夕張市とJR北海道が石勝線夕張支線の条件付きの廃止で合意した17日、夕張市民の間には困惑が広がった。生活への影響を懸念する声が上がる一方で、「やむを得ない」と受け止め、代替の交通網の充実を求める向きも少なくない。市とJRは市内の交通体系をバス中心に変える考えだが、既に廃止されたふるさと銀河線や深名(しんめい)線の地元では「鉄路のないまちづくり」に苦慮しているのが実態だ。

 「びっくり。本当に困ります」。夕張中3年の小竹星海さん(15)は17日、夕張支線廃止合意のニュースを聞き、思わず絶句した。地元のスキーチームに所属し、冬場は自宅からスキー場まで連日支線を利用していた。高校への通学にも使うつもりだったといい、「どうすればいいの」と天を仰いだ。

 支線の終点、夕張駅直結の待合所で喫茶店を営む中本満さん(69)、和江さん(67)夫妻も「残念でたまらない」と落胆した。

 ただ、利用客の少ない支線の廃止を冷静に受け止める市民も。夕張市議会の厚谷司議長は同日午後、JR北海道の島田修社長と面会し、廃止を前提とした上で「この地域とともに新たな交通体系づくりに協力してほしい」と要請。「住民が安心して暮らせる足を保つ他の方策を探っていかねば」と強調した。

 夕張と同じく炭鉱で栄えた空知管内上砂川町は1994年、砂川市と結ぶ函館線上砂川支線(7・3キロ)が廃止された。上砂川商工会議所の吉川洋副会頭(65)は、夕張市長がJRに支線廃止の条件として交通政策への協力を求めたことを「地域の公共交通を守る一つの方法だ」と評価する。

 だが、「交通網の確保」は簡単ではない。2006年に廃止された第三セクター鉄道「ふるさと銀河線」(十勝管内池田―北見間、140キロ)は十勝バスが代替バスを運行。しかし、利用客の低迷で運行赤字が膨らみ、穴埋めするための沿線1市5町の負担額は10年度935万円から15年度には3530万円に増えた。本別町ふるさと銀河線代替バス振興会議の北谷和雄会長(66)は「公共交通維持には財政支援もやむを得ない」と漏らす。

 深名線(深川―名寄間、121・8キロ)が1995年に廃止された上川管内幌加内町では10年、支庁再編で空知管内から上川管内に移管されたことを契機に、幌加内―旭川間の公共交通機関の確保が新たな課題となった。

 ジェイ・アール北海道バスの代替バスは深川経由で片道数時間かかるため、町は道の補助を受けて旭川と直結する乗り合い自動車を平日2往復程度、試験運行している。ただ、いつまで継続できるかは不透明で、細川雅弘町長は「今後とも旭川の病院や学校に通う町民のためにも足を確保したい」と話す。

 北大副学長の吉見宏教授(公会計論)は「赤字路線の行方については市民も交えて幅広く検討すべきだ。バス路線に転換するケースが多いが、行政も住民も受け身にならず、知恵を出し合って今後の姿を打ち出すべきだ」と提言している。

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