アジア

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アジア
Asia (orthographic projection).svg
面積 44,579,000 km2
人口 3,879,000,000 (1位)[1]
人口密度 89/km2
住民の呼称 アジア人
国数 48
保護領
その他地域
標準時 UTC+2 - UTC+12
使用TLD .asia
最大都市
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アジア
アジアの地図
国際連合によるアジアの地域の分類[2]

アジア(亜細亜、Asia[† 1])は、アッシリア語でを意味する「アス」に語源をもつ。

古代では、現在の小アジアを指したが、現在では一般的にヨーロッパを除くユーラシア大陸全般を指す一方で、政治的・経済的な立場の違いにより、異なった様々な定義がなされる場合がある。略称はである。

概要[編集]

現在ではユーラシア大陸のヨーロッパ以外の地域、つまり、アジア大陸島嶼海域を含む)であり、六大州の一つ。ユーラシア大陸の面積の約80%をアジアが占め、人口は世界最多で世界人口の約60%がアジアに住んでいる。最大都市は東京である。

アジアとヨーロッパの境界は、地理上の境界とヨーロッパ中心主義的な観点から見た人為的な境界が入り交じっている。地理上の境界は、ウラル山脈-ウラル川-カスピ海-コーカサス山脈-黒海-ボスポラス海峡-マルマラ海-ダーダネルス海峡とすることが多い。なお、アフリカとはスエズ地峡を、オセアニアとはニューギニア島西方の海峡を挟んでいるため、この両地域とは地理的境界と人為的境界が一致している。

アジアは六大州で最も大きな州であり、地理的にも多様で変化に富む。アジアの大半はアジア大陸に属するが、大陸内でも気候や地形に様々な差がある。また、特に大陸東側には環太平洋造山帯の活動によってできた無数の島々が点在しており、日本やフィリピン、インドネシアといった島国に多数の人口を抱える国家が存在する。アジアの東部から南部にかけては降雨が多く肥沃な土壌に恵まれることから人口が古代より非常に多く、現代においても世界最大の人口密集地域となっている。

人種に関して多くはモンゴロイドであるが一部地域ではヨーロッパと隣接しているためその地域ではコーカソイドの特徴がある場合がある。

語源[編集]

紀元前8世紀から紀元前7世紀にかけての頃、古代メソポタミアのアッシリア人がエーゲ海の東を「アス」 asu (「東」「日の出」の意)、西を「エレブ」 ereb (「西」「日没」の意)と呼称したことにはじまるといわれ、のちに「アス」にラテン語の接尾辞「イア」 ia がついて Asia の語が生まれたといわれる[2]

定義[編集]

「アジア」という言葉は、元々は古代ギリシア、あるいはギリシアから文化的影響を受けた古代ローマから見て、東方を指す言葉であった。ギリシア人やローマ人の地理的な知見は地中海沿岸地域に限られており、地中海の北岸地域がヨーロッパ、南岸地域がアフリカ、地中海の一部であるエーゲ海で隔てられた地中海東岸地域がアジアとされたのである。

その後、ヨーロッパ人の地理的な知見が広まるにつれて、ヨーロッパ、アジア、アフリカとされた地域の範囲が、拡大していった。アフリカについては、スエズ地峡という明確な地理的な境界が存在したため、スエズ地峡以南がアフリカ大陸という明確な地理的定義が確立した。その一方で、かつてエーゲ海が境界とされたアジアとヨーロッパについては、現在でいう東欧の地域が知られた事により、明確な境界線が存在しなくなった。そのため地理的には、ユーラシア大陸として、アジアとヨーロッパは一体として扱われた。

それでもアジアとヨーロッパを別地域として扱う習慣は残ったが、地政学的・人種的に厳密に分けられた呼称としては確立しておらず、使う立場によってその範囲はしばしば異なっている。例えば、国際機関においても、IOCFIFA ではアジアの範囲が異なっているように、厳密な定義として確立していない。

主な地理学的再定義[編集]

  1. ヒマラヤ山脈の東北側の東南アジア・東アジアを「東ユーラシア」として定義し、ヒマラヤ山脈の南西側のインド・アラブ地域を「西ユーラシア(ヨーロッパを含む)」として定義する学説。
    プレートテクトニクスによれば、ヒマラヤ山脈を境界としてインドプレートユーラシアプレートに分かれており、また人種的にも東南アジア・東アジアの諸民族はモンゴロイドであるのに対し、インド・アラブ地域の諸民族はコーカソイドであるため、科学的妥当性が高いといわれている。
  2. 上記の「西ユーラシア」を更に細分化し、インド亜大陸・アラブ地域をヨーロッパと切り離し「南ユーラシア」とし、「東ユーラシア(東南&東アジア)」・「南ユーラシア(インド・アラブ)」・「西ユーラシア(ヨーロッパ)」の3つに分ける考え方。
    文化的に、インド・アラブ地域とヨーロッパとの差は大きいため、その意味で妥当性が高いといわれている。

一般的な定義[編集]

ヨーロッパ諸国ではトルコ以東(中東)を指すことが多い。ただしロシアのアジア地域(シベリア)はしばしば除外される。

アラブ諸国では「アラブ」が自称であり、アジアといえば東南アジア及び東アジアを指すことが多い(トルコ人・アラブ人・インド人(アーリア系)は、人種的にはコーカソイド《白人》を含んでいる)。

日本では逆に、しばしば中近東ならびに中央アジアや南アジアを含めず、極端な場合には東南アジアも除いた東アジアのみをさすことがある。

アジアの定義は、その言葉の成り立ちも原因となり、世界的に確立されているとはいえないが、そのなかで従来は人種的・民族的な観点を重視する立場から、アジアを近東・中東・南アジア・東南アジア・東アジアのように、より細分化する立場が強調されてきた。しかし、最近では経済的メリットおよび政治的安定性を重視する観点からアジアをより広く定義し(経済的には自由貿易の範囲が拡大し且つ人口が多い方がメリットがあり、政治的には「同じアジア人」というような連帯意識・仲間意識が有る方がその地域の政治が安定する)、中近東・インド亜大陸の諸国は当然のこととして、オセアニア諸国・ポリネシア諸国も含めアジアと定義する場合までもが出てきた。

このようにアジアの定義が多岐に分かれているのは、アジアという言葉が同一の文化・文明あるいは人種・民族を基盤として定義された概念ではなく、そもそもの由来がヨーロッパ以外の東方地域全部という意味であったため、結果的に異なる文明が分立する地域を一つの言葉で定義してしまった事に由来すると考えられる。サミュエル・P・ハンティントンの著書『文明の衝突』によれば、アジアには日本文明中華文明ヒンドゥー文明イスラム文明が存在するとされている。

構成国・地域とその区分[編集]

一般的に、アジアの域内は東アジア(極東)、東南アジア南アジア中央アジアトルキスタン)、西アジア(中東・近東)に分けられる。ただし最近では、経済交流・国際関係・研究機関名などで東北アジア北東アジアともいい、下記の東アジアと北アジアを併せた領域に相当する)の語が使われることが増えてきている。また、これ以外にも北アジア北西アジア西南アジア南西アジアともいう)などの語も使われる。

以下は国際連合による区分[3]である。これ以外にも区分方法は存在するが、便宜上これを用いる。ただし、非加盟国については周辺の国と同じ区分としている。

東アジア[編集]

極東とも呼ばれる。地理範囲は日本列島中国大陸朝鮮半島モンゴル高原台湾島などである。

国際連合非加盟

東南アジア[編集]

地理範囲はインドシナ半島マレー半島フィリピン諸島などである。東ティモールを除く10か国は東南アジア諸国連合を構成している。

北アジア[編集]

地理範囲はロシアのアジア地域である。

国際連合による区分で北アジアに属する地域

地理的区分ではさらに以下の国と地域も北アジアに属する。

南アジア[編集]

地理範囲はインド大陸セイロン島モルディブ諸島アンダマン諸島ニコバル諸島などである。イランを除く8か国は南アジア地域協力連合を構成している。

地理的区分ではさらに以下の地域も南アジアに属する。

南アジアに含まれる場合がある地域

中央アジア(トルキスタン)[編集]

地理範囲はトルキスタンである。

地理的区分ではさらに以下の地域も中央アジアに属する。

西アジア(中東・近東)[編集]

西アジアという地域範囲は、日本では北アフリカも含めて中東と称されることが多い。地理範囲はアラビア半島アナトリア(小アジア)、キプロス島の範囲及びイラン高原-ヒンドゥークシュ山脈にかけてのアジア大陸。ただし、場合によってはコーカサス山脈以南の旧ソ連邦の国々(カフカス諸国)を含むなどの定義もある。

地理的区分ではさらに以下の国と地域も西アジアに属する。

•アラビア半島地域

•中央アジア地域

•コーカサス山脈以南の旧ソ連邦の国々(カフカス諸国)ではヨーロッパに区分される場合も多い。

各国の国勢[編集]

国旗 国章 国名 人口
面積
(km²)
首都
アフガニスタンの旗 Emblem of Afghanistan.svg アフガニスタン 30,419,928 647,500 カブール
アルメニアの旗 Coat of arms of Armenia.svg アルメニア 2,970,495 29,743 エレバン
アゼルバイジャンの旗 Emblem of Azerbaijan.svg アゼルバイジャン 9,493,600 86,600 バクー
バーレーンの旗 Emblem of Bahrain.svg バーレーン 1,248,348 760 マナーマ
バングラデシュの旗 National emblem of Bangladesh.svg バングラデシュ 150,039,000 147,570 ダッカ
ブータンの旗 Emblem of Bhutan.svg ブータン 716,896 38,394 ティンプー
ブルネイの旗 Emblem of Brunei.svg ブルネイ 408,786 5,765 バンダル・スリ・ブガワン
ビルマの旗 State seal of Myanmar.svg ミャンマー 54,584,650 676,578 ネピドー
カンボジアの旗 Coat of arms of Cambodia.svg カンボジア 14,952,665 181,035 プノンペン
中華人民共和国の旗 National Emblem of the People's Republic of China.svg 中華人民共和国 1,343,239,923 9,596,961 北京
キプロスの旗 Coat of Arms of Cyprus.svg キプロス 1,099,341 9,251 ニコシア
東ティモールの旗 Coat of arms of East Timor.svg 東ティモール 1,143,667 14,874 ディリ
グルジアの旗 Greater coat of arms of Georgia.svg グルジア 4,570,934 69,700 トビリシ
インドの旗 Emblem of India.svg インド 1,210,193,422 3,287,263 デリー
インドネシアの旗 National emblem of Indonesia Garuda Pancasila.svg インドネシア 248,645,008 1,904,569 ジャカルタ
イランの旗 Emblem of Iran.svg イラン 78,868,711 1,648,195 テヘラン
イラクの旗 Coat of arms (emblem) of Iraq 2008.svg イラク 31,129,225 438,317 バグダッド
イスラエルの旗 Emblem of Israel.svg イスラエル 7,590,758 20,770 エルサレム
日本の旗 Imperial Seal of Japan.svg 日本 127,368,088 377,915 東京
ヨルダンの旗 Coat of arms of Jordan.svg ヨルダン 6,508,887 89,342 アンマン
カザフスタンの旗 Emblem of Kazakhstan.svg カザフスタン 17,522,010 2,724,900 アスタナ
クウェートの旗 Coat of arms of Kuwait.svg クウェート 2,646,314 17,818 クウェート市
キルギスの旗 National emblem of Kyrgyzstan.svg キルギスタン 5,496,737 199,951 ビシュケク
ラオスの旗 Emblem of Laos.svg ラオス 6,586,266 236,800 ビエンチャン
レバノンの旗 Coat of arms of Lebanon.svg レバノン 4,140,289 10,400 ベイルート
マレーシアの旗 Coat of arms of Malaysia.svg マレーシア 29,179,952 329,847 クアラルンプール
モルディブの旗 Coat of arms of Maldives.svg モルディブ 394,451 298 マレ
モンゴル国の旗 State emblem of Mongolia.svg モンゴル 3,179,997 1,564,116 ウランバートル
ネパールの旗 Coat of arms of Nepal.svg ネパール 29,890,686 147,181 カトマンズ
朝鮮民主主義人民共和国の旗 Emblem of North Korea.svg 北朝鮮 24,589,122 120,538 ピョンヤン
オマーンの旗 National emblem of Oman.svg オマーン 3,090,150 309,500 マスカット
パキスタンの旗 State emblem of Pakistan.svg パキスタン 190,291,129 796,095 イスラマバード
パレスチナの旗 Palestine COA (alternative).svg パレスチナ 4,279,699 6,220 ガザ/ラマッラー
フィリピンの旗 Coat of arms of the Philippines.svg フィリピン 100,940,000 300,000 マニラ
カタールの旗 Emblem of Qatar.svg カタール 1,951,591 11,586 ドーハ
ロシアの旗 Coat of Arms of the Russian Federation.svg ロシア 142,517,670 17,098,242 モスクワ
サウジアラビアの旗 Coat of arms of Saudi Arabia.svg サウジアラビア 26,534,504 2,149,690 リヤド
シンガポールの旗 Coat of arms of Singapore (blazon).svg シンガポール 5,353,494 697 シンガポール
スリランカの旗 Emblem of Sri Lanka.svg スリランカ 21,481,334 65,610 スリジャヤワルダナプラコッテ
大韓民国の旗 Emblem of South Korea.svg 韓国 50,004,441 100,210 ソウル
シリアの旗 Coat of arms of Syria.svg シリア 22,530,746 185,180 ダマスカス
中華民国の旗 Republic of China National Emblem.svg 台湾 23,261,747 36,193 台北
タジキスタンの旗 Emblem of Tajikistan.svg タジキスタン 7,768,385 143,100 ドゥシャンベ
タイ王国の旗 Garuda Emblem of Thailand.svg タイ 67,091,089 513,120 バンコク
トルコの旗 Coat of Arms of Turkey.svg トルコ 79,749,461 783,562 アンカラ
トルクメニスタンの旗 Emblem of Turkmenistan.svg トルクメニスタン 5,054,828 488,100 アシハバード
アラブ首長国連邦の旗 Emblem of the United Arab Emirates.svg アラブ首長国連邦 5,314,317 83,600 アブダビ
ウズベキスタンの旗 Coat of arms of Uzbekistan.svg ウズベキスタン 28,394,180 447,400 タシケント
ベトナムの旗 Coat of arms of Vietnam.svg ベトナム 91,519,289 331,212 ハノイ
イエメンの旗 Emblem of Yemen.svg イエメン 24,771,809 527,968 サヌア

政治[編集]

アジアでは、ヨーロッパのヨーロッパ連合やアフリカのアフリカ連合のような、アジア大陸のほとんどの国によって構成されたアジア統合を目指す政府間組織は今現在アジア協力対話しか存在しない。しかし、地域別には複数の国際組織が存在している。以下に主なものを示す。

地理[編集]

アジアは例えばケッペンの気候区分を用いれば、ほとんどの気候型が含まれるほど多様な地理条件が内包している。北端は北極海に面しており、ツンドラ気候の荒野が広がる。その南のシベリア内陸部にはタイガと呼ばれる大針葉樹林が広がっている。南アジア、東南アジアと東アジアの東部はモンスーンの影響を強く受ける地域である。

経済[編集]

アジアの名目GDP順位(2010年)
順位 単位:100万ドル
1 中華人民共和国の旗 中国 5,878,000
2 日本の旗 日本 5,459,000
3 インドの旗 インド 1,538,000
4 大韓民国の旗 韓国 1,007,300
5 インドネシアの旗 インドネシア 706,700
6 サウジアラビアの旗 サウジアラビア 443,700
8 イランの旗 イラン 357,200
9 タイ王国の旗 タイ 318,900
10 マレーシアの旗 マレーシア 238,000
出典:CIA[4]

アジア全体を見れば発展途上国が多いものの、東アジア地域の経済規模は西欧や北米に匹敵するほど大きい。特にGDPが高いのは世界2位と3位の中華人民共和国(中国)と日本国(日本)である。次いで世界15位前後の大韓民国(韓国)が挙げられる 。また東南アジア諸国やインドも年々成長を続け存在感を増している。

アジア通貨危機を機会に東アジア・東南アジアの国々ではチェンマイ・イニシアティブによって経済安定を目指している。また、西アジアの国々では石油の産出量が多いので、オイルマネーによって世界的な発言力が強まっている。

交通[編集]

道路ではアジアハイウェイで結ばれているが、道路の整備状況は異なっている。

人種・民族[編集]

人種としてはモンゴロイドコーカソイドオーストラロイドがみられる。コーカソイドは西アジアを中心とした西部に多く、モンゴロイドは東アジアや東南アジアなどの東部に多いなどの特徴がある。オーストラロイドは南アジア南部にみられる。中央アジアや北アジア西部ではコーカソイドとモンゴロイド、南アジア北部ではコーカソイドとオーストラロイド、東南アジア(特にマレー諸島)ではモンゴロイドとオーストラロイドがそれぞれ混血している。

言語[編集]

様々な言語のグループ孤立した言語が使用されている。複数の国で公用語として使われる主な言語は以下のものがある。

  • 英語(インド、シンガポール、フィリピンなどで公用語)
  • ロシア語(ロシアを含むCIS諸国で公用語)
  • 中国語/北京語(中国、中華民国、シンガポールで公用語)
  • 朝鮮語(北朝鮮、韓国の他、中国で)
  • ヒンドゥスターニー語(インド、パキスタンで公用語)
  • ベンガル語(バングラデシュ、インドで公用語)
  • ペルシア語(イラン、アフガニスタン、タジキスタンで公用語)
  • テュルク語(トルコ、キプロス、アゼルバイジャン、中央アジア諸国で公用語の他、中国、ロシアで)
  • アラビア語(アラブ諸国で使われるほか、イスラム諸国の教養言語)
  • マレー語(マレーシア、インドネシア、ブルネイ、シンガポールで公用語。東ティモールで事実上の公用語)
  • タミル語(スリランカ、シンガポール等の公用語)

特に話者数が多い言語は以下のものがある。

その他アジア諸国の公用語

言語の分類[編集]

アジアで話される主な言語はおおざっぱに以下のように分類される。

宗教[編集]

世界で信者数の多い宗教であるキリスト教イスラム教ヒンドゥー教仏教は、すべてアジアをその起源としている。このうち、仏教ヒンドゥー教はインドを、キリスト教とイスラム教は西アジアをその起源とする。このほかにも、西アジアのユダヤ教、南アジアのシク教、東アジアの儒教道教神道など、さまざまな宗教が存在している。現代においては、イスラム教は起源である西アジアのほとんどの地域に広まっているほか、中央アジアもほぼイスラム教圏となっている。このほかにも、南アジアのパキスタンやバングラデシュ、モルディブ、東南アジアのインドネシアやマレーシア、ブルネイなどはイスラム教徒が大部分を占める国家である。また、中国の新疆ウイグル族自治区寧夏回族自治区もイスラム教徒が多数派である。キリスト教は起源である西アジア地域ではわずかな信徒が存在しているにすぎず、アジアではキリスト教徒が多数派を占めている国家はフィリピンのみである。ただし、北アジアはキリスト教徒であるロシア人が東進し入植した関係で、ロシア正教会の信徒が多数を占める。ヒンドゥー教徒が多数派を占める国家はインドとネパールのみであり、信者が多数派を占める地域もこれにスリランカの北部(タミル人居住地域)を加えるのみであるが、インドの人口の大多数はヒンドゥー教徒であり、信徒数はほぼインド一国のみで世界中の仏教徒よりも多い。仏教は発祥地のインドではすたれ、わずかにブータンで多数派を占めるのみであるが、仏教は東方に伝播したため、東南アジアや東アジアに大きな教圏を持つようになった。ただし東アジアと東南アジアの仏教の宗派は違い、東南アジアのミャンマーやタイ、カンボジア、ラオス、スリランカ南部(シンハラ人地域)においては上座部仏教が信仰されている。これに対し、東アジアやベトナムにおいては大乗仏教が信仰されている。ただし、東アジアの大乗仏教は唯一の信仰というわけではなく、中国では儒教や道教、日本では神道が大きな勢力を持っており、事実上これら宗教との混在地域となっている。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 古典ラテン語では「アシア」だが、現代ラテン語では「アジア」とも発音する

出典[編集]

  1. ^ List of continents by population”. Worldatlas.com. 2010年6月1日閲覧。
  2. ^ 星野朗「第II章1 モンスーンの吹く大陸」『地球を旅する地理の本2 アジア』p.10
  3. ^ Composition of macro geographical (continental) regions, geographical sub-regions, and selected economic and other groupings, United Nations website
  4. ^ [1]

参考文献[編集]

  • 星野朗・長谷安朗・松村吉郎・三宅博之『地球を旅する地理の本2 アジア』大月書店、1992年12月。ISBN 4-272-50162-3
  • 片岡樹・シンジルト・山田仁史(編)『アジアの人類学』春風社、2013年4月。ISBN 978-4-86110-357-5

関連項目[編集]