PC遠隔操作:ウイルス手作り 誤認逮捕で「万能感」?

毎日新聞 2012年10月22日 15時00分(最終更新 10月22日 15時19分)

 ウイルス感染したパソコン(PC)などから犯罪予告が書き込まれた事件は、警視庁など各警察本部が、誤認逮捕した男性らに相次いで謝罪する事態に発展した。「犯行声明」で「警察・検察をはめてやりたかった」「またいつかあそびましょうね」と記した「真犯人」。専門家がその人物像を探った。

 複数の情報セキュリティーの専門家によると、今回使われたウイルスは、技術そのものは「珍しくも難しくもない」レベルだが、プログラムを作るための既製品は使われておらず、この人物が「一から手作りした」と認められるという。

 ウイルスを解析した情報セキュリティー会社「ラック」の西本逸郎専務理事は「プログラムの組み立てに慣れた印象がある。現役のプログラマーで、ある程度の経験がある年齢なのでは」と予測。IPアドレスから誤認逮捕させるプログラムを作っていると分析し、「IPの割り出しに偏重しがちな捜査の現状をよく知っている人物なのでは」と指摘する。

 影山任佐(じんすけ)東京工業大名誉教授(犯罪精神病理学)は、最初に起こした横浜市の小学校襲撃予告事件に注目する。「ほかは全国的に有名な場所や人物を取り上げているのに、なぜ横浜の一小学校なのか」。連続放火などでも身近な場所から始める傾向があるといい「本人と接点があるのかもしれない」とみる。さらに「犯行によって自分の存在感や力を誇示しようとしている。自己中心的で精神的に未熟な者の犯行の可能性がある」と話す。

 長谷川博一・東海学院大教授(犯罪心理学)は「当初は『人をはめたい』『ウイルスを試したい』という、いたずら感覚だったのでは」と推察する。その後、誤認逮捕が続出し、遠隔操作の可能性が浮上するとマスコミも大きく報じるようになった。「万能感が高まり、国家権力への挑戦という新たな動機が後付けされたのではないか」とみる。

 「犯行声明」で感染PCに「わざと残した」と説明した犯行予告文やウイルスについても「消し損ないなどミスで残ったものを、高揚した心理状態で『あれはわなだったんだ』と自分でも信じ込んでいることもありうる」という。自己顕示欲を満たすため「新たな犯行に及ぶことも考えられる」と警鐘を鳴らす。【喜浦遊】

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