肥育牛のビタミンA適正給与について


 肥育牛では血中のビタミン濃度をある程度制限することによってサシが入り高品質な牛肉が生産できるといわれていますが、ビタミンAは体にとって必要なビタミンですので欠乏してしまってはさまざまな病気の原因になってしまいます。
 肥育牛(黒毛和種など)は生後約30ヶ月で出荷されるまでの期間、各ステージによって適切なビタミンAの給与量の指標があります。以下に黒毛和種去勢牛の肥育ステージごとのビタミンA給与量と血中ビタミンA濃度の関係を示します。




■予備期(1ヵ月間、10ヵ月齢)
 移動の疲れを取り、新しい環境に馴致させる期間。導入時にビタミンAを200〜300万単位投与。導入当初は乾草とワラのみの給与とし、3日目位から徐々に前期飼料を給与する。
 1ヵ月後で前期飼料を約3kg給与する。ビタミンAとして一日あたり3万単位。
 


■肥育前期(3ヵ月間、11〜13ヵ月齢)
 筋肉、骨、胃をしっかりつくる期間。粗飼料(チモシー、イタリアンストロー、ワラ)は飽食3〜4kgとし、前期飼料(ビタミンA入り)を3〜4kg給与する。
 13ヵ月齢からビタミンAの添加されていない後期飼料に徐々に切り替える。
 


■肥育中期(6ヶ月間、14〜19ヶ月齢)
 肥育を本格的に始める時期で、増体を確保しながら脂肪交雑を高めるために十分なエネルギーを給与し、ビタミンAをコントロールする。ビタミンAの給与を制限する時期である。
 粗飼料はカロテンの少ないイタリアンストローまたはワラを最初は2kg、その後は1.2〜1.5kg給与。ビタミンA抜きの後期飼料を14ヵ月齢で4〜5kg、徐々に増給していき18ヶ月齢で8kg程度与える。濃厚飼料はルーメンアシドーシスに注意しながら増やすよう気をつける。
 また、18ヵ月齢を過ぎるころには早い牛ではビタミンA欠乏状態となるのでよく観察し、食欲の低下などが見られたら補給する必要がある。


■肥育後期(6ヶ月間、20〜25ヶ月齢)
 脂肪を筋肉内にしっかり形成させる期間。ワラは1.0〜1.2kg、後期飼料は飽食とし少し残飼が残る程度(8〜9?)を給与する。
 多くの牛がビタミンA欠乏状態となるのでよく観察し、飼料中に一日あたりビタミンAを3000単位程度添加する。また、食い止まりや肝炎の発生しやすい時期なので心配な牛は獣医師の診察を受ける。  


■仕上げ期(6ヶ月間、26〜31ヶ月齢)
 筋肉内の脂肪蓄積をはかりながら、きめ、しまりを仕上げていく時期。すでにビタミンA欠乏症状を示す個体があれば、同月齢の群全体に対しビタミンAを一回に100万単位程度経口または筋肉内に投与する。飼料中には一日あたり5000単位程度添加する。


■ビタミンA欠乏による症状
 軽症では食欲不振、四肢特に後肢の腫れ、毛づやが悪くなる等であるが、重症になると盲目、頑固な下痢、失神、発育不良などを呈するようになる。また、筋肉水腫(ズル肉)や肝炎、尿石症との関連も示唆されている。