現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. BOOK
  4. ひと・流行・話題
  5. 記事

文化部記者を小説に 「盤上のアルファ」の塩田武士さん

2011年2月17日

写真:作家・塩田武士さん(31):作家・塩田武士さん(31)拡大作家・塩田武士さん(31)

表紙画像著者:塩田 武士  出版社:講談社 価格:¥ 1,575

 記者が登場する小説といえば、事件事故を扱う社会部が王道。でも「文化部」だって、ドラマがある――。将棋界を描いたデビュー作『盤上のアルファ』(講談社)には、そんな思いを込めた。

 作品は、社会部から異動させられた文化部記者の視点で進む。見つめるのは、プロ棋士編入に挑む破天荒な男だ。自身も現役の神戸新聞記者として、囲碁将棋などを取材している。「人間関係を深く取材するのが文化部。キャラクターが立つ人物が書けた」

 ずっと小説家になりたかった。夢を抱いたのは、19歳のころ。「お笑い」に挫折したのがきっかけだった。ダウンタウンを生んだ尼崎市生まれ。17歳で親友と漫才を始め、事務所に所属した。「ネタ帳」を持ち歩き、「オモロイ」と思えばメモした。ただ「全然うけへんかった」。心が折れた。

 悶々(もんもん)としていた時、地域タレントだった8歳上の姉、えみさんから藤原伊織さんの小説『テロリストのパラソル』を薦められた。「これや、思いました」。昔、姉から言われたことも思い出した。「あんた書く方が才能あるんちゃう」

 ネタ帳が「アイデア帳」に変わった。ミステリーから時代小説まで何でも書き、賞に応募。落選が続いても心は折れなかった。「絶対、作家になると思ってました」

 文化部で将棋を知り「これは行ける」と思った。「映画『Shall we ダンス?』の社交ダンスのように適度なマイナーさがありつつ、真剣勝負が描ける」と。2008年12月、原稿用紙1枚に決意をまとめた。「作品で何を書くのか、プロット作りの前に書いた」。登場人物に「軸」が座り、事件事故とは別の読み応えがある「文化部小説」が生まれた。

 今後も「人」を描く。「記者という武器を生かし、読み手の感情を揺さぶりたい」(高津祐典)

表紙画像

盤上のアルファ

著者:塩田 武士

出版社:講談社   価格:¥ 1,575

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内 事業・サービス紹介

ここから広告です

広告終わり

検索

「片付け」で幸せに

写真

話題の「断捨離」提唱者・やましたひでこさんと、「かたづけ士」の小松易さんに、それぞれの「片付け哲学」について聞きました。

POWERED BY Amazon.co.jp