2011年3月

時論公論 「震災対策で果たすべき政治の責任」2011年03月31日 (木)

荒木 裕志  解説委員


 東北・関東大震災からきょうで3週間。被災した多くの人たちがまだ避難所での過酷な生活を強いられています。福島第一原子力発電所の事故は収束のめどがたっていません。いまの日本は震災後ではなく、まだ、震災のただ中にいるといっていいでしょう。この間、われわれがよく耳にしたのは、「政治は一体何をしているのか」という問いかけでした。きょうから新年度を迎えますが、予算は成立したものの、歳入の44%を占める赤字国債を発行するための法案は成立のめどが立っていない異例の事態になっています。今夜は、震災対策の課題を検証したうえで、そのなかで果たすべき政治の役割と責任を考えてみたいと思います。

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ここに注目! 「被災者台帳の整備を」2011年03月31日 (木)

山﨑 登  解説委員

《前説》
 被災地では、いまも多くの人が避難生活を送っていますが、被災者支援を進めるために、「被災者台帳」の整備を始めるべきだと防災の専門家などが指摘しています。山﨑解説委員に聞きます。

「被災者台帳」というのは、聞きなれない言葉ですが?

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NPO法人災害看護支援機構理事長 山崎達枝

このたびの東北関東大震災の被災を受けました皆様には心からお見舞いを申し上げます。

私は1990年より災害看護に取り組んできました。国内外の災害現場で活動し、これまでの経験から得た災害看護ついてお話を致します。

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3月11日に起きた震災は今も続いています。地震から4月1日で3週間になろうというのに、必要な物資がまだ行き渡らない、避難所や病院で命を落とす人も出ています。
まさに深刻な事態です。

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震災関連死、孤独死、自殺、震災破産、二重ローン、PTSD。
16年前の阪神淡路大震災で指摘された諸課題の多くが、今回の震災でも心配されています。
助かった命が次々と失われていく、阪神淡路大震災の時に経験した悲劇を繰り返さないために、今、何をすれば良いのか。被災者の生活再建策を考えます。 

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群馬大学教授 片田敏孝

未曾有の大災害、東北地方を襲った大津波で3万人以上の命が奪われました。何故これほど多くの命を落とさなければならなかったのか。亡くした命の一つ一つにそれぞれの状況があることは言うまでもありませんが、被災から間もなく3週間になろうとしている今、日本の防災という広い観点からこの問題を考えてみたいと思います。

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時論公論 「原発危機へ総力結集を」2011年03月29日 (火)

水野 倫之  解説委員

東京電力の福島第一原子力発電所は地震から2週間以上がたってもいまだに原子炉や使用済み燃料が十分に冷却できない深刻な事態。現場では強い放射線が飛び交う中、事態の拡大を防ぐための懸命の作業が続く。
原発周辺だけでなく、首都圏も含めた広い地域で放射性物質が検出され、不安も広がっている。今夜の時論公論は原発を冷却して事故を収束させるために今、何が求められるのか水野倫之解説委員。

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ここに注目! 「集団生活と感染症」2011年03月29日 (火)

谷田部 雅嗣  解説委員

被災地では避難所での集団生活が続いていますが、注意しなくてはならないのは感染症の広がりです。
どんな点に注意すれば良いのか、谷田部解説委員に聞きます。

Q:まず感染症対策で必要なものはなんでしょう?

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関西学院大学教授 室﨑益輝

3月11日の東北地方太平洋沖地震とそれによる津波で、東北から関東にかけての沿岸部は、壊滅的な被害を受けました。住宅だけでなく、学校や病院などの公共施設、漁港や工場などの産業施設などが、ことごとく失われました。こうした状況の中で、地域の再生と生活の再建を目標とした、零からのスタートとしての「創造的復興」をはかることが、国民的課題として突き付けられています。

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時論公論 「災害と心のケア」2011年03月28日 (月)

南 直樹  解説委員

(リード)東北関東大震災と、それにつづく福島第一原子力発電所の事故による災害では、かつてない規模で、家屋が損壊し、ご家族が犠牲となり、避難に伴う苦しい生活が続いています。被災した方々は、衣食住の生活だけでなく、心の面でも大きな痛手を被り、その援助をしようと、被災地では多数の「心のケアチーム」が活動を始めています。一人ひとりが本来もっている、心の回復への力を信じ、現在の危機を乗り越えていただきたいと願わずにはいられません。

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ここに注目! 「"ただちに影響なし"の意味」2011年03月28日 (月)

室山 哲也  解説委員

(アナウンサー)
飲料水や野菜から放射性物質が検出された発表などで使われる「ただちに影響を及ぼす数値ではない」という表現が、わかりにくいという声があります。
室山解説委員に聞きます。

どういう意味でしょうか?

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科学ジャーナリスト 小出五郎

 福島第一原発を制御下に置く作業は、まだ進行中であり、重大かつ深刻な事態は変わっていない。
原子炉は、パイプとタンクでできた精密機械。その中にある危険な放射性物質は外部に漏れないように閉じこめるために5重の障壁がある。燃料を焼き固めたペレット、ペレットを詰めた燃料棒、原子炉の圧力容器、その原子炉を収める格納容器、そのすべてを覆う建屋。この5重の障壁が、次々と破れて放射性物質を閉じこめることができなかった。
 今日は、その結果発生した放射能汚染についてとりあげる。放射能汚染もまた先行きが不透明であるが、ポイントを整理しておきたい。

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時論公論 「復旧・復興と財政出動」2011年03月25日 (金)

下境 博  解説委員

(問題提起)
東北関東大震災の発生からきょうで2週間。被災地では困難な状況が続いています。被害状況の全体像を未だに把握することはできません。
いまは、依然行方の分からない数多くの被災者の所在を確認することや、避難生活を送っている人たちの日々の暮らしを支えることに全力を尽くすことなど、緊急の対応を優先するべき時です。
と同時に、私たちは復旧・復興を進めるための準備を始めなくてはなりません。全財産を一瞬にして失ってしまった被災者が力強く生きていくには、国民が一致協力して被災者の生活を支える財政的な枠組みを作ることが必要です。
今夜の時論公論は、被災者への生活支援や復旧・復興に欠かせない財政出動について、考えます。

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関西大学教授 河田惠昭

東日本震災の最大の特徴は、政府試算にある直接的な被害額が16兆から25兆円にのぼる戦後最悪の災害被害になることだけではありません。死傷者が発生した都道府県だけでも11に及び、わが国の近代史上最大の被害面積を有するスーパー広域災害になったということです。しかも大津波が来襲した被災地では、被災者は住宅をはじめほぼすべての財産が津波によって広範囲に散乱して、住宅の跡地さえわからない状態になっています。その上、この震災によって惹起された福島県の原子力発電所の被災は、巨大複合災害となって、わが国の各地域で大きな影響を与えています。ところが、被害の大きかった岩手県や宮城県の被災者には、原子力災害の実態がほとんど伝わらずに、もっぱら地震と津波災害対応が進められています。

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時論公論 「支援物資を届けるために」2011年03月24日 (木)

関口 博之  解説委員

避難所で、あるいは電気も灯油もない自宅で 
被災地では今も厳しい避難生活が続き、多くの方が支援物資を待っている。
これまでに届けられたパンやおにぎりなど食糧は800万食、
飲料水350万本、燃料7200キロリットルと政府は言っているが、 
どこまで行き渡っているのか、確かめようがないのが現状だ。
(VTR)
これは先週末の岩手県遠野市。体育館に沢山の支援物資が運び込まれていた。
そして、ここを拠点にさらに避難所に送り出されている。
それなりに物資は届きつつあるように見える。
(VTR)
ところが一方では、地震発生から10日以上経って
やっとこの日、初めて物資を受け取れたと喜ぶ被災者もいた。
自宅避難をしている人たちだ。
「何もかも足りない」という小規模な避難所もたくさんある。
支援物資をどう届けるかを今夜は考える。

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横浜国立大学准教授 堀之内高久

 私は、阪神・淡路の心理支援をはじめ、犯罪・交通事故被害者への心理支援を行っているものです。今日は、震災ストレスへの効果的な対処法をお示ししたいと思います。
皆さんのこころと身体は、今、どのような状態にあるのでしょう。
自分がおちつかないな、とお感じではないでしょうか?
怒りっぽくなったり、涙もろくなったり、力がわかない、といったことはありませんか?
 むしろ、逆にがんばり過ぎている、ということはないでしょうか?

それは当然の反応であり、その反応自体が回復に必要なことであることを理解してください。

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時論公論 「水・農産物 広がる放射性物質の影響」2011年03月23日 (水)

合瀬 宏毅  解説委員

こんばんは。時論公論です。
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、放射性物質による水道水や農産物への影響が広がっています。
東京都の浄水場から乳児の摂取制限の指標を上回る放射性物質が検出されたのを始め、福島県のホウレンソウなどから次々と放射性物質が見つかり、菅総理は今日、福島県内でとれる野菜の多くを出荷停止としました。
こうした食品は、例え摂取しても、健康に直ちに影響のあるレベルではないとされていますが、消費者の間でも買い控えが起きるなど不安が広がっています。
今夜は予定を変更して、農産物や水に広がる放射性物質の影響と、国の対応を考えます。

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長崎大学熱帯医学研究所教授 山本太郎 

3月14日に仙台に入り、3月15日から、岩手県の、釜石の北にある大槌町で、災害支援をしています。長崎大学熱帯医学研究所の山本です。

(大槌町)
震災前の大槌町は、人口1万6000人、自然豊かな町でした。地震のあとの、津波で、町長以下30名の役場職員を失いました。地震直後、対策会議を行っているところを津波が襲ったといいます。町は、壊滅的な打撃をうけたといいます。現在までのところ500名の方が亡くなり、約300名の方が安否不明と報道されています。

しかし、避難所で診療を続ける地元の医師は、安否不明は、1万人近いのではないかといいます。というのも、現在、避難所で生活を送る人が約6000人。亡くなった方が約500名。自宅で生活している人は、ごく僅か。引き算をすれば、安否不明の数は自ずとわかるというのです。

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時論公論 「東北関東大震災 被災地を全国で支えよう」2011年03月22日 (火)

松本 浩司  解説委員

(リード)
ニュース解説「時論公論」です。
東北関東大震災の被災地は地震から12回目の夜を迎えています。
避難所には支援物資が少しずつ届き始めていますが、ほとんどのところで依然として物資が足りないうえ、暖房も満足にとれない状況が続いています。体調を崩す人が増え、避難所で命を落とす人が出てしまうなど、危機は深まっています。
被災者を助ける側である、役場の職員や医師なども足りず、長期化を念頭に置いた全国的な支援体制をつくることが大きな課題になっています。
被災地を全国で支えるために、いま、どうしたらよいかを考えます。

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国立長寿医療研究センター 生活機能賦活研究部長 大川弥生

まず、今回の災害でお亡くなりになった方々のご冥福をお祈りします。またそのご家族、災害にあわれた方々にお見舞いを申しあげます。
それらの方々にどのような支援ができるかと、多くの方々が考えていらっしゃると思います。現在は何より生命の維持や避難した生活が安全で快適に行えることへの対応が必要です。
それに加えてこれからは被災された方にどのような配慮をしながら接していくのかが大事となります。           
ボランティアも含む支援をする人や、今後被災者が新しい土地で生活する時のその地域社会の方々の配慮の仕方が重要です。
その際に、今から対処を考えておく必要がある課題について、本日は考えたいと思います。

 

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時論公論 「東北関東大震災 さらなる犠牲を防ぐ」2011年03月21日 (月)

山﨑 登  解説委員

《前説》
 東北関東大震災の被害の大きさが徐徐に明らかになっています。警察庁によりますと、これまでに亡くなった人は8805人、行方不明者は1万2000人を超えています。また今夜も、多くの人たちが厳しい避難生活を送っています。
地震災害では地震そのもので犠牲になるだけでなく、避難所などでの生活で犠牲になる人が多くいます。今晩は避難生活の中で、これ以上犠牲者がでないようにするために、最近の災害の事例を参考にしながら考えたいと思います。

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科学ジャーナリスト 小出五郎

 福島第一原発はまだ気を許すことはできない状況にある。大勢の人々が放射線の被曝があるなかで回復作業に携わっている。その作業の成果に期待がかかっている。
 マグニチュード9の地震と大津波をきっかけに4基もの原子炉が次々に破たんする、私たちの国はいま、原子発史上最悪の「原発震災」に直面している。

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