Hatena::ブログ(Diary)

月明飛錫

2011-06-27

過保護な「はてな」と自己責任の「blogger」 3.結論

| 23:57 | 過保護な「はてな」と自己責任の「blogger」 3.結論 を含むブックマーク

先日のエントリーについて、一部誤解があるようだが、私がいいたかったのは、「はてな最高」ということではなく、日本のブログサービスは、「はてな」に限らずユーザーのニーズに合わせて独自に進化し、工夫されたサービスを提供しているのに、世界には広まらないという点で、携帯電話業界と同様に残念だということ。


私は世界で使われているブログサービスとして、自分が利用している「blogger」について書いたけれど、世界で一番シェアの高いブログサービス「WordPress(ワードプレス)」も、ある程度知識がないと使いこなすのは難しそうだ。


それと比べると、日本のブログサービスは特別な知識が全くなくても、手軽にはじめられる。しかもトップページなどからアクセスを流したり、ユーザー同士で交流できるような工夫された仕組みをほとんどのサービスは持っていて、一昨日も書いたように、こうした機能に関しては「はてな」以上に優れている日本のサービスもあるようだ。


しかし、せっかく優れた機能を持っている日本のブログサービスが、世界に進出してシェアを奪っていくという状況にはない。

(ただし、簡単にはじめられて、ユーザー同士で交流するというニーズが、英語圏であるのかどうかはわからない。もしそうしたニーズがあったとしても、それならフェイスブックを利用したほうが安心だ、ということになるのかもしれない。)


もう一つは、ブログと他のソーシャルネットワークとの関係だ。

日本のブログサービスは、何社もが乱立して国内市場で激しい競争を繰り広げている。その間に、ツイッターやフェイスブックといった、ブログとは違ったレイヤーのソーシャルネットワークサービスがアメリカから入ってきた。

ブログサービス各社は、ツイッターやフェイスブックと提携して、これらのサービスからアクセスが来るような仕組みになっているので、現在では双方共にメリットのある相互補完状態にはある。

それでもちょっと気になるのは、ツイッターやフェイスブックがある種、ネット上での同一性を保つ共通IDのような使われ方をしている側面があるところだ(もちろんそれ以外に、ツイッターでは情報の伝播が早く、すぐに反応が得られるなどの特徴がある)。最近はコメントをフェイスブックからに限定するブログも出てきた。


そこで私が思うのは、日本のブログサービスが早い段階で共通ID性を採用していたら、どうなっていただろう?ということだ。

日本のブログサービスが国内市場で過当競争を繰り広げずに、業界全体のメリットを拡大する方向に進んでいたら、今とは多少違った展開になったかもしれない。フェイスブックは実名で、ブログサービスはハンドルネームでの利用が多いという違いはあるが、自分のハンドルネームを大切にしている人はそれなりにいるからだ。


参考:縄張り意識が全体の窮乏化につながる


ところで、今年2月のニューヨークタイムズ紙には、アメリカでは33歳以下の若者は、ブログよりもフェイスブックやツイッターを好んで利用しているという記事があった。

この記事に掲載されているPew Research Centerの調査によると、2006年から2009年にかけてアメリカ人の12歳から17歳までのブログユーザーは半減し、18歳から33歳までのブログユーザーは過去2年間で2%減ったとのこと。

ブログには、自分の考えをネット上で伝える側面と、コミュニケーションのツールとしての側面がある。アメリカの若者は後者を重視し、読んでもらえるかどうかわからないブログよりも、すぐに反応を得られるフェイスブックやツイッターのほうを利用するようになっているという。

逆に34歳以上では、ネット人口におけるブロガーの割合は2年前と比べて増加しているとのこと。


日本のツイッターユーザーは、若者というよりもビジネスマンが多いそうだけれど、ツイッターをはじめてからブログを更新する機会が減ったという声も聞く。

先述の2つの側面のうち、コミュニケーションの部分はツイッターやフェイスブックが担っていき、ブログは自分の考えをストックとして残すという使い分けが進んでいるのだろうか。ただ、Market Hackさんのように、フェイスブックはブログと競合するという意見もあり、今後どうなっていくのか、興味深いところだ。

参考:Facebookはブログと競合するか?- Market Hack



【関連記事】

過保護な「はてな」と自己責任の「blogger」 1.機能編

過保護な「はてな」と自己責任の「blogger」 2.アクセス編