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金子原二郎敗訴の、判決文

前長崎県知事金子、全面的に敗訴

月刊誌「選択」が金子原二郎から東京地裁に名誉毀損の損害賠償等請求事件で訴えられていた判決で、請求を棄却、金子原二郎が全面的に敗訴した。

  


12月12日に、東京地裁で、金子原二郎が起こしていた名誉毀損裁判で、全面的に敗訴した。同じく、長崎県議小林克敏氏と講談社フラィデイを東京地裁に名誉毀損で訴えている裁判結果に、現在、否応なく関係者の間で注目が集まっている=東京地裁と全面敗訴した金子原二郎

海砂採取で有明商事との疑惑報道
今回の月刊誌「選択」の報道をしたのは、ジャーナリスと福田一氏で、彼に情報提供したのは諫早市小長井町の元幹部である。それだけにこの報道は信憑性があり、寧ろ真実であろう。有明商事社長中村一喜は、同社専務であり砂採取会社『富士工業』社長の弟猛博とトンネル採取会社『シーサンド』社長大塚和久を使い、長崎県土木部砂利採取班課長補佐浜松一成を、連日歓楽街思案橋(有名な長崎の歓楽街)で接待を続け、壱岐石田沖(長崎県)と唐津沖合(佐賀県)の境界線を唐津側に動かし、その下に眠る黄金の砂の採取を行い、莫大な利益を有明商事に現在ももたらしている。この事で長崎県警も過去2回動こうとした経緯はあるが、最後に動いたときは「贈収賄」の事項を目前に迎えており、捜査を断念した。

また、金子知事は課長補佐浜松一成を、2回転勤させている。一回目は、本件がマスコミの追求を請け出したときに県北振興局(佐世保市)の農業担当者に移動させ、この時本紙が取材を行うと、おどおどとした浜松の態度が印象的であった。二回目は、本紙の追求ですぐさま諫早市の農業大学(専門官)として移動させ、その後定年退職を迎えさせている。土木行政に長年従事した浜松を、海から陸に移動させた人事は、金子知事の命令があったと聞き、金子知事周辺にはこの時既に、3000千万円の裏「カネ」が有明商事からもたらされ、知事の姻戚企業金子商事(社長、金子源吉)から、莫大な量の船舶燃料の取引が開始されたと取材中に聞く。

諫早湾干拓工事で莫大な量の海砂が使われ、その納入に関与した有明商事は、砂採取と納入数量に40億円ともいわれる誤差の請求を行い、このカネが当時、関係する政治家にゼネコンの手で配られた。この時、有明商事も莫大な不正のカネを手にし、このカネが、境界線移動で石田沖の海砂採取で漁協の同意書を得るために何億ともいわれるカネが、漁協幹部を始め県関係者たちにも配られた。
その後の有明商事の傍若無人な立ち振る舞いは目を見張るものがあり、金にものをいわせるビジネスは、暴力団関係者にリベート提供、長崎県警諫早署長との癒着、同和団体関係者、事件屋などとの関係は有名であり、本紙も暴力団から「有明商事の取材をするな」とホテルに呼び出されたことがある。いまや自分の欲望達成のためには、何でもありとなった有明商事が金子前知事に、裏カネの3000千万円程度を送ることは容易いことであると、取材中に発言する同業者がいた。


判決
長崎市今博多町27-2
原告 金子原二郎

東京都港区西新橋3丁目3番1号
被告 選託出版株式会社

主文
1.原告の請求を棄却する。
2.訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求

1 被告らは、原告に対し、連帯して1100万円及びこれらに対する平成23年2月16日から支払
  い済みまで分の割合による金員を支払え。
2 被告選択出版株式会社は、別紙1記載のとおりの謝罪広告を、別紙2記載の掲載要領に従い、被
 選択出版発行の「選択」誌に掲載せよ。

第2 事案の概要
1 本件は、原告が、被告選択出版株式会社(以下「被告会社」という)が発行する雑誌「選択」の平成23年7月号(以下、「本件雑誌」という)に掲載された記事により原告の名誉が毀損されたと主張して、
(1) 不法行為に基づく損害賠償として、被告会社、被告会社の代表取締役兼本件雑誌発行人の被告湯
浅正巳(以下「被告正巳」という)及び本件雑誌編集人の被告湯浅次郎(以下「被告次郎」とい
う)に対し、連帯して1100万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成23年12月16
日から支払い済みまで民法所定の割合による延滞損害金の支払い

(2) 被告会社に対し、民法723条の名誉毀損における原状回復のための措置として謝罪広告の掲載
  を求めたである。

2 前提となる事案
以下の事実は当事者間に争いがないか、証拠により容易に認められる。

(1) 原告は、平成10年2月から平成22年3月まで長崎県知事を務めていたものであり、現在は参
 院議員である。
被告会社は、月刊誌である「選択」誌を発行する出版社である。
被告正巳は、被告会社の代表取締であるとともに、「選択」誌の発行人である。
被告次郎は、「選択」誌の編集人である。

(2) 被告会社は、平成23年7月1日発行の「選択」7月号(本件雑誌)において、別紙3記載のとお
り、「土着権力の研究【第三回】長崎県 有明商事『海砂』利権で肥大化した新興勢力」との見出しを付けた2貢見開きの記事(以下「本件記事」という)を掲載した(甲1の1ないし3)

  (3)本件記事の概要は、以下のとおりである。
ア 豊かな海と多様な水産資源に恵まれた長崎県周辺は、漁場をつぶしながら採取するコンクリ
ート材料「海砂」の一大産地という、相反するもう一つの顔を持つ。…かつて海砂の一大産地だ
つた瀬戸内海をはじめ、漁業に壊滅的打撃を与えるとして今や全国各地で採取禁止となる中、
九州北部に広がる玄界灘では甘い規制が続き、入れ替わるように日本一の海砂採取地となった。
…この長崎県海砂利権を有し、いまや県内に隠然たる影響力を発揮する存在へと成長した長崎
の土着権力が、諫早市小長井町に本社を構える「株式会社有明商事」だ(以下、「本件記事1」と
いう)。

イ 県職員と結託して公文書を偽造(小見出し)
    この日本最大の海砂供給地「玄界灘」で有明商事は海砂利権を手にし、自民党参議院議員と
なった金子原二郎(原告)知事の県政時代、半ば公然と「規則破り」で海砂を乱獲し、大型公共工事に供給し、暴利を食ってきた。この財力を背景に長崎県の政財界に張り巡らせられた有明商事のネットワークが、同社の県内での隠然たる力を支えている(以下「本件記事2」という)。

ウ 有明商事の権益獲得の一端を物語るのが「長崎県職員の贈収賄疑惑」。海砂採取担当だった H課長補佐(当時)が有明商事を筆頭とする海砂業者の接待を受け、長崎県側に有利な「漁業取り締まりラインに境界線を変更する文書を偽造したという事件だ。当時、長崎県庁には有明商事によるH氏への接待疑惑の情報が次々と寄せられ、調査チームが設置された。…調査チームは「典型的な贈収賄。限りなくクロに近い」という確信を持って資料をとりまとめた。…これには長崎県警の関係者も関心を示していたが、ここまで疑惑が深まり材料も揃っていながら、不可解にも結局立件されることはなかった。海砂業者の間では「金子知事ら県トップから圧力がかかったのではないか」「有明商事に天下っている県警OBが動いたのではないか」と囁かれたのはこのためだ(以下「本件記事3」という)。

エ 昨年1 1月、総務省自治紛争処理委員会による調停を申請し、改めてこの問題を提起した佐賀県の古川知事は、かつて長崎県庁職員だった。古川知事は金子県政時代の腐敗体質の実態をよく知る人物だ。…有明商事の違法操業や県庁との癒着は地元では半ば「公然の秘密」となっている…(以下「本件記事4」という)。

オ 海砂採取で成長してきた有明商事の原点は、かつて「海の宝」と呼ばれたこの諫早湾を破壊
した干拓事業にある。…地元建設業者はこう話す。「諫早湾干拓事業で使用する砂は有明商事が主に供給していたが、他の道路建設や河川事業に比べ1割から2割程度も高値だった。高値の理由は一切明らかにされなかったが、差額分がそっくり有明商事の利益となったのは間違いない」。当時、有明商事が海砂採取をしていた諫早湾は水産物の宝庫で、多くの魚種の産卵場所になっていた。当然水産業への悪影響が懸念され、地元の小長井町漁協の森文義組合長(当時)は、湾内の産卵場所や漁場を荒らされるのを恐れ、「せめて諫早湾内の海砂ではなく、安い中国産の砂を輸入して使ってほしい」と発注者の農水省に嘆願したが、聞き入られことはなかった。この諫早湾干拓事業を推進したのは、当時の金子知事(原告)や谷川弥一衆議院議員、久間章生元防衛大臣ら長崎県選出の国会議員である。谷川議員は谷川建設のオーナーとして、有明商事と利害関係を共有している。干拓事業を受注した建設業者は干拓推進派の国会議員に献金、発注権者の農林水産省の天下りも受け入れた。こうした政官業の癒着構造の中で、安い中国産の砂は見向きもされずに、高い有明商事の海砂が使用され続けた(以下「本件記事5」という)。

(4)「選択」誌の発行部数は、約3万部である(甲2)。

(5)本件の訴状が被告らに送達された日は平成23年12月15日である。

3 争点及び争点についての当事者の主張
(1)本件事件の提示事実は何か、原告の社会的評価を低下させるか(争点1)

(原告の主張)
ア 本件の記事1及び2は、いずれも「原告が長崎県知事であったときに、長崎の海砂利権を有する株式会社有明商事(以下「有明商事」という)の違法な海砂の乱獲が公然となっており、原告がそれを見過ごした」という事実を摘示するものである(以下「原告主張摘示事実1」という」。

イ 本件記事3は、「長崎県職員の文書偽造事件について、長崎県知事である原告が圧力をかけて刑事事件になることをストップさせた」との事実を摘示するものである(以下「原告主張摘示事実2」という)。

ウ 本件記事4は、「原告が長崎県知事であったときに、長崎県庁は腐敗し、不正を隠ぺいする体質があり、また有明商事と長崎県庁が癒着していた」との事実を摘示するものである(以下「原告主張摘示事実3」という)。

エ 本件記事5は、「原告が長崎県知事であったときに、諫早干拓事業を推進する原告が、政官業の癒着構造の中で、安価な中国産の海砂ではなく、有明商事が売却する高値の海砂を使用させていた」との事実を摘示するものである(以下「原告主張摘示事実4」という)。

オ 原告主張摘示事実1ないし4は、いずれも原告の社会的評価を低下させたものである。

(被告らの主張)
   ア 本件記事1及び2が原告主張摘示事実1を摘示していることを争う。本件記事1及び2は、
原告が長崎県知事の時代に有明商事が違法行為をしていたことを記載しているのであって、「原告が有明商事の違法行為を見過ごした」とは書いていない。
   
イ 本件記事3が原告主張摘示事実2を摘示していることを争う。本件記事3は、長崎県職員の文書偽造事件について、原告が圧力をかけて刑事事件になることをストップさせたと判断しているものではなく、「原告が刑事事件になることをストップさせたのではないか」という風評が存在することを記載したにしすぎない。
   
ウ 本件記事4のうち、「原告が長崎県知事であったときに」というのは単に時期に関する説明にすぎず、「腐敗し、不正を隠ぺいする体質があり」「有明商事と癒着していた」のは長崎県庁である。知事であった原告と長崎県庁は全く異なる存在であり、このような記事があるといって、原告の社会的評価が直ちに低下するものではない。
   
エ 本件記事5が原告主張摘示記事4を摘示していることを争う。
     本件記事5は、「原告は、長崎県知事の時代に諫早湾干拓事業を推進していたこと」「この干
拓事業をめぐって、政官業の癒着構造があったこと」「この中で、有明商事が売却する高値の海
砂が使用されていたこと」が述べられているにしかすぎない。

オ 本件記事が原告の社会的評価を低下させたことを争う。本件記事の趣旨は、有明商事が海砂の採取に関して違法行為をしていること、有明商事が政官業と癒着していることを明らかにすることにあり、原告に関する記事ではない。

(2)原告の損害(争点2)
(原告の主張)
被告らが、本件記事が掲載された本件雑誌を発行したことにより、原告は多大な精神的苦痛を受けた。この精神的苦痛を慰謝するための慰謝料は1000万円をくだらない。また、本件訴訟における弁護士費用は、100万円が相当である。
(被告らの主張)
否認ないし争う。

(3)謝罪広告の要否(争点3)
(原告の主張)
本件記事が掲載された本件雑誌の発行によって低下した原告の社会的評価を回復させるために
は、謝罪広告の掲載が不可欠である。

(被告らの主張)
争う。

第3 争点に対する判断
1 争点1ア(本件記事1及び2の摘示事実は何か、原告の社会的評価を低下させるか)につい
   て
(1) 本件記事1は、「九州北部に広がる玄界灘では甘い規制が続き、入れ替わるように日本一の海砂採取地となった」。「この長崎の海砂利権を有し、いまや県内の隠然たる影響力を発揮する存在へと成長した長崎の土着権力が、諫早市小長井町に本社を構える『株式会社有明商事』だ」旨記載されている。

本件記事2は、「日本最大の海砂供給地『玄界灘』で有明商事は海砂利権を手にし、自民党参議
院議員となった金子原二郎(原告)知事の県政時代、半ば公然と『規則破り』で海砂を乱獲し、
大型公共事業に供給し、暴利を食ってきた。この財力を背景に長崎県の政財官に張り巡らされた
有明商事のネットワークが、同社の県内の隠然たる力を支えている」旨記載されている。このよう
な本件記事1及び2を一般読者の普通の注意と読み方を基準にすると、いずれも「有明商事は、
原告の長崎県知事時代に、長崎の海砂利権を有して大きな影響力を有するようになっており、規
制を破って海砂を乱獲し、海砂を公共事業に供給して暴利を食ってきた」との事実を摘示するも
のである。

上記摘示事実は、有明商事についての言及であり、原告についての言及でないから、原告の社
会的評価を低下させるものではない。なお、上記摘示事実中の「原告が長崎県知事であった時代
に」の部分は、有明商事の上記違法行為の行われた時期を特定するものであるところ、本件記事1
及び2には、有明商事の上記違法行為に原告が関与したことについて言及した部分はないから、
この記載部分があることをもって、原告自身についての言及ということはできず、原告の社会的
な評価を低下させるものではない。

(2) 原告は、本件記事1及び2は、原告が有明商事の不正行為を見過ごしたとの事実を摘示するも
のであると主張(原告主張摘示事実1)。しかし、本件記事1及び2には、原告が有明商事の違法
行為を見過ごしていたことについて、明示的な記載がないばかりでなく、黙示的にその旨を摘示
したと見られるような部分も存しない。したがって、原告の上記は採用することができない。
また、原告は、本件記事1及び2だけでなく本件記事全体を併せ読めば、原告主張摘示事実1
が摘示されているとも主張する。しかし、本件記事は、大見出しが、「土着権力の研究【第3回】
長崎県 有明商事『海砂』利権で肥大化した新興勢力」と記載され、小見出しが「県職員と結託
した公文書を偽造」、「諫早開門で新たな利権確保へ」と記載されていること、本件記事には有明
商事本社が写された写真が付されたことをからみて、本件記事が有明商事について言及する記事
であることが明らかであるところ、本件記事全体をみても、原告が有明商事と密接な関係にある
とか、有明商事を支援しているといった明示的な記載はなく、…黙示的にこれを示唆するような
記載も見いだせない。したがって、原告の上記主張は採用の限りではない。

2 争点1イ(本件記事3の摘示事実は何か、原告の社会的評価を低下させるか)について
(1) 本件記事3は、「有明商事の権益獲得の一端を物語るのが『長崎県職員の贈収賄疑惑』。海砂
担当者だったH課長補佐(当時)が有明商事を筆頭とのする海砂業者の接待を受け、長崎県側に
有利な『漁業取り締まりライン』に境界線を変更する文書を偽造したという事件だ。当時、長
崎県庁には有明商事によるH氏への接待疑惑の情報が次々と寄せられ、調査チームが設置され
た。…調査チームは『典型的な贈収賄。限りなくクロに近い』という確信を持って資料をとり
まとめた。…これには長崎県警の関係者も関心を示していたが、ここまで疑惑が深まり材料も
揃っていながら、不可解にも結局立件されることはなかった。海砂業者の間では『金子知事ら
県トップから圧力がかかったのではないか』『有明商事に天下っている県警OBが動いたので
はないか』と囁かれたのはこのためだ」旨の記載がある。このような本件記事3全体を一般読
者の普通の注意と読み方を基準とすると、「長崎県の海砂採取担当であったH課長補佐の文書
偽造事件(以下「本件事件」という)。について、調査チームが設置され調査の結果H課長の
疑いが濃厚となり、警察も関心を示したが、結局立件されなかった」、「このことについて、海
砂業者の間で、原告ら長崎県トップの圧力があったのではないか、有明商事に天下っている長
崎県警OBがと動いたのではないか、という風聞が流れた」との事実を摘示したものである。
このように、上記摘示事実中には、本件事件についてH課長の疑いが濃厚となったが、結局
立件されなかったことにつき、海砂業者の間で流れた風聞の一つとして、「原告ら県トップから圧力がかかったのではないか」が挙げられるが、そのほかにも「有明商事に天下っている県警OBが動いたのではないか」も挙げられている。そのほかにも「有明商事に天下っている県警OBが動いたのではないか」も挙げられている。そうすると、これを読む一般読者の普通の注意と読み方を基準にすると、海砂業者の間で流れた様々な風聞の一つに「原告ら県トップから圧力がかかったのではないか」があったと理解するものと解される。したがって、上記摘示事実は、原告の社会的な評価を低下させるものではない。

(2) 原告は、本件記事3は、原告が圧力をかけて本件事件が刑事事件として立件されるのをストッ
プさせたという事実を摘示するものであると主張する(原告主張摘示事実2)
しかしながら、記事において人の噂や風聞の形式によって記述を行った場合には、噂や風聞の内容たる事実を摘示するものと、噂や風聞の存在それ自体を摘示したものとがあり、そのいずれかであるかは、当確記事を読む一般読者の普通の注意と読み方を基準として判断すべきである。

本件記事3は、本件事件が刑事事件として立件されなかったことが不可解であるとした上で、
海砂業者の間で「金子知事(原告)ら県トップから圧力がかかったのではないか」「有明商事に天下っている県警OBが動いたのではないか」と囁かれている旨記載されている。これは、海砂業者の間の話しというだけで、上記風聞の直接的な根拠となり得る具体的事実が記載されておらず、風聞の内容としても二つの話しが記載されているところからみて、これを読む一般読者は、海砂業者の間で様々な風聞が流れているという程度の話しであると理解するものと解される。本件記事全体をみても、原告が有明商事と深い関係にあるとか、これを支援しているとする旨の明示の記載はなく、本件事件が刑事事件として立件されないよう原告が警察に対し何らかの圧力をかけたことが示唆されているともいえない。これらの書店を考慮すれば、本件記事3を読む一般読者の通常の注意と読み方を基準にすると、海砂業者の間で上記の様々な風聞が流れていることを摘示したものと解され、風聞の内容とされた「原告が圧力をかけて本件事件が刑事事件として立件されるのをストップさせた」との事実を摘示したものということはできない。

したがって、原告の上記主張は採用することができない。

3 争点1ウ(本件記事4の摘示事実は何か、原告の社会的評価を低下させるのかに)について
   本件記事4を一般読者の普通の注意と読み方を基準にして判断すると、「原告が長崎県知事であった時代の長崎県庁は腐敗し、不正を隠ぺいする体質があり、有明商事と長崎県庁が癒着していた」との事実を摘示するものでる。

しかし、上記摘示事実は長崎県庁についての言及であり、原告についての言及でないから、長崎県庁の社会的な評価を低下させるものであっても、原告の社会的な評価を低下させるものではない。なお、上記摘示事実中の「原告が長崎県知事であった時代」の部分は、長崎県庁の体質や有明商事の上記行為の行われた時期を特定するものであるところ、他に長崎県庁の上記体質と原告との関係や、有明商事と長崎県庁の癒着への原告の関与について言及する部分がないことも併せ考慮すると、原告についての言及とはいえず、上記部分があることをもって原告の社会的ナ評価を低下させるものとはいえない。

  4 争点1エ(本件記事5の摘示事実は何か、原告の社会的評価を低下させるか)ついて
(1) 本件記事5は、要旨、「諫早湾干拓事業においては、主に有明商事の供給する海砂が使用され  たが、当該海砂が高値であったために有明商事が利益を得た」、「谷川議員は谷川建設のオーナーとして有明商事と密接に利害関係を共有している」、「干拓事業を受注した建設業者は干拓推進派の国会議員に献金、発注業者の農林水産官僚の天下りを受け入れた」、「政官業の癒着構造が存在し、そうした中で安価な中国産の海砂が用いられることはなく、高い有明商事の海砂が使われ続けた」「地元の漁業協同組合が水産業への悪影響を懸念して安価な中国産の海砂を使うよう農林水産省に嘆願したが聞き入れられなかった」旨の記載がある。このような本件記事5全体を一般読者が普通の注意と読み方を基準にして判断すると、「諫早湾干拓事業をめぐって選官財の癒着構造があり、その中で有明商事が売却する高値の海砂が使用されて、有明商事が利益を得ていた」という事実を摘示するものである。この摘示事実は、有明商事や農林水産省や政治家についての言及であって、原告についての言及ではなく、原告の社会的評価を低下させるものではない。
なお、本件記事5中の「原告が長崎県知事時代に諫早湾干拓事業を推進した」旨の記述は、原告に関する言及ではあるが、これは原告の長崎県知事時代の業績を摘示するものであって、原告の社会的評価を低下させるものではない。しかも、諫早湾干拓事業を巡る政官業の癒着構造と原告との関係について言及がないことに照らせば、これを読む一般読者が、原告が諫早湾干拓事業をめぐる政官業の癒着構造に関わる一人であるという事実を摘示するものと理解するものといえない。
(2) 原告は、本件記事5が、「諫早干拓事業を推進する原告が、政官業の癒着構造の中で、安価
な中国産の海砂ではなく、有明商事が売却する高値の海砂を使用させていた」という事実を摘
示するものであると主張する(原告主張摘示事実4)。
しかし、本件記事5は、「政官業の癒着構造」における「癒着」の主体について、「業」としては有明商事を挙げ、「政」としては谷川弥一議員、干拓事業を受注した建設業者から献金を受けた干拓推進派の国会議員を挙げ、「官」としては農林水産省を挙げているだけであって、当時長崎県知事であった原告は挙げていない。しかも、本件記事5中には干拓事業の発注者が農林水産省であると明示的に記載されているから、これを併せ読む一般の読者は、有明商事の海砂を使用することを決定したのは発注者である農林水産省であると理解すると解される。他に本件記事5には原告主張摘示事実4のような記載部分は存在しない。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 

第4 結論
   以上によれば、本件記事は原告の名誉を毀損するものではなく、被告らについて不法行為は成
立しないから、原告の請求は、その余の点について判断するまでもなく、いずれも理由がない。
よって、原告の請求をいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第5部

 本紙は、有明商事に関する取材報道を6年間に渡り行い、現在も行っている。総選挙報道がおわり、再度有明商事と金子原二郎、そして谷川弥一に関する取材報道を行う。諫早湾開門が控え石と砂の使用、新幹線長崎ルートの生コン使用、これから新政権によって論ぜられるであろう、普天間基地移設問題の辺野古の埋め立て問題など、有明商事が抱える「海砂と石」とが否応なく注目を浴びてくる。暴力団を使い、暴力団に利益供与する有明商事のビジネスに、監視の目を注がなくてはならない。


金子原二郎敗訴の判決文
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