ストレステスト

菅総理は原発施設についてストレステストを実施すると表明した。しかし調べれば調べる程、まさにそれは思いつきのパフォーマンスで意味がないとしか言いようがない。国民にいらぬ不安と期待を与えるだけではないか。

7月11日の政府の統一見解で「稼働中の発電所は現行法令下で適切に運転が行われており」、「定期検査中の発電所についても現行法令に則り安全性の確認が行われている」。さらに緊急安全対策などの実施について原子力安全・保安院による確認がなされており、従来以上に慎重に安全性の確認を行っている、とされている。

その上に新たにストレステストを行う意義は、安全性向上のためのチェックの充実に過ぎない。むしろ屋上屋を架すだけで、意味がないことになる。

ストレステストは第1と第2次評価を行うが、この評価の基準もないため、何をどの程度クリアしていて、それは福島第1原発に比して、どの程度なのかどうかの目安も出せない。

それにもかかわらず、このストレステストの結果を受けて、最終的に原発運転再開の可否を判断するのは、内閣官房長官・経済産業大臣・原発担当大臣の3大臣であるという。技術的・科学的な知見について素人である3大臣が客観的判断基準もないのに判断できるはずもない。

結局は菅総理の思いつきパフォーマンスのために、現場を混乱させ、ただ問題を複雑先送りしただけである。

今日の衆院文科委員会では、このことを追求したい。

夜9時頃から某所で海江田大臣をゲストに自民党ベテラン9人による会合があり出席する。私以外は全員大臣経験者という会で私は初参加だった。

海江田大臣の激励会のような会だった。同情論ばかりで、早く辞任した方がいいという声ばかりだ。

その1つが経産省3首脳の菅総理の更迭報道だろう。更迭されるのは松永事務次官、寺坂原子力安全・保安院長、細野資源エネルギー庁長官だ。原発事故対応の不手際や保安院の「やらせ」問題の責任をとらせる。

ただもともと寺坂氏は退任時期であり、他の2人も1年経過しており、海江田大臣がそれより前から3人に責任を取らせることを菅総理には報告していたという。

結局、海江田大臣を無視して菅総理が国民受けを狙って、自らの延命のパフォーマンスのために3首脳更迭を発表されたのだ。

浜岡原発の運転停止もストレステストの実施も、担当大臣になんの事前の相談もなく、ただ自分のことのみを考えて発表したが、海江田大臣でなくても、部下はやってられないというのが参加者全員の声だった。

「いつ辞めるのか?」の問いに、海江田さんからの明確な答えはなかったが、連日苦悩の日々を送っているようだ。もはや菅総理を支える大臣は1人しかいないようだし、民主党執行部もその気はないようだが、菅総理はめげずに意気軒昂らしい。それが逆に一部の国民からは評価につながっているというのが世の中の面白さだ。

脱原発は恐らく誰も異論はないだろう。問題は何時までにどのように自然エネルギーに替えられるかだ。

私は2030年を目途に原発を廃止する。それまでに代替エネルギーを確保すると目標を定めるべきと考えるが、それさえ非常に厳しい目標設定だ。

2030年に想定できる最大設備容量の太陽光発電を1億キロワット、風力発電を現在の20倍近い5000万キロワットを導入したとしたら、この値は原発150基分に相当する。しかし、太陽光は昼間の晴天時だけしか使えず、風力も天候に左右されるので実際の発電量は原発23基分しか相当しない。これは現状で30%を供給している原子力発電の約半分にしか過ぎないので、電力は約15%不足することになる。

節電対策ももちろんする必要があるが、例え2030年目途でもこのようにハードルが高い。ましては菅総理のような手法で進めたら、日本の産業界は壊滅的な影響を受けるだろう。外資は撤退し、国内企業は海外にシフトをし、一層の産業の空洞化を招く。日本の復興など考えられない。

原子力発電は新規はありえないとしても、早急なストレステストをし、安全宣言がなされたならば再稼動をするしかない。

同時に代替としてのエネルギーの技術開発や省エネ対策を急ぐ。さらに発電と送電が一体となった電力供給システムから、再生可能エネルギーによる電力を供給しやすい送電を分離していくこと、また最小限のエネルギーで電力需要を賄える「スマートグリッド社会」への移行など、ありとあらゆるレベルで国が戦略的に取り組んでいく必要がある。

昨夜地元の会合を数ヶ所はしごしたが、さすがに皆「今の政府にはあきれる。もうめちゃくちゃだ。」という声ばかりだ。これまで自民党ももっとしっかりしろ。協力しろとの声も半分ぐらいあったが、さすがに菅総理への同情論は消えた。

海江田経産相はすぐにでも辞表をたたきつけたい気持ちだろう。これまで海江田大臣は安全宣言をし、原発立地自治体に対し説得をしていた。

ところが菅総理が、全原発に対する安全性の余裕度を測るストレステストをすると突如発表した。

菅総理のまた思いつきにより、玄海原発は全て白紙に戻り、他の原発もストレステストを受けるだろうから、来年5月までに全て停止してしまうことになるだろう。定期検査後の運転再開は当分不可能だ。

脱原発に異論はないが、すぐ止めることと、30年前後をかけて廃止することではわけがちがう。菅総理は「脱原発解散」を考えているようだが、経済的混乱の中でエキセントリックなエネルギー論争の選挙をしたら、この国の経済はつぶれてしまう。

早期解散は望むところだが、当面のエネルギー対策だけは、きちんと確保しておかなければ、企業は全て海外移転にシフトする。

一人の愚かなリーダーによって、この国をつぶしてはならない。民主党執行部も他の大臣も全員辞表を出して、菅総理を引きずり下ろし、もう一度リセットする必要がある。小田原評定は最悪だ。

アーカイブ;2003年7月から

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