ドイツワインの知識 (2/3)

フランスやイタリアのワインと比べて、日本ではドイツワインの魅力があまり 知られていないようです。
当店のオーナーでもある国際ドイツソムリエコンクール上位の沼尻が、 ドイツワインの基礎知識をご紹介致します。

  1. ドイツワインの魅力
  2. ドイツワインの概略
  3. ドイツワインの歴史
  4. ドイツワインの種類
  5. ドイツのぶどうの品種
  6. ドイツワインの産地
  7. ドイツワインの格付け
  8. ワインの楽しみ方
  9. ドイツ特派員便り(※)
(※『ドイツ特派員便り』は日本ソムリエ協会のホームページ内にて'04~'08にかけて連載していたものを一部編集したものです。)


4. ドイツのぶどうの品種

★ ドイツワインの品種と産地

ドイツには多種多様なワインがあることは、品種からも語ることができます。
新しくどんどん交配研究が行われており、現在約140種類もの品種がベルリンの役所に登録されています。

下記の9品種を覚えればドイツの全栽培面積の約70%を占めている品種となり、 レストランやワインショップにて、自分の好みのワインを選ぶのにとても役立ちます。

① リースリング種(Riesling)(白)

ドイツを代表する高級品種、 産地や醸造方法によって辛口から極甘口まで様々なワインのタイプとなります。ピーチ、リンゴ、 アプリコットなどの香りを思わせ、味わいは繊細でエレガントで酸味を多く含み、 果実味と酸味の絶妙なバランスが特徴で、長期熟成に耐えます。ドイツ全地域で栽培されており 、ファルツ地域、モーゼル地域やラインガウ地域で主に栽培されております。

② ミュラー・トゥルガウ種(Mueller-Thurgau)(白)

スイスのトゥルガウ出身のミュラー博士によって、1882年ガイゼンハイムの ぶどう栽培醸造研究所で開発された品種です。早熟で果粒も大きく栽培しやすく、薬草やリンゴ、ナシ、 ほのかなマスカットなどの香りを思わせ、程よい酸味でマイルドな味わいでライトなものが多いです。 別名、リヴァーナー種と言います。

③ シルヴァーナー種(Silvaner)(白)

ドイツでは白ワインの中で3番目に多い品種、原産地はルーマニア地方という説が有力です。 比較的ニュートラルな味わい、口当たりのやわらかい酸味、ラインヘッセン地域では優雅でフルーティなワインが、 フランケン地域は、ニュートラルな力強いワインが一般的に造られています。 ファルツ地域やラインヘッセン地域でも多く栽培されています。

④ グラウブルグンダー種(Grauburgunder)(白)

ピノ・グリ種 又は、ルーレンダー種とも言います。シュペートブルグンダー種の突然変異によって生まれた品種です。 色合いは黄金色を有し、ナッツ、マルメロ、マンゴなどの香りを思わせ、 酸味が比較的少なく、ボディがしっかりしており、しばしばバリック樽で熟成されます。 最近、栽培面積がどんどん増え、現在ドイツでは4000ヘクタール以上栽培されています。

⑤ ゲヴュルツトラミーナー種(Gewuerztraminer)(白)

とても古い品種に上げられ、華やかな香り、ライチや白バラを思わせる香り、酸味が少なく、 ボディがしっかりしており、後味に少し苦味を感じます。アルコール分も高めです。 バーデン地域、ファルツ地域で多く栽培されています。バーデン地域のべライヒ、 オルテナウでクレーフナー(Clevner)とも呼ばれています。

⑥ シュペートブルグンダー種(Spatburgunder)(赤)

とても長い歴史を持つ品種です。別名ピノノワール、味わいが豊かで、口当たりが大変なめらかで、 ややライトなタイプから力強いワインまで造られています。長期に渡り、バリック樽で熟成したワインの中には、 ドイツワインとは思えないような複雑なヘビーなワインが造られています。 バーデン地域やアール地域で主に栽培されています。

⑦ ドルンフェルダー種(Dornfelder)(赤)

色調も濃く、野イチゴのような香り、マイルドな味わいで、日常的なワインから樽熟成した高級タイプのものまで 幅広く造られています。早熟で1979年、124ヘクタールだった栽培面積から2006年には、8000ヘクタールを 超え近年、植付け面積を急激に増やした品種として上げられます。

⑧ ポルトギーザー種(Portgieser)(赤)

色調も明るく、アルコール度も低く、ライトで口当たりの飲みやすいワインです。気軽に飲めるワインとして ひたしまれています。色調は明るい赤で、イチゴや木イチゴの赤い果実の香りを思わせます。どの 地域でも生産されています。

⑨ トロリンガー種(Trollinger)(赤)

この品種はヴュルテンベルク地域でほとんど栽培されています。 フレッシュでライトで飲みやすいワインです。早飲みタイプが大半を占めます。 かすかにマスカットの香りとチェリー、ストロベリーの香りを思わせます。


5. ドイツワインの13地域

様々な顔を持つドイツワインは、品種からだけでなく、生産地の気候や土壌からも個性があらわれ、おおまかに13地域に分けられその地域の特徴が現れます。

①アール地域(Ahr)

この地域はライン川の支流アール川沿いの小さな地域で、北にはアール川を源とするアイフェル山系があります。通常なら赤ワイン造りには高緯度ですが、赤ワインを造るのに最適な環境を生みだしています。この地域は赤ワインが約90%を占め、近年ではバリック樽で熟成したボディのあるシュペートブルグンダー種の赤ワインもよく造られています。

②ミッテルライン地域(Mittelrhein)

ここはナーエ川が合流する地点のトレヒティングスハウゼンから都市ボンの南約15キロのローランツエックまでライン川に沿って細長く広がる地域です。香り高いフレッシュで生き生きとしたリースリング種が主に造られています。ここはライン川両サイドの傾斜面にワイン畑があり、左右に古城が見られ、ユネスコの遺産にも上げられています。

③ナーエ地域(Nahe)

ナーエ地域は "ドイツワインの試飲部屋" と言われるほど、多彩なぶどうが植えられています。ナーエ地域ではフルーティでポテンシャルのあるワインがしばしば造られています。リューデスハイム村の対岸ビンゲンの街からナーエ川が流れており、その支流グラーン、アルゼンツ川がこの地域です。フンスリュックとゾーンヴァルトの山系により北風から守られ、土壌も様々で温暖な気候に恵まれています。リースリング種、ミュラー・トゥルガウ種、ドルンフェルダー種などが主に栽培されています。

④モーゼル・ザール・ルーヴァー地域(Mosel-Saar-Ruwer)(→Mosel)

モーゼル地域は約2000年の歴史があり、古代ローマ人はここでワイン栽培を始めました。モーゼル、ザール、ルーヴァー川沿いの急斜面が主な栽培地で、リースリング種は世界的にも有名です。タイプは様々ですが繊細で豊かな香りのアルコール分の低めのワインがよく造られています。粘板岩土壌からのリースリング種はその魅力が発揮されています。モーゼル川上流ではエルプリング種が栽培され、ゼクト(発泡酒)が有名です。

⑤ラインガウ地域(Rheingau)

ホッホハイム村からロルヒハウゼン村までライン川に沿って約40キロが世界の名を馳せているラインガウ地域です。ほとんど南向き畑で、北風から守られるタウヌス山系と太陽の恩恵を十分受けるライン川があり、ワイン造りに良い条件が整っています。 黄土、粘板質微粒砂土、風化粘板岩などからの土壌はワインに力強さと個性的な芳香を与えています。リースリング種が約80%、シュペートブルグンダー種は約10%栽培されています。

⑥ラインヘッセン地域(Rheinhessen)

ドイツ最大のワイン地域ラインヘッセンは、マインツ、ビンゲン、ヴォルムスの街を三角形で描いた広大なエリアです。ドイツで約4本に1本がこの地域のワインです。栽培品種、土壌は多彩です。シルヴァーナー種は有名で繊細でフルーティなワインが一般的に造られています。

⑦ファルツ地域(Pfalz)

フランスのアルザス地域の国境に接したシュヴァイゲン村からボッケンハイム村までの南北に約80キロ世界最古のワイン街道があります。この地域はドイツで2番目に大きな地域です。温暖な気候な為レモン、アーモンドなど南方系の植物も育ちます。白ではリースリング種、赤ではドルンフェルダー種が多く栽培されています。

⑧ヘシィシェ・ベルクシュトラーセ地域(Hessische Bergstrasse)

この地域は北イタリアと同じ時期に春が訪れることからワイン栽培に向いた場所ですが1971年からワインの地域として独立しています。リースリング種が多く栽培されており、ドイツで最も小さなワイン栽培地の一つです。ここは小さな醸造所がほとんどで副業もよく見られます。

⑨フランケン地域(Franken)

マイン川沿いが主にフランケン地域でボックスボイテルという特徴あるボトルが有名です。又、シルヴァーナー種は有名で貝殻質土壌から力強いフルーティなワインが一般的に造られています。赤色の彩色砂岩土壌からはフルボディの赤ワインが出来ます。ミュラー・トゥルガウ種が一番この地域では最も多く栽培されています。

⑩ヴュルテンブルク地域(Wuerttemberg)

ネッカー川とその支流の両岸の斜面が主にこの地域に属し、ドイツの中で一番ドイツワインの消費量が多い地域です。この地域はドイツ最大の赤ワインの地域で、ライトなタイプのトロリンガー種はここでほとんど栽培されています。他赤ワイン用の主な品種ですとシュヴァルツリースリング種、レンベルガー種、シュペートブルグンダー種が上げられます。

⑪バーデン地域(Baden)

ここはタウバー川沿いの畑とハイデルベルクの北20キロのラウデンバッハ村から南のボーデン湖まで細長く続いているドイツで一番南に位置する地域です。温暖な気候に恵まれ、南のバーデン地域のエリアはフランスのシャンパーニュ地域と同じ気候のエリアに属します。タイプは様々ですが、カイザーシュトゥ-ルからはグラウブルグンダー種やヴァイサーブルグンダー種のこくのある白ワインや丸みのある力強いシュペートブルグンダー種の赤ワインが生産されています。ボーデン湖付近にもバーデン地域がありロゼワインが有名です。

⑫ザクセン地域(Sachsen)

州都ドレスデン、又、陶器で有名なマイセンもこの地域に属し、ドイツで一番小さく東に位置するワインの地域になります。エルベ川近郊に主にワイン畑はあります。ザクセンワインは主に繊細でフルーティな酸味のある辛口ワインが特徴です。この地域でしか造られていないライトでスパイシィなゴールドリースリング種のワインも有名です。

⑬ザーレ・ウンシュトルート地域(Saale-Unstrut)

エルベ川の支流やザーレ川とウンストルート川流域にワイン畑が主にあり、ドイツで最北のワインの地域です。ミュラー・トゥルガウ種が一番多く栽培されています。土壌は貝殻を含んだ石灰質と砂岩からなり果実味豊かな辛口ワインが主に生産されています。

★品種の統計は(Deutscher Weininstitut in Mainz)ドイツマインツ広報センター2007年の資料を参照。


(参考文献)
Seminar Handbuch Deutsche Weine Herausgeber: Deutsches Weininstitut GmbH,Mainz
ドイツワイン基金のホームページ
日本ソムリエ協会教本 社団法人日本ソムリエ協会
Wein Andre Domine konemann Verlagsgesellschaft GmbH

ドイツワインの知識
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