ジャージー

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ジャージー代官管轄区
Bailiwick of Jersey(英語)
Bailliage de Jersey(フランス語)
ジャージーの旗 ジャージーの紋章
地域の旗 (紋章)
地域の標語:不明
地域の歌:God Save the Queen 女王陛下万歳(公式)
Ma Normandie 私のノルマンディー
ジャージーの位置
公用語 英語フランス語
主都 セント・ヘリア
最大の都市 セント・ヘリア
政府
連合王国国王 エリザベス2世
副総督
 代官
 首席大臣
ジョン・マッコール
マイケル・バート
イアン・ゴースト
面積
総計 116km2219位
水面積率 0
人口
総計(2013年 95,732人(195位
人口密度 825.2人/km2
GDP (PPP)
合計(2008年 51億ドル(167位
1人あたり xxxドル
王室領 1204年
通貨 ジャージー・ポンド
UKポンド (GBP)
時間帯 UTC +0 西ヨーロッパ時間DST:+1 西ヨーロッパ夏時間
ISO 3166-1 JE / JEY
ccTLD .je
国際電話番号 44-1534

ジャージー代官管轄区 (Bailiwick of Jersey) は、イギリス海峡チャンネル諸島のうち、ジャージー島のほかマンキエ諸島 (the Minquiers) やエクレウ諸島 (the Ecrehous) などにより構成されるイギリス王室属領英語Crown dependencies) である。主都はセント・ヘリア

イギリス国王をその君主とするが、イギリスの国内法上は連合王国 (United Kingdom) には含まれないイギリス王室属領として位置づけられている。そのため、イギリスがその外交及び国防に関して責任を負うものの、内政に関してイギリス議会の支配を受けず、独自の議会と政府を持ち、海外領土や植民地と異なり高度の自治権を有している。欧州連合にも加盟していない。したがって、イギリスの法律や税制、欧州連合の共通政策は適用されない。

名称[編集]

正式名称は、英語ではBailiwick of Jersey、フランス語ではBailliage de Jersey。BailiwickないしBailliageは代官(bailiffないしbailli)の管轄区の意。 通称は、英語ではJersey、フランス語でもJersey

日本語では公式には「ジャージー代官管轄区」と訳される(脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とジャージー政府との間の協定1条1項(b)号)が、単にジャージーなどと呼ばれることが多い。

ジャージー種の原産地であり、また衣類ジャージの語源になったといわれている。アメリカ合衆国ニュージャージー州の州名もこの島に由来する。

歴史[編集]

9世紀から10世紀にかけて、ヴァイキングの活動が活発だった。

933年、ノルマンディー公ギヨーム1世(長剣公)はチャンネル諸島を含む領地をブルターニュ公国から奪った。

1066年、ノルマンディー公ギヨーム2世(征服公)はイングランドを征服し、イングランドウィリアム1世として戴冠した。それ以降、イングランドとノルマンディー地方は1つの王室の下に支配されたが、イングランドとノルマンディーは異なる言語、法律、通貨によって別々に統治された。ジャージー島はノルマンディー公領の一部として、ノルマンディーの法律が適用された。

1204年、イングランド王兼ノルマンディー公ジョン(欠地王)はフランスフィリップ2世にノルマンディー地方を剥奪されたが、ジャージー島はイングランド王領に留まった。それ以来、ジャージー島は歴代イギリス王室の直轄地となっている。

1940年5月1日から1945年5月9日まで、ジャージー島はナチス・ドイツに占領された(ナチス・ドイツによるチャンネル諸島占領)。

政治[編集]

国家元首は、イギリス女王。 女王に任命された副総督 (Lieutenant Governor) が代行する。副総督は軍隊の総司令官としての役割も担う。副総督は女王の代理としての象徴的な存在であり、議会に出席し発言する権利はあるが、伝統的に着任と離任の挨拶以外には発言することはない。ただし、女王の特別な関心事に関わる決定については議会に対する拒否権を持っている。

副総督 任期
ジョン・チェッシャー 2001年1月24日~2006年4月7日
アンドリュー・リッジウェイ 2006年6月14日~2011年6月30日
ジョン・マッコール 2011年9月26日~

代官 (Bailiff) 及び副代官 (Deputy Bailiff) は女王によって任命され、通常は70歳になるまでが任期である。任命は島内での協議の後になされる。代官は政府を代表し、議会の議長と王立裁判所の裁判長を兼ねる。

議会は一院制であり、代官、副総督、10人の元老議員 (Senator) 、12人の教区長 (Connétable) 、29人の代議員 (Deputy) 、首席司祭 (Dean of Jersey) 、司法長官 (Attorney General) 及び訴務長官 (Solicitor General) によって構成される。

司法長官及び訴務長官は女王によって任命され、法律問題に関する助言を行う。議会に出席し、発言する権利を有するが、議決権はない。慣例により、政治に関わる発言はせず、職務上の問題についてのみ発言する。

首席司祭はジャージーにおけるイギリス国教会の長であり、議会に出席し、発言する権利を有するが、議決権はない。慣例により、教会や道徳に関わる問題についてのみ発言する。

元老議員、代議員、教区長は選挙によって選ばれ、議決権を与えられて議会に出席する。元老議員は全島を1つの選挙区として、選出される。1948年に設置された。設置当初の任期は9年であった。1966年から2011年までは、定数12人、任期6年で、半数の6人ずつ、3年ごとの10月に改選された。2011年の選挙では、改選数が4人(総定数10人)に削減されるとともに、この選挙で当選した議員の任期は3年である。2014年10月の選挙では、定数が8人となり、全数が改選され、任期は3年7ヶ月である。2018年以降は5月に選挙が実施され、任期4年となる。

代議員は、1856年に設置され、島内に12ある各教区に置かれた計29の選挙区から選出される。小選挙区制であり、大きな教区には複数の選挙区が置かれる。任期は3年であり、選挙は元老議員選挙の翌月の11月に実施される。2011年及び2014年の選挙は、元老議員の選挙と同時に10月に実施される。2014年選出の代議員の任期は3年7ヶ月となる。2018年以降は5月に選挙が実施され、任期4年となる。

教区長は各教区で選出され、教区の行政を司るとともに、教区の代表として議会に参加する。任期は3年である。2018年5月以降は任期4年となる。

議会を構成する議員たちは1つないし複数の委員会に所属している。以前は、それらの各委員会の委員長が政府の各部門を統括していた。2005年12月に、政府組織を従来の委員会制から内閣制に改めたため、政府の各部門は議員から選出された大臣によって統括されている。大臣で構成される閣議は首相によって主宰され、行政に関して議会に対する責任を負っている。大臣は10名、副大臣は12名以内である。また20名以内の議員からなる監査委員会が内閣の活動を監査する。

大臣を擁する行政組織は、首相府、経済開発省、教育・スポーツ・文化省、保健・社会福祉省、内務省、住宅省、環境省、社会保障省、運輸・技術省、財務・財源省である。

従来、議会に政党は存在しなかったが、2005年の内閣制移行を踏まえ、中道左派のジャージー民主同盟と中道右派の中央党が新たに結成された。2005年10月の元老議員選挙では、ジャージー民主同盟が2名、中央党が2名の候補者を擁立したが議席を獲得することはできなかった。翌月の代議員選挙ではいずれの政党の候補者も無所属の候補として立候補した。

地方行政区分[編集]

12の教区 (parish) に分かれている。

地理[編集]

経済[編集]

主要産業は金融業、観光業、農業である。

島内には50の銀行があり、GDPの約60%が金融業によるものである(2005年現在)。租税回避地として世界的に知られている。所得税の税率は一律20%である。2008年5月6日に消費税が税率3%で導入された。2011年6月1日に消費税率は5%に変更された。2011年には、英国のシンクタンクにより、世界第21位の金融センターと評価されている[1]

主要な農産物は、ジャージー牛による乳製品ジャージー・ロイヤル・ポテトと呼ばれるジャガイモ、商品作物及び花卉である。乳製品はイギリスやEU諸国へ輸出されている。

島内の公共交通機関はバスのみである。道路交通はイギリス同様の左側通行である。

住民[編集]

住民は主に、イギリス系の住民とブルターニュ系のフランス人である。

宗教は英国国教会が62%でカトリックが23%。

文化[編集]

絶滅の危機に瀕している動物を繁殖させ元の生息地に返す、というコンセプトを持つジャージー動物園がある。

祝祭日[編集]

日付 日本語表記 英語表記 備考
5月9日 解放記念日 Liberation Day ナチス・ドイツからの解放を記念する

脚注[編集]

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関連項目[編集]

外部リンク[編集]

公式[編集]