政治

文字サイズ変更

菅首相:1.5次補正「時間稼ぎ」 本格的復興予算遅れも

 菅直人首相が14日、22日までの国会会期を延長し11年度第2次補正予算案の7月中の国会提出を目指すよう野田佳彦財務相らに指示したのは、赤字国債の発行に必要な特例公債法案の成立の見通しがつかないなかでの「時間稼ぎ」の意味がある。内容も被災者支援などに絞った補充的で小規模なものが見込まれ、かえって本格的な復興予算が遅れる恐れもある。復興を置き去りに与野党の駆け引きばかりが先行している。

 菅首相は14日の参院東日本大震災復興特別委員会で自らの退陣表明について「実はいつ辞めようと思っていたとしても公にはしないし、前の日に決断することもある。いつまでということは、言う種類のことではない」と説明した。野党に対する切り札にするため、首相は正式な退陣表明の時期をあいまいにする戦術を続けている。

 民主党執行部は特例公債法案さえ成立すれば首相のクビを差し出す構えだ。しかし、自民、公明両党は、特例公債法案を次期政権でもカードとして温存したいため「話し合いは次期首相で」という原則論を崩さない。

 首相が2次補正を「1.5次補正」と表現するのは自公両党が賛成した1次補正の補充を強調し、再び両党の抱き込みを図る狙いだ。しかし、肝心の特例公債法案成立の道筋は見えない。民主党の平田健二参院幹事長は「野党が協力しないと言っているのに、大幅だろうが小幅だろうが(国会会期を)延長してもどうにもならない」と指摘した。

 そもそも、内閣不信任決議案が否決される前の今年5月の段階では、政府・与党側は会期通りに閉会し、復興に向けた本格的な2次補正予算案を次期臨時国会に提出する方針だった。一方、野党側は現在とは逆に会期延長を求めていた。復興に向け国会が果たすべき役割よりも与野党の思惑が優先されている。

 2次補正の内容もまだあいまいだ。東京電力福島第1原発事故の損害賠償の国負担分や、被災者の二重ローン対策、各自治体が自由に活用できる「復興交付金」の計上などが議論されそうだが、財源のめどがついていない上、二重ローン対策などは制度設計途上にあり、曲折が予想される。

 財源調達のハードルも高い。新規国債は発行せず、菅首相は10年度の決算剰余金などでのやりくりを指示。ただ、財政法の規定で剰余金の半額以上は国債償還に充てる決まりで、苦しい編成作業を迫られる。【須藤孝、坂井隆之】

毎日新聞 2011年6月14日 23時02分

 

おすすめ情報

注目ブランド

毎日jp共同企画