あさノート Asa-note

嫁入り前の大一番!心がぶつかる、あさとうめの相撲。嫁入り前のあさの思いを、禁じていた相撲で受け止めるうめ。爆発する感情、あふれる涙……このシーンを演じたふたりの思いは?

ロインのオーディションを受けたとき、課題として演じたのがこのシーンでした。だからこそ、あさというヒロイン像やドラマの本質を伝える意味でも、“このシーンはすごく大切なんだ”とごく自然に理解していました。
しかも、この日はまだ私にとって撮影2日目。初日は歩くシーンばかりだったし、実質上のクランクインのような状況で、ものすごく緊張したのを思い出します。ずっしり重い着物姿で相撲をとりながら演技すること自体もハードだったし、身体をがむしゃらに動かしながら、自分の中のものを組み立てていくような作業でした。
監督のOKが出るまで、重ねた撮影は全部で5テイク。何が足りないんだろう?と頭で考えているうちにどんどん熱量が上がっていって、ただただ夢中でした。こんなに分かりやすく爆発する子っているのかな、っていうほどストレートなあさの感情に、1テイクごとに持っていかれるエネルギーは相当大きかったですね。

あさノート Asa-note あさ 波留さん

撮影後、「このシーンを乗り越えれば、この後、あさでいるのはきっと楽だと思うよ」って監督がおっしゃったんです。確かにその後、あさという役が自分にスッとなじんだような感覚がありました。早々にひとつの山を超えられてよかったかな、と思います。私には忘れられないシーンです。

初めて あさ になった瞬間。
あさノート Asa-note
演じる前から 何度、泣いたことか。 うめ役 友近さん あさノート Asa-note

さとの別れを目の前にして、今までずっと「あかん」と言ってきた木登りも相撲も許して、思いっきりぶつかるシーンですよね。いつも叱ってばかりいたけど、それも全部あさがかわいいからだし、本当はうめもあさと離れたくない。私自身も子どもが好きなので、ものすごく感情移入できるシーンでした。
私、基本的に涙もろいんですけど、このシーンは台本を読んだ時から泣いてたんですよ。人に説明するたびに泣いてましたから。でも、「泣かなあかん」と思ったら泣けないタイプなので、本番ではあんまり気にせずにその場の感情でいこうと挑みました。
実際、天真らんまんで何でも疑問に思うあさがやっぱりかわいくて、まっすぐお姉ちゃん思いやし、私ともこれが最後になるかもしれないとか、感情をいっぱい浴びせられる感じでしたね。まだ子どもやのに容量いっぱいになってるんやな、どうにか受け止めてあげなあかんな……って。
ただ相撲に関しては、シコの踏み方を教わったわけでもないし、必死でした。もうちょっと大相撲中継を見ておくべきでしたね……!

チーフ演出 西谷真一 ふたりらしい「お別れの儀式」を。 あさノート Asa-note

あさが小さい頃から、親代わりのように面倒を見てきたうめさん。うめと目が合うとあさが逃げるくらいしつけも厳しくて、木登りも相撲も大股歩きも絶対に許さない。でもここでは、みずから相手となって相撲をとることで、あさの気持ちを少しでも和らげてあげようとうめは思うんですよ。
嫁入りを目前にして、いわば「お別れの儀式」とでも言いますか。別れの意味を込めた女性同士のスキンシップとして何がいいかと考えた時、あさにはやっぱり相撲だろうとなったわけです。むしろ、このシーンを撮りたいがために、相撲好きのヒロイン像を作ったところもありますね。 このシーンでテイクを重ねた理由は、あさというヒロインの感情をピークまで持っていきたかったからです。まだ10代の設定だから、あさをもっと子どもにしたかったというのもあります。同時に、感情の振り幅を限界まで出してもらうことで、波瑠さんをあさにグッと近づけようという意図がありました。それだけ、このあさというヒロインを演じるのは大変なことなんですよ。
波瑠さんが挑み続けるチャレンジを、全26週にわたってサポートすることが、僕らスタッフのすべて。その最初の一歩として、狙いどおりのものが撮れたと思っています。