スポーツ報知芸能記者が本音をぶつける座談会シリーズ「檄」。今回は少し早いですが、1年の締めくくりとして音楽担当記者が選定する「2011年スポーツ報知音楽大賞」を発表します。シングル、アルバムの売り上げ低下に歯止めのきかない音楽業界。ミリオンヒットはAKB48(シングル3作、アルバム1作)のみ。この状況を象徴するように、年間MVPも米歌手レディー・ガガ(25)がさらった。
【人気&売り上げ】「AKB&嵐がMVP」
A 人気とセールスを見れば、AKB48で間違いなしだと思う。
B 昨年同様、嵐を含めた“2強”を追随するアーティストが現れなかったな。
C 東日本大震災で動きが止まった。春先は節電の影響でライブを自粛するアーティストも出たが、「復興」と「再生」の年になった。
B そうだな。音楽の力、影響の大きさをあらためて感じさせられたもんな。
A 各アーティストが楽曲、コンサート収益の寄付などを行っているが、長渕剛はMVP級の活躍だと思う。航空自衛隊松島基地の慰問、被災地児童を対象にしたサマーキャンプの企画。この行動力はすごいのひと言。
C EXILEの動きも早かった。「日本を元気に」をスローガンにしてメンバーの被災地慰問、炊き出しを即座に実行した。HIROのリーダーシップはもちろん、個々の意識の高さには頭が下がるよ。
A 福山雅治もそう。チャリティー特番のパーソナリティーとして、24時間メッセージを発信し続けた。震災直後、レギュラーのラジオ番組で東北地方のリスナーのリクエストに応え、生歌でエール。ジーンと来たわ。
B 福山は歌でも結果を残したもんな。初の沖縄公演は大成功。「家族になろうよ」はシンガー・ソングライターとしてオリコンのシングル首位獲得数13で歴代トップに立ったからな。
C 事務所の先輩・桑田佳祐も忘れちゃいかんよ。「チーム・アミューズ!!」の旗振り役として「Let’s try again」を発売した。9月11日の宮城ライブは今年ナンバーワンのライブ。がんからの復活、被災地の復興が自然と重なって見えた。歌声を聴いて、会場全体が涙にぬれていた。
A 公私共に話題を提供してくれた、ゆずもいるね。2月に発売した「Hey和」は震災後、一気にフューチャーされた。
B 歌唱力、エンターテインメント性含め、総合力でガガを推したいな。真っ先に日本の支援を表明し、6月の来日時はライブも行ったからな。
C 年末の各音楽番組出演の動向も気になる。世界に日本は安全と訴えてくれた影響力はすごいよ。日本での単独コンサートも期待したいところ。
【松本グラミー賞、健在稲葉】「B’z特別賞」
A 震災の影響で印象が薄くなってしまったけれど、グラミー賞を受賞したB’zの松本孝弘は快挙だね。
B 米国のジャズ、フュージョンギタリストのラリー・カールトンと共作したアルバム「TAKE YOUR PICK」が最優秀ポップ・インストゥルメンタル・アルバム賞。日本人のポップス部門でのグラミー受賞は史上初だからな。
C B’zとしても、8年ぶりとなる北米ツアーを実現。現地ファンの熱狂ぶりもすごかった。
B ライブの質も全く落ちないからな。松本のギターの技術はもちろん、稲葉浩志のボーカル。20年以上最前線にいて、あの高音を出し続けられるのは、日々の努力のたまものだろう。
A 数字も残した。アルバム「C’mon」発売で、シングル、アルバムの総売上枚数が8000万枚突破。シングルが3525万枚、アルバムが4477万枚。とてつもない数字…。
C 吉川晃司、布袋寅泰のCOMPLEXの21年ぶり復活もしびれた。仲たがいが原因で事実上の解散となっていた2人が、ステージ中央で握手を交わす姿はグッと来た。魂を感じた。
B チャリティーライブつながりで言えば、氷室京介の「BOΦWY」の曲だけを歌った東京ドーム公演。氷室ソロも良かったが、全メンバーでの復活も見たくなったな。
【ガッツあるブレーク期待の7人組】「キスマイ新人賞」
A パンチに欠ける。これという人材がいない。
B SKE48、NMB48もいいけど、AKB48あってのという部分は大きいからな。
C レコード会社担当者も「新人が売れない」と嘆いていた。女子中学生グループ「Fairies」はどう?
A ダンス、歌唱力はあの年代にしては、ずば抜けている。順調に成長して、2、3年後にビッグになってほしい。
B きゃりーぱみゅぱみゅの北欧でのフィーバーぶりはすごかったな。日本ではファッションモデル。まだまだ歌手としては認知度が低いな。
A ジャニーズ事務所の7人組「Kis―My Ft2」はブレークを期待できそう。嵐、KAT―TUNの後ろで踊っていた経験と、下積みが長かった分、ガッツもありそうだからね。
C ドラマ「美男ですね」はこけたけど、夏の全国ツアーは大盛況だった。
B アイドル全盛の時代とはいえ、新人バンドには頑張ってほしい。
【ドラマから「マルモリ」大ヒット】「愛菜ちゃん&福くん話題賞」
A 芦田愛菜と鈴木福が役名のユニット「薫と友樹、たまにムック。」として歌った「マル・マル・モリ・モリ!」に触れないと。
B 当初は「JIN―仁―」の裏番組で、誰も期待していなかった番組が思いのほか大ヒット。その主題歌が、今年を象徴する歌になったな。
C 口ずさみやすいメロディー、簡単な踊り。幼稚園の運動会、結婚式の余興でよく見かけた。
B 「マル・マル―」のセールスは46万枚超。芦田は「ステキな日曜日~Gyu Gyu グッデイ!~」でソロデビューにまでつなげたからな。
C 大人を虜(とりこ)にするかわいさがたまんないよ。子供があまり得意でない記者連中でさえも、思わずデレ~ッとしてしまっていたからね。
B 新人賞も考えたが、将来は間違いなく女優の道に進むだろう。
A 出来すぎていて怖い部分もある。一過性のブームで終わらないといいけどな。
C 震災直後、株を上げたのが斉藤和義。「ずっと好きだった」の歌詞を反原発の内容にした替え歌「ずっとウソだった」は“秀逸”だった。
A 「ほんとウソだったんだぜ 原子力は安全です」「ずっとウソだったんだぜ ホウレンソウ食いてえな」の歌詞。
B 3万3000人以上が視聴して「USTREAM」のサーバーがダウンしたっけ。国の原子力政策を真っ向から批判した姿は関心を集めた。
[2011/11/15-13:34 スポーツ報知]