サイバー攻撃は、自然災害を上回る大きな脅威 -- AIU 保険会社が「CyberEdge」説明会を開催

AIU 保険会社は、2012年12月にサイバー攻撃によって生じた世界規模の事業リスクを補償するグローバル企業向け保険商品「CyberEdge（サイバーエッジ）」の発売を受けて都内で説明会を開催した。


「CyberEdge」は、企業が不正アクセス、ハッキング、ウィルス・マルウェアの送付などのサイバー攻撃を受けた際に全世界で発生する損害を補償する保険商品で、日本国内に本社を置くグローバル企業の日本、および世界各国の事業拠点を対象としている。背景にあるのは、近年急激に増加するサイバー攻撃の脅威と、それによって生じる個人情報や企業の機密情報の漏えいだ。

AIU 保険会社 専務執行役員のスティーブ・マローン氏は説明会の冒頭、「サイバー攻撃は毎日のように発生しており、企業は自然災害よりも脅威に感じている」と指摘。同社が日本国内の企業経営者を対象に行った調査でも、経営者は「自然災害のリスク」よりも「情報セキュリティ領域のリスク」の脅威を重視しており、情報漏えいによる企業の経済的な損害や、事故による信用の低下、風評被害が生み出す将来にわたる利益の損失が企業経営にとって致命的と言えるものだという意識は高まっている。万が一そのような事象が発生した場合の早急な対処と、そこから生じる損害の補てんに備えることは、企業経営にとって大きな課題だと言えるのだ。

このような企業の課題に対して生まれた「CyberEdge」は、サイバー攻撃の情報漏えい被害によって生まれる顧客に対する損害賠償や見舞金・見舞い品の対応に必要なコストの補償だけでなく、監督官公庁に対応する際に生じる費用や課徴金、業務の中断で生じる逸失利益、危機管理対応の広報活動費用といった経費・損害も補償。それだけでなく、サイバー攻撃の可能性を認知した際に行われる「フォレンジックス」（電子データの証拠保全、調査・検証など）に必要な費用の補償や危機管理コンサルタントの紹介などをも行い、サイバー攻撃で生じる様々なリスクを包括的に補償することを特長としている。


「これから世界進出をしようとしている企業や既に世界で活躍する日本のグローバル企業の抱えるリスクを世界規模で補償し、企業活動をサポートしたい」と、説明した同社経営保険業務部の阿部 瑞穂氏は語る。日本ネットワークセキュリティ協会がまとめたデータによると、2011年に報告があった企業を対象にしたサイバー攻撃事案は155件、被害に遭った個人情報は630万人分にもおよび、企業が負った損害は計り知れない。世界経済をリードする存在であるグローバル企業に生じるこのような経済活動の停滞を最小限に留めたい考えだ。

今回の説明会のために来日した、AIG Property Casualty, Financial Lines Asia Pacific, Vice President のイアン・ポラード氏は、「IT インフラが整備された世界では、国境を越えて多くの人の生活やビジネスがオンラインで繋がり、その一方でサイバー攻撃のリスクは近年急激に増加・複雑化している。サイバー攻撃は企業にとって経済的にも社会的にも大きなダメージを生み出し、市場での競争力低下にも繋がる。業種や組織形態に関係なく、あらゆるビジネスで今後サイバー攻撃への備えに高い意識を持たなければならない」とコメント。特に、経営者がリスクマネジメントに対して高い意識を持つことが重要だと指摘した。

企業にとっては、多くのコストを費やし、長い年月を掛けて育ててきた事業や社会からの信頼も、心無い第三者からのサイバー攻撃によって“すべてを失う”という事態になりかねない。このような情報セキュリティのリスクに対して適切な“備え”を持つことは、これからの企業活動にとって不可欠なものだと言えるだろう。