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大阪都心−関空短縮 なにわ筋線 難波ルートに

 大阪都心部から関西国際空港への所要時間を短縮する鉄道新線「なにわ筋線」(約10キロ)について、国土交通省近畿運輸局の検討会は21日、新大阪駅とJR西日本、南海電気鉄道の難波駅を結ぶ二またの「JR難波・南海難波ルート」(難波ルート)で合意した。今後、大阪府・市やJR西、南海などが事業化に向けた検討に入るが、実現すれば関空活性化の課題だった都市部からの交通の便が大きく改善する。

 学識経験者や国交省、鉄道事業者ら21人で構成する検討会は2009年11月から始まり、6回目となる今回が最終回だった。この日の検討会では、難波ルートと、同じく二またでJR難波と南海・汐見橋駅に乗り入れる「JR難波・南海汐見橋ルート」(汐見橋ルート)を比較。建設費が700億円安くなり、需要も多い難波ルートが採算性の面などで優れていると判断した。

 難波ルートは、JR大阪駅北側の「うめきた」地下に設ける新駅(北梅田)を経由するが、それ以外の駅(中間駅)を設置せずノンストップで運行するケースと、中間駅5駅を設置するケースの2案を示した。建設費は駅を設置しない場合は約1800億円、中間駅を設けると約2500億円になると試算した。

 「中間駅なし」の場合、1日の利用者数は約15万人で経済波及効果は約2700億円となり、開業から21年目に累積赤字を解消して黒字転換する。中間駅を設けると利用者数は約21万人、波及効果は約3700億円で、22年目に黒字転換するとした。

 大阪(梅田)―関空の所要時間は、JR利用の場合、最短で現在の68分から41分に、南海だと地下鉄御堂筋線の利用で55分から46分に短縮される。

 なにわ筋線を巡っては、09年2月、当時の橋下徹・大阪府知事が「関空活性化に不可欠」と訴えたのを機に、具体的な検討が始まった。昨年11月の大阪府知事・市長選では、橋下氏が代表を務める「大阪維新の会」の公約(マニフェスト)に、大阪市中心部と関空を結ぶ高速鉄道の整備が盛り込まれ、府・市ともに実現に意欲的だ。

 事業者側は「有益な路線だと認識している」(JR西)、「詳細な検討に臨みたい」(南海)などと前向きで、近畿運輸局も「事業として成立する路線なので、今後は関係者に議論を進めてほしい」と期待感を示した。

 なにわ筋線 大阪都心部を南北に走る約10キロの路線。関空への所要時間の短縮や、「キタ」と「ミナミ」の集客力向上などの効果が期待されている。2004年に近畿地方交通審議会の答申で、「中長期的に望まれる新路線」と位置付けられたが、巨額の建設費が見込まれることから事業化の動きが遅れていた。

2012年3月22日  読売新聞)
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