ISBN

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ISBN(アイエスビーエヌ、International Standard Book Number)は、世界共通で図書(書籍)を特定するための番号である。日本語に訳すと国際標準図書番号となる。

日本では、これを基に日本図書コードとして使用されている。

歴史[編集]

1966年英国で開発された、SBN (Standard Book Number) と呼ばれるイギリス国内向け規格の利用が始まった。これが国際標準化機構 (ISO) で1970年に採用され (ISO 2108)、ISBNとなった。

日本は、1981年にISBNに関する国際的な枠組みに加盟。その後、1988年JIS X 0305として日本工業規格になっている。出版関連の団体によって設立された一般社団法人日本出版インフラセンターに所属する日本図書コード管理センターが、管理している。

なお、出版物()に関する国際標準化機構の国際規格は、ISBNの他に、逐次刊行物(雑誌)のシリーズごとに付与される国際標準逐次刊行物番号 (ISSN) がある。

特徴[編集]

ISBNは、各種の書籍単行本漫画など)の他、CD-ROMカセットテープマイクロフィルムなど、出版社から刊行されて出版取次書店流通する出版物におおむね適用される。ただし、日本などでは、ムックを除く雑誌にはISBNではなく雑誌コードを使用する。また、ウェブサイト広告物・ゲームなどは、国際的にもISBNの対象外である。

旧規格(2006年12月31日まで)[編集]

ISBNは10桁のコードで表され、通常4つのパートからなった。なお、この、10桁であらわされる(旧規格)ISBNコードを、現行の13桁のISBNに対して ISBN-10 と呼ぶことがある。

概要[編集]

ISBN-10は、

  • ISBN● - AAAA - BBBB - C

のように表示される。しかし、●、A、Bの各部分の割り当て桁数は決まっておらず、合計で9桁(必ず1桁のC部分を入れると10桁)となる範囲内で、それぞれの部分は増減する。

それぞれの部分の意味は、

●部分 - 「グループ記号」
出版物の出版された、地域、言語圏。桁数は、そのグループの出版点数によって異なる。コード表は現行規格を参照。
A部分 - 「出版者記号」
桁数は、出版者の出版点数などによって異なる。
B部分 - 「書名記号」
出版物に固有の番号。原則として図書の版ごとに付与。
C部分 - 「チェックディジット
検査数字。入力した際に誤りがないか確かめるためのもの。0 - 9、Xが使用される。(Xは数値10をあらわす)

チェックディジット[編集]

旧規格のISBN (ISBN-10) のチェックディジットは、「モジュラス11 ウェイト10-2」という計算法にて算出される。(チェックディジットを除いた左側の桁から10、9、8…2を掛けてそれらの和を取る。和を11で割って出た余りを11から引く)

ここで、例として ISBN4-10-109205-□ のチェックディジット(□部分)を求めてみる。

 10×4 + 9×1 + 8×0 + 7×1 + 6×0 + 5×9 + 4×2 + 3×0 + 2×5
= 40  +  9  +  0  +  7  +  0  +  45 +  8  +  0  +  10
= 119
119 ÷ 11 = 10 あまり 9
11 - 9 = 2

よって、このISBNのチェックディジットは2である。なお、計算結果が10になった場合、10の代わりにX(アルファベットの大文字)を用いる。また、11になった場合は、0となる。

現行規格(2007年以降)[編集]

ISBNは2006年までは10桁であったが、一部のグループ記号(英語圏)で、発番可能な出版者記号(前項例示のA部分)の枯渇が目前となったため、13桁ISBNの規格が制定され、2007年1月1日に完全施行された。それと同時に、過去に発番された10桁のISBNは無効となったが、書店での書籍検索・注文など、実際にISBNを利用する場面においては、過去の10桁ISBNも併用できるよう便宜が図られている場合がほとんどである。

2007年以降の新刊書には当初から13桁の新規格ISBNが付けられており、10桁ISBNは新たに発番しない。また、過去に発番された10桁ISBNについては、その頭に 978- を挿入し、チェックディジットを計算しなおした13桁のものを正規のISBNとして取り扱う。

例: (旧ISBN)4-00-310101-4 → (現行ISBN)978-4-00-310101-8(チェックディジットの計算法は後述)

なお、現行規格によって表されるISBNを、旧規格のISBN (ISBN-10) に対してISBN-13と呼ぶことがある。

概要[編集]

ISBNは13桁のコードで表され、通常5つのパートからなる。

  • ISBNnnn - ● - AAAA - BBBB - C

●、A、Bの各部分の桁数は決まっておらず、合計で9桁の範囲内でそれぞれの部分は増減する。

n部分 - 「接頭記号」
nnn は 978 または 979 のいずれか(数字3桁)である。
●部分 - 「グループ記号」
旧規格と基本的に同じ。上記解説を参照。ただし、接頭記号が異なれば、グループ記号が同じでも異なる言語圏を指す可能性もある。
接頭
記号
グループ記号 地域または言語
978 0および1 英語
2 フランス語(フランスは979-10も使用)
3 ドイツ語
4 日本
5 ロシア・旧ソビエト連邦(ロシア以外の国では他の記号も使用)
600から621(3桁) その他の地域
7 中華人民共和国香港マカオ台湾は別記号)
80 チェコスロバキア
81 インド(93も使用)
82 ノルウェー
83 ポーランド
84 スペイン
85 ブラジル
86 セルビア(共有)
87 デンマーク
88 イタリア語
89 大韓民国(979-11も使用)
90 オランダ語(94も使用)
91 スウェーデン
92 国際NGO欧州連合
93 インド(81も使用)
94 オランダ語(90も使用)
950から99972
(3桁から5桁)
その他の地域
979 10 フランス(フランス語は978-2も使用)
11 大韓民国(978-89も使用)
A部分 - 「出版者記号」
旧規格と同じ。上記解説を参照。
B部分 - 「書名記号」
旧規格と同じ。上記解説を参照。
C部分 - 「チェックディジット」
0 - 9の数字1桁が入る。以前のISBNのチェックディジットとは計算法が異なり、10桁 → 13桁に変換する際は再計算が必要となる。

各パートの間は、ハイフン(またはスペース)で区切りを付けるのが正式な表示法である(区切りを付けなくても書籍を特定する上での問題はない)。

チェックディジット[編集]

現行規格のISBN (ISBN-13) のチェックディジットは、JANコードと同じく、「モジュラス10 ウェイト3・1(モジュラス10 ウェイト3)」という計算法にて算出される。(チェックディジットを除いた一番左側の桁から順に1、3、1、3…を掛けてそれらの和を取る。和を10で割って出た余りを10から引く。ただし、10で割って出た余りの下1桁が0の場合はチェック数字を0とする。)

ここで、例として ISBN 978-4-10-109205-□ のチェックディジット(□部分)を求めてみる。

 9×1 + 7×3 + 8×1 + 4×3 + 1×1 + 0×3 + 1×1 + 0×3 + 9×1 + 2×3 + 0×1 + 5×3
= 9  +  21 +  8  +  12 +  1  +  0  +  1  +  0  +  9  +  6  +  0  +  15
= 82
82 ÷ 10 = 8 あまり 2
10 - 2 = 8

よって、このISBNのチェックディジットは8である。

参考文献[編集]

  • 湯浅俊彦 『出版流通合理化構想の検証 - ISBN導入の歴史的意義』 ポット出版、2005年10月ISBN 978-4-939015-80-9

関連項目[編集]

外部リンク[編集]