水樹奈々

水樹奈々さんの歌唱力はすでに完成された領域に入っていると言えます。現在彼女の楽曲が進化しているところはズバリ表現力、「深愛」以降のシングル曲には深みのある楽曲を多く作っていると思います。そしてそれが顕著に出ているのが今回の楽曲です。まず1曲目の「純潔パラドックス」の歌詞に注目してみると、昔から彼女の楽曲では難しい表現を詩に使っているのですが、今回の楽曲ではそんな部分がさらに多くなっています（朧夜・空谷・口遊ぶ・・・etc）。しかし、そのどれもが詩のしなやか且濃厚で激しい印象を際立たせているからスゴイ。特に無弦の調べという部分は、本人にとっても深いコダワリがあるそうです（演奏者がたとえ弦が無くてもまるで弦があるかのように音楽の世界に入っている様子というイメージらしいです）。和のイメージとロックを巧妙に組み合わせアニメの「BLOOD-C」にも上手く絡めた楽曲と言えるでしょう。さらに2曲目の「7COLORS」では雰囲気が一転して明るく元気な彼女らしい楽曲に仕上がっています。彼女の「夢を追いかける事」をテーマをしている楽曲は弾けるようなポップ曲です。しかし、キーボードなどのきれいな音色が繊細に入っているし、ギターでもしっかり聴かせてくれる楽曲になっています。まさに元気をもらえる1曲です。そして最後の「Stay Gold」ですが、彼女の楽曲の魅力でもあるストリングを序盤で光らせて一番のサビ以降はややロックテイストに持っていく変化の大きい楽曲、ここでも彼女の伸びがある歌唱力が活かされているし、何より楽曲の世界に入れて、繊細さと激しさを兼ね備えた楽曲となっています。カップリング神と言う声をよく聴く彼女のシングルですが、今回は特に3曲がそれぞれの持ち味を活かして作られていた印象を受けました。水樹奈々さんの深い部分に触れることができる今回の作品だと思います。