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陸前高田市
高田道路、待望の全線供用へ 陸前高田IC〜通岡IC3月中完成
 東日本大震災からの復興道路に位置づけられている「三陸沿岸道路」の一部・高田道路は、3月中の全線供用開始に向けて整備が進む。陸前高田市竹駒町の陸前高田インターチェンジ(IC)から、大船渡市大船渡町下船渡の大船渡碁石海岸ICを結ぶ7・5?`の自動車専用道路。現在は陸前高田ICから陸前高田市米崎町の通岡ICまでの延長約4・1?`で、改良・舗装工事が進む。高台部をつなぐ高規格道路完成により、走行時間短縮や交通事故の減少、そして災害に強いネットワーク形成が期待される。現在の陸前高田市庁舎前に陸前高田ICが設けられ、行政機能の充実や地域間の連携・交流活発化も注目されている。

 陸前高田IC〜通岡IC間は、平成18年から測量調査と地盤調査を実施。19年度から用地調査や道路細部の設計、用地買収などが進められ、21年から改良工事が始まった。
 本年度に入り、路面舗装工事のほか、陸前高田IC整備に伴う農免道(市道高畑相川線)の付け替えなどを実施。現在は同IC付近での改良工事と舗装工事に加え、舗装が完了している区間では、防護棚や標識等の設置が進められている。
 高田町内で整備が進む道路は、被災した市街地や高田松原のほか、再建を果たしたキャピタルホテル1000なども一望できる位置にある。橋りょうやトンネルはなく、施工延長のほとんどを土工部で占める。
 区間内には、4車線を整備。通岡ICは供用開始後もこれまでと同様、乗り入れは大船渡市方向だけに限られる。
 震災では国道45号が寸断され、高田松原地区での国道340号との接続部から、通岡ICまでは約50%が浸水した。高台部を東西につなぐルートとして、交通量が増大したのは農免道(市道高畑相川線)。被災事業所が沿線に再開拠点を構えるなど住民生活への密着度が高まる一方、道幅が狭く起伏も厳しいほか、冬期間は凍結部分も多い。一日も早い完成が待ち望まれてきた。
 通岡ICから大船渡碁石海岸IC間(延長3・1?`)は21年3月15日に供用。陸前高田、大船渡両市境にある通岡峠部分でトンネルが貫通し、「隘路個所」が減少することで安全性・走行性は劇的に改善された。
 南三陸国道事務所(柴田吉勝所長)によると、全線未開通時における区域内での曲線半径150?b未満の急カーブは24カ所で、縦断勾配5%超過の急坂は9カ所。通岡〜大船渡碁石海岸間の開通により、急カーブは7カ所、急坂は2カ所にそれぞれ減少した。全線供用開始となれば、いずれもゼロとなる。整備における最大の直接効果と言える。
 また、陸前高田市から3次救急医療施設である県立大船渡病院への搬送は、年間約500件とされる。国道45号ルートと比べると5分短縮し、一刻も早い対応が求められる救急活動の充実につながる。
 また、全線供用により現在の各道路が分散されることで、安全性向上も図られる。震災前、陸前高田市中心部の死傷事故率は、県内における国道45号平均の約1・5倍。事故原因では、渋滞に起因すると推察される追突事故が約6割を占めていた。
 陸前高田ICは、国道340号に接続。すぐそばには、市役所庁舎がある。庁舎西側では、津波復興拠点高田北地区西区整備により大規模な造成が終盤を迎えた。
 すでに消防庁舎やコミュニティホールは年内完成に向けて工期に入ったほか、警察署交番や300戸の災害公営住宅整備計画もある。また、竹駒地区の国道340号沿いでは、商業施設の集積が進行。陸前高田市は多くの観光施設が被災した一方、支援活動や「奇跡の一本松」への来訪などで県外から多くの人々が来ており、交流人口拡大を支える役割も担うことになる。
  平成23年、震災被害対策が大きな柱となる第3次補正予算が成立。これを受け、復興道路、復興支援道路の新規事業化が一気に決まった。
 翌年4月には、復興道路の「三陸沿岸道路」、復興支援道路の「釜石花巻道路」の一日も早い完成を使命とし、国土交通省東北地方整備局は南三陸国道事務所を釜石市内に設置。事業の円滑な進ちょく、事業マネジメントの充実などを図るため、民間の技術力を活用した「事業促進PPP」を導入。事業管理や調査・設計、用地、施工などの各専門家で構成する民間技術者チームと連携をとりながら進めている。
 三陸沿岸道路は、宮城県仙台市から青森県八戸市までを結ぶ路線で、計画延長は359?`に及ぶ。平成23年12月時点の沿岸部における仙台〜八戸の所要時間は480分なのに対し、東北自動車道などが走る内陸部は235分。リアス式海岸が続く三陸地域の都市間移動は、内陸部に比べると格段に条件が悪かった。
 23年から10年内を目指す全線開通が実現すると、沿岸部の所要時間は300分。仙台から気仙間の移動も、2時間程度となる。地域間連携が強化されるとともに、産業や経済、観光など、さまざまな分野において地域発展への貢献が期待されている。
 昨年2月、唐桑北IC〜陸前高田IC(約10?`)間でも起工式が行われた。すでに供用している唐桑道路を結ぶ区間で、このうち陸前高田市分は8?`。南北両方向にアクセス可能な長部IC(仮称)も設けられる。完成すれば高田道路と合わせ、津波浸水区間を回避する災害に強い道路ネットワークが生まれる。
 今泉地区の高台移転予定地には、災害時の緊急車両利用も想定した緊急連絡路を整備。現在、長部IC部分の切り土や盛り土、長部高架橋(同)や新気仙大橋(同)の下部工などが進められている。
 また、大船渡市三陸町内では27年度の供用開始を目指して「吉浜道路」整備の槌音が響き渡る。越喜来の三陸IC(同)から吉浜IC(同)を結ぶ3・6?`で、トンネル工事や橋梁工事が進む。区間内の国道45号は急カーブ、急勾配が続く区間。直線化による走行性向上により、重大事故減少などが期待される。
 さらに吉浜IC北側では、現在整備中の釜石花巻道路とつながる釜石ジャンクション(同)までの14?`区間で着工。用地取得、釜石唐丹IC(同)付近の改良工事などが行われ、順調な進ちょくを見せている。
 各地の工事で発生した土砂は農地復旧に活用されるなど、他の復興事業とも連動。東日本大震災で三陸沿岸は甚大な被害を受け、多くの生命・財産が奪われた。悲しみを乗り越え、よりよい地域社会を構築するために、住民悲願の高規格道路整備は今年、さらに加速する。
2014年01月01日付 4面
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▲通岡IC側に設けられる約1?`の4車線区間。直線路がスムーズな移動を支える

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