大石さん、ウォレットは何をつかったらいいでしょうか?という質問を何度か受けることがある。
結論からいうと、Bread Walletが、すべての面で良い。私もこれを使っているし、推奨している。
くわしい議論は、以前、ビットコインのウォレット勉強会を行ったので、その動画(ビットコインのウォレットサービスのセキュリティについて)を参照してみてほしい。
動画ではwelletにとって大事なセキュリティ上の5つの観点を提示している。
この5つをすべてを満たすのは、いまのところBread walletだけである。
1)オープンソースであるか?
お金を扱うソフトウェアはオープンソースであるべきだ。おかしなコードが含まれているかもしれないクローズドソースの財布に、自分のお金を入れておくというのは、正直良い気分がしない。
2)秘密鍵の管理が自分でできるか?
Blockchain.infoなどのサーバー型のサービスの場合、秘密鍵はサーバーに保管しておく形になっている。この場合、サーバーがクラックされた場合、ユーザーの秘密鍵が漏洩しかねない。
Circleや、Coinbaseも同様、こちらのサービスは、ユーザーの秘密鍵すら確認できない。秘密鍵のバックアップすらとれない。
ある日、突然サービスが閉鎖した場合、置いてあるビットコインにアクセスすることは不可能だ。コインを失うことになる。
秘密鍵は、かならず自分で管理できる方式のものを使いたい。
また、秘密鍵は、12単語のパスフレーズとしてバックアップをとることができる形態が良い。これを別途メモして保管してけば、iPhoneを紛失した場合でも、あたらしいiPhoneに再入力すれば復活できるし、Electrumなどの、他のウォレットソフトウェアからもパスフレーズをもとにコインを取り出せる。
3)デバイスのセキュリティ
iPhoneでは、そのウォレットのアプリだけがアクセスできて、他のアプリがアクセスできない領域を作ることができるので、秘密鍵が不正アクセスされにくい。Androidは、そういったメモリ領域をつくることが難しく、マルウェアなどが秘密鍵にアクセスするのを防げない。
iPhone上で適切な鍵管理を実現したwalletソフトウェアを使うのが安全である。
4) P2Pノードで直接ネットワークに繋がるか?
ビットコインウレットには、サーバーを介してトランザクションを行うものと、BitcoinのP2Pネットワークに直接つながっていて、サーバーが不要なもの(SPVノード)の2つがある。
SPVノードの場合、つまり、あなたのスマホが直接ネットワークにつながり、ビットコインのノードになる。
P2Pネットワークに直接つながっているメリットは大きい。まずクラックに合いにくい。サーバーがハックされる可能性はないからだ。
そして、サーバーがメンテナンス中でつかえないということはない。私は、一度、送金しようとおもったら、Circleのサービスがメンテ中で使えず、翌日に送金しようとしたらビットコイン価格が10%も暴落し、そのあいだに、10万円以上損したという経験がある。
直接P2PネットワークにつながるWalletであれば、サーバーが落ちるということはない。24時間の可用性が保証される。
5) プライバシー
Bread WalletはHD(階層性)ウォレットを採用している。これは、取引ごとに新しいアドレスを生成し、決してアドレスを使い回ししない仕組みだ。これによって、かなりのプライバシーとセキュリティが保たれるだろう。
また、ログの問題がある。Circle や Coinbaseなどの米国系のサービスは、利用履歴のログはす個人情報とともにすべて保管されている。送金の履歴は、3文字レターコードの政府機関に提供されているのは間違いない事実だ。
他のサーバー型のサービスも、すべてログがサーバーに保管されている形になる。プライバシーはサービス提供者に丸見えだ。
一方 SPVノード型のウォレットは、P2Pネットワークに直接接続されるので、ログを保管されるというプライバシー上の問題はなくなる。
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以上の話は、動画にて、木下じょな氏による素晴らしい解説があるので、さらに詳しく知りたいひとは動画を参照してほしい。
結論をいうと、Bread wallet が、これらのセキュリティ基準を満たす唯一のモバイルウォレットである。モバイルウォレットを使うなら、Bread Walletをおすすめする。
もちろんセキュリティ観点以外に、ユーザーインターフェースもあるとおもうが、Bread walletは、限りなくシンプルで無駄がなく、使いやすい。
Blockchain.infoのアプリを使っている人は、いまこその切り替える時期である。
注)上記は、スマホ用のウォレットでのセキュリティの話です。多量のビットコインを長期に保管されるかたは、そもそもスマホのウォレットではなく、Trezorなどのハードウェアウォレットまたはペーパーウォレットを利用してください。