しかし過度にエロな衣装は減点される

 素肌かと見まがう“透ける肌色”の生地(=ストレッチチュ−ル)。あれは要するに、詐欺ブラのカラクリに使われたパワーネットと、伸縮の強度は異なるが、同種の素材である。下着では裏方の仕事、こちらではヒノキ舞台の仕事、とでもいおうか。

“露出風”に見せながら、布として機能し、飾り付けの土台にもなる。また寒いリンクでは「生地が薄くても1枚あるだけで寒さがだいぶ違うらしい」(山口デザイナー)。

肌にぴったり着るので、限りなく素肌に近く見える(画像クリックで拡大)

着ると「素肌っぽい」が実はこういう「服」である(画像クリックで拡大)

 ただし、過度にエロを誇張する扇情的な衣装は減点の対象になる。日本スケート連盟に確認すると、「原文のルールブックに“ヌーディティ(裸体)を連想させるものはNG”とあり、転倒と同じ減点1」。その判断基準は、「露出は全身の何割まで」といった物理的なものでなく、あくまで印象による。

 「1980年代後半から90年代にかけて、全身肌色のコスチュームを着て、胸のところに乳房のポッチをつけて、股間に黒い布を張った外国人選手がいまして、そういう下品なのはやめろということでこのルールができたんです。特に女性のジャッジは敏感です。まあイヤラシイわね!と不愉快にさせるデザインはダメ。露出が何%とか背中がガッポリ開いてたらNG、というのでなく、全体としてイヤラシイ、裸体を連想させるような扇情的なデザインはダメ、ということ」(同)。ちなみに減点された選手はまだ一人もいないそうだ。

 先頃のグランプリシリーズロシア杯でも安藤美姫選手の「スケスケ&赤いブラ」衣装が話題になったが、あれはエキシビションなので競技とは関係ない。当ルールの適用外である。

 次回は、衣装の制作の流れ、デザイン画ではわからない意外な盲点、気になるブラやパンツ、タイツのポイントを紹介する。「フィット感が大事」なのはビーチバレー水着のパンツも同じだが、ポイントの場所がちょっと違うのだ。それはどこかというと……

(つづく)

著者

赤星千春(あかぼし ちはる)

「?」と「!」を武器に、トレンドのリアルな姿を取材するライター&エディター。