パイロット (航空)

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人類初の音速突破を達成したチャック・イェーガーアメリカ空軍のテストパイロット)

航空の領域におけるパイロット(: pilot)とは、航空機操縦する人のことである。日本語では操縦者操縦士などと呼ぶ。

英語圏でも基本的にpilotと呼ぶ。(なお米国でも空軍などでは通常通りpilotと呼んでいるが、海軍では例外的に「水先人」の意味でのpilotとの混同を避けて「アヴィエイター(: aviator)」と呼び分けている。)

概要[編集]

ライト兄弟による人類初の動力飛行(1903年12月17日)

飛行機が発明されたばかりの頃は当然ながら資格などは存在せず、ライト兄弟が成し遂げた人類初の動力飛行も無資格飛行である。

現代では、多くの国においてパイロットになるには航空理論等を習得し飛行訓練実習を行わなければならない。米国でパイロットになるには、まず第一歩としては、Private Pilot License (PPL)を取得すれば良い、ということになっており、教師役のCerftified Flight Instructor (CFI)が同乗する形で、40時間以上飛行する必要がある。日本では、自家用操縦士という国家資格があり、米国のPPLに似て比較的少ない飛行時間で自家用航空機の操縦資格を得ることができる。

自家用操縦士の資格は、小型の航空機で訓練を行えば良いので比較的簡単に訓練を行うことができ取得できる。

大型機のパイロットの資格を得るためには大きな航空機で実習を積まなければならず、個人が全てを自費でまかなってその資格を得ることは困難である。結果として大型機の資格は、軍隊が主体となって、所属する軍人を保有する大型軍用機のパイロットとして養成するか、あるいは民間の航空会社が、将来 自社の従業員として働いてもらう予定で費用と時間を投資する形で養成するということになる。アメリカ合衆国では大型航空機のパイロットはほとんどが軍隊出身で、教育費用は全て軍隊の費用として捻出されている。南米でも民間航空会社のパイロットも軍隊出身のパイロットが比較的多い。ところが日本では状況は異なり、大型機のパイロットは国が運営する航空大学校(現在は独立行政法人)出身者と前述の航空会社自社養成が大半であり、さらに民間のフライトスクールなどで訓練を積み教育費の一部を自費で負担して習得している人も一定の割合で含まれている。

定期便のパイロットの雇用環境は、航空行政のありかたの影響を強く受ける。[1]

資格[編集]

ボーイング747の初の女性機長となった、en:Beverly Burns

日本[編集]

日本の航空関連の民間での資格(航空従事者技能証明)は、航空法によって、次のように区分されている。

一番上の自家用操縦士は比較的取得しやすく、一番下の定期運送用操縦士は相対的に難しいものとなっている。

そして実際に飛行を行うには別途「航空身体検査証明」が必要であり、さらに一定の期間内に「特定操縦技能審査」[2][3]に合格していなければならない。また国外への飛行には「航空英語能力証明」も必要である。

自衛隊(陸上・海上・航空の各自衛隊)においては、日本の航空法が適用されない為、民間と全く同じというわけではない。

民間[編集]

エアレースのパイロットであるハンネス・アルヒ

曲技飛行エアレースでは、参戦者に高度な操縦技能が求められるため、公的機関の資格とは別に組織委員会が発行するライセンスが存在する。

関連書[編集]

  • 加藤寛一郎『パイロットは優秀な者から死んでいく: 航空犯罪と飛行の未来』講談社、1997
  • ブルース・マイルズ『出撃!魔女飛行隊: WW2ソ連軍女性パイロットたちの群像』学習研究社, 2009
  • 吉田和夫『遙かなる雲の果てに: 若き女性パイロットの死』2005(相澤理子の話)

関連作品[編集]

小説
ドラマ
ゲーム(パイロット養成のストーリーを含むフライトシミュレータ系)

脚注[編集]

  1. ^ (大戦の終了などで)需給バランスが崩れて、パイロットが余りがちになって仕事を失うパイロットが多数出たり、反対にパイロット不足になって各社から求められ比較的良い待遇が提示されたり、と過去半世紀で何度かそれなりに大きく波打つように状況が変動してきた歴史がある。
    なお、ヨーロッパやアメリカ合衆国では航空交通が20世紀の段階で非常に発達しており、航空機の便数は従来から非常に多い。ここ20~30年はおおまかに言えば航空交通が次第に活発になってきており、世界的に見て便数が次第に増えてきている。アジアでは最近になって発展途上国の各国が経済成長し、経済的余裕のある人の数が増えてきたので、欧米のように航空機の利用が右肩上がりで活発化してきている。またさらに、格安航空会社なども出現し、特に裕福でない人でも気軽に航空機に乗る、ということが加速してきており、その結果 旅客定期便数は非常に増えてきており、定期便パイロットの数がこのままだとかなり不足してしまうことが予想されており、アジアでは民間各社が増員に力を入れ始めている。(2015年の情報)
  2. ^ 航空機の操縦に必要な知識及び能力を維持していることの確認審査。
  3. ^ 国土交通省・報道発表資料「航空法の一部を改正する法律案について」

関連項目[編集]