台風10号の大雨で橋が流失したJR根室線の復旧が12月以降となり、札幌と釧路、帯広を結ぶ特急列車の運休が長期化することになった。JR貨物によるコンテナ輸送も滞り、トラックによる代行輸送は当面通常の5割程度となる見通し。秋の収穫期や紅葉シーズンを迎える中、農水産物の出荷や観光への影響が広がっている。

 「9~11月は農産物出荷のピーク。JR貨物が使えない影響は大きく、頭が痛い」。ホクレン帯広支所の担当者は頭を抱える。

 JR貨物は5日から帯広―札幌間でトラックの代行輸送を開始。釧路港から出荷しようと、帯広―釧路間の区間列車や釧路―東京間の定期RORO船(フェリー型貨物船)も使うが、輸送力は通常の5割ほどだ。

 9月中旬から約1カ月、ジャガイモ用の専用列車を運行するなど、十勝からの農産物出荷の半数はJR貨物を利用する。同支所は「全国津々浦々まで運べるのがJR貨物の利点。トラックへの振り替えも単純ではない」(物流課)と話す。

 ジャガイモやタマネギをJR貨物で全国へ出荷する音更町の青果物卸北海道エムズの関口誠社長(48)は「代行輸送により現在は到着が1日遅れる程度だが、トラックは今も足りていない。貨物量が増えれば思い通り出荷できないかもしれない」と表情を曇らせた。

 特急列車の長期運休は観光にも大きな影を落とす。帯広―札幌間の都市間高速バスは、一部増便しているものの、列車の輸送力をすべて補うのは困難。JR北海道は8日から札幌―釧路間で1日3往復、臨時列車と代行バスの運行を始めるが、特急より所要時間は長くなる。十勝と道央を結ぶ主要国道の通行止めも、復旧のめどが立たない。

 一方、帯広駅周辺のビジネスホテルでは台風の直後にキャンセルが相次いだ。紅葉シーズンを迎える鹿追町の然別湖の然別湖畔温泉ホテル風水も予約よりキャンセルの電話が多かったという。

 十勝川温泉はほぼ通常営業しているが、一部のホテルが浸水した影響で2日までに約4200件のキャンセルが出た。十勝川温泉観光協会は今秋、宿泊者に菓子を贈る「スイーツ列車」をJRと企画。JR利用者の集客に力を入れる方針だった。窪浩政事務局次長(51)は「運休で企画がどうなるのか心配だが、前を向くしかない」。

 JTB北海道(札幌)は、10月から契約施設の宿泊代を大人1泊2千円引きにするキャンペーンを、道東応援企画に衣替え。JTB北海道帯広支店の森下勉支店長(45)は「JR運休は痛手だが、道東への観光客誘致に力を入れていく」と話した。(小森美香)