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トルコ大使館前乱闘:9人重軽傷 「在外投票」で多数の人

毎日新聞 2015年10月25日 21時46分(最終更新 10月26日 18時33分)

警察官に囲まれ、声を上げるトルコ人の男性=東京都渋谷区のトルコ大使館前で2015年10月25日午後0時半、森田剛史撮影
警察官に囲まれ、声を上げるトルコ人の男性=東京都渋谷区のトルコ大使館前で2015年10月25日午後0時半、森田剛史撮影

 25日午前、東京都渋谷区神宮前の在日トルコ大使館前で、トルコ国籍のクルド人とトルコ人が乱闘する騒ぎが起きた。同大使館では来月1日に行われるトルコ総選挙の「在外投票」があり、大使館前に多数の有権者らが集まっていた。制止しようとした警察官2人を含む9人が重軽傷を負い、警視庁は傷害などの容疑で経緯を調べている。

 警視庁によると、25日午前6時50分ごろ、大使館前にいた100人前後の一部で乱闘があり、3人が負傷した。その後も断続的にこぜりあいなどがあり、午前11時ごろに再び起きた乱闘で6人がけがをした。負傷した9人のうち7人はトルコ国籍の男性で、うち1人が骨折を伴う重傷。警察官2人のけがは軽いという。

 乱闘はトルコ人グループとクルド人グループの対立とみられる。クルド人が大使館前で反政府武装組織「クルド労働者党」(PKK)の旗を掲げたことがきっかけとの情報もあり、警視庁が原因を調べている。

 警視庁によると、トルコ大使館での在外投票は25日午前9時から午後9時まで日本在住の有権者向けに行われ、トルコ人やクルド人などトルコ国籍の人が国内各地から来ていた。2度目の乱闘のあった午前11時ごろには600人ほどが集まっており、怒声や殴り合いで一時騒然とした。警視庁は機動隊を配備し、間もなく騒ぎは収まったが、警戒は夜にかけて続けた。

 乱闘の現場にいた名古屋市在住のトルコ人男性(42)は「列に並んでいたら、仲間のトルコ人がクルド人との間でトラブルになった。クルド人は大使館前に車を止めて、旗を掲げて我々を挑発したのでけんかになった。その後、クルド人が大勢で仕返しに来た」と話した。

 埼玉県在住のクルド人の男性(40)は「車の中で投票の順番を待っていたら『おまえらの首を飛ばしてやる』と相手がからんできたので仲間を呼んでやり返した。トルコ人は選挙で負けそうだから投票を妨害しようとしたのだ」と言う。

 埼玉県に住む工事現場作業員のクルド人男性(22)は「殴る、蹴るの暴行を受けてとても怖かった。トルコが自由な国になってほしいと思い、投票に来たのに」と表情を曇らせた。トルコ人の夫をもつ50代の日本人女性は「トルコ人とクルド人が割れているわけではない。民族的というより、政治的な対立だと思う」と話した。

 法務省の6月末時点の統計によると、トルコ国籍を持ち日本に在留資格がある人は4526人。このうち中長期在留者と特別永住者は3906人に上る。【宮崎隆、黒川晋史、杉本修作、狩野智彦】

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