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最後のつばさ400系どこに行く? JR東、保存法を探る

2010年12月02日 11:31
山形新幹線つばさの初代車両400系。現存するのは先頭車両1両のみ=今年4月18日、山形市・JR山形駅
山形新幹線つばさの初代車両400系。現存するのは先頭車両1両のみ=今年4月18日、山形市・JR山形駅
 山形新幹線つばさの初代車両で、今年4月、すべての編成が引退した400系について、JR東日本が最後まで運行していた1編成(7両)の先頭車両1両を保存していることが1日までに分かった。ほかの客車など6両は既に解体されており、現存する400系は、この先頭車両のみ。福島市内の車庫で保管されている。日本初の「ミニ新幹線」で、鉄道遺産としての価値は高く、JR東日本は鉄道博物館(さいたま市)への展示を含め、保存方法を検討しているが、新たな“嫁ぎ先”はまだ決まっていない。

 山形新幹線の車両はJR東日本と県、企業などでつくる第三セクター「山形ジェイアール直行特急保有」が所有し、JRにリースする形で運行している。JR東日本山形支店によると、400系最後の1編成は、引退後の今年5月にJR東日本に移管、譲渡された。

 400系全12編成のうち、先に引退した11編成はすべて解体処分されているが、JR東日本は最後の1編成の一部を保存する方針で検討を進めてきた。全車両を保管しておくスペースがないことや、維持経費がかさむことなどから、先頭車両のみを保存することを決め、5月上旬、残りの車両を解体した。保存された先頭車両は、東京方面を向いていた車両で、「もっとも山形新幹線の特徴を物語る部分」(JR東日本関係者)となる東北新幹線との連結装置を先端に備えている。

 山形新幹線は1992年7月に開業。在来線のJR奥羽本線の線路幅を新幹線の線路幅に広げることで、新幹線・在来線直通運転を可能にした。開業から導入された400系は、在来線のトンネルを通過するため車体を東北新幹線などのフル規格より1回り小さく設計され、「ミニ新幹線」と呼ばれた。東京駅に乗り入れる新幹線の過密解消のため、福島駅以南は東北新幹線と連結して運行する方式を採用した。当時の最先端技術が注ぎ込まれ、その技術は、秋田新幹線などの開発に生かされた。

 2008年からは、現行のE3系への転換が進められ、400系の引退が始まった。今年に入ってからは1編成のみとなり、4月18日のラストランをもってすべての400系が退いた。先に引退した車両がすべて解体されていることから、最後の1編成の行く末に注目が集まっていた。

 鉄道博物館には、東北新幹線初代車両の200系が既に展示されており、400系と連結した“相棒”と一緒に展示されることを望んでいるファンは多く、「400系と200系が一緒に並んでいる姿を鉄道博物館で見せるのが理想的」と関係者。だが、鉄道博物館は現在、スペースに余裕がなく、拡張するのも難しい状況だという。

 これまで、民間企業から譲ってほしいとの問い合わせがあったものの、維持費や陸送費用などが数千万円以上かかることから、断念したという。JR東日本山形支店の担当者は「公園にある蒸気機関車のような展示方法では譲るのは難しい。最低限、雨風がしのげる施設があり、メンテナンスができる環境に置いてあげたい」と話している。
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