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藤子先生知ってた?
 秘密道具は1963個だって


 やあ、ぼくドラえもん。僕が持っている「秘密道具」は1963個もあるんだって−。ドラえもん本人もびっくりしそうな数を調べ上げたのは、富山大学教育学部の横山泰行教授(62)。「どこでもドア」など、子どもたちに夢を与え続けた秘密道具を、単行本や雑誌などに掲載された全作品(1344編)から拾い上げた。秘密道具の数については出版社やファンの間で諸説あるが、横山教授は「これほど徹底的に調べた例はない」と話している。

 人気漫画「ドラえもん」を研究する横山教授は、高岡市出身の漫画家、藤子・F・不二雄さん(本名・藤本弘、昭和8年〜平成8年)が描いた1344編すべてを収集。秘密道具だけでなく、登場人物、擬音語、索引などをデータベース化して分析している。

 横山教授は秘密道具を現代技術で実現不可能なアイテムと定義し、さらに、ドラえもんなどが未来の世界からレンタルしたり、買ったりしたアイテムを秘密道具と定義して集計した結果、1963個となった。「グレーゾーンの秘密道具も多く、これが最終的な数字とは思っていない。ひとつのたたき台にしてもらえれば」と言う。

 ドラえもんは昭和44年12月発売の「小学四年生」(小学館)などで連載が始まり、のび太の家を訪れる際に使った「タイムマシン」が最初の秘密道具。頭に付けるだけで空を飛べる「タケコプター」や、瞬時にどこへでも行ける「どこでもドア」などが有名だが、実は秘密道具の九割以上が一回しか使われていない。

 小学館が今年発行した「最新版ドラえもんひみつ道具大事典」では、1302個とカウントされている。

 高岡駅前西再開発ビル「ウイング・ウイング高岡」に4月6日、移転オープンする高岡市立中央図書館では、横山教授らが寄贈したドラえもんの単行本671冊が閲覧できる。中央図書館には、初版本や作品の初出しコピーなど貴重な資料もあり、ドラえもんの全作品がそろっている全国で初めての図書館となる。

 横山教授は「作品では道具に頼り切る姿勢は否定的に描かれているが、秘密道具は夢やあこがれを抱くきっかけになるものである。子どもたちがたくさんの作品を読んで、夢をはぐくんでほしい」と話している。

 
北日本新聞:秘密道具は1963個だって、2004年4月2日朝刊。