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話題のアニメトピックス一覧へ戻る 更新日:2013年04月22日 20時00分

杉田悠の由々しき『ゆゆ式』レビュー 第1話「女子高生になりました」

ライター:
杉田悠

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ゆゆ式 1 (初回限定版) [Blu-ray]

アニメ『ゆゆ式』が始まった。
第1話は原作第1巻の書き下ろしカラー+(第5話を除く)第1~7話のエピソード……実に4コマ×34をすくい上げ、順番の入れ替えや場所の変更などを加える形で、一本の線として再構築されている。
アニメオリジナルの付け足しはAパート冒頭のクラス分け掲示から入学式の場面、情報処理部のポスターを発見する場面、そしてBパートの情報処理部の部室に足を踏み入れる場面と必要最小限に留められており、つまりこの第1話は断片の集積である。しかしぶつ切り感やツギハギ感はなく、そこには確かに連続した時間の流れが存在している。ゆるくゆったりゆりゆりしい時間が。
これはアニメのスタッフの手腕(豪腕?)であるとともに、『ゆゆ式』における4コマという単位が、強固な空間性と時間連結性に優れた「日常」ということでもある。日常はどの時間軸にコピペされようが不自然なくハマるからこそ日常なのだ。

*

というわけでアニメ『ゆゆ式』が始まった。
「あーまた萌え4コマが原作の、日常系で、空気系なアニメか」
『ゆゆ式』の第1話を見て、そう思った人は多いだろう。というか(原作を読んでなければ)ほとんどそうだろう。
違う、違うんだ。
見続けていればいずれみんな、きっと気付くと思うが、「日常も空気も秋田」と早合点して見限ってしまう人がいないとも限らないので言っておく。不幸な被害者を生み出さないためにも言っておく。

『ゆゆ式』は萌え4コマが原作の、日常系で、空気系なアニメなんだ。

いったい何を言ってるのかわかんねーかもしれないがそのまんまの意味だ。『けいおん!』『ひだまりスケッチ』『らき☆すた』『Aチャンネル』『GA 芸術家アートデザインクラス』等々……この5年の間に素晴らしい名作傑作たちが私たちの心を駆け抜けていったが、『ゆゆ式』は今まで日常系で空気系だとされていたこれらの作品よりもさらに、突き詰めて日常系で空気系なアニメなのだ。
つまりは過去の名作・傑作より「日常」における「空気」――コミュニケーションに特化したアニメなのだ。

*

今回の第1話で、『ゆゆ式』の特色を理解するために着目したいのが、ゆずこ、唯、縁の3人のダイアローグ(対話)を主体に進行する本編と、3人が個別に分断されているために終始モノローグ(独白)で進行しているOP前のアバンとのコントラストだ。

このアバンで唯は「(自分の制服姿を)ゆずこは笑うなー……。縁は……まずケータイ封じて、写メを取らせない」と事前に自身とゆずこ・縁の振る舞いを予定/予測しており、一方でゆずこはゆずこで「まずは大爆笑して一発どつかれて~」と事前に自身の振る舞いを決め、唯の反応を予測している。
実際にこの予測通りのやり取りが発生していたのかは、描かれていない。
しかし本編でゆずこは3度(書店/川沿いの道/情報処理部)、悪ノリが祟って殴られたりするなど、彼女がアバンで予測していたような暴力を伴った強いツッコミを唯から受けている。
この三度の場面でゆずこが何を考えているのか、私たちにはわからない。しかしアバンのモノローグによって、このような「悪ノリ→殴られる」というやり取りを、唯とのコミュニケーションの形としてあらかじめ了承し、好んでいることが可視化される。
私たちは澪が律を、トオルがユーコを、ソーニャがやすなを、怒って殴ったりする様子を見て、「2人とも仲良いな~、ウェヒッヒッヒ」的なキモイ反応をしたりするが(するんだよ)、つまりはゆずこはキャラクターでありながら、このように自身の属するコミュニティの力学を客観視する位相に立っているのだ。
他の場面でもゆずこが怒ったり泣いたりするなどの振る舞いには、コミュニティにとって適切な、楽しい「空気」を形成するための演技が何%か含まれている(ことがアニメを見続けているとわかるようになるはず)。
そしてそんなふうに多層的に運営されるコミュニケーションの中で、しばしば予期せぬ偶然性……書店のセンサーや、最後の場面で煉瓦の割れ目に躓いて転んだことで、思わず口から出た「た!」のような、操作のない素がふいに現れたりする。

これである。

このディティールが『ゆゆ式』である。

そしてそれを、動作や声などで、さらに肉付け出来るのがアニメ。
そういう意味で個人的な第1話のダイジェストは、ゆずこが唯にほっぺにチューを迫るシーンの直前に、ゆずこがみたらし団子を咀嚼しながら唯の頬を見つめ、何かを思いついたかのようにニヤけるカット。
このエピソードは原作通りだが、しかしこの微細な表情の変化は原作にはない……というか萌え4コマというジャンルでは表現しにくいものなので、こういうのを見せられるとああアニメになってよかったなあと素朴に思う。そしてこういった機微こそが『ゆゆ式』の醍醐味なのである。
この他にも3人の足の動きや、ゆずこが情報処理部の部室の椅子に座る際にスカートを折りたたむ動きなどに、目を奪われた人は多いだろう。
アニメイトで限定配布されているフリーペーパー「きゃらびぃTV」vol.11によれば、制作資料用にリアル女子の撮影会を行ったという。こうしたエピソードや、第1話の原画陣が作画監督のまじろ氏をはじめ女性率が60%であることからは、「女子高生をトレースするぜ!」という気概が強く覗えてたいへんよろしい(ちなみに『けいおん!』の第1話は50%で、これも当時「おっ」と思わされた)。

*

脚本や作画に比べると演出は比較的、てらいのないものだった印象が強いが、しかしだからこそ、3人がカーテンを開けっ放しにしたまま後にした部室に、夕日が差し込むシーンは強烈に印象に残った。なんでもない日常を照らす光。原作の第1話を「きらら」本誌で読んでから5年、最初の部活テーマが「太陽」だったのも必然だったのだと、このときようやく気付かされた。



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