古代ギリシャでは勝利と幸運の女神、ローマでは不吉な魔女の使い、ピカソの絵では死の象徴、『くまのプーさん』では博識の隣人……。なぜフクロウは古今東西、様々な象徴的意味を与えられてきたのか。その謎に、人間の行動を分析して世界的ベストセラーとなった『裸のサル』で知られる英国の動物行動学者が迫った。
紹介されるのは約3万年前の洞窟(どうくつ)壁画から、世界各地の神話、「ハリー・ポッター」まで多岐にわたる。そもそも、なぜ人間はフクロウに興味を持つのか。人間と同様に頭が丸く、顔が平らで、左右の大きな目がまっすぐ前を向いているからだと、著者は説く。
ここから人間は「知恵」を感じ、肉食で夜行性の習性からは「邪悪」を感じ取ってきた。フクロウを通じて人間の精神史や文化史の一端を垣間見ることができるだけでなく、知人につい教えたくなる雑学も仕入れられる貴重な一冊だ。