東大が秋入学移行案…春入試維持・年度内に結論

 入学時期の見直しを進めていた東京大学(浜田純一学長)の懇談会は、学部の入学時期を、全面的に秋に移行させることが合理的とする内容の中間報告をまとめた。

 海外の大学で圧倒的に多い秋入学と合わせることで、国際化を進める狙い。入試は現在と同様に春に行う。東大では年度内にも最終報告をまとめ、5年後の実施を目指すが、学内には慎重意見もあり、決定までに紆余(うよ)曲折も予想される。

 東大によると、昨年5月現在の東大の学部学生(約1万4000人)に占める留学生は276人(1・9%)で、米ハーバード大(10%)など海外の有力大に比べて著しく少ない。海外へ留学している東大の学部生も53人(0・4%)にとどまっている。

 懇談会の中間報告は、世界で秋入学の国は7割を占め、4月に入学する日本の「特異な状況」が、留学生の送り出しや受け入れに、「余分な時間やコストを強いることになっている」と指摘している。

 中間報告は、学部の春入学を廃止して、秋入学(9月頃)への全面移行を提言している。入試日程は、遅らせた場合に受験競争の長期化や、他大学へ入学した学生が東大を受験し直す「仮面浪人」などを生む負の影響が大きいとして、春のままで維持するとした。

 合格後、4月からの半年間を「ギャップターム」(ずれる期間)とし、学生に社会貢献活動や海外での短期留学などで社会体験を積んでもらい、「受験競争で染み付いた偏差値重視の価値観をリセットし、教わる姿勢から学ぶ姿勢に転換する」期間と位置づけた。

 卒業時期が他大学より半年から1年遅れるため、必要単位を取得すれば3年以上の在学で卒業を認める「早期卒業制度」の導入や、修業年限の見直しを検討すべきだとした。

 大学院については、すでに春入学と秋入学の両方があり、他大学からの学生受け入れも考慮して、全面移行は盛り込まなかった。

2012年1月18日  読売新聞)