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啓発10年、右側歩く“悪習”今も 地下鉄駅エスカレーター

夕方に混雑する地下鉄のエスカレーター。空いた右側をサラリーマンや若い男女が速足で歩いていた=栄駅で

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 駅のエスカレーターに乗っていて、空いた右側を歩く人とぶつかった経験はないだろうか。実は、名古屋市交通局は二〇〇四年、全国の地下鉄で初めて、エスカレーターは右側も左側も立ち止まって利用するよう呼び掛けを始めた。高齢者など社会的弱者の安全のため浸透を図るが、十年たった今も右側を歩く“悪習”は続いている。

 夕方、帰宅客で混雑する地下鉄栄駅。電車が到着するたび、ホームに降り立った乗客が上りエスカレーターの左側に列をつくる。空いた右側をスーツ姿のサラリーマンや、若い男女が速足で歩いていく。壁には「右側も立ち止まって」「歩かないで」の張り紙。「安全のために立ち止まってください」と構内放送もある。

 右側を歩いていた千種区の男性(49)は「後ろから来る人がいると思うと、立ち止まるのをためらう」。特に朝夕のラッシュ時は人の流れが速く、「とても立ち止まれる雰囲気ではない」と話す。

 長久手市の女性(35)も「いつも右側は空いていて、右側に立つのは申し訳ない気がする」。ただ、子どもと二人で左側に立っていたとき、右側を歩いてきた人とぶつかって危ない思いをしたことがある。「安全のため、ルールを徹底したほうがいいのでは」

 交通局によると、十年前、エスカレーターで立ち止まるよう呼び掛けを始めたのは、高齢者や身障者から「後ろから駆けてきた人とぶつかり転びそうになった」「右側に立っていたら怒鳴られた」と苦情が寄せられたことがきっかけ。また、エスカレーターそのものが立ち止まって乗る前提で設計され、振動を感知して停止する機能があるからだ。

 歩いたり走ったりすると事故につながる可能性があるとして、構内放送や掲示物のほか、駅員も声を掛けるが、なかなか守られない。当初は先を急ぐ利用者から反発があり、苦情も寄せられたが、二〇一二年度は賛成意見三十三件、反対意見二件だった。最近は先を急ぐ人に向けて、「ダイエットのため階段の利用を」という掲示も現れた。

 メーカーでつくる日本エレベーター協会(東京)によると、エスカレーターの乗り方に法的な規制はない。ただ、歩くのは構造上、危険が伴うため「手すりにつかまり、立ち止まって乗るようお願いしている」という。

 他の鉄道会社でも、立ち止まって二列で利用するよう呼び掛ける動きが広がりつつある。交通局の担当者は「名古屋発の取り組みを、まず地元で浸透させたい」と話している。

(市川泰之)

 

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