エジプトのリベラル紙ヨムサバアは26日付朝刊で、5月末の大統領選挙に立候補の届け出をしている左派系のサバヒ氏が若者たちとの内輪の会合で、対立候補で、昨夏の軍事クーデターを主導したシーシ前国防相を「裁判にかける」と語ったとする音声テープを入手したと1面で報じた。

 サバヒ氏はこの日、左派系の団体の会合で「過去の亡霊が戻るのを阻止する」と演説した。録音テープについては語らなかったが、当選が有力視されるシーシ氏への対決姿勢を強める動きと見られる。

 ヨムサバア紙の編集長は25日夜、エジプト民放テレビに登場し、サバヒ氏が24日にカイロ市内で若者グループと行った会合で語った録音テープを入手したと語った。同紙がインターネットで公開したサバヒ氏とされる音声は、「(軍・治安部隊の武力行使で)死んだムスリム同胞団はテロ行為を働いてはいない。彼らは平和的だった。シーシ氏が犯罪者でないとしてもシーシ氏を裁判に問うつもりだ」と語っている。

 サバヒ氏はムバラク政権時代から野党政治家として活動し、2011年のエジプト革命では左派、リベラル派の若者たちの支持を集めた。大統領選挙ではシーシ氏とともに立候補の届け出をしているが、サバヒ陣営はこれまで「シーシ氏は優れた国防相で、立候補を歓迎する」などと発言してきた。(カイロ=川上泰徳)