ベテラン勢が実力を見せた
1位の佐藤浩市、2位の北村一輝、3位の里見浩太朗と、ベテラン勢が上位を独占。ベラしゃべりの弁護士を演じた佐藤は、主人公が寡黙だっただけにコミカルさが際立ち、芸達者ぶりが光った。2位の北村は「悪役もいいが、今回のボケ役も面白かった」と器用さが評価された。
1位の佐藤浩市、2位の北村一輝、3位の里見浩太朗と、ベテラン勢が上位を独占。ベラしゃべりの弁護士を演じた佐藤は、主人公が寡黙だっただけにコミカルさが際立ち、芸達者ぶりが光った。2位の北村は「悪役もいいが、今回のボケ役も面白かった」と器用さが評価された。
総合的に票の多かった瑛太が、昨年の主演男優賞に続き、助演でも栄冠に。「ギラついた目に狂気を感じた。若手では断トツの表現力!」と絶賛の声が多数。2位の西島秀俊は「秘めた思い、そして守る!みたいなところがたまらない。今期一番のイイ男だった」と女性の心をわしづかみ。
長谷川博己と鈴木福のデッドヒートの末、審査員から高い評価を得た長谷川に軍配。「どうしようもない父親なのに見るのも嫌とはならなかったのは彼の芝居力、魅力によるところ」との意見が。2位の鈴木には「“オイラ”という一人称、昭和のセリフもハマッていた」と賛辞が届いた。
ドラマ序盤は無表情、中盤から終盤にかけては鬼気迫る芝居を見せ、インパクト大だった風間俊介が1位。「狂気の中にも寂しさや悲しみが出ていた」「大竹しのぶさんとのやり合いでも負けてなかった」など絶賛の声が多数寄せられた。読者人気が抜群だった錦戸亮が2位に入った。
「JIN-仁-」パート1でも助演男優賞に輝いた内野聖陽が、読者・TV記者・審査員全てで1位に。物語の後半は龍馬暗殺が軸だっただけに「前作でもハマり役だったが今作で完全に“龍馬=内野”を印象づけた」と圧巻の存在感を示した。
TV記者票で2位以下と3倍以上の差をつけた高嶋が初受賞。「“好中年”だと思っていたのに“冬彦さん”みたいに怖かった。さすが」「出世作『ホテル』('90年ほか、TBS系)で見せていた笑顔にここまで恐怖感を与えられるとは 」といい意味での裏切りが高評価につながった。2位の及川光博には「右京さんの相棒として風格が出てきた」との声。
今賞で各部門を通し、唯一の圧倒的な勝利を収めたのが香川照之。選考理由では「どの作品でも足跡を残す役者」など賞賛の嵐に。また、嫌みなヒール役で新境地を開いた稲垣吾郎が2位に入った。
主役級の活躍で「ゲゲゲの女房」をけん引した向井が独走し1位に。「実在する人物を演じる難しさや、独特の雰囲気を持つ水木しげるという人物像を、気負いなく演じていた」など、これまで脇役で培ってきた演技力が証明された。また、「ホタルノヒカリ2」でも総合4位に入り、人気をうかがわせる結果に。
ARATA、西島秀俊らが激戦を繰り広げた末、「変幻自在のキャラ作り」「不気味な存在感を放っていた」など、審査員の高評価でARATAが最優秀賞に。読者から人気が高かった八嶋は、「怪物くん」の共演者の松岡昌宏、チェ・ホンマンらと票を分け、3位に。
スマートかつ陰のある、ニヒルな刑事ぶりで新たな“相棒”像を演じ切った及川が、1位を獲得した。助演俳優陣が実力派ぞろいだった「不毛地帯」は岸部、原田、遠藤で票が割れる結果となった。
歴史上の人気ある人物でかつて何人もの役者が挑んできた龍馬を、抜群の存在感と完璧な土佐弁で、田舎くさく武骨に演じ切り、「本物の龍馬はこういう人だったのかもと思った」と審査員も感服。2位とは3倍以上の差をつけた。
本格派俳優を集めた「官僚たちの夏」は堺と高橋克実で票が割れたものの、TV記者票で2位と倍以上の差をつけた堺が受賞。読者票で群を抜いた錦戸が2位に、3位以下は接戦となった
“ちょい悪でおちゃめ”という新境地を開拓した竹野内 豊が審査員の心をつかみ、「年を重ねカッコ良さが増した」と絶賛。ほか、遠藤憲一、中井貴一とベテラン俳優が上位を独占。
読者票で2位に倍近い差をつけた佐藤が初受賞。「自然体な胸キュン芝居」と女性票をガッチリつかんだ。2位には審査員票4位、読者票2位の生田が。
審査員、TV記者から票を集め、故緒形拳が受賞。2位の錦戸亮とのわずかの差を制した。3位には、「篤姫」人気の盛り上げにひと役買った堺雅人がランクイン。
2位の3倍近い得票数を得て、市原隼人が初受賞。2位には小出恵介が入り、「ROOKIES」の1-2フィニッシュに。2位から総合4位の濱田岳までは僅差だった。
助演男優賞では、2位の倍以上の得票数で錦戸亮が受賞。愛の狂気に走る難役を熱演した。2位には瑛太がつけ、あらためて「ラスフレ」人気の高さを感じさせた。3位は、とぼけた選挙参謀を演じた阿部寛。
キャバレーのスカウトマン、八代平太役。善男の保険金を手に入れようと企むが、いつの間にか信頼関係を築いていく。悪そうに見えてどこか憎めない平太を、軽薄さと人情味あふれる演技でひょうひょうと演じ上げ、くたびれた色気さえ感じさせた。
新妻・あゆ(上戸彩)と再婚し、前妻から息子を押し付けられる哲を好演。コミカルな表情の中に、家族を愛する優しさも見事に表現し真骨頂を見せた。上戸とはテンポのよい掛け合いを披露。なんとも憎めない大泉の明るいオーラが作品に温かみを与えた。
舞台経験豊富の実力派・生田が、一途に瑞稀(堀北真希)を思う中津秀一役で大ブレーク! 2位以下に3倍近い票差で圧勝した。後ろから抱きしめての告白では女性ファン多数をノックアウト。一人芝居のシーンもハイテンションかつさすがの安定感でコミカルに魅せた。
「バッカナーレ」の給仕長・与那嶺役。伴をサポートする温かい笑顔も、ラテンな接客も成熟した魅力たっぷりで、荒削りな主人公を効果的に引き立てた。桑原(佐々木蔵之介)、美幸(内田有紀)と語り合う場面も、含蓄ある言葉をさりげなくキメて大人のシーンに仕上げた。
万俵財閥の頂に君臨する阪神銀行頭取・万俵大介役を圧倒的な迫力と存在感で演じ切った。どす黒い表情と、相手を射る鋭い目は見る者を震え上がらせた。最終回の、自らの苦しみを鉄平に吐き出した苦悶の表情と、鉄平の死と出生の真相を知り崩れ落ちる泣きの演技は圧巻。
弱小ヤクザ・目高組の若頭、佐久間役。組長に迎えた泉(長澤まさみ)を常に敬い、体を張って守る姿は、ほれぼれするほどのカッコ良さ。コミカルでもシリアスでも、その演技は常に画面を引き締め、ヤクザの世界を下品に見せない好サポートだった。重みのある芝居で、筋を通す大人の姿を説得力たっぷりに見せた。
真喜男を敬愛してやまない舎弟・和弥役。コワモテのヤクザ者だが、真喜男に尽くしまくるいじらしい姿が完全にハマり、キュートなキャラクターに。コメディー路線は初挑戦でありながら、長瀬に引っ張られ、テレのないハジけた演技を披露。舎弟ポジションを生き生きと演じた。
九頭とコンビを組む熱血新人弁護士・武田役。まじめだが抜けている愛すべき“ドジ男”を、マヌケな笑顔や泣きだしそうな困り顔でコミカルに表現。九頭と正反対のキャラクターで引き立てつつ、豊川とのコンビネーションは抜群で、息の合った軽快なやりとりを見せた。
主人公・亮司と雪穂を執念で追いつづける刑事・笹垣役。犯罪者への怒りに震える鬼気迫る表情で、画面に緊迫感を与えた。自らの発案で取り入れた念仏を唱えるシーンでは、不気味な語り口で、見る者を圧倒。ぎらぎらした表情の前半、父性すら感じさせる後半と心境の変化を見事に見せ、ベテランの演技の幅の広さを見せつけた。
読者・TV記者票1位の松本が、「ごくせん」パート1('02年日本テレビ系)以来2度目の受賞。錦戸が総合2位。審査員票1位の森山が読者・審査員票3位の松平健「義経」をかわし、総合3位に入賞。
毎回混戦のこの部門だが、審査員、TV記者票で絶大な支持を集めた伊藤淳史が読者票でも抜け出し、記録的な大勝。仲村トオルと錦戸亮が激しく競り合い、TV記者票でわずかに上回った錦戸が2位に。
混戦が多い助演男優部門だが、今回は読者票4位ながら審査員・TV記者票で1位を獲得した西田が圧勝。57歳での受賞は、平良とみ、田村正和に次ぐ歴代3位の高齢受賞。読者2位・TV記者票3位の堤が2位に。
3年D組の不良生徒・竜役。バカ騒ぎにボソっとツッコむクールなキャラがハマっていて、抜群の存在感。不登校に悩んだ冒頭から徐々に気を許していく芝居も巧みで、たま~に見せる素直な笑顔にはクラクラ! 作品の大きな楽しみである“イケメン”生徒の中核を担うカッコよさで大ブレークした。
新選組副長・土方歳三役。土方が近藤のために影に徹することを決め、「かっちゃん」から「近藤さん」に呼び名を変えた中盤以降の演技は、“もうひとりの主演”と言っても過言ではない出来。新選組を守るゆえの非情さ、その裏にある近藤との友情を完璧に表現し、新たな土方像をつくり上げた。
永井(江口洋介)を逮捕することに執念を燃やす刑事・峰島役。インパクト大の登場シーンや、永井と対峙したときに見せた狂気の表情など、アクの強さを前面に押し出した濃い演技で、峰島がもつ危ない雰囲気を醸し出すクセ者ぶりを発揮。圧倒的な存在感と強烈な個性でドラマを引っ張った。
「砂の器」('04年TBS系)の和賀(中居正広)の幼少時代を演じ強烈な印象を残した7歳の齋藤が、自閉症児の光という難役で同部門最年少受賞に。ドラマの成否を握る重要な役ながら、無表情なのに、にじみ出るような表現力で視聴者にも感情をみごとに伝え、とても愛しい存在に役を昇華した。
粘り強いベテラン刑事・今西役。獲物を追う気迫を“動”の芝居で、和賀の人生をたどり「宿命」の理解者となる慈愛を“静”で表現し、今西の人間的深みまで伝え、迫力の眼力で作品を引き締めた。ズバ抜けた存在感は、大部分が声のみだった捜査報告シーンにも発揮され、あの最終2話も成立させた。
梓(夏川結衣)ら一家を恐怖に陥れる謎の隣人・数馬役で、常にズバ抜けた存在感を見せる北村がついに初受賞! 色気たっぷりの流し目や甘いささやきで、そら恐ろしくも引かれずにはいられない、作品のカギを握る重要な役どころを、妖しく魅力的に表現しきった。持ち前の強い個性も炸裂!
注目の若手実力派の森山が、シンクロをあきらめていた進藤(山田)を奮起させ、何度も支え励ます立松役でブレーク! ラテンな“タテノリ”芝居でも、軽さだけでない骨のある強さや情熱を感じさせ、オーバーリアクションやちょいクサイせりふもキャラとして自然に表現。底知れぬ才能を発揮した。
名助演として欠かせない古田が、記憶術の天才・田町役でついに初受賞。気を失いかけるときの白目や、女を振り回すイイ男ぶりなど、コメディーセンスは天才的。留美子(篠原涼子)に加え本人役の井川遥にも変身し、単に特徴をとらえるのでなく、芝居で視聴者がもっとも楽しみにする爆笑シーンを提供した。
冷徹なまでに厳しい機長の香田役で同部門2度目。つくり込みすぎるとリアリティーを失う役柄を、絶妙なラインで表現。事故にかかわった過去を背負う苦悩、先輩操縦士に引退勧告する寂廖など、多くを語らない香田の、心の奥がかいま見えるシーンほど重みと見ごたえがあり、作品を引き締めた。
ある事件を機に引きこもりとなった天才警視・氷室役。「お疲れさま」に対し「別に疲れてない」とこたえるなど、クールに徹することで生まれるコミカルさで作品の世界観を構築。最後の事件では、ガラスのような氷室の弱さも表現。舞台などが重なっていた中、主演級の活躍と存在感を発揮した。
作品ごとに実力も注目度も上昇中の妻夫木が、洋食屋の仕事を誇りに思う純三郎役で初受賞。なつみへの恋心を直球で伝えたり、逆に兄に遠慮して引いてしまったり、ひたむきにデミグラスソースを作ったり…まっすぐで純朴な表現がとにかく魅力的で、女性たちの母性本能をくすぐった。
担任教師・久美子(仲間)の秘密をいちはやく知る慎役で、松本が初受賞。教師への不信感に満ちた序盤の孤独なクールさが、久美子への信頼感に変化するさまを自然に表現。大人びた雰囲気と、久美子を見守る姿は、漫画の世界から飛び出したヒーローまんまのカッコよさで、女性たちをとりこに。
「ラブレボリューション」「アンティーク~西洋骨董洋菓子店~」(ともに'01年フジ系)で同部門2位だった藤木が初受賞。これまでのどこか品行方正な役とは真逆の、だらしなくて顔がいいだけの拓海役。人間味あふれるダメ男っぷりで新たな魅力を披露。表情で見せる芝居が絶品で、美しかった!
洋菓子店アンティークのオーナー・橘役で技巧派ぶりを発揮。坊ちゃん育ちな品のよさと、エイジ(滝沢)と絡む際の子供っぽさで、かわいいオヤジを好演。オーバーアクションぎみな芝居でドラマのファンタジックな雰囲気を盛り上げ、助演としてしっかり作品を支えた。
ここのところ助演としてバツグンの存在感を発揮し、作品へのスパイスを効かせている阿部が、得意のコミカルな英太郎役でついに初受賞! 恋人に愛想を尽かされ慌てて司法試験の勉強に励むも、どこかクスッとさせる、英太郎ゆえの一生懸命さを表現。アドリブセンスにも感動!
モテモテでライトな恋ばかりしてきたイラストレーター・鍋友役で「合い言葉は勇気」('00年 フジ系)に続き受賞。いいかげんなだけでない、鍋友の内にある“骨”の部分を体温の低いまま絶妙に演じ、天性の芝居センスを発揮。“永遠の少年”的一面、存在感ともに脱帽もの。
愛する教師のため、2年も留年し高校に残っていた哲也役。N.Y.暮らしが長いという設定に沿った、少し英語なまりのある発音が絶妙。役によって全く表現が異なるのに常に“窪塚らしさ”と存在感を発揮するあたりに非凡さを感じる。キザなセリフや動作もナチュラルなのがすごい。
“お金がすべて”の桜子(松嶋菜々子)に振り回されながらも一途に思いつづける欧介役で初受賞の堤は、舞台仕込みの表現力も圧倒的。人のよさがにじみ出るぼくとつとした語り口調や、振り向いてもらえない寂しさを笑顔で伝えるなど、胸キュンの芝居で恋愛ドラマを盛り上げた。
仁太郎(役所広司)をニセ弁護士に仕立て、ゴミ処理業者と裁判で戦う村役場の青年・忠志役。ハチャメチャな仁太郎や富増村の面々の中で、唯一ニュートラルでありながら、存在感を打ち出せたのは香取だからこそ。抑える演技とハジける演技のバランスも絶妙だった。
作品ごとに違う表情を見せてきた窪塚が、池袋を仕切るGボーイズのキング・タカシ役でついに受賞。「マコちゃ~ん(長瀬智也)」と甘えたり、歯向かう人間に容赦なかったり、つかみどころのないタカシの恐ろしさを、あくまでもキュートに表現。作品の世界観もつくり上げた。
クールな役の印象が強い渡部篤郎が、オヤジギャグ炸裂の正夫をユーモアたっぷりに魅せ、底知れぬ演技力で見る者をうならせた。柊二(木村拓哉)&杏子(常盤貴子)の主演2人に引けを取らないインパクトの強い、正夫とサチ(水野美紀)のシーンが“BL”の大ヒットにひと役買ったのは確かだ。
愛する妻に暴力を振るってしまう、心のゆがんだ刑事・次郎役。これまでどちらかといえば優しい役が多かった彼の、新たなハマリ役を発見できたのは大きな収穫。獰猛で恐ろしい次郎に思わずひかれる女心が、男性が見ても納得できるほど、文句なくカッコよくセクシーだった。
理不尽なリストラに遭ってしまうエリート社員・啓介役。出向先で上司(平泉成)にしごかれても前向きに立ち向かおうとする姿など、会社の仕打ちに耐える痛々しさは目を背けたくなるほどのリアルさ。女性にファンが集中しがちな作品に男性ファンを取り込んだ功績は大きい。
古畑(田村正和)をサポートする小柄で優秀な西園寺刑事役。連ドラ初挑戦ながら、すでに完成された古畑ワールドに溶け込み、作品の新たな魅力を引き出したのは立派。お笑いコンビ・アリtoキリギリスのひとりとしての活躍だけでなく、俳優としての今後の活躍も期待される作品となった。
第12回「ストーカー 逃げきれぬ愛」('97年 日本テレビ系)で同賞を受賞して以来2度目。妹を犯した犯人への怒りと刑事としての理性のはざまで苦悩する真山をアクセントの効いた演技で表現した。対照的なキャラクターの柴田(中谷美紀)とのコンビネーションもピタリ。
30歳を超えてボクシングチャンピオンをめざす元エリート商社マンの澤田役。セリフ回し、間の取り方、コミカルな表現での舞台出身の底力はさすが。ストイックな表情も、ひょうひょうとした姿も巧みに演じ分け、熱血ドラマをそれだけで終わらせない力量にはうならされた。
善の顔は優しく正しくてお人よしで、悪の顔は計算高く悲しくどこまでも怖い二重人格者の弁護士・榛名役。善の顔の自然な誠実さと悪の顔の徹底的な非情さ、わかりやすい表現に徹しながらも、安っぽさを感じさせず演じきったところに、舞台で培った芝居の幅広さと底力を見た。
「この愛に生きて」「妹よ」(ともに'94年 フジ系)に続き岸谷が3度目の受賞。威圧的で高飛車な長男・真文(しんぶん)役。膨大なセリフを歯切れよくリズミカルにまくしたてて笑わせ、大人の男の優しさで泣かせる。緩急の効いた芝居と多彩な芸がドラマに厚みをもたせた。
ふたを開けてみれば読者・審査員・TV記者票すべてで滝沢が1位に。精神年齢の高いクールな高校生・龍役でついに受賞。個性派俳優に囲まれながらも、恋に戸惑う瞳や、ふてくされ顔や、ぶっきらぼうなしゃべり方が過不足ない演技で際だち、敵ナシの愛らしさを見せた。
あぐり(田中美里)の浮気性の夫で、自由でモダンな天才文士・エイスケに、狂言界のプリンスが扮し話題に。美しい体の動き、現代劇のナチュラル志向とは異質の演技法、圧倒的な存在感と類まれな品格が、トボケつつ奥に強い意志と芸術性を秘める魅惑的なエイスケを形づくった。
審査員票1位の玉置浩二との接戦を制し、TV記者票1位の萩原に軍配。とにかく人情に厚い、愛を信じる熱血教師・池田役。“田舎っぽさ”とこれでもかというほどの人のよさが、鳴瀬(三上博史)と実に好対照で、笑いを誘った。カッコイイ役がキマる彼だがこんな三枚目役もまたいいですね。
読者票で2位にWスコアの差をつけた内野がTV記者票もトップで初受賞。若き世界的指揮者としての威厳、恋への真摯な態度、後半のうつろな表情…。さわやかなだけではない光の人間性に女性ファンは夢中に。「ふたりっ子」('96~'97年 NHK総合)同様、確かな存在感が光った。
読者票こそ反町隆史に1位を譲ったものの、審査員・TV記者票では堂々1位の技巧派・渡部がV。前半はヒロインを追いつめる姿がひたすら恐ろしく、後半は狂気の裏側にある哀しみが胸を打った辰也役。彼の異常な行動と、渡部の並外れて豊かな表情からはとにかく目が離せなかった!
「ロングバケーション」('96年 フジ系)でも同部門受賞。一見軽いけどいちずな拓巳に襲い掛かる不幸に、怒り、泣き、苦悩した今回。たとえ報われなくとも、彩(酒井法子)を愛しつづける姿がせつなく、女性ファンの心をわし掴みに。迫真の演技にも胸を締めつけられました。
審査員、TV記者票では全部門中最も高いポイントを記録して1位となった(が、今回は希望により最優秀助演男優賞を辞退されました。残念!)。「ですよね~」が口グセで、人情にブ厚く、色恋にはウトい超楽観主義者・清太郎像のユニークさは、今期の強烈な収穫でした。
一見軽いノリな女タラシふうだけど心の中は純な“アニマル”真二役は、ヒゲを伸ばしたワイルドな竹野内 豊にまさにハマッた。男の色気を漂わせ、新たな魅力を見せた竹野内に、メロメロになった女性も多いはず。山口智子や木村拓哉との会話も、リズム感のある絶妙の間でキメました。
捜査を混乱させたら日本一のダメ刑事。そこまでやるか!なドジぶりと情けな~い表情でファン急増(古畑より多い?)。「巡査・今泉慎太郎」(フジ系)なんて深夜番組まで登場した。つれない古畑(田村)に必死でくっつく姿など細かい演技のすみずみまで、とにかく笑えた!
混戦続きの各部門の中で同賞だけは香取の圧倒的勝利。2位の5倍の得票数で1位に。デクの棒の“デク”と呼ばれる精神遅滞の仁。天真爛漫な笑顔、恐怖にゆがむ表情、悲しみの涙…どれもが本物の輝きをもって胸に迫ってきた。役のインパクトを“演じ倒す”力は天性のもの!?
今田耕司、香取慎吾、岡田浩暉と、「沙粧妙子・最後の事件」での怪演が光った佐野史郎、渋い演技を見せた柳葉敏郎の5人が争う中、まんべんなく票を集めた今田が栄冠を。恋も仕事も“なんとなく、とりあえず”なお調子者の若者を、軽くなりすぎず演じ好感。福山雅治、椎名桔平との掛け合いも自然体でよかった。
読者票は中居正広、TV記者票は「王様のレストラン」の筒井道隆と分かれたが、審査員票でトップの西村が受賞。クールな支配人にうまく人間味を加えた技巧が光った。「警部補・古畑任三郎」('94年 フジ系)の、頼りない今泉刑事(西村雅彦)と対照的なキャラで新たな個性を発揮。三谷脚本にこの人あり!
読者票は高橋克典、高嶋政伸、香取慎吾の「FOR YOU」トリオに集中。TV記者票で高橋が抜け出た。設計技師という仕事と夢に向かって一生懸命。頼れる大人の男だけど、ときどき少年のような表情や行動を見せる徹役。高橋の大人の魅力で、徹をすてきな男性につくり上げた。
読者、審査員、TV記者票のすべてでトップになった岸谷が「この愛に生きて」(第1回・助演)に続いて2度目の受賞。正直で人がよくて、ときに熱い「妹よ」の菊雄は、まさにハマリ役。“寅さん”を彷彿とさせる憎めないキャラクターで、笑って、そしてホロリ泣かされた。
織田裕二に負けない頑張りで、情けない男・大沢を味のあるヤツに仕上げ、演技面で新境地を開いた東幹久が読者からの圧倒的な支持を得た。コミカルな表情やアクションにも迷いがなく、超がつくほどマジメでドジで愛すべき“笑える”キャラクターを嫌みなく完成させた。
映画「月はどっちに出ている」の在日朝鮮人役が大好評だった岸谷が、連ドラ界に新風を巻き起こし、“主演男優賞”に推す投票も。2位・西村雅彦、3位・豊川悦司と上位の3人がいずれも舞台出身者というのも興味深い。圏外だが、「家なき子」のリュウ(ピュンピュン)という声もあった。
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