推定
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推定(すいてい)とは、現状知り得た情報・傾向を元に、知り得ない事象を決めること。
目次
推定(文法)[編集]
日本語でいえば語尾が「…のようだ」、「…らしい」などで終了する表現のこと。
推定(統計学)[編集]
推定(法律)[編集]
法令用語としての「推定」は、主に「法律上の推定」の意味に用いられるが、暫定真実や法定証拠法則と解されることもある。これに対し、「みなす」は通常は擬制の意味である(「法律上の事実推定」と解されることもある)。 講学上の概念としての「推定」は、「法律上の推定」と「事実上の推定」に分けられる。さらに「法律上の推定」は「法律上の事実推定」と「法律上の権利推定」に分けられる。
法令用語としての推定[編集]
- 民法第32条の2(同時死亡の推定)
- 民法第186条(占有の態様等に関する推定)
- 民法第188条(占有物について行使する権利の適法の推定)
- 民法第250条(共有持分の割合の推定)
- 民法第420条(賠償額の予定)
- 民法第573条(代金の支払期限)
- 民法第772条(嫡出の推定)
- 会社法第120条(株主の権利の行使に関する利益の供与)
- 民事訴訟法第228条第4項(私文書の成立の真正の推定)
講学上の概念としての推定[編集]
法律上の事実推定[編集]
「事実Aがあるときは、事実Bと推定する」などの法令の規定によって、事実A(前提事実)の存在が立証されたときに要件事実B(推定事実)について証明責任を転換させる立法技術のこと。
法律上の権利推定[編集]
「事実Aがあるときは、権利Bがあるものと推定する」などの法令の規定によって、事実A(前提事実)の存在が立証されたときに権利Bの根拠となる事実について証明責任を転換させる立法技術のこと。
事実上の推定[編集]
Aという間接事実の存在が立証されたときにBという主要事実の存在についても確からしいと判断し、それを認定する裁判所又は裁判官の心証作用のこと。自由心証主義の帰結である。もっとも、判例を通じて規範化しているものもあることは否めない(私文書の印影から押印(本人又は代理人の意思に基づく捺印)を推定することなど)。証明責任の転換を伴わないため、これを覆すには反証で足る。 「甲と乙は密室に入室した。中から怒鳴り声とわめき声が聞こえ、1分後に全身に血を浴びた甲が出てきたとき、乙は中で仰向けに血まみれになって横たわって死んでいた。」という事例において、「甲が乙を殺した」ということが事実上推定される。