課題となる。
東京の最新情報を活用 角田公雄・国際ファッションセンター常務
 KFCは地域企業に対する展示会支援、会員用無料会議室貸し出しの産業振興事業に加えて、ファッショントレンド・セミナーや墨田区との共同での創造支援事業にも取り組んでいる。パターンメーキングやIT研修などの人材育成事業への評価も高い。ファクトリー・イーも過去5回の合同展を通じて初期の目標を達成しつつある。東京のほかの産地にない特徴は世界有数の消費地にあり、最新の情報をいち早く収集、有効活用できる点にある。東京の強みを生かした産地活性化をめざす。

大阪繊維リソースセンター 国内外で展示会開催商品や販路開拓支援
 大阪繊維リソースセンター(大阪RC)は展示会の企画運営、人材育成、ファッショントレンドなどの情報収集、提供事業、デザイン企画開発など多面的な事業を行っている。中小繊維メーカーの自立支援コンサルティング事業にも意欲的に取り組んでいる。
 展示会事業は、これまで地元、泉大津市のテクスピア大阪と東京で開催してきたが、今年は東京に一本化し、首都圏での販路開拓に重点を置いた。出展企業は綿、毛織物、パイル織物、加工業者に加え、新たにニットメーカーも参加した。海外展では今年9月展からニューヨークの婦人服見本市、ファッションコーテリー出展の支援も始めた。これに参加したニットメーカーなど5社は来年2月展にも引き続き出展するが、9月展以降は、出展業者をさらに増やしていく計画。
 海外展は来年、中国でも開催する予定。対象は衣料から寝装、靴、かばん、雑貨など幅広い業種の参加でトータルファッションを、「大阪」を冠に売り込む。「大阪のブランドを付けるべきか」については今後、地域ブランド戦略の企画立案する中での課題にしている。
 国内外の展示会出展は参加企業の商品開発力を高め、販路開拓につながる。大阪RCでは今後、これらの機能向上への支援体制を一段と強める。すでに国内の販路開拓では出展業者の素材、製品が適合する売り先と結びつけるコーディネーターと契約している。輸出では小ロット、小回りの利く商社と契約、産地メーカーの生地で大阪RCが推薦する見本生地、製品を欧州のアパレルメーカーなどに紹介する機能を設けた。海外ではセールスレップとの連携も進める。これらにより「個別企業の具体的な販路開拓」を支援していく。
 さらに、大阪RCでは活動領域を大阪中心から近畿圏、全国へと広げている。対象商品領域も衣料、寝装、敷物から新たに「他産地の成功例を参考」にしながら、産業資材分野の開拓にも力を注いでいきたい考え。
 人材育成へのセミナー事業にも熱心でファッション、グッズのトレンド予測からアパレル素材の基礎知識講座など幅広いテーマで経営者から若手・新入社員向けに開催している。最近、受講者は増えており、一段と充実させていく。
自立促進へ機能を充実 北一彌・大阪繊維リソースセンター代表取締役常務
 大阪産地は綿、毛織物、ニットと業種は多彩、毛布、敷物は国内最大、タオルは今治と二分する産業で、多くの業種の集積地であることが他産地と異なる。完成品までの一貫メーカーも数多い。しかし、大部分は下請け、OEM(相手先ブランドによる生産)業者。大阪繊維リソースセンターとしては、これらの業者の「自立」、とくに商品企画開発力、販売力強化への支援に力を注いでいる。今後は個々の企業の具体的な商品開発、販路開拓への機能を充実させ、産地発展に貢献していきたい。

倉敷ファッションセンター 産地振興へ「倉敷」ブランドを育成
 倉敷ファッションセンター(倉敷RC)は人材育成、新商品開拓、産地国際化推進、自主企画イベント事業などを実施している。最近、力を注ぐのは産地の技術を集積した新商品開発で、来年には倉敷発信の「倉敷ブランド」を打ち出す。
 岡山は厚地織物を中心に学生服、ジーンズ、スポーツユニフォーム、作業服、婦人服などの縫製産地であり、撚糸、織物、染色整理加工などの企業も集積したテキスタイル・アパレル一貫産地でもある。とくに学生服は全国シェア70%を超える最大の産地で、少子化が進んでいる中で、安定した基盤を築いている。一方、「デニムを中心にしたファッション、カジュアル」では世界的にも強い基盤を持ち、他繊維産地が苦しめられている「輸入品の影響を受ける度合いが少ない」産地だ。
 それでも、海外品との競合は厳しいことには変わりなく、産地では「消費者に近いところへの販売」「人材育成・確保」「商品開発力の強化」などが産地活性化のために必要との意見が多い。
 倉敷ファッションセンターでは、こうした産地メーカーのニーズに対応、産地振興活動を推進、近年では自立化支援の一環として、人材育成、新商品開発に力を注いでいる。とくに、イタリア・トスカーナ州との交流事業、西日本最大のデザインコンテストなどに代表される人材育成、新商品開発事業などには意欲的に取り込んできた。
 現在、強力に推し進めているのは「倉敷」という高いブランドイメージを生かした高品質、ハイセンスな衣料品「倉敷ジーンズ」「倉敷ユニフォームなどのブランド創出。その先陣を切り、来年1月、東京で開催されるIFF(インターナショナル・ファッション・フェア)の「ニッポン技あり」コーナーにはユニフォーム、ジーンズ、婦人服、染色整理加工の5社が出展、「倉敷」ブランドをデビューさせる。各社とも新たなブランドを開発、「匠、技術力、国産(メード・イン・ジャパン)にこだわった商品」を提案する。
 地域ブランドを育成、産地活性化をはかり、産業観光も視野に入れ、地域振興の一端を担っていくことは倉敷RCの重要課題。このため、行政とのタイアップも強めていく。
 ただ、学生服、ジーンズなどの需要の伸びは期待できない状況だ。このため、新領域開拓も大きな課題にしており、介護関係衣料に関する商品開発、市場開拓への研修、展示会の実施などの取り組みも進める。
原点の物作り積極的に支援 柳沢正・倉敷ファッションセンター専務
 岡山、倉敷(児島)、井原産地の「原点は物作り」。倉敷RCは、その技術、ファッション情報などの集積地としての発展を支援していくことが大きな役割。この中では今、若い経営者らが熱心に進めているデニムを中心にしたファッション、カジュアルの発信地としての基盤をさらに高めていく。これを牽引(けんいん)車に産地発展をめざしていくことが重要だと思う。
 また、国内での物作りにはこだわっても海外生産との共生、輸出にも挑戦する国際的な視野を持った事業展開も必要だ。今後、こうした技術発展、情報収集から国際性を備えた人材育成などに一段と力を注いでいきたい。

2006/12/27
〈フォーカス人材〉 募る育てる―販売編 定年後再雇用 正社員以外にも
 約680万人を数える団塊世代(47~49年生まれ)の定年退職が07年から本格化する。団塊世代の大量離職が人材不足、技能・技術継承などへの懸念が広がっている。深刻な労働力不足を伴う「07年問題」は百貨店業界でも例外ではない。
 高島屋は今後10年間で、現在の男性社員の約半数が定年退職を迎える。毎年200人以上が定年退職する計算だ。当然のことだが、要員構造の大幅な変化は避けられない。
 01年に社員の定年後再雇用制度「ゴールデンエイジプラン」を新設。さらに、高齢者雇用安定法の改正に伴い、今年3月からは有期雇用社員も含めた新しい60歳以降再雇用コースがスタートした。販売、スタッフサービスの二つのキャリアコースで有期雇用社員に門戸を広げた。60歳以降再雇用コースは6月時点で320人が在籍している。
 同社は販売員のスキル、バイヤーの専門性の向上に取り組んでいるが、正社員だけでなく、有期雇用社員を含めたすべての人材のパワーを高めていく考えだ。そのためにはさまざまな雇用形態が必要になっており、「制度が出来ていても、後は働く人が納得できる運用の問題が大事」(鈴木弘治社長)と定着の重要性を強調する。
 さらに外部を含めた人材登用を進めており、「場合によっては新卒を抑えて、既卒を増やすこともある」と、将来の幹部や専門性を身につけた人材の獲得を積極化する。

2006/12/26
〈フォーカス人材〉 募る育てる―販売編 社宅制度 地方新卒を都心へ
 レディスSPA(製造小売業)のイング(神戸)は、地方で新卒採用した学生が都心店に勤務する場合、家賃を全額負担する借り上げ社宅制度を創設した。
 「販売員が足りない」。店舗数の拡大に伴い、都心部での販売員不足に青井正人社長は頭を悩ませていた。半期で50人程度のアルバイターを正社員に登用するなど、これまでも手を打ってはきたが、人手不足はなかなか解消しない。「11月だけで採用経費は4000万円。借り上げ社宅制度をつくることで採用しやすくなり、定着率が上がるなら全額負担しても安いものだ」と話す。
 来年4月に入社する販売員86人のうち、13人がこの制度を活用する。「都会で働きたい」という学生の思いと、都心部での販売員不足解消という会社側のニーズが合致した。
 13人の内訳は四・短大卒5人、高卒8人。鳥取、鹿児島、青森、沖縄・石垣島などの出身者で、勤務地は人手が足りていない東京や名古屋、大阪などを予定している。
 制度の内容は、エイブルと法人契約を結び、本人の希望を聞いたうえで、会社側でマンションを探す。家賃の上限は8万円程度。従来は、地方の店長が都心店に異動する際に住宅を借り上げていたが、今回から新卒者まで対象を広げた。今後は、地方で働くアルバイターにも適用範囲を広げ、都心店での勤務を促す。そのためにも社内に求人募集制度をつくり、転勤希望者を募る仕組みづくりを検討している。

2006/12/25
〈フォーカス人材〉 募る育てる―販売編 カウンセラー スタッフの精神的支柱に
 ヤング向けレディスカジュアル専門店「アクシーズファム」をチェーン展開し、店舗数を拡大しているアイジーエー。優秀な販売職を育て、定着させていくことが急務となっている。販売スタッフは20代の若い女性がほとんど。若いスタッフを定着させるには、待遇以上に、職場の人間関係が大きく左右する。ちょっとした人間関係のもつれが原因で、優秀なスタッフが辞めてしまうことも少なくないからだ。
 「スタッフをしかったら、次の日から誰も店に来ないんです」
 五十嵐洋子取締役のもとに夜、店長が泣きながら電話。店長の思いを丁寧に聞きながら、一つひとつアドバイスする。店長のいいところは褒め、悪いところは指摘し、あいまいな言い方はしないのがポイント。
 こんな場面で販売職の女性が求めているのは、理論や理屈ではなく、一緒に悩みを共感してもらえることだ。そんな五十嵐さんを社内では、「カウンセラー」と呼んでいる。
 店長の重要な仕事の一つが、スタッフの管理。多くの販売スタッフが接客や服が好きで入ってくるが、店長クラスになると壁にぶつかってしまう。
 「不振店の原因のほとんどは、スタッフが店長についてきていないこと」と五十嵐さん。でも、「基本的に私は店長の味方」と強調する。店長の大変さとやりがいを一番理解しているからだ。五十嵐さんのアドバイスを受けて、壁を乗り越えた店長が離職することはほとんどないという。

2006/12/25
「日本企業の経営課題06」 日本能率協会 最重要課題は「収益性の向上」 攻めの経営姿勢が定着 人材で量・質とも不安
 社団法人・日本能率協会はこのほど、今年6~7月、全国の主要企業の経営者を対象に実施した「当面する企業経営課題に関する調査」結果を、「日本企業の経営課題2006」として発表した。回答は上場企業(店頭公開含む)449社、非上場企業393社の合計842社。調査結果の概要を紹介する。
ポイント1
 当面および中長期の「最も重要な経営課題」
 日本企業の最も重要な当面の経営課題は、「収益の向上(56・3%)」が昨年から続いて第1位である。守りから攻めの経営姿勢の転換が定着しつつある。また「人材強化」と「新製品・新サービス・新事業開発」によってこれを達成する意向が読み取れる。しかし、中長期的には、「グローバル化」(2015年3位←06年17位)、「株主価値向上」(同5位←同13位)、「ブランド価値向上」(同6位←同14位)、「企業理念の徹底・見直し」(同10位←同18位)の重要度が上昇している。上記のような当面と中長期的な施策を巧みに組み合わせて、競争優位の確立を推進していくものと思われる。逆に、02年から04年まで第1位であった「財務体質強化」は「ローコスト経営」とともに急激に順位を落としている。日本企業が財務面での課題を克服したことを裏付けている。
ポイント2
 米国型経営の導入と日本型マネジメントへの回帰(1)
 米国型経営の代表的な方針・施策14項目について、1990年代における採用状況を聞いた。「子会社・関係会社を含めた事業再編または組織再編(73・0%)」、「個人・部門の業績と報酬が、よりリンクする評価制度への改定(69・4%)」、「職能等級・役割等級への人事制度改定(60・9%)」など、日本型マネジメントの弱点である責任の明確化、透明性の向上、過去のしがらみからの決別などが進展した。経営貢献度を見ると、「カンパニー制への移行など事業部門の経営責任の明確化」(67・4%)、「調達・生産・販売等における海外比率の大幅な向上」(66・2%)、「非正規社員比率の大幅な向上による、人件費の変動費化」(63・2%)が高い。
 米国型経営の導入と日本型マネジメントへの回帰(2)
 1990年代以降に「日本型マネジメント(13項目)」といわれる方針・施策の状況を聞いた。8項目で3割以上の企業が「後退させた」と回答した。日本型マネジメントの後退期であったと言える。今後は、ほとんどの項目で「重視度を増加する」に転じている。最重要視しているのは「ミドルマネジメント層の能力開発」である。この姿勢は、人事・教育領域の項目でも明確に表れている。そのほか、「チームワークの重視」「現場における技能伝承・OJT」「長期的な経営判断」などが上位にあり、米国型経営の定着と並行して、これらの日本型マネジメントとの融合により、新たな経営スタイル構築への動きが読み取れる。
ポイント3
 増収増益企業と減収減益企業の相違点
 3年前と比較して増収増益企業の特徴は、減収減益企業に比べて、米国型経営を積極的に採用しつつ、日本型マネジメントも保持している点にある。米国型経営では、14項目中9項目で増収増益企業の採用率が上回った。選択と集中、グローバル展開、効率等重視の経営、人事制度の改定などへの積極的な取り組みが明暗を分けた。「日本型マネジメント」といわれる方針・施策においても、13項目中11項目で増収増益企業の「維持・向上」が勝っている。ミドルや現場を重視した全員参画経営、創業理念を大切にした長期的な経営判断、プロセスや合意に重きを置いたモチベーション向上を重視していると言える。
ポイント4
内部統制強化の動き
 上場企業および大会社(資本金5億円以上もしくは負債総額200億円以上)において、内部統制強化のために「現在行っている、および今期中に行う予定」の施策は、「内部統制にかかわる社内規定・マニュアル化の作成」(85・5%)が第1位。一方、役員対象の研修会の実施は4割弱である。内部統制は経営トップの姿勢が重要であり、今後の積極的な取り組みが望まれる。
ポイント5
「管理職層のマネジメント能力向上」が最大の課題、一方で年収格差は拡大の傾向
 「管理職層のマネジメント能力向上」(52・9%)が、人事・教育領域の最大課題となった。過去6年間続いて、首位であった「成果主義、(賃金・評価・昇進制度の見直し、定着)は、年々重視度を下げており、2位に後退した。1990年代に「管理職層のマネジメント能力向上」に対する企業努力を後退させたことへの反動もその一因であろう。
 大卒総合職(役員を除く)45歳の最高年収額の倍率は、平均1・84倍である。2倍を超える企業は39・7%を占める。今後の方向性について、「拡大させる」(39・8%)と、「現状のまま」(35・6%)がほぼ同じ程度の割合で、「縮小させる」は1・0%にとどまる。年収格差の拡大は、今しばらく続くと思われる。
ポイント6
 国内工場の雇用構造変化への対応が進み、現場力回復に自信
 国内工場の現場作業者における正社員の比率は3分の1で、残りは非正社員によって構成されている。派遣社員や業務請負(非正社員非直接雇用)は、3年前と比べて半数(51・5%)の企業で増加している。パート・アルバイト・期間工(非正社員直接雇用)とともに、今後も増加の意向を示している。正社員は、過去3年の間に4割弱の企業で減少してきたが、3年後の見通しでは、増加(25・2%)と減少(24・1%)が拮抗している。非正社員の増員予想がこれを上回り、増産要請や、コストの変動費に即応できる体制を、今後も維持し続けようとする姿勢がうかがえる。
ポイント7
 商品開発への投資は拡大傾向。半面、プロジェクトリーダーが質量とも不足
 研究・開発投資の三つのフェーズにおける売上高比率の増減を聞いたところ、商品開発への投資が3年前との比較で48・7%の企業で増加した。また3年後も63・8%の企業が増加を予定している。
 一方、プロジェクトリーダーへの満足度については、質についての「不満」は57・4%、量についての「不満」を訴える企業は59・6%にのぼった。技術者においても質量ともに不満が満足を大きく上回っている。資金面は潤うものの、人の面でのボトルネックが顕著となった。

2006/12/22
〈フォーカス人材〉 募る育てる―販売編 ブログ 経営者がすべてさらして
 ブログを始める経営者が増えている。特に顧客からスタッフになる確率の高い中小専門店では、採用の大きな武器になる。オーナー同士で話題にもなっており、採用難が強まってきたこの1年で、ブログの輪は急速に広がっている。
 専門店約10店を経営するマツマルの佐賀久芳専務もその1人。知り合いのオーナーに勧められた。効果はまだ分からないが、「少しでも経営者の考え、し好に興味を持ってくれる人がいれば」と必死に考えている。
 同じく専門店約10店を経営するメンフィスの礒沼みどりディレクターは、スタッフ研修を依頼したコンサルタントから、ブログの手ほどきも受けた。リアルターゲットは社内スタッフ。まずはバイイングに飛び回る自分の姿を知って欲しいと、一日も休まず続けている。
 スタッフにこの業界に対するあこがれの気持ちを持ってもらいたい。それが顧客にも伝わり、採用にもつながる。ブログを始めてから「あなたがあのオーナーですね」と店で声をかけられるようになった。そうしたコミュニティーの輪がスタッフとのつながり感を強め、顧客からの採用に結びついている。
 ブログを書くことは自分のすべてをさらけ出すこと。いくら飾ってみても、にじみ出てくるのが人柄やポリシーだ。また、一度始めたら簡単にはやめられない。採用、定着にかける専門店オーナーにとっては、背水の陣というところだ。

2006/12/20
韓国の07年大卒新入社員 平均年俸2985万ウォン 繊維・衣類2722万ウォン
 大韓商工会議所とインターネット就職サイト調査機関のJOBKOREAが韓国の売上高上位500社を対象に実施した共同調査(回答413社)によると、07年の大卒新入社員の平均年俸は2985万ウォン(100ウォン=12・5円)となった。06年は2815万ウォン(320社平均)だった。
 07年のうち、流通・貿易業(31社)は2695万ウォンで平均に比べてマイナス9・7%、繊維・衣類業(9社)は2722万ウォンで同マイナス8・8%、食品・外食・サービス業は2735万ウォンで同マイナス8・4%だった。
 平均を上回った業種は金融(48社)3488万ウォン、造船・重機(9社)3478万ウォン、石油・化学(33社)3055万ウォン、建設(51社)3045万ウォン、IT・情報通信(24社)3013万ウォン。(ソウル=郭賛浩)

2006/12/16
自由に話せる「就職相談会」 文化服装学院
 文化服装学院は、学生の参加しやすさに主眼を置いた「就職相談会」を始めた。就職指導室の「職員が多忙そうで声をかけにくい」という学生の声を受け、2時間枠の自由参加制の相談会を設けた。11月の第1回相談会には約100人を集め、東京スタイル、小杉産業、助野靴下など企業の採用担当も参加した。
 12月6日の第2回にはテレビ業界への就業を得意とするメディア22世紀(東京)や靴専門店のアイウォーク(東京)も加わり、自社の魅力をPRした。同校は「より丁寧な指導をしないと就職意識を形成できないと考えた。学生に知名度の低い企業の紹介の場としても重要」と話している。
 来年1月にも開く。07年度は秋以降、5回実施する予定だ。

2006/12/15
「販売員のなり手がない」 高い離職率 優秀な人材は取り合い 出店断念や計画変更も 急がれる制度改革、人材戦略
 販売員のなり手がない――。昨年12月、有効求人倍率が13年3カ月ぶりに1倍台となり、人材採用の市場は買い手優位から売り手市場に変わった。ファッション業界でも、都心部を中心に販売員の確保が極めて難しくなっている。求人広告を出しても人が集まらないため、出店を断念した企業もある。各社とも採用活動に躍起になっており、大手企業では販売員の正社員化の動きも活発化している。販売員を取り巻く雇用環境は大きく変わり始めた。(高田淳史)
お手上げ
 「今年度中に30店にしたかったが、人が確保できず、20店にとどまった」と話すのは婦人服アパレルの店舗開発担当者。SPA(製造小売業)の人事担当者は離職率の高さを嘆く。「正社員を含めた販売員は、年間500人採用しても、500人が辞めてしまう。東京や名古屋では人材派遣会社もお手上げで頭数すら揃わない」。百貨店に売り場を持つレディスアパレルでも「店頭から販売員の補充を訴える電話が一日中鳴りっぱなし」という。
 各社とも、時間給を上げるなどして人員確保に努めているが、根本的な解決にはなっていない。販売員の頭数すら揃わない状況では、売り上げを伸ばすことも、顧客満足につながるサービスを提供することも難しい。積み上げてきたブランド・ストアロイヤルティーを失うことにもなりかねない。
正社員へ
 今年に入って、アパレル各社は非正規社員の販売員を正社員に登用し始めた。長期雇用を前提とすることで定着率を上げ、優秀な人材を囲い込む狙いがある。
 「魅力ある待遇や制度を競争する時代に入った」と話すのはワールドの寺井秀蔵社長。販売子会社のワールドストアパートナーズは、約6000人のパート・アルバイト社員のうち、希望した約5000人を正社員に登用した。この結果、離職率は大幅に下がったという。
 定着率をさらに高めるためには、給与・待遇面の改善だけでなく、販売以外の職種への異動も含め、「(自分や仕事の)価値を高められる」スキル・キャリアアップ制度の充実が不可欠と強調する。
 サンエー・インターナショナルは9月、約1000人の販売職の契約社員を正社員にした。年間約3億円の経費増になるが、「優秀な販売員は取り合いになっており、経費増は致し方ない」(三宅正彦社長)と判断した。「収益に影響はあるが、販売員の意欲が向上し、頑張って売り上げを伸ばしてもらえれば経費増もカバーできる」とみている。
 イングは、地方で新卒採用した学生に対し、都心で暮らす家賃を全額負担することを決めた。「11月だけで採用経費は4000万円。家賃を全額負担することで採用しやすくなり、定着率が高まるなら安いものだ」(青井正人社長)。人材確保が困難な首都圏、名古屋へ転勤してもよいという地方の非正規社員にも、この制度を広げるという。
 トリンプ・インターナショナル・ジャパンは、契約社員の正社員(総合職)への登用の道を作っており、年間数人が転換している。「今後もっと増やすとともに、販売員も能力があれば正社員にするシステムを作りたい」(クリスチャン・トーマ専務)と話す。
抜本策を
 多くの契約社員が、安定雇用の正社員化を望むことは明らかだ。しかし、正社員も賞与の有無、退職金の有無など条件・待遇が多様化していることから、手放しで喜べるわけではない。何よりも重要なのは、従業員が自分の能力を発揮できる働き方を選択できるかであり、社員にとって魅力ある企業になっているかだろう。
 人材難は一時的な問題ではない。今後は他産業との人材の取り合いも、さらに激しくなるだろう。小手先の対応策だけでは、人材確保はますます難しくなる。「日本企業は極端すぎる。バブル崩壊後は、人員を大幅に削減し、今度は正社員を増やすという。もっとゆっくりと良策を考えるべきではないか」。トリンプのトーマ専務の指摘には説得力がある。
 販売員の離職率はかなり高い。背景には、小売り重視を掲げながら、実態としては販売員の待遇や働き方の改善を後回しにしてきたことがある。
 いま重要なのは、各社が離職率の高さを反省材料とし、人事の戦略を組み直すこと。本気になって「働きやすく、やりがいのある企業」をめざしていかないと、採用難の壁は突破できない。それだけでなく、優秀な人材がファッション業界から他産業に流出してしまう。
 従業員をどのように処遇して長期的な勤続を促すのか、優秀な人材を育てるためにどんな仕組みや制度をつくるのか。人材に対する経営者の理念と実行力が問われる時代に入った。

2006/12/14
ルミネ新宿2にショップ IFIとエスモード 1月14~21日
 IFI(ファッション産業人材育成機構)ビジネス・スクール(尾原蓉子学長)のマスターコースとエスモード・ジャポン(仁野覚代表)は、両校学生によるセレクトショップを、07年1月14~21日、東京・ルミネ新宿2に開く。MDとバイイングを学ぶIFIのマスターコースと、服作りを中心にクリエーションを学ぶエスモードが実学教育の充実の観点で共同した。
 商品企画の指導をユウジヤマダデザインオフィスの山田裕二氏とオンワード樫山の酒井明子氏が担当、エスモードの学生がデザイン、パターン、縫製、IFIの学生がマーケティングとMDを行い、「フューチャー」をテーマにトレンド感豊かなオリジナルの服と雑貨を販売する。
 ジャケット1万~1万5000円、ワンピース8000~1万5000円を予定。期間中、サマンサタバサの協力でエスモード・ジャポンの学生がデザインした同ブランドのバッグも販売される。60%以上の消化率で300万円の売り上げをめざす(前回実績200万円)。

2006/12/14
〈フォーカス人材〉 フェリシモ 採用で困ったことありません 初任給、社会的な役割、個性の尊重… 口コミで伝わる風土
 日本のファッションビジネス(FB)は他産業との競合が激しく、人材確保で苦労を強いられている。販売職で顕著だが、幹部候補生と言われる総合職でも同様だ。だが、フェリシモ(神戸、矢崎和彦社長)のように「採用で困った経験はない」と言い切る企業もある。勤務地が神戸にもかかわらず、近年は10人前後の募集に全国から1万人近い応募がある。今年も来春入社の定期採用8人の内定を春のうちに決め、すでに08年度の採用活動に入った。
◇   ◇
 同社の募集要項でまず注目させられるのが、初任給の高さ。住宅手当一律3万円込みで大卒24万5000円、短大・専卒22万5000円は、11月に厚生労働省が発表した大卒の平均初任給19万6200円を大きく上回る。業種別では最も給与水準の高いマスコミに近い。これに加えて神戸中心部にある、眺望がすばらしい本社ビルも学生にとって魅力だろう。しかし、これら条件面よりも大きいのは、応募学生が口を揃える同社のイメージだ。矢崎社長は「この会社に身を置くことが人生にとってプラスと考えてもらえている」ことが、採用が好調な一番の理由と話す。
 同社は「しあわせな社会の創造」を掲げ、「事業性」「独創性」「社会性」をすべて満たす領域を「フェリシモがめざしているビジネス」としている。この姿勢が実際の事業の展開でも実感できる点に、多くの学生はやりがいや可能性を見いだしている。01年9月の米国同時テロ後にネット上での討論から生まれた「ラブ&ピース・メッセージTシャツ」の普及や環境保護、「こども基金」やフェアトレード事業などが、通販カタログやウェブサイト、商品開発の随所に見受けられ、経済活動を通して社会的な役割も発揮しようとする企業像を印象づけているからだ。
 また、「個性が生かせそう」の声も聞く。多彩な事業の一方、「求めるのは商品企画やカタログ制作担当で終わる人ではなく、ともにがんばれる仲間やお取引先企業の方々を共感とともに巻き込み、当社のネットワークを使い、自ら考え、動き出せる人」(採用担当)の呼びかけへの共感だろう。20ページ程度の白紙の小冊子を渡し、「自分カタログ」を1~2週間後に提出させる(84年入社組から実施)ユニークな選考方法も“一人ひとりの可能性を丁寧に見る企業”の評判を、先輩から後輩へ口コミで広げている。

2006/12/12
丸井の営業時間短縮 競合より人材確保 取引先は総じて歓迎
 丸井が営業時間を短縮している。10月16日から平日の営業時間を30分~1時間短縮しており、来年から休業日も増やす。当面は1月24日と2月28日を休業日とする方針だ。営業日数・時間の規制緩和を受けて、大型店は定休日を削減し、1日の営業時間も延ばしてきた。規制緩和以降でみると、大手の小売業が大幅に営業時間を短縮するのは今回が初めて。販売員の採用難が深刻化するもとで、丸井の動きは大型店と取引先の業界に大きな波紋を広げそうだ。
大半は静観
 「かつては年間に44日あった定休日が、今は1日だけ。まさに激変だが、これは時代の流れでもある。競合関係を考えると自店だけ後戻りはできない」(百貨店)。
 大型店は顧客の利便性の向上を掲げながら、営業日数・時間を増大させてきた。費用対効果なども試算してきたが、店舗間の競合がこの流れを加速させたことは間違いない。競合店が営業しているのに、自店だけ休むわけにはいかない、休んでいたら顧客を奪われてしまう。直接の競合が激しい地域では、費用対効果を度外視して時間延長を競うような状況もみられた。
 丸井の動きは、この流れに一石を投じるものだ。同社は駅前など競合の激しい立地に店舗を構えている。競合店が営業しているのに、自店だけが休業したら顧客が流出してしまうかも知れない。この不安が最も強い立地だが、営業時間の短縮に踏み切った。
 想定していなかったこともあるが、丸井の動きについて大半の大型店は静観の構えだ。「平日も多くの顧客が来店している。休業日の拡大は、顧客に不便をかける」(ファッションビル)、「営業日数・時間は定着している。現段階で短縮は予定していない」(百貨店)など、現時点で短縮を検討しているところは少ない。
 ただし、販売員を中心にした人材確保の面で、中長期的には営業日数・時間の見直しが大きな課題になってくるとの見方は強い。「優秀な販売員を確保するためには検討せざるを得ないが、総合的な判断が必要。現段階で方向性が定まっているわけではない」「競合条件をにらみながらになるが、人材確保の問題があるので、丸井のような動きが出てくる可能性は高い」(百貨店)などと見る。
減収に不安
 取引先は、総じて丸井の動きを歓迎している。「経費の削減効果もあるが、休暇増で販売員のモチベーションが高まり、無理なシフト勤務も改善できることが大きい」「人材確保が厳しい状況なのでありがたい。シフトが組みやすくなるし、空いた時間は社内会議などで有効に使える」「人材確保が目的なら理解できる。一般の生活者に近い休日を付与できるようになれば、人材を確保しやすくなる」などだ。
 背景には、販売員の採用難という問題がある。人材確保が厳しくなるもとで、取引先のなかには出店計画を見直したところもある。全国に出店している専門店の経営幹部は、「まさに英断と評価したい。人材確保で打つ手は限られているのだから、時間短縮で集めるしかない」と指摘している。
 ただし、時間短縮による減収への不安や不満も根強い。「定休日が少し増えたぐらいでは人員は減らせない。経費の削減効果と平日の減収を比べたら、かなりの痛手」「大型店は効率化になるだろうが、当方にそれほどのメリットはない。定休日増による減収はつらい」などの声だ。人材確保という面では歓迎したいが、日々の売り上げや利益が消失することには耐えられない。これも率直な見方だろう。
 営業日数・時間を拡大する時も、大型店と取引先との間で論議が巻き起こったが、最後は大型店が押し切った形になった。定着した営業日数・時間の見直しは、取引先にも大きな影響を与える。
 中長期的に時間短縮の流れが広がるとしたら、改めて大型店と取引先の双方が意見を出し合う必要がある。顧客サービスや費用対効果、さらには人材確保などの問題を軸にした話し合いで、産業と企業の正常な発展につながる方向を探ることが重要になりそうだ。

2006/12/06
IFIビジネススクール10周年 マスターコースを刷新 世界のFB巡る体感型へ NY、中国研修加え
 ファッション産業人材育成機構(IFI、中瀬雅通理事長)ビジネス・スクールは、10周年の節目となる07年度からマスター・コースのカリキュラムを刷新し、海外研修を大幅に拡充する。同コースは業界の若手育成を担ってきた。尾原蓉子学長は「業界の人材育成ニーズを真正面からとらえ、圧倒的に独自性あるものにする」と強調する。
 マスター・コースはバイヤー、マーチャンダイザー養成を目的に、定員25人の昼間部1年制で実学教育を実施してきた。企業派遣生と一般学生で構成し、百貨店の若手バイヤーの能力向上に成果をあげている。
 来年度からは、(1)研修・演習(2)デザイン・商品知識(3)マーケティング・マーチャンダイジング(4)ビジネスとマネジメント(5)生産と物流――に区分する必修授業と選択講座で構成。
 特にグローバルなビジネスを体感する授業を充実する。クリエーションに焦点を当てた従来のパリ、ミラノ研修(10月上旬)に加え、最新のビジネスを吸収するニューヨーク研修を11月下旬に導入。ニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)などで学ぶ。さらに6月上旬には中国・上海で現地の生産体制を見学し、その直後に尾州の織物産地を訪問、物作りでの日本の差別化策について考えさせる。
 「1年間のうちにFBの世界の三大拠点を巡る類例のないカリキュラム」(尾原学長)として打ち出す。
 また、06年度からエスモード・ジャポンとの協業で始めた「企画オペレーション演習」を本格化する。マーケティング、企画から店頭販売までの実践的なカリキュラムだ。
 同校は、入学金、海外渡航費、施設利用費込みの授業料が約198万円で、今後、二代目経営者やFBに関心を持つ一般大学生への紹介を強める。
 同コースの入学願書受付は来年1月15~19日。1次試験は2月2日、2次試験は2月16日。

2006/12/01
【学ぶ・育てる】 ファッションスクール秋のイベント 入学者確保に力点、学ぶ楽しさ多彩にアピール
 秋は学園祭のシーズン。ファッションスクールでは、夏から秋に来春の入学者確保を狙った学校を挙げてのイベントが相次いだ。「未来の人材を獲得する取り組みに業界も注目してほしい」と各校は話す。
●華やかに
 進路を検討中の高校生に服飾の世界の魅力を伝える――全国のイベントの目的はここに集中している。来場者の関心を引くコンテストや華やかなショーがやはり主流だ。
 東京の美大では、女子美術大学ファッション造形学科、武蔵野美術大学空間演出デザイン学科、玉川大学ビジュアル・アーツ学科が学園祭でファッションショーを行い、服飾系クリエーター育成に意欲を見せた。
 一方、服飾系大学では文化女子大学が一昨年度に文部科学省「特色ある大学教育支援プログラム(GP)」に採択された同大「文化祭」の特別企画として、「プレゼンフォーラム」の名で学生作品を紹介した。デザイン解説や縫製方法を来場者に説明し、服作りの奥深さを伝えた。
 専門学校も多彩なイベントを繰り広げた。武蔵野ファッションカレッジ(東京)は高校生にも参加してもらいTシャツデザインコンテストを開催。実行委員会形式の運営で学生の自主性も引き出した。上田安子服飾専門学校(大阪)は「第59回ファッションアートカーニバル」でスタイリングコンテストを実施。神戸ファッション専門学校は兵庫県立美術館ギャラリーで個人、グループのブランド発表形式のショーを行った。マロニエファッションデザイン専門学校(大阪)は学友会が自主運営する形態でショーや展示会、フリーマーケット、各種模擬店を展開し学生生活の楽しさを発信した。大阪文化服装学院は「発想力とデザイン力の強化が本校の重点」とし、教員の育成にも力点を置いたテーマ別ライフスタイルショーを披露している。阪神ファッション工芸専門学校は校名を07年度から「大阪ファッションデザイン専門学校」に変えるため現校名での最後のイベント。阪神家政高等専修学校と併せ、トータルファッションのブランド開発、市場性ある物作りを重視して作品発表した。コロムビア・ファッション・カレッジ(岐阜市)はコンテストへの参加を一般にも開放し、注目度を上げた。
●実学路線
 業界イベントへの協力や製作した服を実際に販売したり、地域社会や企業に貢献するなど、即戦力性を強調するイベントも目立った。
 エスモード・ジャポンは、フランス・リヨン市が主催し横浜市内で開かれたイベントに参加した。パリのブランド「レオナール」の新作披露の後の学生作品披露だったため業界人や横浜市関係者にも同校のクリエーション力を印象づけることができた。
 名古屋ファッション専門学校は学生会主催のショーを実施。学生の作品はショーの後、同校が運営する店「ネブラ」で販売した。実売可能なレベルを訴求するため。中部ファッション専門学校(愛知県知立市)は「卒業研究ブランド」を展示販売した。市場調査、デザイン、素材選定、店舗、計数管理など、企画から販売までの流れを習得の上、各自ブランドを作らせた。  福井文化服装学院(福井市)は、新規オープンのビル「エコライフプラザ」(日本システムバンク所有)の一角に同校学生の手によるショーウインドーを設けた。定期的に模様替えする。
 ユニークなのは大村ファッションデザイン専門学校(福岡市)。同校は江崎グリコの「ポッキー&プリッツの日(11月11日)」イベントの福岡会場で7種類のポッキーを服に表現したショーを行った。1年生の女学生が企画を持ちかけ実現したという。香蘭ファッションデザイン専門学校(福岡市)は「リフォームファッションショー」。環境保全を進める福岡市に協力する企画だ。作品の一部は市販する。

【2006年11月】

2006/11/30
百貨店協会 販売資格制度通信講座を一般に開放 採用活動の一助に
 日本百貨店協会は12月から、百貨店業界共通の販売資格「百貨店プロセールス資格制度」3級の通信講座を一般に開放し、百貨店やファッション業界への就職をめざす学生などに受講を働きかけていく。
 同制度は03年、販売サービスの水準向上を目的に百貨店協会が導入。フィッティングアドバイザーのレディスとメンズ、ギフトアドバイザーの3部門で、1~3級の資格がある。1級の資格認定者は現在約200人。
 受講対象はこれまで、百貨店と取引先の従業員に限定していたが、採用難が深刻化する中、次代を担う販売員を確保、育成する一環として、通信講座で開講している3級を一般開放することにした。
 百貨店協会は同制度の普及活動の一環として、9月に立ち上げたポータルサイト「百貨店ワールド」(www.departinfo.com/)で、プロセールス資格制度の概要や1級資格所得者の活躍の状況などを紹介していく。

2006/11/24
国内ニット業界と連携 東京モード学園 専門人材育成へ
 東京モード学園(谷まさる学長)は、東京ニットファッション工業組合(TKF、太田守彦理事長)と提携し、ニット・カットソーの実学教育を開始する。カジュアルウエア市場の拡大と、同分野の素材開発や技術の進展で、ニット・カットソーの活躍の場は広がっているが、専門人材が育っていない、という認識で一致した。TKFの紹介で、大阪や東海のニット工業組合とモード学園各校との連携の準備も始まった。
 TKFが加盟企業の自社ブランドの開発、自立化促進で実施している合同展「CAP」への東京モード学園の協力を機に提携の検討が始まった。
 同校は07年度から、4年制コースの2年次から、ファッションデザイン学科、ファッション技術学科の必修科目として、TKFとの連携カリキュラムを導入する。4~11月にTKFに講師を派遣してもらい7回の授業を行った後に、実践授業として学生を、CAPに参加する個別企業との協業に派遣する。07年度に対象となる学生は2学科合計約120人になる。
 同校には教員の質を高める狙いもある。提携カリキュラム推進を通じ、ニット・カットソー製造業各社との相互理解を深め、専門人材の育成への問題意識を高める。TKFが若手育成で行っている学習会「メリヤス塾」にも積極的に参加させる。

2006/11/24
ワールド 販売員5000人一気に正社員化 人件費22億円増も企業存続に不可欠 比率88% 離職率大幅減
 「人件費を抑制していては企業として生き残れない」――。ワールドの寺井秀蔵社長は、子会社に属するパート・アルバイト販売員の大半を正社員化した背景についてこう語った。期初には予定していなかったが、ファッション業界内だけでなく、他業界含めて人材の奪い合いが始まっていることから急きょ人事政策を大幅に変更、人員の確保と離職率の減少に努める。今後も出店に合わせて大量に販売員を採用する予定で、正社員を基本とする。
 販売子会社「ワールドストアパートナーズ」は、パート・アルバイトの8割強にあたる約5千人を4月1日付で正社員にした。9月末現在の正社員数は約9600人となり、正社員比率は88%まで高まっている。全従業員数が約1万1000人だけに短期間で正社員数が一気に倍増したことになる。
 人件費は通期で22億円増加するが、正社員になることで、「(働く人の)モチベーションが上がり、キャリアップなどを含めて(販売を)一生の仕事として長く勤めてもらえる」。給与、待遇面の改善に加え、キャリアアップのメニューを豊富に揃えることで長期間の勤務を促し、人材面で他社との差別化につなげたい考えだ。正社員化を進めたことで4月以降の離職率は大幅に下がっているという。

2006/11/20
【ワールドニュース】 NYでFIT交流会 日本の学生と企業がコンタクト
 【ニューヨーク=杉本佳子通信員】日本に帰国したFIT卒業生同士の親睦(しんぼく)を図る日本FIT会(尾原蓉子会長 www.fitkai.jp)ニューヨーク支部(www.fjsany.com)は、FIT在校生とニューヨークで働く卒業生のネットワーキングを推進するため、03年秋に活動を開始以来、毎年4月と11月に親睦会を開いているが、11日のフリーマンズのショールームを貸し切った第7回親睦会には、過去最高の121人(在校生39人、卒業生28人、卒業生以外の社会人43人、その他11人)が参加した。
 ニューヨークには商社、小売店、アパレルメーカーなど40社以上の日系駐在員事務所のトップが親交を図るNY百貨店アパレル会があり、卒業生以外の社会人の多くはNY百貨店アパレル会を通じての参加。三陽商会ニューヨークの東條眞巳社長は「学生と日本の企業人が カジュアルに話ができ、コンタクトをもてる有意義な場になっている。継続は力なりと言うが、続けることがものすごく大事」と語り、三越USAの吉川貴夫社長は「FITの学生と企業が交流するのは、お互いに非常にメリットがある。企業にとっても、インターンから優秀な人材を確保できる」と指摘した。
 親睦会で知り合い、インターンとして採用され、その後、正社員として採用されたケースはいくつもある。ポロ・ラルフローレンやマーク・ジェイコブスなど米企業で働く卒業生も多い。「米国企業で働く卒業生から情報を得られる」(吉川社長)メリットもある。
 在校生たちも、現地企業で働く卒業生に「どうやって就職したんですか」と盛んに質問をしていた。  今回、4人の在校生と卒業生が作品のプレゼンテーションを行い、ゲストスピーカーは、デレク・ラムの広報、首藤眞一氏と、丸紅のコンサルタントでユナイテッドアローズなどのバイヤー経験の長い雅子カウフマン氏。両氏はデザイナーやバイヤー志望の学生に参考になる話を語った。
 在校生代表の中村真以子さんは「初めて参加した人はまた参加したいと言い、会を重ねるごとに良くなってきていると言われる人が多い。参加してくれる企業が、年々増え、うれしい。初めてまとめ役になり、大変だったが、多くの人とかかわることができてすごく楽しかった」と感激していた。

2006/11/11
アパ産協モデリストフォーラムセミナー 定員大幅オーバー ものづくりの大切さが認知
 日本アパレル産業協会人材育成委員会が11日から実施する「モデリストフォーラムセミナー」が定員大幅オーバーで、お断りが続出している。募集開始直後から満員になる状況で、背景にはモデリスト人材の育成の重要さが認知されてきた証とみられる。
 同委は04年からスタートした「モデリストスキルアップのための実践セミナー(ドレーピング)」を、今年は(1)11日(ニューボリュームのコクーンをキモノスリーブで表現したジャケット)(2)12月16日(袖などにボリューム感を加え、ヒストリカルに仕上げたコート)(3)07年1月20日(襟は甘さを残しフィット&フレアでボリューム感のあるマスキュリンコート)(4)同3月17日(アシメトリーのタックが入り、スカートもタックでバルーンを表現したワンピース)の4回、いずれも文化ファッション大学院大学で行う。講師は黒部裕子氏(courbe代表取締役)。

2006/11/09
〈告知板〉 本場の立体裁断学ぶ
 欧州の立体裁断技術の普及を進める服飾教育団体「Eクチュール協会」は17~19日、都内3カ所で「フランス人技術者から学ぶパリ・オートクチュールの立体裁断講習会」(通訳付き)を開く。「フレアのペプラム付きジャケット立体裁断実習」(18日、会場は杉野服飾大学、参加費2万円)など。詳細はホームページ(www.k4.dion.ne.jp/~ecouture/)で。問い合わせは同協会東京支部、電話090・6041・3996。

【2006年10月】

2006/10/27
【学ぶ・育てる】 「高度専門士」で大卒超えろ! 専門学校の社会的地位向上へ新制度
 06年春、専門学校の社会的位置付けを高める文部科学省の新たな制度がスタートした。一定の基準を満たす4年制の専門学校の修了者に新たに「高度専門士」の称号を付与するというものだ。大学の学部卒業者が付与される「学士」と同等なので、学歴への意識から大学に入学希望者を取られることが少なくなかった専門学校にとってメリットは大きい。服飾分野でも来春、複数の学校で高度専門士コースが開設される。
 高度専門士付与を始めた学校の大半は4年制カリキュラム導入が先行する医療系や工業系だ。今年6月告示時点の該当校の一覧表で服飾系は米山ファッション・ビジネス専門学校(神奈川県)、明美文化服装専門学校(愛知県)、マロニエファッションデザイン専門学校(大阪府)の3校に過ぎなかった。しかし、すでに3、4年制を軌道に乗せている少なくない有力校が今夏以降申請し、文化服装学院(東京都)、杉野学園ドレスメーカー学院(同)、福井文化服装学院(福井県)、松本衣デザイン専門学校(長野県)、中国デザイン専門学校(岡山県)でコースが開設される。
●産学協同
 定員50人で4年間一貫教育を始める文化服装学院の川合直教務部長は「文化ファッション大学院大学を頂点とする専門教育態勢作りの一環」としている。
 当初、既存の学科と学生を奪い合うことにならないか、不安もあったが、推薦入試の受け付けが始まった現時点では手応えは良好だ。「入学を希望する本人が大学志向の強い保護者を説得する材料を提供したことも大きい」とも。問い合わせの多いアジア圏の留学希望者の学習意欲に応える狙いもある。
 3、4年次の専門課程で既存の学科と大きく差別化する。業界と相談しながら授業を組み立てる考えで、これまで最長3週間だったインターンシップ(就業体験)も企業と協業型で長期化する。学生のうちに独立系のクリエーター活動を始められるよう自立心も養いたい、としている。
 一方、ドレスメーカー学院は、クリエーティブディレクター養成を目標に「高度アパレル専門科」(定員10人)を立ち上げる。同校も各分野の業界人を積極登用する。二宮柊子学院長は「クリエーションに立脚してビジネスを展開している方を教員として招聘(しょうへい)したい」と意欲的だ。ワールドとの協業で始めるストアマネジメントコースと併せ、産学協同にさらに踏み込む。
 関西ではマロニエファッションデザイン専門学校が06年度新設の「ファッションマスター学科」がこれにあたる。従来の「グラジュエイトスクール」(3年制)の内容を4年間かけて履修するため、各学年でゆとりが生まれるとともに、企業との中長期インターンシップを活用できるようにする。丹後ちりめんの産地として知られる京都府野田川町商工会青年部との産地振興協業にもより力が入りそうだ。
●地方、郊外でも
 高度専門士は、地方の学校にも広がる。
 中京圏では明美文化服装専門学校が10年前に始めた「プロフェッショナルコース」で導入する。
 同校の場合、大卒資格が欲しい男子学生のために愛知産業大学との単位互換方式で10年前に始めた4年制が新制度を受けバージョンアップする形だ。昨年からは大学の授業を取らなくてもいい形態に変え、専門授業やインターンシップに専念できるようにした。
 福井文化服装学院は、「ようやく国が専門学校の高い価値を認めてくれた」と歓迎する。在校生の編入希望者で2年生、3年生から始めるため、すでに編入試験を実施した。内容的には特殊素材の扱いや企業での実習、リポートと作品提出の機会が増える。
 中国デザイン専門学校は今年度から新設の総合デザイン科で対応する。「マネジメント科目の設定やインターンシップを強化し、ミドルレベルの人材育成をめざす」という。
 ユニークなのは、川崎(神奈川県)の米山ファッション・ビジネス専門学校。同校昼間部は現在、中国からの留学生が中心を占めるが、彼女たちへのアピールは大きいとして従来からある4年制で高度専門士を付与できるようにした。「日本での就職を有利にするだけでなく、中国内での募集活動で力を発揮しそう」と米山実校長は見る。
●要は内実
 専門学校の中には条件を満たしながらもあえて申請しない動きもある。
 学生数で文化服装学院に次ぐモード学園は医療福祉の「大阪医専」や「コンピュータ総合学園HAL」では高度専門士養成校に名を連ねるが、服飾では「必要性はあまり感じない」と静観する。「いつでも申請できる準備はしておくが、教育内容の充実が優先だ」(青木稔学園理事学務室長)としている。
 一概に高度専門士といっても学校ごとに教育内容はかなりばらつきがある。大卒のイメージ低下と同じような方向になるのではせっかくの新制度が泣く。各校には“高度”の名に恥じないカリキュラムの構築が求められる。

2006/10/27
中小企業地域資源活用支援関係省連絡会議設置 新事業創出めざす
 政府は中小企業の地域資源を活用した事業展開を支援する関係省連絡会議を設置し、26日初会合を開いた。メンバーは中小企業庁の石毛博行長官、経済産業省の福永健文地域経済産業審議官のほか、農林水産省、国土交通省、厚生労働省、文部科学省、総務省の局長級幹部。事務局は中企庁。
 年内に2、3回程度開き、07年度予算のまとめに成果を反映するほか、実施状況もフォローアップする。連携では各省庁が持つ政策ツールを相互に活用・補完し合い、自治体との取り組みも強化する。具体策は(1)中小企業基盤整備機構で約1000人いるマーケティング人材などの外部専門家をリストアップし、各省関係機関が相互に使えるようにする(2)経産局、農政局など地方ブロックレベルでの情報共有や協議会設置など。
 同会議設置の狙いは、5年間で1000の新事業創出をめざす「地域資源活用企業化プログラム」(07年度概算要求新規103億円)の効果的な実施と支援体制の確立。
 出席した甘利明経産相は「地域が永続的に繁栄する仕組みづくりが大切。6省の協働で地域戦略を練り上げ、各省の所管を超えた新しい官庁ビジネスモデルを構築して欲しい」と強調した。

2006/10/12
モード学園 カリキュラム抜本改革 二段構えのインターンシップ IT、福祉など異分野交流も
 モード学園は07年度、カリキュラムを大幅に変える。18歳人口の減少で、有力専門校や大学との競合がますます激しくなっていることへの対応策として同校は、08年度に名古屋、09年度に東京で新校舎を開設する一方、「服飾」「IT(情報技術)」「医療福祉」で専門教育の拡充を進めているが、基幹の服飾分野で抜本的な改革を打ち出す。
□   □
 「実学教育のさらなる強化と就職指導の強みの結合」(青木稔理事学務室長)が基本の考え方。新カリキュラムの運用にあたっては課題ごとにワーキンググループを設け、外部の業界人も参画してもらう。「ピュアクリエーターとビジネス系一般人材の育成の双方の使命を押さえながら軌道に乗せる」(同)。
 大きな柱は、(1)クロスディスプリン(相互協力教育)の導入(2)インターンシップ(就業体験)の改組(3)教員研修の強化。
 クロスディスプリンはモード学園内の3分野の相互横断教育から着手する。ITや医療福祉など時代の追い風に乗る世界からファッションのニーズをくみ取る授業が可能になる。新たなビジネス創造にもつながる態勢だ。大学との交流も積極化する。東京モード学園の日大芸術学部写真学科との協業は2年目を迎えた。互いの不足分を補う手法はさらに広げられるとして、有名美大にも呼びかけている。
 名古屋校、東京校、大阪校の順で立ち上げた3カ月間のインターンシップは、2月中旬~5月中旬の現状では世間一般の就職活動時期に重なるなど問題があったため、卒業作品展にあたる「モードフェスティバル(MF)」を07年度から8月末~9月初旬に早め、「インターンシップⅠ」を3月1~31日、「インターンシップⅡ」(デュアルスタディー)を10月~2月末の間の2カ月間実施するスタイルに変える。インターンシップⅠの送り先は、デザイナーは機屋・付属メーカー、パタンナーは縫製工場・付属メーカー、グラフィックは印刷工場、インテリアデザイナーは建材・資材メーカーなどと、業種にメリハリをつけて教育効果を上げる。
 この方式の開始にあたってカリキュラム内容の大幅な前倒しを実施する。例えば、MFの作品製作は4月1日に開始、7月末に実物審査という進行になる。卒業時の記念としてはイベントの代わりに、企業ニーズをそのまま取り入れる特別授業「ケーススタディー」を大学のゼミのように位置づけて対応する予定だ。
 なお、10月末までの就職内定率目標を60%とし、内定者は就職予定企業でインターンシップⅡを受けられるようにする。  教員の力量向上も重点。今年6月から月1度の研修会を実施。7月1日には3校の教員と各分野の企業が人材育成の意見を相互交流する場を設けた。07年度からは夏期休暇を活用し、教員のインターンシップも実施する。

【2006年09月】

2006/09/29
【学ぶ・育てる】 異彩放つ若者生み出せ 美大・芸大がファッション教育を強化中 際超える教育が強み
 ファッションクリエーターを育成する教育機関は欧米では芸術・美術系の大学を指すことが多い。“セントラル・セントマーチン”を持つロンドン芸術大学が代表例だろう。一方、日本では今も服飾系専門学校が主流。美大の多くが服飾についてテキスタイルまでの教育だったことも影響している。しかし、最近はファッション教育に力を入れる美大が増えてきた。
発想力を鍛える
 武蔵野美術大学や女子美術大学、京都造形芸術大学の近年の取り組みが象徴例だ。
 武蔵野美大では空間演出デザイン学科に88年度、ファッションコースを開設、4年制の美大としてはもっとも早くファッションを位置づけた。同コースを立ち上げた小池一子氏(現名誉教授)の後を継いだ天野勝教授は「ファッションカテゴリーの拡張が目立つ今、アートとの際はなくなる。だから多様な分野のクリエーションを学べる美大は有利」と強調する。服作りの技術や訓練では、即戦力の養成を使命とする専門学校には負けるが、「すぐに戦力にならなくても、とんでもない発想を生み出す若い力が今の業界には求められている」と、美大独自の役割に確信を深めている。オブジェ的な抽象作品が中心だった公開の学生作品展も来年は衣服寄りにする。ファッションビジネス(FB)業界への訴求も強まる。
 一方、女子美術大学の芸術学部は01年度にファッション造形学科を開いた。同学科で力を入れているのは、各学生が自分のテーマを他人にビジュアルに伝える力をつけること。どうすれば、新しい発想を理解してもらえるか、よく考えさせることに指導の力点を置く。最終的に服を作り上げるが、実物とともに家庭用ビデオによるコマーシャルも製作する。このユニークな実践はコンセプトワークの力を鍛え、人気のある大手アパレルへの就職でも成果を上げている。
 担当の小倉文子教授は「最近、衣服をキーワードにアーティストをめざす人が増えている。この関心の広がりに対応できる人材を育てたい」としている。
 京都造形芸術大学では00年、芸術学部空間演出デザイン学科にファッションデザインコースを立ち上げた。デザイン全般でファッションの概念が不可欠になっていることから始めたもので、ファッションをデザインの核にしながら、あらゆるクリエーションの場でリーダーシップが発揮できる人材の育成をめざしている。
 とりわけ重視しているのが京都という恵まれた環境での社会体験だ。教授陣のネットワークを生かしながら応用力を養う授業で、毎年参加している二条城のライトアッププロジェクトなど、歴史ある技・こだわりの職人に触れられる機会を提供する。
 現在、国立民族学博物館(大阪・吹田)で開催中の特別展「更紗今昔物語――ジャワから世界へ」では、学生15人がディスプレーを担当したほか、23日には展示品の一部であるプリント更紗を用いてファッションショーも開いた。来春には同学科内にジュエリーデザインを含む「プロダクトデザインコース」も新設する。

国公立大にも
 これらの流れは国公立大学にも広がっている。
 04年6月に議決した「金沢ファッション産業都市宣言」の具体化として05年4月に誕生した、金沢美術工芸大学の大学院デザイン専攻ファッションデザインコースが先駆けだが、ファッションをきちんと位置づけようという機運は東京芸術大学にも及ぶかもしれない。
 「日本のファッションを深く知りたいと思って入学してくる留学生をがっかりさせてしまっている」と、東京芸術大学美術学部工芸科染織研究室の山下了是教授は話す。世界の日本ファッションへの見方は「国立の芸大は当然、この分野を教育と研究の対象にしているはず」ということなのだろう。しかし、作品としての美術に特化する同大ではファッションは位置づけられておらず、このようなミスマッチがしばしば起きていた。
 しかし、美術学部全体では地方行政の産地振興への協力に着手。この中で繊維ファッション分野の実学教育にも迫られそうだ。山下教授自身も「これからは国立大学でもファッションを考えていかないといけませんね。いいタイミングだと思う」と語っている。

2006/09/29
自立事業を考えるシンポ 中小機構 丸投げせず自社で人材を 全員参加へ意識改革
 中小企業基盤整備機構は27日、東京で「自立事業を考えるシンポジウム――自立事業の成果調査を踏まえて」を開いた。中小繊維製造事業者自立事業を実施した4社による「事例報告パネルディスカッション」で明らかになった“自立事業の壁”と教訓は、(1)外部人材の活用では“丸投げ”しないで、自社人材や自社のノウハウを一つ一つ蓄積する(2)作る川中製造事業者と売るアパレル企業の資金繰りとビジネス形態は別世界(3)輸出では売掛債権の回収がネック(4)全員参加型への意識改革など。
 07年度で終了する自立事業の後に期待する政府支援策では(1)事業への無担保融資(2)海外での売掛債権が焦げ付かないための国際的な司法制度の整備(3)“ハードルが高い現行自立事業”とは異なる「自立をめざす事業」への補助金交付などの要望が出た。
 外部人材の活用では「セールスエージェント契約は失敗した。半年間で売り上げがなかった」(福田靖福田織物代表取締役)、「セールスレップで失敗したこともある」(佐藤正樹佐藤繊維社長)、「有名デザイナーにデザインをお願いしたが、それだけで終わった」(林田誠司林田社長)などの失敗談が紹介された。「人任せにしないで、目標設定を低くして自分でアパレル企業に営業回りをすることにして徐々に売り上げが上がってきた」(福田氏)解決例もある。
 基本的なビジネス形態が、現金仕入れで返品なしの川中製造事業者と、手形仕入れで返品ありのアパレル企業では基本的なビジネス形態が異なる。小売店への直販を始めることは製造事業者がアパレル企業に転換することを意味し、「販売先を広げるため百貨店1店当たり何百万円分も作りこんだが、返品となってきたため、一度事業を縮小した」(佐藤氏)という困難もあった。佐藤氏の結論は「製造メーカーとしては積極的に数量につなげるビジネスを追求するが、アパレル販売では慎重に少しずつ数を増やしたい」という。
 輸出での売掛債権回収は中国だけでなく、欧米でも課題だ。「米国のコーテリ展で成約して輸出した代金は当初半分ぐらいしか回収できなかった。欧州輸出での回収も米国以上に厳しい」(佐藤氏)、「中国への輸出は現地代理商への売掛債権が焦げ付くようになったため契約を解消した」(林田氏)という。解決策として、「今は前金決済でしか輸出しない」(佐藤氏)、「自社の販売目的会社を設立」(林田氏)などを行っている。
 自立事業には全員参加型の意識改革が必要で、取り組みの中では「新規(自立)事業と従来事業の担当に社員が2グループに分かれ、いがみあう状況も生まれた」(清水屋眞二ヤマニ社長)という。「ローテーションの実施」や(清水氏)、「朝礼での徹底」(林田氏)などで全社員の意識の統一が重要だ。

【2006年08月】

2006/09/21
ファッション関連有識者会議 日本文化発信を強化 在外公館の活用、JFW国際化で アジアのリーダー追求すべき
 19日開いた経産相の私的懇談会「ファッション関連有識者会議」は、出席者から日本文化の発信、人材育成、素材とクリエーションの連携の強化などについての提言が相次いだ。
 この中で、前田勝之助日本繊維産業連盟会長(東レ名誉会長)は「これまでの繊維ビジョンではモノづくりから発想していたが、次期繊維ビジョンではファッションと素材・モノづくりの両面から組み立てる必要がある」とし、産地活性化のため「産学官連携(クラスター)の活用」を指摘。「日本の伝統的文化だけでなく若者のファッション文化も合わせて発信すべきで、JFW(東京発日本ファッション・ウィーク)はできるだけ総合的にテキスタイル展も充実し、CBF(クリエーション・ビジネス・フォーラム)やIFF(インターナショナル・ファッション・フェア)などとも連携しながら、その中心にJFWを位置づければよい」との考えを示した。人材の確保では「雑貨などファッション関連業界とも連携すべき」とし、「ファッション産業では20世紀は品質とコスト、デザインが大切だったが、21世紀は商品に文化を提供できるかどうかが勝負になる」と強調した。
 二階経産相は「貴重な意見を整理し検討したい。国際コンテンツカーニバルや中国・上海万博も日本の繊維・ファッションの優位性を示せる場所として活用したい。ファッション振興でも前向きの政策に取り組む」と表明した。同会議で出た意見は「次期繊維ビジョンや、08年度概算要求に反映させる。在外公館を活用した対外発信などはすぐ取り組む」(宗像直子経産省製造産業局繊維課長兼ファッション政策室長)予定である。
 会議での発言(要旨)は次の通り。
 馬場彰氏(オンワード樫山取締役名誉会長・ファッション戦略会議議長・繊維産業流通構造改革推進協議会会長)在外公館を積極的に活用し、日本のファッション文化をアピールする機会作りが重要だ。
 太田伸之氏(イッセイミヤケ社長)JFWではデザインと技術の融合、イベントの国際性、国際的な人材育成が大事であり、「オール・ジャパン」で取り組むべきである。日本のテキスタイルは空間を使った見せ方に工夫が必要。
 仁野覚氏(エスモード・ジャポン代表)日本のファッション専門学校は国際的な人材育成が使命で、欧米のようにマスターコースをつくる動きをもっと活発化すべきで、文科省と関係省庁が連携して取り組むべきだ。日本はアジアのファッションリーダーの地位を追求すべきである。北京もアジアのリーダーになろうとしており、JFWは最後のチャンス。政府の支援が終わった後は民間が自前でJFWを継続する体制作りが必要である。
 松尾憲久氏(センソ・ユニコ社長)海外SPA(製造小売業)が日本に参入し、アパレル業界も淘汰(とうた)の時期を迎えた。もっと輸出をするためには、日本が「あこがれの国」になることが最大の利益につながる。日本の生活・文化の発信が大切。
 近藤寛司氏(近藤繊維工業社長)タオルの独自ブランドづくりに取り組んでいる中で、プロデューサー的人材が大切であることを痛感した。
 佐々木光男氏(ササキセルム社長)最適素材を提供していく上で、JFWと密接な関係を持ちたい。  島正博氏(島精機製作所社長)ホールガーメントはスピードアップとロス削減のツールであり、使い手の人材育成が大切である。
 長島徹氏(帝人社長・日本化学繊維協会会長)帝人の商品用途別構成比は衣料3割、インテリア3割、産業資材4割である。衣料の比率が低下しているが、素材からアパレルまでの協業や小ロット対応が進めば衣料でも付加価値をさらに出せる。他方で機能性素材も追求する。
 宮本英治氏(みやしん社長)テキスタイルとデザイナーの協業で若手デザイナーの支援と素材のすり合わせの重要性を指摘した。日本の産地は世界一と認知されているが崩壊の危機に直面しており、海外市場で定着する可能性のあるデザイナーとの協業を成功に導くことによってこそ、日本のファッション産業全体も認知される。

2006/09/14
販売スタッフ836円→891円 専門店 採用難で時給アップ 正社員の待遇改善も 本社調べ
 時給836円から891円へ。昨年から今年にかけ、専門店の販売スタッフの時給を上げた企業は過半数に上り、平均上げ幅は50円以上。景気回復などを背景に販売スタッフ採用難の傾向が強まり、多くの専門店がパート、アルバイトの時給アップや正社員の待遇改善を進めている。繊研新聞社が実施した専門店売上高調査で明らかになった。

 有効回答企業は135社。そのうち、現在の採用活動について「採用しづらくなった」が86社、「採用しやすくなった」が7社、「変わらない」が42社だった。「変わらない」とする企業は「以前と変わらず、採用しづらい」とする傾向が強く、大半の企業で採用難となっていることがうかがえる。
 採用しづらくなった理由として「景気回復による大手企業の採用増や正社員登用の増加」「他のサービス業のパート、アルバイトの待遇改善」「若年人口の減少」が挙げられる。さらに「出店先の商業施設で午後9時以降の営業時間が増加し、応募者側に敬遠傾向が見られる」ほか、「販売職の相対的不人気」「セルフサービスに近い業態の増加により、販売職を専門職と見る意識の減少」に先行きを危惧(きぐ)する声もある。
 地域では名古屋、関東圏で特に採用難が目立つ。
 採用しやすくなった企業の理由としては「資本業務提携により従業員の雇用条件向上」(ヴェントインターナショナル)や「ブランド認知度の向上」(パル、クラヴィス)、「企業認知度が上がったことや07年度から初任給を上げる戦略に出たこと」(クロスカンパニー)などが挙がっている。
 パート、アルバイトの待遇を「改善していることがある」とした企業は96社。その多くは、時給アップ、手当ての増額を始め、社会保険加入の促進、正社員への登用を進めている。アクセ(広島)、エースミス(新潟)など地方の中小専門店の中には、すでにパート、アルバイトではなく、全員正社員の採用をしているところもあり、中堅専門店にも同様の傾向が出ている。
 パート、アルバイトの時給は昨年に比べ、「上がっている」が69社、「下がっている」が0社、「変わらない」が54社だった。「上がっている」企業のうち金額の回答のあった38社の平均は、昨年の836円から891円で、「変わらない」とした企業を含めた61社の現在の時給は887円だった。
 「パートでも育児休業、介護休業制度を導入」したり、「労組ができてパート、アルバイトも組織化したため、人事制度を整備中」とするところもあった。
 正社員の待遇改善は「特になし」とする企業も多かったが、何らかの措置を取っていると回答した企業が67社と約半数あった。給与、賞与、評価制度の見直しといった「つなぎとめておく施策」以外に、教育制度の充実などでES(従業員満足)向上に力を入れるところが多い。

2006/09/14
専門店販売スタッフの人材難 出店断念、応援派遣で急場しのぎ 拡大戦略の足かせに
 資金があっても、業態開発が進んでいても、人がいないために店が出せない。こうした事態は、向こう2年間続く大型SC開業ラッシュによるオーバーストアと比例して、深刻な問題になりつつある。出店までに予定の人数が集まらず、既存店からかき集めて急場しのぎをする大手専門店や出店を断念する中小専門店も出てきた。
募集広告300万円
 「悔しい。本気で出店したかったんです」。首都圏中心に十数店を運営する婦人服専門店の経営者は、今でもあきらめきれないという表情でそう語った。今秋に高崎に開業する郊外大型SCへの出店がほぼ決まっていたが、販売スタッフが集まらず、直前になって断念した。
 こんなことは1年前には考えてもみなかった。ミセス専門店を親から引き継ぎ、次世代キャリア向けも駅ビルなどでようやく軌道に乗ってきた。開業相次ぐSCからも、金太郎飴(あめ)のような店揃えから脱するため、ぜひ出店して欲しいといわれ、条件も悪くなかった。まさか、の不意打ちだった。
 都内に今春開業したSCへの出店には何とかこぎつけたが、これも綱渡りだった。都市部に集中する店舗だから郊外ほど苦労しないものと思っていたが、結果はさんざん。首都圏以外から募集したのは初めてで、高知、沖縄といったこれまでにない土地から素人を集めた。募集広告だけで300万円を投じたという。
 原因は若年人口の減少はもちろん、「ファッションは好きでも人と接するのが苦手という若者が増えていること」という。タグ付けだけの募集で20人は集まるところ、接客販売の募集ではせいぜい1人だという。派遣会社も使わざるを得ないが、そこでもまたファッションの接客業では人が足りないと言われてしまう。
 今の自分の仕事は店づくりより、メーカーの新規開拓より、何より人材集めが主になっているという。来年からはこれまでになく新卒を積極採用し、「どんな人でもいいから頭数を揃えて、自力で育てる」と決意している。「これからの専門店は余剰人員をいかに持てるか。質を問う前にまず頭数を何としても揃えないと」と危機感を募らせる。
 最近ブログを始めたのは、少しでも経営者の考え、嗜好(しこう)に興味を持って応募してくれる人材を集めるための必死のあがきという。長所も短所もさらけ出し、経営者が丸腰で「君が欲しい」といわないと、専門店の運営すら難しくなる時代が来た。
社員寮の復活も
 販売スタッフがひっ迫しているのは、東京を中心とする関東圏と並んで好景気の続く名古屋も同じ。この春に平場からテナント契約へ転換を進めたGMS(総合小売業)の名古屋店に出店した婦人服チェーン店は、出店当日まで現地での採用が1人しかできなかった。ウイークリーマンションを借りて、既存店から応援要員を派遣しているが、店長が現場を離れられず、店長会にも出られないという事態が生まれている。
 郊外SCで伸ばしてきたある地方専門店の社長は、先日テナント会で大手アパレルの役員に意外なことをいわれた。「○○で人を集めておいてもらえないか」。○○とはその専門店の本社がある地名である。都市部では人が集まらない。少しでもいい条件を出せば、地方からならまだ人が集まる。「半分は真顔だった」という。出店時だけでなく、今後店の運営を継続していくためにも、「地方から人を集め、一時期なくなりかけた社員寮の復活も考える」とする専門店オーナーも出てきた。

2006/09/12
【挑む】 NPOによる運営に切り替えた尾州テキスタイルカレッジ 理事・事務局長 舘昌宏さん テキスタイルの基礎学ぶ 産地のインフラ活用し実体験で
 尾州テキスタイルカレッジは、任意グループによる運営からNPO(非営利組織)法人の尾州人材育成機構による運営に切り替わった。02年の開校から4年間で44講座を開き、570人が受講した。テキスタイルの基礎知識を、産地のインフラを活用し実体験を交えて学習する同カレッジは、NPO法人化によって運営基盤が固まり、カリキュラムの充実やニーズに対応した講座の実施などに取り組んでいく。
 NPO法人設立の背景は、カレッジの受講生が年間150人を超える規模にまで発展したことや、百貨店やGMS(総合小売業)など大手小売業の単独特別講座が増大したこと、人材育成の必要性が理解されるとともにカレッジの認知度が高まったことがあります。経営基盤が整いつつあり、今後、ますます発展させるためには任意団体から、産地をあげた運営体制に切り替える必要があると判断したからです。
 尾州人材育成機構は正会員28、賛助会員4団体で構成する。尾州産地での人材育成というNPOの活動趣旨に賛同した産地のメーカーやテキスタイル関連企業の代表が名を連ねる。
 NPOとしての活動目的は、一般市民に加えて、広くファッション産業、繊維産業に携わる人たちに繊維全般の知識を提供し、人材育成と尾州テキスタイル産地の活性化に寄与することです。ファッション業界だけでなく一般の方にも尾州産地のことを知ってもらえればと考えています。
 カレッジでテキスタイルの基礎知識を学んだ受講生はアパレルメーカーや小売業の社員が多い。アパレル製品の開発や接客にテキスタイルの知識が必要だと多くの企業が認識しているからだ。
 02年に開校してから06年3月までに44回の講座を開きました。06年3月までの受講生570人のうち、アパレルメーカーは161人、小売業は268人。アパレルと小売りで75%を占めます。テキスタイルの知識に対するニーズの強さを感じています。地域別では東京が半数以上を占め、東京など他地域の方に尾州産地を知ってもらう機会を提供できたと自負しています。
 通常の講座は3日間で、ウールを中心に原料、原糸から、織物、ニット、染色・整理まで、総合的に学びます。講師は、産地のテキスタイル産業の熟練技術者などが務め、工場での体験学習も盛り込まれています。
 こういう通常講座とは別に、企業向けの講座も行っています。「三越・カシミヤマイスター講座」は、カシミヤを中心としたカリキュラムで構成し、今年で4回目。100人以上の方が受講されました。このほかにも、大手百貨店、GMS向けに、各企業のニーズに対応した特別講座を開いています。
 06年度も通常講座を8本と、企業向けの特別講座を6から7本予定しています。9月は企業向け講座が4本入り、月間受講生は100人と過去最高となりそうです。年間でも200人以上が受講する見通しです。
 商品開発や店頭での接客で素材知識が大変重要であると認識されるようになったことや、企業のニーズに沿ったカリキュラムや講座の開発などが支持されているのではないかと考えています。NPO法人となって、安定性や継続性が評価されたという面もあるでしょう。
 人材や設備など産地のインフラを活用し、産地での人材育成、教育活動を今後も重視する。
 ジャパン・テキスタイル・コンテストとも連携し、コンテストの学生の部で優秀賞を獲得した学生さんをカレッジに招いて実際に講座を体験してもらうようなことも計画しています。また、学校関係に、授業の一環としての活用を働きかけたり、学校の先生にもっと尾州産地や毛織物のことを知ってもらうように呼びかけたり、地域との連携もこれまで以上に重要な課題といえそうです。
 今後もカリキュラムや講師陣の充実、受講企業のニーズに対応した講座の実施などで、カレッジの認知度を高めるとともに、業界の人材育成に貢献できればと考えています。

2006/08/26
東アジアで人材開発の仕組みを 井口・関学大教授が指摘 再入国できないのが現行研修制度の問題点
 「現行の外国人労働者に対する研修制度の問題点は、終了したら再度入国できないこと。要件を満たした場合は、段階的定住を進めることが大切」。内閣府・経済社会総合研究所が開いた「第25回ESRI―経済政策フォーラム―グローバル戦略シリーズⅠ」で井口泰関西学院大学教授が指摘した。
 日本国内で就労する外国人労働者は05年時点の推定で90万人。国際研修協力機構によると、技能実習生と技能実習に移行する予定の外国人研修生は06年時点で13万人を超えたと推定される。外国人技能実習生は「高校新卒者の代わり」として職場の重要な存在だ。
 井口教授は「3年の技能実習終了後、帰国し、要件を満たした場合には正規労働者として日本で就労を認める道を開く。将来母国に戻ることによって人材の開発・還流を少しずつ実現することが期待できる」という。
 同教授の提唱する「人材開発・還流戦略」は「2国間経済連携協定の欠陥を克服」し、「人材戦略を日本国内だけで考えるのではなく、東アジア地域で人材を開発する仕組みを拡充し、欧米に留学したアジア出身者が帰還できる受け皿作りを支援すべき」との考え方が根底にある。

2006/08/19
人材派遣のディースパークがアパレルショップ対応を強化 訓練終えた販売員揃えます 新店要員の募集も一貫で受託
 人材派遣のディースパーク(大阪市、晴山暢彦社長)が、アパレル業界向けの販売員派遣事業を強化している。6月に大阪事業所に専用オフィス(大阪アパレル事業部)を開設し、名古屋、東京の各事業所にもアパレル事業部を設置。業界経験者の営業担当者らを配置し、派遣スタッフの教育やキャリア管理を行うなど、派遣先のニーズに対応じた人材を提案する。
 派遣・紹介先はブランドショップに絞り込み、年齢は18~24歳が中心になっている。この年齢層は「離職率が高く、求人ニーズも高い」というのが理由だ。
 同社の登録人数はコンビニエンスストアや飲食店向けの事業部門を含め1万5000人。東京や大阪などの大都市圏では、再開発事業による商業施設の開設が今後も活発で、出店する側にとって人材確保は重要な課題。すでにアパレル関係では販売員確保が難しい状況も生まれており、パート・アルバイトなどの単価は上昇している。「アルバイトの時給相場は、大都市圏で現状850~1000円」。それに対し、派遣の時給は1000~1200円だが、教育をしたうえで派遣する紹介会社を活用すれば、教育訓練費用を含めた人件費でみれば抑制につながるという。主要な派遣先にはサンエー・インターナショナルやジュン、ジャヴァグループなどが名を連ねる。
 しかも、企業の出店に伴う人材の募集から面接、採用、教育までを一貫して代行するコンサルティング業務も受託。出店地域に基盤のない企業にとっては、出店準備を含めた店舗運営コンサルティングを含む派遣契約も行う。これらの人材派遣業務の拡大を通じて、今期は20億円を見込み、「2~3年後の株式公開」を視野に入れる。

2006/08/04
【学ぶ・育てる】 入社後教育に力注ぐレディスインナー大手 働きがいが大事 人材定着へ意欲引き出す
 ファッション小売業の多くが今、販売員の確保に苦労している。多店舗展開の企業ほど影響は大きく、賃金や待遇の改善を進める。また、ワールドのように同社の販売員としての基礎教育と人材確保の両面を狙って複数の専門学校に自社専用コースを開設する動きもある。一方、インナーの大手2社は入社後の育成に全力を挙げる考えだ。
定年まで働いて
 全国に2300人いるワコール・ワコールブランド事業本部の販売員。同社では彼女たちを「ビューティーアドバイザー(BA)」と呼び、企業の最前線のスタッフとして経営戦略上、一貫して重視してきた。10年ほど前に正社員採用から契約社員制に切り替えて以降もこの姿勢は変わらず、「1年ごとに契約更改はあるが、60歳の定年まで正社員と同じように働いてほしい」(小沢正行東日本総務グループ長)としている。産休・育休制度に加え、この数年、介護・看護休暇の範囲の拡充も行っている。下着を中心に子どもから高齢者まで全世代を対象に事業展開する同社では「年をとって働く場がなくなることはない」(同)という。契約社員雇用であっても長期にわたり安心して勤められる企業像が同社の強みだ。新卒採用ではここ1、2年急減したとはいえ、30人の求人枠に700~800人も集まる。女性が活躍できる会社のイメージも依然大きく後押ししているという。
 4年前からは契約販売員のキャリアプラン制度を導入し、昇格・昇進の道筋をより明確にした。さらに今年からは「ワコールの接客が変わる!もっとお客様に近づく!」をスローガンに1~8年目をモデル年数とする「BAキャリア育成プラン」を実施している。
 プロ意識が強い半面、若い世代から敬遠されていた「押し付け的接客」(同社教育グループ)の問題にも正面からメスを入れる。顧客のファッション感度の高まりに合わせ、教育メニューにアウターのトレンドや人気ブランドの基本知識なども盛り込む予定だ。
成長への意欲を
 「アモスタイル」をはじめ、レディスインナー直営店を全国に265店も展開するトリンプ・インターナショナル・ジャパンは今年1月、直営店教育部を立ち上げた。1000人以上の直営店販売員の育成にこれまで以上に力を入れる。
 平均年齢23歳、下は18歳からの若い女性の職場は、社会人としての基本マナーを出発点とする教育が欠かせない。同年代ばかりの職場ではOJT(現場教育)任せにできず、本部の指導性発揮が要点というわけだ。
 4段階のアルバイトの定型教育とは別に、社外モニターによる抜き打ち店舗調査が年2回ある。緊張感を強いるものだが、自店の到達度の客観的評価は、次の成長への意欲を駆り立てているという。
 仕事へのモチベーションを高める施策は多様な動機でやってくるアルバイトの定着率向上に不可欠。教育部のもう一つの役目だ。こうした観点から一人ひとりの不平不満を聞き出すフリーディスカッションを教育に取り入れている。「アルバイトだからといって、教育で手を抜くのは誤り」と直営店教育部部長代行の松ヶ谷明子さんは語る。
 若い女性が生き生きと働けるお店をどのように維持・発展させるか――トリンプの直営店は学生からも注目されているようだ。大学からインターンシップ(就業体験)受け入れの依頼もある。「昨年は3人申し込みがあり2人受け入れた」(松ヶ谷さん)。

【2006年07月】

2006/07/29
イオン 改革の焦点は販売員
来春、ファッション専門学校生を採用
 衣料品のMD・売り場再構築を進めている量販店で、新入社員の採用をファッションスクールに広げる動きが出てきた。イオンは今年、初めて複数のファッションスクールで就職説明会を実施。すでに、ある有名校の学生に来春入社(総合職)の内定を通知した。同校の卒業生がイオンに入社するのは初めてとなる。
 量販店各社は昨年来、藤巻幸夫氏のイトーヨーカ堂入社に象徴されるように百貨店、アパレルメーカー出身者を幹部級にスカウトしてスタッフ部門を強化。MDの立て直しを進めてきたが、「イオンスタイル」でショップを大量出店するイオンでは、ファッションビジネスに素養のある一般社員も採用、育成することにした。同様にショップの販売スタッフも、求人セミナーを開くなどで募集をかけている。
 通常は入社後、店舗で衣食住いずれかの売り場に配属するが、ファッションスクール出身者はまずPBショップに就いて、次にショップ店長にするなど、職務はファッション部門に固定するという。
 内定を受けたスクールの就職指導室では「最近ではアパレル産業以外からも問い合わせが多く、クリエーションを学んだ自由な発想が期待されていると感じる。生活感がある提案ができる点も評価のポイントか。ある大手アパレルにも4、5年前から4大生に交じって総合職で採用されており、こうした流れが広がっているのでは」と話している。

販売力重視し育成 イオンスタイルストア 奈良登美ヶ丘SCに開設
 イオンは、26日にグランドオープンしたイオン奈良登美ケ丘SC(奈良市)に、イオンスタイルストアの18店目をオープンした=写真。奈良県での展開は初めて。
 イオンスタイルストアは、GMS(総合小売業)再生の要と位置づけて開発されたオリジナルブランドで構成した衣料売り場。接客販売を基本にして専門店型の運営をめざしている。今後の導入は、下期に新店、既存店合わせて32店を計画しており、今期末には50店にする。来期には100店まで拡大する計画だ。展開店舗数を増やすことで商品力を高め、軌道に乗せたい考え。
 村井正平イオン専務執行役は「まだ開発途上にあり、完成度うんぬんの段階ではない。最大のポイントは販売力」としている。このため今後、販売員の育成を強化しながら、商品構成面では「もっと対象を絞り込み、強弱をつけた展開ができるようにもっていきたい」という。

2006/07/26
杉野学園、富士吉田産地と包括提携 次代担う人材育成
 杉野学園(中村賢二郎理事長)は、これまでの産学協同型授業の実績を基盤に、富士吉田商工会議所(山梨県、堀内光一郎会頭)と包括的連携の協定を結ぶ。26日、同学園で締結する。協定内容は、(1)地域産業の振興・育成(2)地域ブランドの育成(3)人材育成など。ビジネス情報の発信や産学官の新たなネットワーク作りも視野に入れる。
 富士吉田商工会議所は、05年度から富士北麓・東部地域産業クラスター協議会が推進する創造技術開発支援プロジェクトや、04年度から富士吉田繊維産地が行ってきたジャパンブランド育成事業で拠点の役割を果たしてきた。今回の協定締結で、若い感性を積極活用するとともに、次代のファッションビジネスを担う人材育成に貢献する姿勢を明確にする。杉野学園側は同産地との産学協同を学園全体に広げ、プロジェクトを拡充する。

2006/07/25
中小機構「中小繊維製造事業者自立事業の成果調査報告書」 成功の重要条件は準備・計画、リーダーシップ、技術・開発力 成功36社へのヒアリング調査 事業費が申請費を上回り2倍の自己資金注入例も
 中小企業基盤整備機構が03年度、04年度実施事業者を対象にまとめた「中小繊維製造事業者自立事業の成果報告書」によると、「成功のために最重要」と思われるアンケート調査での回答では(1)事業準備・計画(2)社長のリーダーシップ(3)技術・商品開発力の順だった。アンケート調査は243社を対象に実施し、回答率は95.1%だった。「自分でつくったものは自分で売る」との精神で取り組まれた自立事業で焦点となったのは小売店舗開設、通販・輸出の新規販路開拓だった。同報告書は成功要因を掘り下げて調査・分析するため、成功事業者36社へのヒアリング調査も実施した。以下、店舗開設調査と通販・輸出調査の結果と、ヒアリング調査の結果の概要を紹介する。

 アンケート調査とは別に、実績と5年後の売り上げ予想が良い事業者36社を選定し、成功事例についての訪問ヒアリング調査を実施した。同調査では好調な事業者の約半数が、その原因として「自立事業の公募以前から自社の改革のための具体的な構想を持ち、計画を検討していたことである」と回答している。中には10年以上前から計画を練っていた事業者もある。
 補助金に頼るのみでなく、自己資金も投資して、事業費が申請を大幅に上回る事業者も少なくなかった。技術開発では自社内や他事業者、他業種、他産地などの優れた技術との組み合わせで、他者に容易にまねのできないオンリーワン技術へと深化させることが重要との回答が目立った。外部人材をうまく活用した事業者では計画時に自社の弱点を整理し、どこからどこまでの業務範囲を外部人材に任せるのか、明確化されていた。
 事業が好調な事業者では、自立事業に採択されたことによる与信増加が事業を行っていく上で特に重要だったとのコメントもあった。一方、人や資金の遣り繰りが困難になり、採用事業が中止、縮小せざるを得なかった事業所もいる。当面の資金不足で事業が成立しないというのは不経済であり、課題の一つと指摘している。
 成功要因や、実施した感想で特徴的な事例を挙げると▽「テレビ・雑誌などメディア宣伝との相乗効果が大きかった」「計画前には予想ができなかったこととして、知名度を高め販路を確保できるまでにはかなりの時間と経費が必要であった」(イトイテキスタイル)▽「初年度に申請経費の2倍の自己資金を注ぎ込み、事業を加速化させた」「新規の事業は支出は計画できても、収入はなかなか読みにくい」(樋口繊維工業)▽「社長のビジョンと強いリーダーシップ、社員一丸となった企画・製造・販売を進めユーザーの信頼を得ることが重要」「ショップでの販売品以外は受注生産を基本として実施している」(エイガールズ)▽「“自分は世界の中で何が一番なのか”を知ることが重要で、どこにもまねできない強い商品をつくることが成功のカギ」「前進するための鳥瞰図(ちょうかんず)的視点と決断力が身に付いた」(佐藤繊維)▽「成功要因の最大ポイントは代表者の人的ネットワークから、デザイナー(バーバリー出身)、パターンナー(コムデギャルソン出身)、プレスMD(アングローバル出身)などプロフェッショナルを外部人材として起用し、良いチームとして機能したこと」(和吾毛織)▽「売り上げ実績は各年度とも計画の2倍以上。CBF(クリエーション・ビジネス・フォーラム)、JC(ジャパン・クリエーション)などの展示会の出展者同士で連携が生まれ、共同開発や優良顧客の紹介など他分野への展開もできてきている」「実施前は下請的受注生産であったが、現状は当社からの企画提案による受注生産および自社リスクでの販売が約70%となっている」(渡邊パイル織物)▽「東京に開設したアンテナショップは、営業拠点としての意義が大きく、各年度の売り上げは計画の2倍以上」「小売り向け事業の展開については、当初問屋からの圧力があったが、今後の会社経営には不可欠と判断しており、勇気を持って拡大していく」(今井タオル)。

通販3割、輸出2割が実施・継続中
 自立事業で通販を計画していた事業者は103社(45%)で、現在通販を実施、継続中は74社(32・4%)、実施・中断は7社(3・1%)。計画していた内の約3割が未実施(22社)、もしくは撤退(7社)した。その原因の多くは計画の遅れにある。実施81社が活用した媒体はインターネット67社(構成比82・7%)、カタログ販売30社、テレビショッピング8社。最多のインターネットの内、50社が自社ホームページである。中断した7社の主たる理由は資金調達と販売不振。未実施・撤退29社の原因の多くは計画の遅れにある。店舗開設の結果に比べて深刻な状況に至っていないように思われるのは、店舗に比べ初期投資リスクが小さく、リスクが低いことが原因。他の原因は商品力不足、通販に不向きなど。
 自立事業で輸出を計画していた事業者は78社(34%)あり、その内56社が実際に輸出を実施した。輸出を継続・実施中が47社(20・7%)、実施していたが、中断が9社(4・0%)。輸出した商品には服地が最も多く14件、続いてニットカットソー13件、婦人服8件、タオル5件など。最終商品の他、服地も国際競争力が高い。輸出先は多い順に米国24社、中国15社、フランス11社、韓国10社。成約のきっかけになった輸出手段では多い順に展示会出展34件、現地エージェント30件、商社経由19件。
 輸出を行った際に苦労した点は▽経費(送料、手数料など)が掛かり過ぎる▽輸出手続きの書類作成が困難である▽言葉の問題で直接話ができず、意思疎通が難しい▽クレームが国内の基準より高い▽注文が生産ロットにならない▽輸出代金の入金、決済が難しい、順に多かった。
 輸出を実施したが、中断、やめた理由は▽販売の段階でデザイン等のトラブルが発生したため、一時取引を停止▽追加の発注が取れない▽自社の経営基盤の圧迫により資金、人的余裕がなくなった▽エージェントとのコミュニケーションがうまく取れなかった――など。

店舗の開設 3割が取りやめ・撤退
 03年度及び04年度の自立事業実施者で、アンケート回答者231社の内、販売のための店舗を開設した企業が77社あった。その内、現在も営業している企業が65社(28・6%)ある。その店舗の一覧表は別表の通り。
 店舗の開設を計画していた事業者は91社(40%)あったが、その内の約3割もの事業者が出店を取りやめ(14社)、もしくは撤退(12社)してしまった。店舗立地の選定ミスや全体的な準備不足が原因であり、事業者が自立事業を成功させる上での大きな課題の一つとなっている。
 店舗を開設したが撤退せざるを得なかった理由は、(1)売り上げ不足(2)経費が負担(3)マーケティング力――の三つ。
 売り上げ不足の回答では▽売り上げ計画の35%しか達成できず、毎月、約50万円の赤字になったため▽小売店、ショールームで販売を行ったが売り上げが上がらず経費をまかなえない。
 経費が負担の回答では▽売り上げに比べ家賃が高く、新たな場所に出直すことにした▽助成対象年度内に店舗開設が計画通り進まず、また2年目が採択されなかったため、家賃が負担できない。
 マーケティング力の回答では▽ターゲットとなる客層、販売価格のミスマッチがあり、客を呼び込むことができなかった▽立地と市場調査不足が原因で、消費者にアピールできなかった、がある。
 店舗開設の計画をしていたが、開設できなかった理由では▽開店資金が不足したり、資金が掛かりすぎた▽店舗の設立、運営及び販売のノウハウ不足より採算面の見通しが立たない――などがある。

2006/07/15
産学ビジョン ファッション産学協が発表 クリエーター育成最優先で4テーマ 各団体で具体化へ
 繊維ファッション産学協議会(中瀬雅通理事長)は13日、都内で開いた「繊維ファッション産学交流会議」で、「産学ビジョン・産学連携で育むファッションクリエーション」を発表した。「ファッション産業の生命線はクリエーション」とし、この分野の人材育成を最優先課題に、産学を挙げた人材育成の推進を呼びかけた。
●急務
 交流会議は同協議会が毎年7月に開いており、ここ数年は人材育成への関心の高まりから産業界側の出席者の増加が目立つ。今回は「約250人の参加者の半数を産業側が占めた。産学ビジョンのキックオフにふさわしいものとなった」(事務局)。
 A4版12ページの小冊子にまとめられたビジョンは、日本のファッションビジネスの現状を(1)国際競争力の強化が急務(2)オリジナリティーの拡充(3)「知財戦略本部」と「次世代デザイン人材育成ビジョン」の指摘、の3点から解説。約1年間の検討の結果、ファッションクリエーション人材育成の優先テーマとして、(1)インターンシップ(中長期型の就業体験)(2)繊維産地とのコラボレーション(3)若手へのサポート体制(4)デザインラボラトリー、を挙げた。また、この案件を具体化し実行するのは協議会に加盟する10団体とし、各団体、企業に主体的な取り組みを呼びかけている。
●支援
 交流会議では、グローバルビジネスの条件と世界のトップブランドの強さについてのトッズ・ジャパン代表取締役上席副社長・田代俊明氏の基調講演を受けて、ビジョン策定に当たった3氏によるシンポジウムが行われた。各氏とも、若手へのサポート態勢を強調した。
 文化ファッション大学院大学の小杉早苗教授は「卒業後5~10年、必死で頑張っている優秀なクリエーターへの経済的支援は必要。これは甘やかしではない」「欧米ブランドの模倣に依拠するのではなく、独自のデザインをお金に変える努力を、日本のアパレルはもっとすべきだ」と力説。ファッションデザイナーの皆川明氏は「直接本人に資金提供すると、使い方で失敗するかもしれない。製造段階で協力する産地を支援する仕組みを作っては」などと提起した。立教大学大学院の北山晴一教授は「3カ月~1年の長期インターンシップの実現に向けて、産学双方が大きな度量を持ってほしい」と語った。

2006/07/11
NPOとして正式に認可 尾州人材育成機構
 NPO(非営利組織)設立をめざして3月に発足した尾州人材育成機構(小西諄次理事長、会員28社)が、愛知県から正式に認可を受けた。
 母体である尾州産地での人材育成事業「尾州・テキスタイル・カレッジ」を引き続き運営するほか、ファッション産業での人材育成事業として東京地区の大手百貨店や量販店など向けのオリジナル講座も開設する。順次事業を拡大する。

2006/07/07
【学ぶ・育てる】 新段階迎えた産学連携 FA養成やビジネス最前線学ぶ思惑一致 専門性磨く専門学校も 垣根低く距離縮まる
 少子化で学生の確保がますます難しくなるファッション・服飾系学校。入学者の獲得のために、ホームページの充実や体験入学などさまざまな機会を使い、学生や父母、高校などの教職員へのアピールに力が入る。留学生や社会人の受け入れも課題になっている。大学全入時代にあって選ばれる教育機関になるために、講義内容の充実・刷新はもちろん、新たなカリキュラムや講座を開設する動きが目立つ。
 専門学校とワールドグループが連携して、販売員の養成と安定的な確保をめざした「ストアマネジメントコース」が、07年4月から始まる。東京では杉野学園ドレスメーカー学院、大阪では上田安子服飾専門学校、マロニエファッションデザイン専門学校、名古屋では名古屋ファッション専門学校などでスタートする。
 午前中は学校で学び、午後は週3日以上、ワールドのショップで実習する。学生にとっては実践的に学べ、ワールドグループへの就職も極めて有利。ワールドにとっても即戦力を安定して確保できる仕組みだ。奨学金も支給され、学費の約3割をまかなえる見込み。入学の時点で就職先がほぼ決まっていて、それに沿った具体的な教育を進めるのは、専門学校にとっては斬新な試みといえる。
 少子化であればあるほど、優秀な販売員を早期に確保したいという要望は高まり、学校への期待も高まるわけだ。  一方、目白デザイン専門学校は、07年度からファッションアドバイザー科(1年制)を新設し、販売職に必要な商品知識や販売技術、実務などを効率よく習得させる。
より高度な内容
 杉野学園は、大学に服飾関連グッズに関するファッションプロダクトデザインコースを新設したほか、07年度から専門学校で大学院入学資格を与える高度アパレル専門科を置く。より高度な教育内容を持ったコースなどで、専門性の高い人材を育成しようという傾向は強まっている。
 従来から高度専門士を取得できた明美文化服装専門学校は、オシャレ学の講座を新設した。福井文化服装学院は、4年制のファッションインスティトゥート科を設け、4年一貫教育で大学と同等の資格取得を可能にしている。中国デザイン専門学校は、高度専門士を取得できる4年制の総合デザイン科を始めた。
 レベルの高い、クリエーティブな人材を育成しようと、大学院も相次いで開設している。文化ファッション大学院大学のほか、名古屋学芸大学大学院のメディア造形研究科が、今年から開講している。
さらに緊密に
 インターンシップ制度の導入も広がっている。ワールドグループと専門学校のストアマネジメントコースのように、ファッションビジネス業界と学校の距離はこれまで以上に近くなっている。
 香蘭ファッションデザイン専門学校は、今年度からインターンシップ制度を導入、07年度からはカリキュラムに取り入れる計画だ。
 「入学者確保を目的とした方策はあえてとらない」としている大阪文化服装学院は、基本的な環境整備や教員のレベルアップのほか、インターンシップなどに地道に取り組んでいる。
 上田安子服飾専門学校は、二年制の夜間ビジネス科とファッションビジネス流通学科を立ち上げ、昼間に働いたり大学や短大に通いながらファッション流通分野の人材を育成している。

2006/07/07
【学ぶ・育てる】 色彩技能で新検定 ファッション色彩能力検定 既存検定とどう違うの?
 ファッションビジネス(FB)で重要度が高いとされる色彩「技能」で、新たな検定が始まる。日本ファッション教育振興協会(大沼淳会長)の「ファッション色彩能力検定」(色彩検定委員会委員長=川合直文化服装学院教務部長)だ。パンフレットが6月下旬に完成し、カラー図版が豊富なテキストも発刊された。10月7日の第1回試験(3級)に向けて募集活動に力が入る。
 色彩関連の職務は建築やブライダルの世界で着実に広がっている。これに対応し、専門知識を問う検定がこの十数年、次々に生まれ、「色彩検定1~3級」(90年から、全国服飾教育者連合会)、「カラーコーディネーター1~3級」(95年から、東京商工会議所)、「色彩士検定1~3級」(97年から、全国美術デザイン専門学校教育振興会、色彩士検定委員会)などが行われてきた。このうち、全国服飾教育者連合会(山中喜市理事長)が実施する色彩検定は毎年10万人が受検し、商工会議所のカラーコーディネーター検定では企業の人事教育担当者の商工会議所への信頼や試検会場が全国180カ所もある利便性から毎年3万~4万人も受けており、双方とも社会的知名度も高い。また、色彩士検定も受検者数は1万人弱に及ぶ。色彩教育の一環でこれらの検定を活用してきた服飾系の学校は少なくない。
 今秋スタートの新検定は既存の検定に対し「FBの現場のニーズに即応した内容で差別化する」(日本ファッション教育振興協会)という。FB業界団体を束ねる繊維ファッション産学交流会議(中瀬雅通理事長)が後援しており、産学連携の即戦力教育を最重視する学校への浸透は早いと見られる。
 商工会議所以外の既存の2検定は、服飾教育関係の団体の主催となっているが、学校との関係で日本ファッション教育振興協会との力量の違いは明白だ。日本の服飾教育機関の多くが加盟し、FB検定で実績を挙げてきた同協会が来年度以降に1、2級まで拡充すれば、商工会議所の検定を含め、服飾系の学校分野で厳しい競合は避けられない。先行者として培った実績をどのように訴求するか、が課題となっている。
 色彩に詳しい日本ペイントデザインセンターの長谷川博所長は「色彩の役割を社会全体に普及・啓蒙(けいもう)する検定が拡充するのはとても良いこと」と評価する。その一方で、「個々の検定には目的や特徴がきちんと伝わる宣伝を求めたい」と話す。
 全国服飾教育者連合会は積極的な広報宣伝で得た知名度に加え、「あらゆる分野に応用できる内容を押し出す」という。一方、商工会議所は、歴史と文化を軸に理論的知識の習得に力点を置く特徴で違いを訴求する。また景観問題を含めた街づくりのテーマとのかかわりを重視する。「各地方の特殊性に合わせた人材育成の役に立てば」(東京商工会議所検定センター)としている。

2006/07/06
ファッション専門学校4校 ワールドと提携 07年度、店長育成新カリキュラム
 杉野学園ドレスメーカー学院、マロニエファッションデザイン専門学校、上田安子服飾専門学校、名古屋ファッション専門学校の4校は、07年度からワールドグループと提携して、販売のプロや店長を育成する産学協同の新カリキュラム「ストアマネジメント」を立ち上げる。
 学科として新設、あるいはファッションビジネス学科の1コースとして導入するなど、学校によって取り入れ方は異なるが、授業内容はほぼ同じ。3年制で、午前は学内授業、午後はワールドの店舗で実習する実践教育となる。
 卒業後の就職活動先は、学生自身で選ぶことができるが、同社の店舗や商品を通じて学んでいるため、同社へ就職を希望する場合、有利になるとみられる。規定の単位を取得すれば、ワールドが支援する形で、奨学金も支給される。
 杉野学園ドレスメーカー学院のパンフレットには「変化の激しいファッション業界での主役は人であり、求められるのは学生が本物のプロフェッショナルになること」(南山学ワールド取締役常務執行役員CPO人事統括部長)とある。ワールドによると「販売のプロ育成はこれまで業界としても課題だった。今回をきっかけに販売職のさらなる地位向上にもつなげていきたい」としている。

【2006年06月】

2006/06/29
注目企業 就職したい企業 エイ・ネットがともに1位 ファッションスクール学生アンケート
 繊研新聞社が全国60校近いファッションスクールの学生1700人以上を対象に実施した「就職意識調査アンケート」によると、「注目している企業」「就職したい企業」ともに1位はエイ・ネットが獲得した。
 2位にはワールド(ワールドストアパートナーズ含む)、3位にオンワード樫山となった。就職したい企業の2位はワールド、3位はサンエー・インターナショナル。
 昨年の順位は注目企業が1位ワールド、2位エイ・ネット、3位サンエー・インターナショナル、就職したい企業が1位オンワード樫山、2位サンエー・インターナショナル、3位ワールドだった。
 アンケートではこのほか、活躍したい業種や会社を選ぶ際に重視すること、会社選びで参考にするものなどを調べた。
 =詳細は7月7日付の「学ぶ・育てる」で掲載

2006/06/26
知財推進計画06 弁理士会が協力具体化 中小支援と人材育成  日本弁理士会は22日、政府・知的財産戦略本部が発表した「知的財産推進計画2006」に対する弁理士会の具体的取り組みを明らかにした。中小企業支援と知財人材育成の二つが柱で、中小企業支援では「弁理士の日記念シンポジウム」の開催や「知財駆け込み寺」への協力、知財人材育成では「知財ビジネスアカデミー」の開催や「知的財産人材育成推進協議会」の活動を支援する。
 弁理士の日記念シンポジウムは7月4日、東商ホールで、「これからの企業経営と知的財産を考える」をテーマに企画。財団法人・日本総合研究所会長の寺島実郎氏、ものつくり大学学長の野村東太氏が講演する。
 知財駆け込み寺は、今年度から全国の商工会・商工会議所に設けられるが、弁理士会は「中小企業に親切な弁理士」や「個別の技術分野に詳しい弁理士」などを紹介する。
 弁理士に限らず、一般会社員なども対象に、実践的な研修を行なう知財ビジネスアカデミーは今月から開講。30日には東京理科大学と日本弁理士会との共同開催による初のオープンセミナーを実施する。
 知的財産戦略本部の「知的財産人材総合戦略」に基づいて今年3月に創設された知的財産人材育成推進協議会に対しては、知的創造サイクル全体を見越した業務遂行能力を有する人材育成のための「人材間のネットワーク化」に協力する。

2006/06/21
06年版国民生活白書 就職再挑戦はばむ壁を分析 画一的基準で採用など3要素
 20日の閣議で了承された06年版国民生活白書は「多様な可能性に挑める社会に向けて」をテーマに、「希望する職業や働き方をめざした再挑戦をはばむ壁」を分析した。壁は景気が良くなれば自然と解消するものではなく、「社会にとっての挑戦ととらえて取り組みを進めていくべき」と提言している。
 希望する職業や働き方をめざして再挑戦する人は、若年者、女性、高齢者のいずれの層でも増えている。自分が望む働き方を選択できれば(1)労働力の減少を緩和する効果(2)少子化を抑制する効果(3)格差を固定化するリスクの回避――が期待できるとしている。
 再挑戦をはばむ壁は(1)採用に際して画一的な基準を採用する企業が多い(2)職業能力を構築する機会の不足(3)仕事と生活の調和を欠いた働き方――の3要素にあると指摘。
 企業による壁を打ち破る最近の動きとして(1)新卒に限定しないボーダレス採用(2)能力に応じて正社員の道を開く(3)パート・アルバイトの能力構築に投資(4)魅力的な就業環境の提供――などの事例を紹介している。
 政府の支援策としては(1)先進的な事例の社会全体での共有(2)再挑戦しやすい環境を整備しようとする企業に対する支援(3)再挑戦しようとする人に対する能力構築支援――が必要であると指摘した。
 適職探しへ再挑戦する若年者は87年に比べて04年は3割強増加し、若者全体の22・9%に達している。新卒者にとって正社員は狭き門になり、大卒直後の正社員比率は92年の88・6%から02年には66・7%に減少している。景気低迷で不本意な就職が多いことや、長時間労働が増えていることも若年者の転職希望が多い理由。企業の採用慣行による壁として「3割の企業がフリーター経験のある応募者をマイナスに評価している」ことも指摘している。
 再就職コースを理想とする女性で、それを実現してる女性は55・6%にとどまる。継続就業を妨げる壁には(1)育児休暇制度が取りにくいと感じる人が多い(2)保育所不足(3)小さな子供がいる女性も約4割が残業するなど労働時間が長い――ことがある。
 「適当な仕事がありそうにない」との理由で求職活動をしていない就業希望者を含めた「潜在的な失業率」は、60代が極めて高い。企業が60歳以上の雇用に消極的な背景には「高齢者に適した仕事が十分に掘り起こされていない」ことなどがある、と指摘している。
 注目すべき新データは「適職を探す若年者数の推移」(04年で558万人)、「多様な働き方に関する意識調査について」「老後の生活に関する意識調査について」「企業の採用に関する調査について」など。適職を探す若年者数の推移は総務省「就業構造基本調査」「労働力調査」により特別集計した。

2006/06/20
知財のプロ紹介します TJサーチ&カンパニー ライセンシングに特化 米企業と業務提携
 知的財産権、とりわけライセンシング業務に特化した人材紹介業がスタートした。
 05年12月設立、今年4月始動の新会社、TJサーチ&カンパニー(東京)だ。このほど、米国の同種企業と提携し、国際的な人材ビジネスに乗り出した。
 対象を特定分野に絞ったのは「アメリカの動き、ネットビジネスの急拡大からみて、日本でも知財分野は右肩上がり」(辻之内節子社長)との見方による。「この動きに人材供給が追いついていない」として、国際的な人材の流動化を促す。
 全米に11の拠点を持つインテレッセ・インターナショナル社と業務提携し、日系の経験者を国内企業に紹介、または派遣する。国際ライセンシング協会(LIMA)の正会員にも日本の人材関連企業として初めて登録し、30カ国、1000社以上の会員を有するLIMAのネットワークを活用した人材サービスに取り組む。ファッション・アパレル系では、FIT(ファッション工科大学)の卒業生も視野に入れている。
 弁護士、弁理士や知的財産権セミナーの運営団体など専門家とも連携した質の高い人材ビジネスの構築をめざす。

2006/06/12
百貨店IT戦略フォーラム 「業態再創造の夜明けに」 ITと人材に力注ぐ
 日本百貨店協会が9日開いた「百貨店ITフォーラム」は、協会会員と、システムベンダーやクレジットカード会社のコラボレーション会員など200人以上の参加者を集めた。今年1月に発行した「06年版百貨店IT白書」がIT(情報技術)活用は量的・質的に大きく広がったと分析した、この5年間の百貨店業界での活動を紹介し、三越のICタグを使ったフューチャーストア戦略、大丸のCRM戦略など先進事例も報告された。
 荒木勉上智大学経済学部教授は「ICタグの導入効果はリアルタイムの在庫管理や潜在需要顕在化など『見える化』を図ること。5年後にはバーコードとの比率は逆転するだろう。ただし、かぎはバーコードの代替でなく、新しいビジネスモデルの創造」と基調講演し、内外の多数の事例を紹介。懇親会では「他業態や海外の事例を知り、自分の『文化』に合わせたら、どうなるか考えれば、自ずからそのモデルが見えてくる」とあいさつした。
 同協会の平出昭二専務理事は講演の中で、「05年度(04年3月~05年2月)は、百貨店売り上げが9年ぶりに0・3%増のプラスに、『ダウン』から『ドーン(夜明け)』に転じた。今年は人材とシステム(IT)に思い切って力を注ぎ、新しいビジネススキームを確立して現場を強化し、業態再創造の夜明けにしなければならない」と指摘した。
 事例紹介では三越のICタグ活用、大丸の最新顧客分析システムと売り場担当者による情報活用を軸とした固定客づくりの取り組みが報告された。
 夏野剛NTTドコモ執行役員は、おサイフケータイとクレジットカードを融合した「DCMX」サービスについて講演し、「ショッピングは最大のエンターテインメント。これをさらに面白くするシステムの提供で、新しいライフスタイルを提案する」戦略を強調した。
 5年ぶりに発行した百貨店IT白書や百貨店カードIC化協議会の活動についても報告され、百貨店業界でのIT活用の進展はっきり示した。

2006/06/10
輸出割当枠の売買サイト 上海市
 【上海支局】上海市対外経済貿易委員会は欧米向け繊維製品の輸出割当枠をネット上で売買できるサイトを正式に開設した。
 輸出割当枠は取得しながらも消化できない企業が相次ぐ一方で、確保を望む企業もあることに対応した。
 サイトでは売買情報を登録、閲覧でき、数量や価格などを個別に協議することができる。

2006/06/06
“走出去”に厳しい現実 中国、繊維・アパレル企業 計画白紙のケースも
 中国の繊維、アパレル企業の海外進出が厳しい現実に直面している。04年末時点で海外進出を果たした企業は114社で、進出先は45の国と地域。欧米との貿易摩擦が表面化した05年以降も、ベトナム、カンボジアなどを中心に海外での拠点確保を急いできた。ただ、中国企業といえども、習慣の異なる海外では苦労が多く、必ずしも順調には進んでいない。(上海=稲田拓志)
 中国政府は「走出去」(海外進出)のスローガンのもと、企業の海外進出を奨励している。繊維、アパレル企業については、欧米との貿易摩擦の緩和策という意味合いのほか、ハイテク産業の振興という方針も手伝い、後押ししている格好だ。
 著名企業では寧波申州針織、江蘇華瑞国際集団などがベトナム、カンボジアに生産拠点を設けており、一種のブームとなった感さえある。進出済みの企業の多くは、欧米向け輸出に強みを有しており、貿易摩擦を避ける狙いから、海外進出を果たしたものだ。加えて、中国で進む人件費の上昇、人手不足を避けるといった側面もあると見られる。
 今年に入ってからも、中国で生産を手がける韓国の中小繊維企業40社がインドネシアに生産拠点を移転すると報じられたり、欧州による反ダンピング課税が話題になっている革靴に関しても、中国の靴メーカー50社がインドネシアへ移転すると、インドネシア現地紙に採り上げられるなど、動きは活発だ。未進出の企業首脳に聞いても、「すでに海外での視察を済ました」との声が多く聞かれる。
 中国からの生産移転で名前が挙がりやすいカンボジアは、05年に投資した中国の繊維、アパレル企業は189社と大幅な伸びを示した。だが、習慣の違いなどから、事業運営に支障をきたすケースが続出し、「正常に運営して利益を出している企業は20%にも満たない」と言われている。また、中国紡織品進出口商会の首脳が上海で開かれたセミナーで明らかにしたのは「海外進出した企業のうち半分は失敗。メキシコに進出したある縫製企業は一晩で従業員全員がいなくなってしまった」という事実だ。事業運営の難しさを勘案して、山東櫻花集団のように予定していた海外での投資計画を白紙に戻すケースも相次いでいる。
 ある縫製企業のトップは「中国は人手不足に陥っていると言われるが、企業が人材を大切にしていないからではないか。うちは人を財産と考えているので、人手不足には絶対にならない」と強調するほか、「中国は糸、テキスタイルのレベルで世界的な水準まで来た。仮にカンボジアに移転したとしても、素材背景に乏しく、結局輸入することになり、コスト高につながる」と指摘するなど、安易な海外進出へ懐疑的な見方も出始めている。
 貿易摩擦の問題、人件費の上昇など、中国の繊維、アパレル企業にとって、逆風が続く中で、一種の解決策として浮かび上がった“走出去”。しかし、今のところ厳しい現実に直面しているといえそうだ。

2006/06/05
上田繊維科学振興会など18案件を採択 06年度若者と中小企業ネットワーク構築事業
 経済産業省が発表した「06年度若者と中小企業とのネットワーク構築事業」の採択結果によると、上田繊維科学振興会など18案件が決まった。同事業は地域の中小企業の魅力を若者や学校に発信し、人材確保の支援が狙い。予算額は4億円。同振興会の事業テーマは「カリスマ職人等の活動PRを取り入れた人材確保支援」。技術に絞ってカリスマ職人や経営者の活動を紹介している。

2006/06/02
契約社員の処遇改善 大手百貨店 優秀な人材確保へ 士気高め店頭販売力向上
 大手百貨店が、販売業務を担う契約社員を対象にした制度を相次いで改定している。教育課程の充実とともに、キャリアプランの整備や正社員への登用など販売現場の士気を上げる仕組みを導入する事例が目立つ。優秀な人材を確保して販売サービス水準を高めるための投資を増やす傾向が強まっている。
 伊勢丹は05年度、店頭販売を主業務とする契約社員「メイト社員」が正社員になれるよう、制度を改定した。第1回登用の05年10月には、8人が正社員になった。これに先立つ02年には、メイト社員を売り場のリーダーに登用する制度も導入し、現在、メイト社員の約10%がリーダー職に就いている。05年にはさらに、職務が上がった時の昇給額や、遅番手当てなど就業関連手当ての額を正社員と同じに引き上げた。
 伊勢丹はメイト社員を毎年200人規模で採用している。採用環境全体が厳しくなる中で、同社には「相当数」の応募があるが、「モチベーションを上げ、早期に戦力として定着させる」ため、キャリアプランを整備してきた。今後も、「メイト社員にとってインセンティブになるよう」、制度を改定していく。05年度には、採用と教育業務を人材の専門子会社、キャリアデザインに移管した。
 05年には、65歳までの再雇用制度の対象を、店頭販売を主業務とする契約社員などにも広げた。
 高島屋は昨年、販売の専門職として採用している有期雇用社員「セールスキャスト」を、売り場のマネジャーなどとして正社員に登用する制度を導入した。セールスキャストは、自主平場などを担う専門職として導入したが、販売員の採用環境が厳しくなる中、教育に力を入れるとともに、キャリアプランを充実して販売員のモチベーションを高める必要があると判断した。同時に、入社時からの定期的な教育制度の対象を有期雇用社員に広げた。
 同社によると、パートタイムの有期雇用社員を中心に、販売員の採用環境は厳しくなってきており、地方の小型店では取引先がNBの売り場に販売員を派遣できず、高島屋が自主販売する別の売り場に切り替えるといった事例も見られるという。  こうした環境下で店頭のサービス水準を高く保つため、「人の入れ替わりを前提にした仕組みから、継続性を前提にした仕組みに転換」し、有期雇用社員に関する制度を充実することにした。
 また毎年200人以上が定年退職する、世代交代が激しい時期を迎えることの対策として、01年度から、ベテラン社員のキャリア活用を目的とする制度「ゴールデンエイジプラン」を導入している。販売部門で定年後に再雇用する「スーパーセールス」コースは現在15人だが、当面、100人規模に拡大する考え。今期から、ゴールデンエイジプランの対象を有期雇用社員にも広げ、同時に、65歳以降も販売職として継続して働くことが可能になるよう、制度を改定した。
 三越は、販売を主業務とする契約社員を正社員に登用する制度を導入、今春初めて約20人を正社員化した。今後も、販売の能力や売り場のニーズに応じて正社員に登用していく。
 三越は04年度に、総合職と専門職の区分けと評価基準を明確化する「複線型人事制度」を導入、販売専門職の処遇を高めた。今回はこれに加え、契約社員にもキャリアプランを示し、店頭の接客水準向上につなげることを狙う。

2006/06/01
設立数1500社突破 05年度大学発ベンチャー基礎調査
 経済産業省が発表した「05年度大学発ベンチャーに関する基礎調査」によると、大学発ベンチャーが05年度末までに1503社設立されていることが明らかになった。1503社設立の経済効果は、直接効果が売上高で約2000億円、雇用者数は約1万6000人。間接的な経済波及効果も含めると、売上高は約3600億円、雇用者数で約2万6000人と推定される。
 大学発ベンチャーの半数は研究開発段階にあり、3分の1は事業ステージが前年度より進展している。直面する課題では「人材の確保・育成」が最も多く、その次には「販路開拓」が重点になっている。ニーズの高い人材は研究開発人材と営業販売人材。研究開発人材であっても、営業業務分野での能力発揮が出来ることも求められている。

【2006年05月】

2006/05/26
人材サービス会社 松坂屋とテンプスタッフが新会社  松坂屋は人材サービスのテンプスタッフと共同で、人材サービス事業の新会社テンプスタイルを設立する。接客や販売でレベルの高い人材を安定的・効率的に確保し、店頭での販売力向上を狙う。有期雇用従業員の募集や採用、研修など松坂屋の人事・サービス業務の一部を受託するほか、他社との取引も広げる。
 6月に設立し、9月から事業を始める。社長にはテンプスタッフの北野浩氏が就き、代表取締役専務に松坂屋の古澤弘氏が就く。07年度で売上高10億円、08年度に営業利益の黒字化を見込む。

2006/05/24
広島パルコ テナントの人材募集手伝います
 広島パルコは、地元求人情報誌とタイアップして特集を企画し、テナントの人材募集に協力している。館全体の販売レベルを高めるためにも優秀な販売職の確保が不可欠として、ディベロッパーも対策に乗り出した。
 広島商圏では04年に郊外SCが相次ぎ進出、販売員の引っ張り合いによる販売力低下がパルコでも課題となっていた。地元求人誌に昨年から、広島パルコとして広告を出し、募集をかける協賛テナントと共同で「広島パルコ特集」を組んだ。「パルコで働く」というステータスを売りに、優秀な人材を確保する狙い。
 「広島では第2次産業が強いため、テナントも販売員の確保に困っている。ディベロッパーとして協力できることは何かを考えた」と山木知行店長。
 広島パルコはこのほかにもホームページ上での求人案内、地元専門学校への求人募集などを行っている。

2006/05/23
平場販売受託を拡大 高島屋の人材会社C&C グループ外事業も
 高島屋全額出資の人材会社、センチュリーアンドカンパニー(C&C)は、平場の販売業務を一括して請け負う拠点を増やす。高島屋各店などで同社が販売業務をまとめて請け負う形に切り替えた平場でクレームが減るなど顧客の好感を得ていることから、対象とする売り場の分野を広げる。店舗受付や電話交換業務の受託、販売員研修事業とともに、高島屋グループ以外の売り上げ比率拡大に向けた重点事業と位置づけている。
 平場の販売業務を請け負う事業の名称は「センチュリー・セールス・コラボレーション・システム」。同システムは、平場を構成している取引先とC&Cが個別に業務委託契約を結び、C&Cが売り場全体の販売業務を担う販売チームを組む。
 取引先が単独で平場に販売員を配置している場合、品揃えは取引先ごとの編成が中心となり、それぞれの販売員は自社の商品だけを売る傾向が強まるが、同システムは販売員が売り場の商品をすべて平等に扱い、商品陳列も顧客本位を徹底できる利点がある。
 取引先は、平場全体の販売額に占める自社商品の比率に応じた費用を支払う。取引先にとっては労務関連の経費や作業負担を軽減でき、人件費も流動化できる。販売を一元管理し、繁閑に応じた配置が可能になることで売り場の総人員の削減にもつながる。
 最初に導入したのは高島屋立川店の婦人ブラックフォーマル売り場で、02年9月。初年度から接客に関する顧客のクレームが大幅に減り、売り上げが増加する成果が現れたという。
 同システムは現在、高島屋各店の婦人ボトム、帽子、靴下、財布、紳士雑貨、紳士肌着平場などに導入している。高島屋以外の百貨店への導入実績もあり、拠点数は52。今後、家庭用品や身の回り品などに対象を広げることも構想している。
 C&Cは、電話交換や店舗受付業務で、ダイヤモンドシティのSCやアクアシティお台場などに人材を派遣している。研修も、日本百貨店協会のプロセールス資格制度の講座を担当するなど、高島屋グループ以外の事業を拡大している。
 C&Cの売り上げ構成は、高島屋グループとそれ以外が50%ずつだが、平場の販売業務受託と店内受付、研修事業などを軸に、近い将来、高島屋グループ以外を対象にした売り上げ比率を70%に引き上げる考えだ。

2006/05/19
06年版中小企業白書
 「06年版中小企業白書」はテーマ分析の対象として二つの大規模な構造変化である「90年代以降急速に進みつつある東アジア経済圏の一体化」と「急速な少子高齢化による明治以来の人口トレンドの逆転」に注目した。国際展開により中小企業のビジネス全体が高度化、自立化する例は多い。子供を生み育てやすい社会に向けた中小企業の役割も大きい。同白書の第2部第2章「中小企業の国際展開の現状と課題」と、第3部第3章「『子供を産み育てやすい社会』に向けた中小企業の役割」の要旨を紹介する。

国際展開の現状と課題 ビジネス高度化、自立化も
 中小製造業のアジア進出は増加傾向にあり、01年以降は中国向けが特に急増(図1)。進出目的が進出時と現在では、単なるコストダウンや取引先の追随から市場開拓に変化している。
 中小企業の国際展開では「日本国内拠点での競争力強化」と「海外進出の円滑化・リスク低減」の二つの戦略を同時に進めていく必要がある。経営変革の大きな視点としては〈1〉 販路拡大による国内外における売り上げ増加〈2〉 事業構築全体の効率化による生産性の向上〈3〉 「自立した中小企業」への脱皮、という3点に注目した。
 国際展開のパターンでは以下の4パターンを想定した。(1)製造工程のコストダウンを目的として進出するケース(現地販路開拓はせず、製品を日本に逆輸入する)(2)親企業の海外進出に伴い、要請を受けて進出するケース(3)親企業を含む海外進出した日系企業との取引維持・拡大を目的に自社判断で進出するケース(4)現地市場での新規顧客開拓をターゲットに進出するケースである。
 当初の円高局面では委託加工貿易を代表例とする(1)のタイプが多かった。ただし、親企業が海外展開している場合は、東アジアで生産した部品や製品を、直接親企業の海外工場へ納品することでコストダウンを図る(アウト―アウト)のパターンが近年増えつつある。(1)と(3)が複合的に組み合ったケースも多い。
 90年代以降は(2)や(3)のケースでの海外進出が増えている。(2)のケースでは親企業の動向に大きく左右され、親企業が撤退する局面では共倒れになるリスクを伴う。「世界最適調達」を進める親企業が下請け企業の仕事量を保証するとは限らなくなった中で、受注量増加のためには海外進出しかないことなどを判断し、リスクを持って海外へ生産拠点を展開した企業も多数あると推測される。
 自社で判断する(3)のケースが多くなっているといえる。この場合、思うように顧客開拓が進まないことや現地での競合相手との競争が大きなリスクである。半面、現地では明確な下請け構造が未発達なため、日本では直接取引ができないような大手企業と直接取引ができるようになるとか、系列外の日系企業や現地に進出している欧米企業にも納入が可能になったケースも多く、大きなビジネスチャンスも潜んでいる。
 中国、特に上海を中心とした華東地区などでは現地での新規顧客開拓を目的とした(4)のケースも増えつつある。新規顧客には日本では取引のない日系の現地進出企業、欧米企業などの第3国企業、現地地場企業や現地消費者を含んでいる。当初は(1)から(3)のような目的で進出した企業も、次第に(4)へ軸足を移すケースが多い。
 国際展開・国際分業による経済的効果は海外生産拠点を持つことで海外市場の開拓が可能になる上に、日本本社の売り上げ増にもつながること。海外展開で企業の知名度が上がることで、同じ地域に進出を考えている企業からのアクセスが増えたり、海外生産ネットワークが大きなセールスポイントになって国内で新規顧客が増えることもある。
 日本本社と海外拠点の機能分担による効率化も可能となる。中小製造業がアジアに展開している拠点の製造形態は、日本との工程間分業は2割程度、現地で一貫生産を行っている割合が7割を超えている。現地の技術水準は5割強が日本とほぼ同等、4割強が日本より低いと回答している。つまり、国内生産ではコストが見合わなくなった単純な組み立て工程、付加価値の低い汎用品や大量生産品を人件費の安いアジアへ移管し、国内の設備や人員はより付加価値の高い製品や多品種小ロット品の生産、研究・開発部門へとシフトすることで全社的な効率を高めることができる。
 国内事業と海外事業の相乗効果も上がる。海外現地法人を持つ中小製造業は、海外進出した場合に「国内生産活動に変化なし」が約45%、「国内は高付加価値にシフト」が約25%あり、その他「人員の再配置」も含めると、8割近い企業は海外展開をしながら国内生産も効率的に維持し、生産性の向上を実現している。
 「企業活動基本調査」の個票データを活用して95年度に海外展開した中小製造業の7年後のシミュレーションを「海外進出した場合」と「海外進出しなかった場合」に分けて行った。その結果、02年度の売上高経常利益率は海外進出した企業は6・5%だったが、海外展開しなかった企業は1・9%にとどまった。海外進出した企業の方が国内部門の収益力向上にも大きな効果があることが推定できる。
 中小企業の国際展開は人材育成にもメリットをもたらすことが多い。海外現地法人を持つことで社員の国際化に対する意識が高まるほか、現地へ派遣された社員はさまざまな苦労に直面する中で、グローバリゼーションを肌で感じたり、多数の部下を指揮・監督したりすることで、将来の幹部候補生としてのキャリア形成上プラスになることも多い。特に中小企業では経営者の子息などの後継者候補をあえて現地法人の責任者として出すことで、国際ビジネスに精通した後継経営者の育成につなげられるメリットがある。

 東アジア現地での取引関係では従来の国内での関係にはとらわれない関係を築いていることが多いのも特徴。受注企業では「現地での新規取引先の開拓につながった」という企業が全体の4割を超え、「現地取引開拓が国内に発展した」という企業も2割強存在する。
 受注企業の現地での新規顧客開拓方法では「自社の直接の営業活動」の次に、「取引先による紹介・推薦」が続いている。NIES(新興工業経済地域)や中国では見本市や展示会への参加も重要な効果を上げている。「口コミによる開拓」や「企業交流会や業界団体を通じた交流」も国内よりも比率が高い。
 ミクロの企業ベースでは、「国内に残す工程や製品(国内のモノ作りの高付加価値化)」と「海外展開をすべき工程や製品」を経営判断でうまく組み合わせ、海外の経営資源も適宜活用しながら事業の効率化と国内産業の高度化を図ることが大切である。人材や経営の国際化や、ガバナンス能力を高めることも中小企業には必要となる。

現地経営リスクへの対処法 重要な社外支援ネットワーク確立
 現地で感じる困難は、現地マネジメント人材の確保、技術流出、売掛債権の回収困難、部材確保、模倣品問題などである。慣れない海外での経営にはさまざまな困難・リスクが伴い、中小企業では一つの問題が経営の存亡にかかわるようなことも多い。中小企業が東アジアで直面するリスクへの対処法を、五つの角度から考察している。
(1)現地経営管理体制
 人事管理、労働力確保の問題では、中国やASEAN(東南アジア諸国連合)での離職率の高さがある。わずかな賃金格差で人が移動してしまうため、せっかく採用して作業を一通り教え込んだ後に、他社に引き抜かれることが頻繁に起きる。こうした状況を改善するため、少しでも長く働いてほしい人材には、高めの給与を支払うことや、勤務状況が優秀な人を日本へ短期間の研修に行かせることなどで、モチベーション向上の工夫を図っている企業も多い。
 経営の管理者層に日本人の割合が多いと駐在コストがかさむため、なるべく早期に現地人材を育成し、経営の現地化を推進することがポイント。現地の市場開拓や現地人の労務管理では、現地人同士の方が、スムーズにいくことが多い。
 日本に留学経験があり、日本語が堪能で日本ビジネスに理解がある人材、他の日系企業での勤務経験がある人材、現地政府とのパイプがある地元の有力者などとの出会いが大きな効果を上げているケースが多い。
(2)不透明な法制度運用、現地当局との折衝
 海外でのビジネスでは予期せぬ法律の規制に遭遇したり、政府との折衝に戸惑ったりすることも多い。特に中国では法制度の運用面で困難に直面する企業が目立っている。このようなトラブルを避けるためには、法律の改廃動向に自ら注意するのはもちろん、信頼できる法律の専門家や現地事情に精通した現地人材の発掘に努めたり、日頃から地元政府の関係者(工商行政管理局、税関、公安、税務局、労働局、外貨管理局)と円滑な関係を構築することが重要と考えられている。
(3)独特の商取引慣行
 中国に進出している企業は、現地での代金(売掛債権)の回収に困難を訴える割合が高い(図2)。これが内販開拓における中国最大の問題点である。中国では日本のように手形不渡りによる取引停止処分がないため、不渡りを出した企業も淘汰(とうた)されない。
 裁判という手続きで執行してもらうことも考えられるが、実際には手間や時間がかかり、相手の経営状況が本当に悪化していれば、裁判に勝っても回収できる代金がないこともありえる。結局のところ、当事者同士で交渉し、代金を前払いでもらったり、製品納入時に受け取ったりするようにして自ら守るしかないのが実情である。
(4)模倣品・技術流出・知的財産権保護
 中国をはじめとした東アジア諸国では模倣品の被害も多いが、中小企業では対策を講じることができず放置している割合が高い。コスト競争力の高い地場産業と日系企業との差別化の源泉が技術力の差によるところが大きいことを考えると、国・各種支援団体・企業などが連携を取りながら、アジアにおける知的財産保護の枠組みを一層進めていく必要がある。技術流出を防ぐため、労働契約書に技術の持ち出しを禁じる条項を盛り込んだり、一人に技術やノウハウが蓄積しないように工程を分けたり、中核人材には高い給与を支払うことで引き止めを図ったりなどの工夫をしている。
(5)人民元切り上げ(為替リスク)
 05年7月の人民元の2・1%切り上げは経営への影響が軽微の企業が多かった。今後、切り上げ幅によってはコスト削減を目的とした進出では大きな影響が出る可能性もある。
 経営資源に限りのある中小企業にとって、国際展開で障壁となるリスクに対処するためには社外の支援ネットワークの存在が貴重だ。日本貿易振興機構(ジェトロ)、中小企業基盤整備機構などの公的機関、取引先銀行、弁護士・会計事務所、経営コンサルタントなどのアドバイスを活用することも有用である。

子供を産み育てやすい社会に向けた役割 若年者定着率向上、業績に効果
 今後、今の情勢が変わらないと仮定すると、現在20代前半の若者が30代後半になった時、フリーターが2割、無職が1割。子供を持てる者は正社員で41・6%、非正社員では6・2%、無職では1・4%で、合計では49・2%と全体の半分以下と予想される。非正社員と正社員では年収に大きな格差が生じており、非正社員は結婚し、子供を生み育てることが経済的に困難な状況。
 出産1年前に就労していた女性のうち、出産後も継続就業している女性は3割。7割は出産前後か育児休業後に退職してしまう。うち再就職するのは17・8%のみ。25~34歳の女性無業者のうち結婚・育児を理由として退職する者が約6割で、仕事と育児を両立しにくい状況にある。
 総務省「労働力調査」によると04年の完全失業率は20代で7・5%、30~34歳で5・0%で依然厳しい情勢が続いている。96年に約100万人だったフリーターも、04年には約214万人と倍以上になった。ニートも04年に約64万人となった。年収と有配偶者率の間には密接な関係があり、低所得のフリーターの増加が未婚率上昇や出生率低下を招くことになる。
 中小企業の若年者の採用・登用のポイントは以下の3点になる。(1)フリーターは正社員として働くことを希望しているが、企業側がマイナスイメージをもっているためなかなか正社員になれない(2)実際は新規学卒者から採用した正社員とフリーターから採用した正社員の間にはほとんど差はない。フリーターということで偏見を持たず、やる気と能力を平等に評価することが重要である(3)自社アルバイトからの登用は、フリーターが正社員となるための有力なルートの一つとなっている。登用は規模が大きい企業は「能力主義」、小さい企業は「人物本位」で行われている。
 若者の定着率が高まることにより、企業業績にプラスの効果がある。募集・採用段階で育成方針に関する情報を伝えることが定着のために重要だし、「風通しの良い職場づくり」と「若者を成長させるための取り組み」が定着率向上に効果的である。  若年者の雇用とともに重要な問題が「仕事と育児の両立」である。結論からいえば、規模の小さい中小企業ほど両立しやすい職場環境を持ち合わせており、両立しやすい職場の実現で優秀な人材を確保していくことが企業経営にとってもプラスになる。
 女性正社員の1人当たりの子供数を見ると、中小企業になるほど多い。この理由は従業員規模が小さい企業ほど、女性正社員の中で乳幼児を過ぎた子供を育てている世代(40歳代以上)の比率が高いため(図3)。中小企業の方が仕事と育児の両立支援に関して柔軟に対応している企業の割合も多い。
 両立しやすい中小企業の特性は(1)一定期間の休業を取得しても、昇進・昇格に長期的な影響がない(2)職住近接の職場環境(3)職場に子供を連れてこられる環境(4)女性の登用をめぐる多様性がある。中小企業の方が女性の管理職比率が高い。
 以上、両立しやすくするための発想のポイントをまとめると、以下の5点になる。(1)「本来持っている能力」に基づいた人事評価によるキャリアロス軽減と異動慣行の見直し(2)役職階層のフラット化と権限委譲(3)職住近接のコンパクトなまちづくり(4)職場に子供を連れてこられる環境整備(5)管理職に占める女性の割合を指標として普及させることが人材確保にも有益である。

2006/05/19
百貨店OBを集めました 人材派遣のテンマック  人材派遣を主力とするテンマック(東京、西内伸二社長)は、大手百貨店を退職した人材を、百貨店をはじめとする流通業などに派遣する事業を本格化する。豊富なノウハウを備えた中高年に特化した人材派遣業としての特色を生かし、事業を拡大する。
 同社が人材派遣業の認可を取得したのは今年1月。「ファッションや食料品、外商、建装など多彩な分野がある百貨店OBのノウハウと高い応用力」(宮崎清取締役)に着目。定年退職者や、早期退職募集に応じた50代の人材の組織を始め、すでに、三越出身など70人の百貨店OBを集め、近く、陣容を100人規模に拡大するという。
 社員教育や営業、店舗開発、人事、経理、建装部門などの経験者を確保しているといい、派遣先は流通業以外も想定している。
 すでに、百貨店とその取引先、チェーン専門店の店舗開発部門のほか、建装部門の経験者を建築資材メーカー、コンシェルジュ経験者を高級マンションの管理人に派遣した実績などがある。
 同社は、組織した百貨店OB同士のネットワークも重視。複数の人材で対応することも含め、百貨店OBを多数、組織している強みを生かし、派遣先のニーズに応える。

2006/05/13
企業選ぶ基準は「やりがい」「可能性」 FB産業、低い評価 トップ100入りミキハウス1社 リクルート、大学生対象に調査
 リクルートはこのほど、07年3月卒業予定の大学生を対象にした「大学生の就職志望企業」の調査結果を発表した。ファッションビジネス(FB)で上位100社入りしたのは、78位のミキハウスだけだった。他産業有力企業の精力的な新卒採用のあおりで苦戦するFB業界の採用事情が改めて浮き彫りになった。有効回答は大学生1万7256人、大学院生2807人。

 ランキングからFB企業を拾うと、139位・フェリシモ、147位・豊島、275位・ファーストリテイリング、404位・青山商事となる。前回559位だった青山商事が浮上した以外は、ミキハウスを含め、いずれも順位を下げた。前回は上位100社に、ミキハウス(49位)、フェリシモ(76位)、ワコール(同)の3社が入り、02年はミキハウス(37位)、トリンプ・インターナショナル・ジャパン(71位)、ワコール(79位)、オンワード樫山(86位)、ルイ・ヴィトン・ジャパン(99位)が名を連ねていたことからすると、FB業界の相対的な人気低落傾向は鮮明だ。
 また同調査では、著名な大手アパレルよりも子供服のミキハウスがここ数年、常に上位に来ている。その理由をミキハウスの澤井英光広報部長は「今の学生はやりがいを重視して就職活動している。アパレル事業を中心に、ベビー総合プロデュース、出版、教育、外食から海外での業務まで、当社の幅広い企業活動が将来の職務の広がりを印象づけているのではないか」と話す。応募学生の多さに安住せず、「レゴ」ブロックで何か作らせるグループ作業でコミュニケーション力を試すなど、さまざまな手法で回数を重ねて総合力を吟味する選考方法も評価されているという。
 ファッション性の高い通販業のフェリシモも、この調査では大手アパレルをしのぐ人気だ。環境保護や「こども基金」をはじめとする社会活動を重視した企業理念への共感が大きい。同社は「理念に基づき、生活者の望むことを多彩に事業化する方法が、“自分のやりたいことがかなえられる職場”に映るのでは」と見ている。

2006/05/11
ラクーン 仕入れサイト急成長 06年4月期売上高倍増へ 地方店の取引強み
 インターネットで衣料・雑貨などを仕入れられるサイトを運営するラクーン(東京、小方功社長)が急成長している。06年4月期の売上高は前期のほぼ倍増近い23億2800万円となる見通しだ。インターネット上でメーカーと小売店が取引できる「スーパーデリバリー」が伸びているためで、4月に東京証券取引所マザーズに上場した。
 スーパーデリバリーは、会員登録した小売店がホームページに掲載された商品を見て、興味があるメーカーにネットを通じて取引を打診する。メーカーと小売店が、お互いに取引するかどうか決められ、卸価格も会員にならないとわからない仕組み。決済は信販会社の専用カードなどで行い、取引額の10%がラクーンの手数料になる。
 急成長の理由の第一は、メーカーにとって地方の個店専門店と取引できること。ネットなら営業コストがかからない上、売り込みたい商品をすべて紹介することも、前日の売れ筋商品を即座に掲載することも可能だ。
 また、2月、8月などシーズン晩期にも現物商品の取引が迅速に行えることから、小売りにとって実需対応が可能となるほか、メーカー側も値下げロスを抑えられるメリットがある。
 こうした理由から、スーパーデリバリーが急成長した。当初は、在庫処分サイトの売り上げ構成比が高かったが、06年4月期ではスーパーデリバリーの売り上げが約15億円に達し、構成比が60%を超える。出品企業数は4月末現在で420社。
 「地方問屋のマーケットは約4兆円あり、そのマーケットに対応する電子商取引企業はラクーンしかない」(小方社長)ことから、今後も成長を見込む。スーパーデリバリーはこの1年で2・5倍以上のペースで拡大しており、今後も「同じテンポかそれ以上の伸び」を予想している。

2006/05/08
〈流通レーダー〉 大手カジュアル専門店 採用難に直面 販売職のパート・アルバイト 成長戦略にも影響 問われる魅力作り
 大手カジュアル専門店チェーンで、販売職のパート・アルバイトの採用が難しくなっている。地域やブランドによって状況は異なるが、多くの企業が採用難を指摘する。景気回復による他産業との競合や、郊外型SCへの通勤条件、商業施設の営業時間の長さなどが影響しているようだ。カジュアルだけでなく、他分野の専門店も採用難に直面している。この問題は、採用コストや人件費の上昇にとどまらず、今後の成長戦略も左右しかねない。(窪田勉)
長い営業時間
 地域経済が活況な愛知県周辺や岡山では、採用難が際立つ。マックハウスは「愛知周辺は、当社の平均時給より1割高くしても採用が難しい状況」という。
 採用難は特定地域だけの問題ではない。ライトオンやエディー・バウアー・ジャパンは全体的に採用が難しくなっているとし、ポイントは平均850円だった時給を今期から900円に上げた。首都圏など都市部の時給はさらに高くなっている。コックスやシーズメンなども関東圏での採用が厳しくなっており、ケースによって時給を上げざるを得ないという。1都3県と大阪、名古屋に出店するジーンズメイトも時給が上がっており、求人募集のためのコストも跳ね上がっていると話す。
 郊外型SCなどでは通勤手段や営業時間の長さから、人材募集が困難になっている。イオン浦和美園SCのように、専門店街でも9時から23時の営業になると3交代が必要で、「ますます人の採用が困難になる」と専門店幹部は嘆く。
 各社とも対応策を練っているが、これといった決め手がない状況だ。時給を上げたり、短期の手立てとして派遣業を活用したり、それでも間に合わなければ他の店からアルバイト、社員を工面するなどだが、いずれも経費増は避けられない。
 こうした状況のもとで、準社員、社員への登用、社会保険の適用者を増やすなど、将来のステップアップ、働きやすさなどをアピールする企業も増えている。
出店に制約も
 パート・アルバイトの採用難は、単に店の運営ができる、できないの水準にとどまる問題ではない。多くの専門店企業が、アルバイトから社員になる道を開いており、この経路で優秀な人材を確保している。店長職などの人材を確保できないと、出店戦略にも制約が生じる。
 コックスはSPA(製造小売業)型新業態の「イッカ」が軌道に乗り始めたことから、積極的な出店を計画している。出店攻勢によって、「今後3年間で150人の店長が必要になるが、退職者もおり、このままでは間に合わない状況」という。カジュアル専門店の06年2月期決算はほとんどの企業が増収増益で、出店を強めるところが多い。優秀な人材をめぐり、業界内外との競合が激しくなるのは目に見えている。
確保と育成を
 「採れない採れないというが、その責任は本部と店で半分半分」とは小柳津進取締役イッカ事業部長。商品企画やブランドの知名度向上などは本部の責任、元気で明るく、清潔で、ここで買いたい、働きたいと思わせるのは各店の責任だと話す。もちろん、人材の問題は採用難だけではない。「頭数だけではなく、人材の質が問われている」ことも確かだ。ポイントやシーズメンは外部機関を使った研修を行い、その回数も増やしている。
 数年前には予測できなかったパート・アルバイトの採用難に対応して、どのような手立てを講じるのか。採用コストや人件費、研修コストの上昇などを吸収しながら、優秀な人材を育て、成長戦略を軌道に乗せることができるのか。社会保険や社員登用などの基盤整備も含め、人材の確保と育成の問題が、改めて問われている。

2006/05/02
携帯求人情報サイトに新サービス ゼイヴェルの子会社ルミネクス 事前告知で希望者募る
 アルバイト・正社員の携帯求人サイト「ガールズウーマン」(http://g-w.st/)を運営するルミネクス(東京、平間理一郎社長)は、事前に求人情報を告知することで希望者を募る新サービス「JOBくる」の提供を4月25日に開始した。告知を早めることで企業、求職者ともに効率的な採用、就業活動ができる。
 新サービスは、新規出店や定期的に募集を繰り返す求人などの情報を事前に告知することで、希望者が“名乗り”を上げておく仕組み。これまでは、新規に出店する場合、地区にあった求人媒体を選んだり、掲載の手配の手間など時間、コストがどれくらい必要なのか、分かりづらかった。繰り返しの求人もそのたびごとに同じような手間がかかる。JOBくるでは事前に告知し、希望者数が分かるため、企業側は募集をかけた際、どれくらいの人材を確保できるか予測が可能。求人情報の掲載後は希望者にメールが配信され、すぐに採用活動ができる。希望する仕事を獲得できる可能性も高くなる。
 同社の場合、求人案件にメールで応募があって初めて料金が発生する成果報酬制度をとっている。そのため、掲載の期間や繰り返しは自由だ。料金は応募単価×応募数で、応募単価はアルバイト3000円から、社員・契約社員が1万円から。求める職種や地域などにより最低応募単価を設定している。企業が管理画面に求人情報を入力すれば即時に掲載でき、募集活動ができる。25日のサービス開始時にはジュングループ、フリーズインターナショナル、ワールドストアパートナーズなど70ブランドの求人情報を掲載。今後はサービス業などにも広げる。
 同社は女性向けモバイルファッションサイト「ガールズウォーカー」を運営するゼイヴェルの関連会社。同サイトで人気のショップ、ブランドなどファッション関連の求人募集が8割を占める。20~30代の女性が主力対象のため携帯電話の利用が極めて高く、即効性と応募数の多さが特徴だ。常に2万~3万人の就業希望のメール会員が登録されているのも強み。昨年10月に全国規模で展開し、80ブランド、6300の案件を掲載した。

【2006年04月】

2006/04/21
文化学園 信州大と包括的連携 ファッションの教育・研究
 文化学園(大沼淳理事長)が信州大学と包括的連携協定を締結することになった。繊維ファッション分野の「教育、研究、社会との連携で相互協力し、両者の一層の発展に資する」としている。5月8日に文化学園で調印式を行う。
 95年に信州大学繊維学部と文化女子大学家政学部(現・服装学部と造形学部)がファッションと感性工学分野を中心に友好協定を締結し、研究、教育、人材の交流を進めてきた。今回の協定は友好関係をベースに総合的な連携に踏み出すもので、国立大学法人とファッション分野の私学同士の初の連携として注目される。
 両者は協定に基づき、(1)衣の科学技術分野を先導する教育研究に向けた連携戦略会議の開催と、人文・工学・医学を含めた大学院レベルの研究連携(2)単位互換の導入を含めた学部・大学院での教育連携(3)教員・研究者などの人材交流――を行う予定だ。
 協定により、著名ファッションデザイナーを多数輩出してきた文化服装学院や、今春開学の文化ファッション大学院大学にも信州大との共同の取り組みの道が開かれることになった。日本のファッションビジネスが懸案事項とするブランド研究分野での連携など、繊維ファッション産業の今後の発展への貢献も期待できる。

2006/04/14
企業の借り入れ需要活発化 内閣府調査、量的緩和解除で
 内閣府の3月の「景気ウオッチャー調査」によると、量的緩和解除に関連し、日銀の政策変更による金利先高感を懸念して、企業の銀行窓口への借り入れ需要が活発化している。
 金利上昇前の設備投資と人材採用増大によって、ますます人手不足になるという循環が現れるとの景気ウオッチャーの見方もある。
 個人でも住宅ローン金利の上昇傾向を感じて、住宅関連の駆け込み需要の動きが強まっている。一方で、消費者への影響の出方に不安を持っているとの見方もあった。

2006/04/07
パソコンで受講 IFIビジネス・スクール
 ファッション産業人材育成機構(IFI)ビジネス・スクールは、日本ユニシス・ラーニングと共同で、同校の教育をパソコン上で受けられる「イーラーニング・システム」を開発した。受講者は、与えられた個人IDで教材にログインして学習する。交通・宿泊費の負担や業務の多忙が理由で同校に通えない業界人の学習ニーズに応える。
 第1弾は「アパレル素材の基礎知識」で、スワッチ付きの教本を個別に提供し、素材の基本を繰り返し学べるようにする。5~6月頃に開始、受講料は未定。

2006/04/06
ミレニアムリテイリング ギフトアドバイザー資格73人が取得 コンサル販売の重視で
ギフト需要の広がりに対応し、アドバイザーの育成が必要になっている。ミレニアムリテイリングは、3月に任命が始まった日本百貨店協会公認のギフトアドバイザー資格を、そごう、西武百貨店の合計73人が取得した。外商を含む全部門の販売担当者に資格取得を呼びかけ、百貨店の強みであるギフト対応に磨きをかける。
 ギフトアドバイザーは冠婚葬祭・年中行事の由来・基本ルール、進物の体裁、好適品に関するさまざまな知識を習得、ギフトに関するプロの販売員育成をめざしている。フィッティングアドバイザーのレディス、メンズに続く3番目の百貨店プロセールス資格制度。今回の資格保有者は一級が29人、二級が278人で、このうちミレニアムリテイリングは一級を6人、二級を67人が取得した。これまでも西武が96年から、そごうが02年から社内資格としてギフトアドバイザー制度を導入していた。
 ミレニアムリテイリングでは高額所得者向け販売が05年9月~06年2月で前年同期比15%増だった。中元、歳暮のシーズンイベントはもちろん、自分へのご褒美需要も含めた顧客のニーズをしっかり把握し、「顧客へのきめ細かな対応を強める」と、コンサルティングセールスができる人材育成をめざす。

2006/04/07
【学ぶ・育てる】 学校側から見た06~07年新卒採用 個性彩るFB産業。就活進む中で、ベールはがれていく。
 業界挙げ魅力作りを販売職“待ったなし”
 日本のファッションビジネス(FB)の再生の条件に“人材”が挙げられて久しい。新卒採用でも職種を問わず優秀な人の確保が至上命題だ。しかし他業界も一斉に採用増に動く中、専門職種以外での競合は厳しさを増した。学生も表面的な魅力にとどまらず将来の展望を見定めようとしている。FBの底力が試されている。
学生の気持ち
 「アパレルの仕事をしてみたい、という学生は結構いるんですよ。どのブランドでどういう仕事をしたいのか、目的意識がはっきりしているのが特徴ですね」と、明治大学就職事務部の清水秀夫事務部長は語る。
 時代の感性の表現とアート性を兼ね備え、人間の個性を彩るFB産業は少なくない学生に魅力と映っているようだ。しかし、就職活動が具体化するにつれ、そのベールははがれていく。
 同大の卒業生は22~23%が金融業界に、20%以上がメーカーに就職するという。アパレル業界単独のデータはないが、流通系の求人状況は厳しく、アパレルもこれに準じると見られる。
 求人数の多い販売職では、職種への不人気に初年度から契約制の採用方式が高い壁となる。「人事担当は『普通に仕事していれば大丈夫ですよ』と言ってくれます。でも契約社員では不安になるのは確か」と清水部長。ファッション性で高い人気を持つある百貨店では契約採用の販売職が総合職に転換できる制度があるが、「それでも不安の声はある」。銀行の一般職採用再開も追い討ちをかける。FB企業の求人難は当然のことといえよう。
 美大も同様だ。女子美術大学は、総求人件数の約1割をアパレル関連が占めるが、販売職での就職は厳しい。「専門職志向の強い学生が多いので、販売職を入り口とする就職を避ける傾向がある。企画職へのステップアップの道も見えにくいのではないか」(相模原学生支援センター就職グループリーダーの袴田宏氏)。
 それでは、総合職はどうか。FBはベンチャー性が高い半面、成功するには雑草のような打たれ強さが必要とされるが、「(今の学生は)豊かに生活できる賃金をもらい、無理せず人生を送りたいタイプが多い。ガッツのある学生が少なくなった」(明治大学・清水氏)という現実がある。また「意外に親思いで就職も相談するため、進路に影響することもある」(同)。人材リスクを有期採用の併用で下げながら、優秀な人は確実に確保する、というのが企業側の今の論理。この考え方に沿うように大手アパレルの一部は総合職的なマーチャンダイザーも初年度から有期契約に切り替えている。しかし、他業界の有力企業との競合に加え、契約社員のリスクと天秤にかけても納得できる将来展望を示せるのか――。ハードルは高い。FB業界側の思惑がすんなり通る状況ではない。
新しい力に期待
 文化服装学院就職指導室の増田恵一課長補佐は、販売職ほどではないが求人が増えてきた企画・技術職について「経験者頼みの傾向がなくなり、独自のクリエーションを打ち出すため新しい力を求めるようになった」と見る。
 この流れは、企業規模、業種を問わず広がっている。新卒採用を検討したことのない中小アパレルからの相談が増え、さらに今春は日本有数の大手流通業からも求人の相談を受けた。学内説明会も近く開かれる見込みだ。
 ただ、販売職採用の厳しさは変わらない。求人件数に見合う内定者数を確保しえない要因になっている。増田さんは「呼び名など小手先だけでなく、業界を挙げて販売職のグランドデザインを組み直し、優秀な人が就職したくなるようにしてほしい」と強調する。
 FBの採用事情に詳しいある業界人はこう言う。「(FB企業は)80年代の成長期との違いを認識し、人を大切にする産業に変わるべきだ」。

【2006年03月】

2006/03/25
産構審「グローバル経済戦略」案 EPA行動計画策定提起
 経済産業省の産業構造審議会が第3回通商政策部会で審議した「グローバル経済戦略」案は、EPA(経済連携協定)推進戦略としてEPA行動計画と国・市場別投資・ビジネス環境整備計画の策定を提起している。
 行動計画は政府として交渉国・地域の優先順位や時期を明確にし、企業の国際事業戦略上の予見可能性を高めるのが狙い。ASEAN(東南アジア諸国連合)、韓国、インド、日中韓、GCC(湾岸協力会議)などとのEPAを推進すべきだと提案している。
 整備計画は地域課題に対応した協力を行う。重点課題としてASEANは制度・ビジネス慣行の共通化・標準化、ASEAN統合公共財の整備、産業人材育成支援など。中国はWTO協定順守、競争法・知財・企業ガバナンスの制度整備・執行強化、省エネ・環境協力。インドはインフラ整備、中小企業振興、ビジネスマッチングを戦略的に進める。
 中小企業の国際展開のための環境整備では政府による情報インフラ整備、人材育成支援、ブランドの国際展開支援などを強化する。海外進出後に現地で情報提供を受けられる体制整備や日本国内での研修受け入れに対する政策支援も行う。
 優秀な留学生の確保のために「アジア人財資金」(日本版フルブライト奨学金)構想も具体化する。現行の研修・技能実習制度(3年間)を拡充し、さらに2年間の技能研修を受けることができる「高度技能実習制度」の創設を検討する。
 日本ブランドの発信ではファッション産業で感性と技術の融合を促進し、国際市場開拓のための発信拠点を整備する。「新日本様式」も発信する。

2006/03/17
ファッションビジネス業界の新卒採用動向 他業界との競合強まる 多店舗化、07年問題… 積極姿勢続く
 繊研新聞社がアパレル関連やファッション系小売企業を対象に実施した新卒採用動向調査(回答71社)によると、06年度新卒採用内定者数は05年度に続いて2ケタ増となった。07年度は「(新卒採用を)大きく増やす」8社、「増やす」18社に対し、「前年並み」36社、「減らす」2社、「未定」6社で、増加傾向の持続を示した。
 06年度の新卒内定者数は前年度採用実績比15・9%増。71社中40社が採用を増やした。増加率は05年度の23・8%を下回ったが、ファッションビジネス(FB)の採用意欲の高さを示す。
 自社の未来を担う幹部候補生作りへの関心と、多店舗展開を担う販売・営業系人材の需要の高まりが積極的な新卒採用に向かわせている。団塊世代が定年を迎える“07年問題”で他業界の有力企業が一斉に新卒採用枠を増やした影響もある。総合職と販売・営業職を中心に質と量の面で人材確保の競争が激化し、各社を新卒採用に駆り立てた。また、企画・技術系職種でも独自の商品開発への注力や、長年頼ってきた経験者市場の人材枯渇状態などの理由で新卒採用が復活している。
 毎年新卒を大量採用する企業では、ファイブフォックスが1133人(05年度実績972人)で、回答企業で唯一の4ケタ採用となった。増加が目立つ企業では、サマンサタバサジャパンリミテッドの143人(58人)、サンエー・インターナショナル210人(87人)、アオキインターナショナル150人(93人)、三陽商会130人(88人)、オンワード樫山480人(380人)が際立つ。4年制大学卒に限ると青山商事が401人(319人)でトップ。ファイブフォックスの263人(223人)、オンワード樫山の219人(211人)、はるやま商事の200人(159人)が続く。
 新卒採用を行っていなかったユナイテッドアローズが大卒17人、専門学校卒1人を採用する一方、大卒中心にポイントが52人(31人)、トリンプ・インターナショナル・ジャパンが40人(23人)の採用など、注目度の高い企業の動きが採用戦線を活気づけた。
 最終学歴別の構成比では大学院・大学卒52・8%、短大卒9・4%、専門学校卒13・8%に対し、高校卒は16・6%(前年度採用数比13・2%増)となった。高卒が前年に続き専門学校卒を上回った。この背景には多店舗展開に必要な大量の販売員の確保に懸命な企業の事情がある。FBの採用問題に詳しい関係者は「(学生側の)売り手市場になり、大卒の販売職採用は他業界との競合がますます激しい。このため高卒なしには回らなくなっているのでは」と指摘する。マナー面などの基礎を徹底すれば、マニュアル次第で短期に戦力化するのは可能で、むしろ人件費抑制に役立つという見方もある。
 新卒採用の雇用形態は、「正規社員のみ」が50社、「正規と有期契約」が19社、「有期契約」1社、無回答1社だった。有期契約採用の職種は販売、デザイナー、パタンナー、事務が多いが、大手企業ではマーチャンダイザー関連も有期契約採用の回答が複数あった。

2006/03/08
業界人向け講座を拡充 クリエーター教育の実績生かす エスモード・ジャポン
 エスモード・ジャポン(野澤正次代表)が日本のファッションビジネスの人材ニーズ全般への対応を強めている。日本校の卒業生組織立ち上げと業界人向け講座の拡充はその表れだ。企画・技術系職種を中心とする少数精鋭型スクールの特色を生かしながら、企業や業界団体との連携を強める戦略だ。
 今春、発足予定の卒業生組織はパリ本校にある卒業生ネットワーク「アダエ」の日本版。エスモード・ジャポンを卒業した約3000人に登録を呼びかけ、ウェブ上に相互交流の場を設けるという。情報の一部は企業に開放する。卒業生の多くは第一線で活躍中のデザイナー、パタンナーのため、即戦力を探すアパレルメーカーから注目されるだろう。同校側は「卒業生との連携を強化することは業界内でのエスモードの存在感を改めて高めるし、後輩の就職にも役立つ」としている。
 一方、ここ数年の同校では、ビジネス系の講座を拡充してきた。東京校が4月から、1年制で土曜日に開講する「バイヤー&マーチャンダイザーコース」がその一つ。この職種への転職を希望する業界人が中心対象だ。
 市場分析、ターゲット選定、ポジショニングなどのマーケティングと、商品構成、品揃え計画、仕入れ・販売計画についてのマーチャンダイジングを具体的事例で学ぶもの。商社アパレル部門出身で百貨店のMD統括やバイヤーの経験のある堤久美さんが担当する。
 小売業の独自商品開発に欠かせないファッションデザイン(同校の用語は「スティリズム」)、パターン・縫製(同「モデリズム」)、テキスタイル概論など服作りの専門講義も盛り込んでいる点が同校らしい。

2006/03/08
第一線業界人向け、キャリアアップのための講座 関西の専門学校 現場の教育ニーズに応える
 就職したての人、一定のキャリアを重ねた人、そしてベテラン。これまで日常働いてきた中で、より広く高度な専門知識や技術の必要性を痛感した経験は、誰にでもある。大阪のファッション専門学校4校では、今春も社会人向け教育を積極アピールしている。

大阪文化服装学院「OBFCキャリアスクール」 毎年、設備や講座充実
 大阪文化服装学院の「OBFCキャリアスクール」は、初心者からプロ志望のニーズまでしっかり対応できる社会人向けスクールだ。毎年、設備導入に積極的だし、講座の充実に取り組んでいる。専門学校内にある講座なので、豊富な就職情報も魅力だ。
 今春からは、CAD(コンピューターによる設計)やファッションビジネストータルの講座を加えた。CADは業界で使用率の高い東レのクレアコンポを昨年導入し、専門講師を招いて再開させるもの。オペレーションを基礎から学び、製図のCADへの入力や加工、マーキング、グレーディングなどの作業を一貫して学ぶことができる。
 ファッションビジネストータルは昨秋まであったファッションアドバイザー講座に、ショッププロデュース教育を組み合わせたもの。今や欠かせなくなった広い視点と専門技術とを、短期間で習得できる。
 同校は00年から社会人向け講座を開始。これまでの受講生の中には、会社員をやめて同校でショッププロデュースで学んだ結果、まったく業界経験がないまま店のオーナーになった男性がいる。オリジナル衣装を求め受講している元女性ダンサーは現在、副業で月に何十着も受注している。
 昨年は春と秋それぞれ約100人が受講した。20代半ばの女性が多い。近頃は戦力アップのため、外注先との距離を縮めたり、外注業務を自社でできるようにしようと、中小企業から受講しに来るパターンが目立つ。基礎からしっかり教えることができるので、一般初心者の受講も増えているそうだ。まったく異なる職種の人が新たなステップアップをめざし受講することもある。

東洋ファッションデザイン専門学校東洋きもの専門学校 きもののプロを育成
 東洋ファッションデザイン専門学校の「ファッションエクセレントコース」、東洋きもの専門学校の「きものエクセレントコース」は四大・短大卒、専門学校卒でプロをめざす社会人のためのコース。専門技術を習得したい大学・短大卒者のニーズ、大学・短大卒レベルの教養と専門技術をもつ者を採用したい企業側のニーズが高まり、00年4月に開設した。
 入学者はファッション業界、きもの業界で専門職に就くための専門教育を受けるという目的意識がしっかりしており、学習意欲も旺盛だ。学歴の内訳は四大卒が半数を占め、短大卒40%、専門学校卒が10%となっている。IT(情報技術)企業、美容院などで働き、キャリアアップのため入学する学生も多い。
 エクセレントコースは2年制だが、カリキュラムは本科3年コースを凝縮した構成になっており、密度は濃い。
 卒業生のほとんどが希望職種に就職している。年齢はやや高くなるが、社会人として人格も形成されており、採用企業側の評価も高い。
 06年は技術教育を中心に教員のレベルアップをめざす。ファッション、きものの2校を持つ同校の強みを生かして、きものの学生にファッションの立体を、ファッションの学生にきものの平面を徹底教育するカリキュラムの新設も検討している。

上田安子服飾専門学校 大学、短大から再進学
 上田安子服飾専門学校の「ファッションクリエーターアドバンス学科」は大学、短大、専門学校の卒業者で、デザイナー、パタンナーなどクリエーターをめざす人のための学科。同校では「大学、短大からの再進学」と位置づけており、他分野で学習、就職したもののファッションへの夢を捨て切れない人、より専門的な知識、技術の習得を求める人のニーズに応える。
 ファッションクリエーター学科は通常3年だが、カリキュラムを特別編成し2年で習得できるようにしている。学生の多くがはっきりした目標を持っており、授業のない日も登校して自習するなど意欲的だ。
 02年4月の開設以降、今春で延べ60人近い修了者を輩出する。就職希望者全員がファッション業界に再就職しており、建築を学んだデザイナー、美術教師免許をもつパタンナーなどを送り出している。修了者は専門技術はもちろん、社会人としてのマナーも兼ね備えているため、面接時の評価も高く、即戦力として採用されるケースが多いという。
 就職のニーズに合わせてマーケティング、パソコンによる資料作成など、カリキュラムも充実させているところだ。同学科の入学希望者は増加傾向にあるが、充てられる教室数の制約から定員を増やせないことが悩みだという。

阪神ファッション工芸専門学校 授業内容、自由に選択
 阪神ファッション工芸専門学校の社会人向け講座は4年前からスタートしたパターンメーキング、帽子デザイナー、靴デザイナーの各コースに加え、今年から新たにジュエリー基礎コースが加わる。いずれも基本のカリキュラムを踏まえつつ、初心者からプロまで受講生それぞれの目的に応じて授業内容を自由に選択できる「オーダーメードレッスン」が特徴だ。社会人を対象に帽子や靴、ジュエリーの製作を本格的に学べる講座も珍しい。年々受講生は増えており、繰り返し受講する人も多い。
 4年前からスタートしているパターンメーキングコースは全24回の講座。CAD(コンピューターによる設計)に力を入れるとともに、ナノテク素材など最新の開発素材を使い、さまざまな素材特性に対応するパターン、縫製を学ぶ。現在、市場で求められる商品作りをめざしている。受講生はOL、大学生から業界のプロまで多彩。ショップ店長がショップオリジナル商品製作のために受講したり、企業デザイナーが改めてパターンを学ぶために受講したりしている。資格習得も重視し、05年度のパターンメーキング技術検定には受験者全員が2級に合格した。
 帽子デザイナーコースは全20回。木型を使って本格的にオリジナルの帽子を作り上げる。靴デザイナーコースはトライアルコースが全10回、初級が36回、中級が30回の講座。素材知識や靴の製作工程を学び、ひも靴など高度なパターン、縫製も学ぶ。今年からスタートするジュエリー基礎コースはシルバーアクセサリーをメーンに本格的なジュエリーの作成もめざしている。

【2006年02月】

2006/02/24
ファッションしらいし 産学連携で実技指導 学生に教えることは――技術向上・社員教育につながる
 「学生に教えることが技術向上と社員教育につながる」と婦人服縫製工場のファッションしらいし(東京、白石正裕社長)は03~05年度に、文化服装学院との産学連携事業で服作りの実技指導を実施したが、06年度以降も継続する予定だ。
 対象は同学院アパレル技術科3年の選択科目(前期)の「工場生産研究」で、受講生は毎年度40人。4~9月まで月1回ペース(各回3時間)で合計7回実施。課題作品として03年度はワンピース、04年度はスカート、05年度はジャケットを縫製した。課題作品の採点と評価も同社で行っている。
 同社は各回、幹部と中堅社員2、3人体制で講師と実技指導員を派遣。同学院の助手も応援に加わっている。
 製作が遅れている学生には、7回以外の補講として休日に同社工場で実技指導をしている。同社の幹部社員は縫製だけでなく型紙製作もでき、中堅社員は入社3年目でジャケットの丸縫いができる技能を持つ。
 産学連携事業による利点は人材育成と縫製工の地位向上。白石社長は「技術の伝承は使命。学校と産業界の縫製についての教え方と方法論は同じで、時間の掛け方が学校の方が短いだけ。3時間の授業には休日返上で準備が必要で、教える機会を与えることで向上できる」という。

2006/02/15
第2回JFWシンポ「世界が見る日本」 時代を創る鍵は日本の中に 日本のFBへ問題提起
 第2回「東京発日本ファッション・ウィーク」(JFWイン東京)のキックオフ・イベントとして開催するJFWシンポジウム「世界が見る日本」は「日本の文化とその価値」を再考し、新しい日本のファッションのコンセプトの創造と発展をめざす。
 ファッション産業人材育成機構IFIビジネス・スクールが企画運営する同シンポは3月17日、午後4時半~6時半、特設テント「紅」で開く。定員は350人。
 基調講演Ⅰのテーマは「日本のファッション―西洋からの展望」で、講演者はインターナショナル・ヘラルドトリビューン紙・ファッション・エディターのスージー・メンケス氏。同Ⅱのテーマは「海外が見る日本のイメージをどう活用するか」で、講演者はフランス国立政治科学院付属CERI研究センター所長のジャン・マリ・ブイスゥ氏。総括はフランスIFM(インスティトゥート・フランセーズ・ドゥラ・モード)教授のエレーヌ・カシマティス氏。
 同シンポは「日本のファッションビジネス(FB)への問題提起型イベント」。業界各社のトップに参加を呼びかけ、「業界挙げての討論の起点」をめざしている。背景にはアニメ、映画、音楽など日本が世界から注目を浴びている分野が少なくない上に、「欧米のファッション文化に影響を与える3度目の時期の到来」との流れをとらえ、「世界が見る日本」から産業のとるべき道を探る。「これからの時代を作る鍵は、欧米を追いかけることではなく、日本人が独自に育んできたものの中にあるのではないか」との問題意識がある。

【2006年01月】

2006/02/07
名古屋地区13社合同で就職説明会
 名古屋の繊維・ファッション関連13社で組織する「NAFSプロジェクト21」は6日、07年春の大卒予定者向け合同説明会「ザ商社・ファッションビジネスセミナー」を開いた。7日までの2日間で1500人の来場を見込んでいる。  13社合計の採用予定は今春並みの270~280人。来春の就職戦線は、企業業績の回復や団塊世代の定年で、求人数は増加し、優秀な人材を巡ってシビアな競争が予想される。同プロジェクトでは繊維関連企業が合同で、この業界の面白さや魅力を訴える。各社とも「自分のことばで自分を語れ、夢を持って自分で考え、自分で行動できる人材を求めたい」と、採用担当者や若手社員も説明に立ち、集まった学生に語りかけた。

2006/02/07
4年制新設など新カリキュラム 文化服装学院
 文化服装学院は07年度から、「文化ファッション大学院大学」への進学を視野に入れた4年制コースを新設するなど、カリキュラムを拡充する。
 80年代前半に確立した服飾、ファッション工科、ファッション流通、ファッション工芸の4専門課程の枠組みは「ファッションビジネスの今後の人材育成ニーズに十分対応できる」(同校)として堅持するが、その中身を「企業からの要請に柔軟に応えられるものにする」(同)。
 既存の専攻科(4年次)とは別に、4年間一貫教育で高度専門士を付与する予定の新コースの設置や企業研修の改革、スタイリスト科の細分化などを行う。
 企業研修は現状の短期派遣型から学科、クラス単位で企業と連携し、教育の精度を向上するスタイルに変える。スタイリスト科にはモデルコースを作る。

2006/01/24
【ファッションスクール】 より高度な人材育成へ 最高学府が動き始めた
 繊維ファッション産業は日本の大学の中でその発展に即した位置づけを与えられてこなかった。繊維、家政、美術のカテゴリーごとに専門の教育・研究は行われているが、人間の生活に欠かせない“衣”を産業と連携して総合的に探求する大学や学部は02年4月開学の杉野服飾大学までなく、日本のファッションビジネス(FB)の弱点の一つでもあった。ただ、近年、大学の改革が進む中で日本の有力産業であるFBに注目する動きも見られる。ファッション分野で初の専門職大学院「文化ファッション大学院大学」の開学(06年4月)はこの流れを促進しそうだ。
大学院大学が船出
 ファッション系教育機関というと、日本では専門学校を思い浮かべてしまうが、ファッションの先進国では専門の大学はあって当たり前。ニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)やロンドン芸術大学の一部であるセントラル・セントマーチンズ・カレッジ・オブ・アート&デザインをはじめ、その国のファッション産業をリードするクリエーターを輩出し続けている大学はたくさんある。
 では、なぜ、日本では繊維産業がファッションビジネスに進化する過程で専門大学が作られなかったのだろうか。
 昨年秋、日本で開かれた国際ファッション工科大学連盟(IFFTI)の大会で海外の参加者から「ファッションの一大消費国なのに不思議」という声が多く上がった。日本の有力産業であるFBの高等教育が国公立大学で行われず、一部の私学がほとんどを担っている点にも驚かれたという。それにしても世界の5大ファッション都市の一つを首都に持つ国でなぜこうなってしまったのか。明快な答えは出ていないが、克服に向けた取り組みは始まっている。
 文化学園の大沼淳理事長は、文化ファッション大学院大学について「東京に高度な人材を育成する拠点がなくて良いのか、という思いが出発点だった」と話す。文化服装学院や文化ファッションビジネススクールで培った教授陣、ノウハウをつぎ込んで日本のFBの課題に取り組む考えだ。そこでは(1)オリジナリティーあふれるデザインを生み出すクリエーター(2)優れたクリエーションを商品化するモデリスト(3)ファッション知財を事業化するマネジメント力(4)製造業の未来を開く人材――の育成にあたる。一私学が産業の大テーマを背負う格好だが、「若くて優秀な人材を結集する拠点ができた意義は計り知れない。運営委員会を組織し、産業界と一緒に新しい教育機関を作る姿勢で臨む」(同)と意気込む。
公立大初の専門コース
 全国を視野に入れたファッション専門職大学院の試みは文化学園が最初だが、金沢市(石川県)では05年4月、金沢美術工芸大学の大学院デザイン専攻にファッションデザインコースが誕生している。04年6月に議決した「金沢ファッション産業都市宣言」の具体化の一環だ。ビジネス感覚を備えた次世代クリエーター育成という目的はFB業界のニーズにぴったり。一地方の実践とはいえ、公立大学に初めてFBを位置づけた実験は、国立大学にも近い将来、ファッション立国に対応した教育・研究の場を作る夢につながる。
 ファッション産業人材育成機構(IFI)ビジネス・スクールの尾原蓉子学長の「ファッションビジネス総論」のほか、IFI派遣スタッフによる実学志向のカリキュラムが中心。作品製作でも原価率や生産手法、縫製指示・発注といったプロの実務を体感させることに力点を置いている。また企業の企画に参加してデザインの提案から商品製作、販売までを行う授業も一部で導入している。今後は、パリ・コレクションの見学を通じ、FBの華やかさと過酷さも体験させ、成長への意欲をより高めていきたいとしている。
専門学校が大学に進出
 家政系の大学・短大を持つ服飾系専門学校の中には専門職大学の設置に挑戦する動きも出てきた。代表例は杉野女子大学から杉野服飾大学への変身だが、これに続く動きも出てきた。分野を明確にし、少子化の中で生き残りを図る戦略でもある。
 05年4月に神戸ファッション造形大学(兵庫県明石市)を開学した福冨学園(神戸市)はその一つ。金沢美術工芸大のケースと同様、背景には、ファッション都市・神戸から世界に羽ばたく人材を送り出したいという地域活性化の思いがある。同大では「総合力のある人材を企業が求めるようになる中、“人間としての基礎教養”を深めるのが教育の役割」という。ただ、08年度までに教授陣の3分の1を業界経験者にする。併設の短大、専門学校と連携しながら実務能力に優れた人材を輩出していく考えだ。今後は県内の地場産業との連携も強める。

2006/01/24
バイヤー&MDコースを新設 エスモード・ジャポン東京校
 エスモード・ジャポン東京校は4月、「バイヤー&マーチャンダイザーコース」を新設する。土曜日開講の1年制で、この職種への転職を希望する業界人、異業種の社会人と学生向け。ファッションビジネス業界の人材育成ニーズに積極的に対応する。
 新コースは、市場分析、ターゲット選定、ポジショニングなどのマーケティングと、商品構成、品揃え計画、仕入れ・販売計画についてのマーチャンダイジングを具体的事例で学ぶ。商社アパレル部門出身で百貨店のMD統括やバイヤーの経験のある堤久美氏が講師になる。
 同校らしさを出すため、小売業の独自商品開発に欠かせないファッションデザイン、パターン・縫製、テキスタイル概論など服作りの専門講義も盛り込む。
 同校はデザイナーやパタンナーなど企画・技術系人材の育成に特化した服飾系専門教育機関。しかし、ここ数年は、就職を意識してチームワークを養うカリキュラムを導入したり、企業との協業型授業を増やすなど改革を進めてきた。今回の新コースで、社会人向けのメニューを広げ、“クリエーター育成専門校”から“クリエーター教育の実績を生かす総合校”へイメージを変えつつある。

2006/01/12
全店に対象拡大 高島屋セールスマネジャー塾 ノウハウを共有
 高島屋は、接客などについての各売り場のノウハウ交流を通じて販売部門の能力向上につなげることを目的に05年9月に立ち上げた教育機関「高島屋セールスマネジャー塾」の受講対象を、06年度から全店の販売現場の責任者に広げる。今下期は東西の大型5店の販売現場の責任者を対象に開講したが、グループ討論などを通じた手法が受講者から好評で、日常的な現場教育を補完するうえで有効と判断した。団塊世代の退職を前に、個々人のノウハウを属人化させずに組織として継承、共有化し、人材を育成する狙いがあり、「塾」で発表された先進事例などをマニュアルにまとめて活用を促進する活動も強める。
 今下期の塾は、東京、大阪2会場で開講。東京は東京店など3店のセールスマネジャー計164人、大阪は2店計109人が、2月までの計4回の課程を受講している。
 1回の参加は約40~50人。全員を代表するセールスマネジャーが先進事例を発表し、それをもとに5人ほどのグループに分かれて議論し、ノウハウを交流する。その後、グループ別の討論内容の発表や、CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)などをテーマにした講義がある。
 接客や顧客管理、売り場の美化などの指導はOJT(現場教育)が基本だが、シフト勤務の増大などで困難な側面も生じてきた。OJTを補完すると同時に、売り場や店舗の枠を超えて販売現場の責任者がノウハウを交流、共有化し、参考として取り入れる先進事例を学ぶ場として塾を立ち上げた。
 討論のグループは、同じ商品分野を担当する他店の担当者を基本に編成する。参加者からは、ノウハウ交流が参考になったことのほか、同じ分野の担当者同士でネットワークができたことなどが好評を得ているという。
 塾の立ち上げに先立って上期には、各店の接客などに関する先進事例をまとめたマニュアルを「販売心得帖」の名称で作成し、セールスマネジャー全員に配布した。
 塾の第1期となる2月までの課程終了後、そこで出されたノウハウなどを心得帖に付加して内容を充実、現場での活用に役立てる。今後も引き続き内容を充実していく。
 06年度上期は、新たに加わったセールスマネジャー向けと2期目となる大型店のセールスマネジャー向けは別々に開講するが、下期には合流させる。
 ノウハウ継承と次世代の人材育成を目的にした教育制度は、販売部門を優先させたが、将来はバイヤー向けの教育制度の開講も検討している。

2006/01/04
経産省首脳の年頭所感 「新成長戦略」早急にまとめ 二階経産相 国際ブランドと物作り発信 石毛製造産業局長 新日本様式協議会設立 豊田商務情報政策局長
 経済産業省の二階俊博経産相は、所感を明らかにし、「日本経済の活性化による国富の拡大が不可欠であり、このことこそ経済産業省に課せられた使命。今年はそのための飛躍の年にする」と期待を込めた。
 具体的には国際競争力の強化と地域経済の活性化を二つの柱とした「新成長戦略」を取りまとめる。研究開発、人材育成の支援、特に日本の誇る中小製造業の技術力を一層強化するとし、「モノ作りの現場の技術者が我が国産業の中心的役割を担っている」と強調した。
 地域経済が自立していくいくためには、地域産業が国際競争力を持つようになることが重要としたうえで、地域ブランドや地域固有の資源を再活用する取り組みを支援するとともに、産業クラスター計画の推進や対日直接投資の促進に努めるとした。都市の郊外化と中心市街地の衰退に対応して、コンパクトでにぎわいのあふれるまちづくりを実現するため、中心市街地の活性化支援を強力する考えも明らかにした。
 知的創造については競争力に直結させることが重要で、知的資産を活用した経営の促進や民間の力も活用して特許審査の迅速化、模倣品の激減対策、デザイン保護の取り組みを進めるとしている。
 通商政策もWTO(世界貿易機関)ラウンド交渉と経済連携交渉を両輪に積極的に展開するとし、具体的にはWTOでは鉱工業品関税など主要5分野でバランスのとれた成果、経済連携交渉では昨年大筋合意したタイ、署名に至ったマレーシアに続き、東南アジア諸国連合(ASEAN)等との経済連携を推進したいとしている。
 石毛博行製造産業局長は昨年、ファッション・ビジネスの国際競争力を高めるため「東京発日本ファッション・ウィーク」が開催されたことを評価。今年も国際的なブランド戦略による繊維産業の競争力強化に向けた取り組みや、地域経済の核となっている産業への支援を通して、世界に向けた日本のモノ作りの発信をめざすとしている。
  豊田正和商務情報政策局長はIT(情報技術)投資促進税制を刷新し、「産業競争力のための情報基盤強化税制」を新設する考え方を示した。伝統的なデザインや機能・コンテンツを現代の生活に相応しようと再提言する「新日本様式」という新ブランドの確立・普及をめざす新日本様式協議会が28日に設立され協居議会を文化庁、外務省とともに支援するとしている。


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