平成15年度[第7回]文化庁メディア芸術祭
受賞一覧

平成15年度(第7回)文化庁メディア芸術祭の受賞作品を紹介します。
※画像をクリックすると作品の詳細情報をご覧いただけます。

アート部門

デジタルガジェット6,8,9

デジタルガジェット6,8,9

作者:クワクボリョウタ

【作品概要】 企業の画一的なデジタル製品とは違う、オリジナリティ溢れるデジタル・ガジェットを、高い技術力とセンスあるデザインで、全て手作りで組み上げた。「テクノロジーの進歩はひとつではない」という、作者独自のテクノロジー論が貫かれた、かつ生活の中でも十分楽しめるメディア・アートでもある。
エンターテインメントと、アートと、技術とが融合した「電子工芸」とでもいうべきこの作品は、日本的な新しいスタイルといえよう。

エンターテインメント部門

ファイナルファンタジー・クリスタル クロニクル

ファイナルファンタジー・クリスタル クロニクル

作者:スクウェア・エニックス
/任天堂開発チーム

【作品概要】 マルチプレイモードという新しいモードを備えており、ゲームボーイアドバンスを使用して4人で同時にゲームに参加することを可能にしている。
グラフィックス、音楽ともに、2003年の作品に相応しい一級の仕上がりを見せており、操作性もコントローラーにマッチしてスムースで気持ちが良い。
ストーリにも夢が感じられ、ロールプレイングゲームの物語性を十分堪能できる作品に仕上がっている。
全ての要素がバランスよく融合し、大賞に相応しいゲームである。

アニメーション部門

連句アニメーション「冬の日」

連句アニメーション「冬の日」

作者:川本喜八郎、他

【作品概要】 短編アニメーションという、自由度の高いパーソナルな表現単位を組み合わせて長編に見立てる試みは以前から数多く行われてきた。
スタイルや方法論が異なり、バラバラになりがちな各々の作品を繋ぐルールとして日本独自の“連句”を導入したことで、従来とは一線を画する強い必然を持った一本の「長編」を構築したのが本作である。
その短さから発表形態に制約を受けがちな短編アニメーションに対する新たな可能性の開拓と、日本独自の文化をアニメーションという表現を用いて発展させたことは、本年度最大の収穫といえよう。
そして参加した作家陣の華やかな競演を、普段短編アニメーションに接することのない人たちにこそ観て欲しい。

マンガ部門

カジムヌガタイー風が語る沖縄戦ー

カジムヌガタイー風が語る沖縄戦ー

作者:比嘉慂

【作品概要】 時間をかけた取材をもとに、ていねいに描かれた沖縄戦のエピソードは、読みはじめるとぐいぐいひきつけられ、忘れ難い印象を残す。
これは単に過去の事件の再現ではなく、現在に続く日本人の根底にあるものについての物語なのだ。
引き締った構成の短編連作には冗長なところはまったくない。
地味で感情を押さえた描写は、逆に迫力と説得力を持ち、味わい深く何度でも読み返したくなる。
こうした作品が出てきた意義は大きい。

功労賞

山口勝弘

功労賞

山口勝弘

 

昭和3年生まれ。昭和27年に『実験工房』を結成し、メディアを使った作品を作り始める。アートと科学技術についての評論活動も行ない、著作には『ロボットアヴァンギャルド』、『映像空間創造』、『メディア時代の天神祭』等がある。平成5年第14回ロカルノ国際ビデオアート・フェスティバルヨーロッパ委員会名誉賞、同13年第42回毎日芸術賞(個展『闇・2000・光』に対して)を受賞。日本大学法学部卒業、筑波大学芸術学系、神戸大学芸術工科大学視覚情報デザイン学科教授を経て、現在、環境芸術メディアセンター代表及び筑波大学名誉教授、神戸芸術工科大学名誉教授。

ページ上部へ戻る

MAP編集部のイチオシ! 今こそ読みたい。これまでの記事をご紹介

原 恵一(アニメーション監督)インタビュー

原 恵一(アニメーション監督)インタビュー

「僕は日本人にしか作れないものを作っているつもりですので。...

束芋 断面の世代

束芋 断面の世代

「グロテスクであり、エロティックであるのですが、なぜかもう一度みたくなってしまうような、...

宮沢章夫(劇作家・演出家)

宮沢章夫(劇作家・演出家)

「ノイズが生み出すのは、誰だって持っている昏(くら)い側面を肯定する、受け皿としての文化だ。...

荒木飛呂彦(マンガ家)

荒木飛呂彦(マンガ家)
インタビュー

「"筋肉ムキムキのヒーローだけが強いわけではないだろう"と思っていたんですよ。...