岡山県西部から広島県福山市にかけて路線バスを運行する井笠鉄道（本社・岡山県笠岡市、関藤篤志社長）は１２日、「今月末をもってバス事業を全面的に終了する」と発表した。同日、中国運輸局岡山支局に届けた。会社は事業終了後に清算する方針。

　同社が運行する７６系統について、「１１月１日以降、両備グループ（岡山市）の中国バス（福山市）などが今年度末までは主要路線の一部を引き継ぐ」としたが、「継続される路線は中国バス側で今後決める」としている。

　井笠鉄道によると、慢性的な赤字が続き、今年３月末で負債額が約３２億円、債務超過が約７億円。退職金の未払いが１３億円、借入金が利子も含めて１４億円になっていた。８月からは給料の遅配が発生するなど資金繰りが難しくなったという。従業員については１０月末で全員解雇後、中国バスなどに移籍できる見込み。一方、定期券、回数券などは、現時点では今月末で使えなくなる見通し。

　記者会見した関藤社長は「人口減が続く過疎地の路線を多く抱え、路線バスの大半が赤字。貸切バス事業も９９年の自由化後は思うように収入が入らず、人員や車両削減などの経営努力を上回るペースで収益が減った」と話した。【小林一彦】