●俳協ボイスアクターズスタジオ(以下ボイス)に入ろうと思ったきっかけは何だったんですか？
磯崎　いろいろ調べてみると現在の声優系のプロダクションは、俳協から枝分かれした所が幾つもあるんです。そんな俳協ってどんな所なんだろうと興味を持ったんです。歴史があるし、そうそうたる声優が在籍者や出身者にいるのを知って、声優を目指すなら俳協でと思ったんです。
田澤　私は現在高校３年生で、以前は別の養成所に通っていたんですが、高校生はプロダクションに所属できないということでやめたんです。ボイスなら年齢や経験に関係なくみんなと競い合うことができる。それに６ヶ月という短期間で結果が出るのも魅力でした。
若田　入所前に、今僕が在籍しているクラスの沢田澄代先生の授業を見学させてもらい、厳しい中にも研修生の立場に立った丁寧な指導をしていて、ここなら自分の可能性を伸ばせると感じたんです。
伊藤　私は現在の担任でもある西條久美子先生のボイスサンプルを聞いて、自分もこんな風に話せるようになりたいと思ったのがボイスに入る決め手でした。

●授業の内容はどうなっているんですか？
田澤　授業は６ヶ月間、週１回ですが密度がすごく濃い。内容はクラスによって微妙に違うようですが、基本は与えられた課題を発表して、それを先生にみてもらう形式です。イントネーションや細かなことなど、再確認させられることがいくつもありました。
磯崎　基本的な発声訓練などは最初にやり方だけを教わって、その後は各自が自主的に行います。技術的なことだけではなく、人間性を重視した内面から突き詰めたアドバイスをくれるのがありがたいですね。
伊藤　週１回の授業なので先生に教えてもらうというより、指摘された箇所を残りの６日間でどう自分なりに工夫して軌道修正できるかが肝心です。クラスの仲間との自主練習もいい刺激になっています。
若田　自主練習のために、空いている稽古場を無料で借りられるのもうれしいよね。

●先生やクラスの雰囲気はどんな感じですか？
田澤　クラスは全部で10クラスあって、私のいる日曜日のクラスは若い人が多くて明るいですね。担任の岡田和子先生はフレンドリーでやさしくて教室には笑いが絶えません。
伊藤　先生とは親子みたいな関係で何でも聞けるし、いろいろ教えてもらえます。初心者で上手くできない私に、「技術は努力次第で後からついてくるもの。それよりもっと人間と触れ合って心を磨きなさい」とアドバイスしてくれた言葉は忘れません。
若田　先生が情熱を持って接してくれるのが何よりうれしい。クラスの仲間は最初の頃は互いを探り合う感じでしたが、打ち解けてからは、いいライバル関係が築けて刺激し合える。授業後はみんなで飲みに行ったりすることも多いですね。
磯崎　僕らのクラスでは授業後に担任の松本義一先生の引率で毎回食事会や飲み会を行っています。これを僕らのクラスでは課外授業と呼んでいる(笑)。授業でも教わることは多いけれど、食事をしながらいろいろな話が聞けるこの時間は僕らにはとても有意義な時間になっています。

●俳協所属への道のりは厳しい！自信はありますか？
若田　今期オーディションを受けるのは各クラス約20名×10クラスで約200名です。その中で生き残るのは数名と聞いていますから競争は激しいですよね。自信はないけれど、選んでもらえるように努力だけは欠かしません。
伊藤　この６ヶ月、練習時間だけは誰よりも長いと思っています。最初の１次審査はわずか３分間ですが、精一杯楽しみたいと思っています。
磯崎　あまり考えすぎないようにしています。週１回の授業と同じように、その１回に自分をどれだけ出せるかが勝負だと思っています。
田澤　声優に「なりたい」という気持ちは誰にも負けません。審査のときは声優に「なれる」と自信を持ってのぞみます。