朝日時代小説大賞

過去の受賞作

第7回 応募規定

朝日時代小説大賞とは

「朝日時代小説大賞」は、従来の枠にとらわれない時代小説の書き手を発掘する賞として位置づけ、プロ・アマを問わず、幅広い人材発掘をめざします。進取の気性に富んだ意欲的な作品で挑戦してください。
主催・朝日新聞出版 協賛・テレビ朝日
第4回、第5回の朝日時代小説大賞選考委員をご担当いただいた山本兼一さんが、去る2月13日にご逝去されました。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
第6回朝日時代小説大賞につきましては、縄田一男さん、松井今朝子さんのお二人にご選考いただく予定です。

第5回朝日時代小説大賞決定!

吉来駿作氏「火男」(ひをとこ)

最終候補作
「孤城、陥ちず」新井宏至
「闇夜に散る紅葉と式」今桐継
「流星の秋」金丸洋明
「火男」吉来駿作
「関白殿ご謀叛」指方恭一郎

 第5回朝日時代小説大賞(主催・朝日新聞出版、協賛・テレビ朝日)は、182編の応募作のうち予備選考を経た最終候補作5編について、選考委員の縄田一男、松井今朝子、山本兼一の3氏(50音順)が審議し、吉来駿作(きら・しゅんさく)氏の『火男』に決定いたしました。
 受賞作『火男』は、弊社より好評発売中です。

 今回の選評は、「週刊朝日別冊・小説トリッパー」2013年秋季号(定価900円)に掲載されています。

第1回(2009年、応募総数 381編)
大賞:該当作なし

第2回(2010年、応募総数163編)
大賞:乾緑郎氏『忍び外伝』  ※応募時タイトル「忍法煙之末」

第3回(2011年、応募総数 161編)
大賞:平茂寛氏『隈取(くまどり)絵師』  ※応募時タイトル「隈取絵師・鍬形恵斎」

第4回(2012年、応募総数 146編)
大賞:仁志耕一郎氏『無名の虎』

第5回(2013年、応募総数 182編)
吉来駿作氏『火男』

第6回の募集は締め切りました

選考委員(五十音順)
縄田一男 松井今朝子

<応募規定>

(1)長篇の時代小説。未発表の作品に限る。
(2)応募資格はプロ・アマを問わない。
(3)枚数は400字詰め原稿用紙300枚以上400枚以内。ワープロ原稿の場合は、A4 判の用紙に40字×30行を目安に印字する
こと。原稿用紙への印字は不可。400字換算での原稿枚数、作品の梗概(800字 以内)、筆名(本名)・住所・電話番号・年齢・経歴を明記した別紙を添えること。
(4)締め切りは、2014年12月20日(当日消印有効)。
(5)宛先
 〒104-8011
 株式会社朝日新聞出版 朝日時代小説大賞事務局
 *応募は郵送に限ります。
(6)入選作発表「小説トリッパー」2015年秋季号(9月発売予定)
 *途中経過は15年夏季号(6月発売予定)に掲載します。
(7)正賞=記念品 副賞=200万円
(8)受賞作は朝日新聞出版より刊行します。出版権および映像化権その他の権利は、朝日新聞出版に属します。
(9)応募原稿は返却しません。コピーをとっておいてください。また選考経過についての問い合わせには応じられません。
(10)二重投稿はご遠慮ください。
(11)優秀な応募作品については、テレビ朝日でのドラマ化を検討します。

選考委員プロフィール

 

縄田一男

 時代小説界は、今、大家から中堅、新鋭の諸作、そして、大ブームとなっている文庫書き下ろし長篇まで、驚くほどの活況を呈している。
 その中で、新しい文体と発想、さらにはテーマを盛り込んだ瑞々しい作品と出逢うこともしばしばだ。が、注意しなければならないのは、このジャンルには多くの約束事があり、それらを無視すると、作品が、時代小説のかたちを借りた何か別のものになってしまう点である。前述の新しい試みは、そうした約束ごとの間隙をぬって成されてこそ、真の輝きを放つのである。私が望むのは、登場人物が鬘をかむっているのではなく、本当の髷を結っている作品だ。時代小説のパターン化を打ち破りつつ、その一方で基本を遵守しながら斬新さを盛り込む--この難事を果たさんとする勇気ある書き手、出でよ!
 私は、心から参った、と叫ばずにはいられない作品と出逢うことを、切に望んでいる。

写真/大橋愛
 

松井今朝子

 時代小説に限らず、SFにしろ、伝奇小説にしろ、私がそこに求めるのはリアティー、真実らしさである。小説は今さらいうまでもなく全体が虚構だからこそ真実らしさがどうしても必要になる。そして何よりも真実らしくあってほしいのはそこに描かれる人間だ。
 「芸」というものは「実(じつ)と虚(うそ)との皮膜(ひにく)の間にある」と看破したのは往古の近松門左衛門だが、虚構を真実に思わせるかどうかが決め手となるのは、三百年の時を経た今も変わらない。つまり真実らしい虚をつくのが文芸であろう。
 時代小説では壮大な虚がつける。それが時代小説の醍醐味といっていいかもしれない。ただし虚が大きければ、一方で小さな真実を丹念に積み上げて隙間を埋める地道な作業をしないとたちまち崩壊する。簡単にバレてしまう虚をついて白けさせるのは児戯に等しい。虚実の境目が見えないくらいの壮大な虚で、どうか私たちを酔わせてほしい。