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松永・緒方両被告が最後の意見陳述、対立のまま結審

 北九州市小倉北区の監禁・連続殺人事件の第76回公判が18日、福岡地裁小倉支部(若宮利信裁判長)で開かれ、7件の殺人罪などで死刑を求刑されている松永太(44)、緒方純子(43)両被告が最後の意見陳述を行い、2002年6月の初公判から約3年間にわたる審理を終えた。判決は9月28日、同支部で言い渡される。

 この日の公判は午前10時に開廷し、昼休みを挟んで午後4時過ぎから意見陳述が始まった。緒方被告は「自分たちの異常性に気づきました。罪を償います」と述べたが、松永被告は「緒方被告らの供述だけで、自分を悪だと決めつけないでほしい」と、繰り返し死刑回避を主張した。

 最初に証言台に立った緒方被告は、ピンクの半袖シャツに黒のワンピース姿。背筋を伸ばし、意見をつづった手書きの便せんを落ち着いた声で読み上げた。

 「捜査や公判を通じて多くの人と接し、松永被告の呪縛(じゅばく)から逃れることが出来た」と述べ、捜査関係者や弁護団に対する感謝の意を表した。その後、約10分間、時折、声を震わせながら、「すべてが異常で、当時の自分が信じられない。私の命一つで許されるとは思っていないが、それでお許し下さい」と語った。

 続いて陳述した松永被告は紺色のスエット姿。捜査や公判に対する不満などを18ページの「意見陳述要旨」にまとめ、証言台から身を乗り出したり、体を揺すったりしながら約40分間、裁判官に訴えるように読み上げた。

 「罪を認めた緒方被告の供述が正しいと考えている検察や報道は、天動説を信じた人のようだ。裁判は証拠に基づいて客観的に判断されるべきだ」と、興奮した口調で主張し、感情が高ぶると声を上ずらせた。

 陳述時間は予定の倍近くになり、最後は「取りあえず1審は終わるが、訴訟は今後も続く。控訴審に備えたい」と結んだ。

 傍聴後、作家の佐木隆三さんは「緒方被告は素直に今の心情を述べ、松永被告は思いのたけを力いっぱい語ったように思える。7月と思っていた判決は9月になったが、じっくり判決文を書こうという裁判所の姿勢が感じられる。論議を尽くした判決を期待している」と話した。

 作家の夏樹静子さんは「松永被告は今日の陳述のように、論理的と思える話し方で、他人を洗脳し、コントロールしたのだろうか」と感想を語り、「常識のある人たちが、松永被告の呪縛から逃れられなかったのはなぜか。その異常性こそ、判決で特筆されるべきだ」と指摘した。

2005年5月19日  読売新聞)
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