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2015-07-25

国会前抗議に行ってきた

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 国会前の安保法制反対抗議に行ってきた。

 前に反原発デモちょっと不愉快な思いをしたことがあり(これはブログとかフェイスブックにも書いたはずだが)、元気がある時でないとちょっと日本デモに行く元気が出ないので、今回は学者の会に入るだけでプロテストには出かけていなかったのだが、首相パフォーマンス等々があまりにもバカバカしいのと(なんだあの人魂は)、デモ参加者に対する性差別的な言動があまりにも目に付くので(学生団体SEALDS美人が多いことを売りにするとか)、学生時代に戻ってフェミニストっぽい簡易プラカードを作って行ってきた。

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 なお、マッドマックスのやつはともかく、裏側は日本語スローガンにしようと思ったのだが、漢字を使うと黒っぽくなってしまい、小さいプラカードだとかなり見栄えが悪くなるので、あきらめて両面英語にした。プラカード英語が多いのを批判する向きもあるようだが、実際に作ると漢字を使って見栄えのいいプラカードを作るのはたぶんデザインのセンスが良いか、金子兜太みたいに気迫のある文字が手書きで作れるか、どっちかじゃないとムリかもしれないと思った。あまり黒っぽくならず、遠くから見分けやすいゲバ文字には一応、有用性があったんだな…

 

 18時半に日比谷についたのだが、もういっぱいで中に入れず。しょうがないので国会議事堂まで歩く。マジ暑くて滝のような汗が…

 この写真は正門前だが、私は小さいのでほとんど前が見えない。周りで少々、小競り合いもあったようなのだ全然、見えなかった。しかも大混雑で隣の人がつまづいて水筒お茶を飲んでいた私に衝突したため、私は麦茶自分の服にこぼした。

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 この時点ではほとんどなんにも見えなかったのだが、集会が終わるくらいには高橋哲哉先生背中が見える場所まで移動できた。音は配信されていたのでちゃんと聞こえたが、たまに聞こえづらくなることも。手が疲れないようにささやかにプラカードをかかげる。

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 警察群衆管理が実にウザかったしかえって危険だとは思ったのだが(とはいえ私はロンドンでケトリング封鎖をくらったり騎馬警官隊と衝突したりしているので、ちょっと経験から身につく「危険」の基準がズレてるかも)、少なくとも私がいたところは絡まれたりするような不愉快雰囲気ではなかったのは良かった。

 

 しかしながら、最後スピーチにははっきり言ってちょっと引いた。国会議員高橋哲哉先生、また関西のSADLの人のスピーチなどの最後SEALDS女性スピーチがあったのだが、この「安倍首相への手紙」というスピーチはかなり稚拙ものだったと思う。私が一番「これは全然ダメだ…」と思ったのは、「帰ったらご飯をつくって待ってくれているお母さん」がいることを平和世界象徴として訴えていたところである。これは自分経験に基づいているのだろうが、全体的にものすごく家庭を守る母(「両親」ではない)とその子どもというイメージ依拠しており、はっきり言ってこのスピーチ提示されている「平和家族像」というのはむしろ首相とその一派が推し進めているものに近い、母親が家にいて子どもを育て、家事や炊事をするという保守的伝統的な性役割に基づいた家族モデルへのノスタルジーだと思った。首相への手紙という形式なので、わざと首相が喜びそうな家庭モデルを持ってきているのか、それともあまり何も考えないで経験を書いているのかはわからないのだが、こういう安倍的家庭観を前面に出して「安倍を倒せ」とか、全然コンセプトが通ってなくてスピーチとしては稚拙にすぎると思うし、女性性とか母性がしばしば政治活動プロパガンダに利用されることを経験してイヤになっているほうからすると聞いていて本当にうんざりする

 私はけっこう、デモに行く前はSEALDSの人たちではなくその周りで「美人もたくさん参加してる」ことを売りのように言う人たち問題があり、学生若いからそういうことがよくわからなくても仕方がないだろうと思っていたのだが、このスピーチを聞くと、人目を引くことを目的安易に「女性性」をアピールしてしまう土壌はSEALDSのほうにもあるんじゃないかと疑ってしまった。まあ、これは私の考えで、実際にそうなるとしてもまだまだ遠い先の話だろうが、たぶんSEALDS組織してるような学生から将来、国会地方自治体議員なども出ることもあると思うので(『グローリー』や『パレードへようこそ』なんかでも描かれているし、日本でもそういう事例はあるが、市民運動未来政治家を育てる学校である)、もっと性差別とかスピーチのコンセプトの重要性とか、そういうことを今のうちに学んでほしいと思う。私は来週の金曜日学者の会に行く予定で、この時は学生と一緒に行動するらしいので、そのへん誰かと意見交換できたらいいのだが…

追記:私が批判したスピーチ全文書き起こしがアップされたようだ。

 

 

charischaris 2015/07/26 04:10 なるほど、「帰ったらご飯を作って待ってくれているお母さん」という「安倍的家庭観」を「平和の象徴」として語るようでは、安倍と戦えないじゃないか、と言うわけですね。たしかに、このスピーチをした女子学生はジェンダー問題が分かっていないのでしょう。平和の象徴として「家庭の団欒」や「聖母子」と同じような例として言ったのかもしれない(「聖母子」には"父親"は描けない)。スローガンとして欠陥品じゃないかというのは、その通りでしょう。ただ、戦争法案反対というワン・イッシューの政治運動で、スローガンの根拠づけを参加者が挙げていけば、非常に違ったものになると思う。それでいいんだというのが僕の意見です。反原発デモには右翼の旗もあったし、今回のデモ隊にはバックラッシュ娘いるでしょう。まぁ、代表スピーチだったから失望したわけで、デモ隊の「看板娘」が「美人であるのを売りにする」とか、「フェミニズム以前」の人たちがたくさんいるわけです。でも、それが現実で、そういう人たちも含めて戦争法案反対の運動を作っていかなければならない。ただ、政治運動は参加者の相互批判がつねに必要だから、ブログにこういう批判を書くのは賛成です。31日は、僕も砂防会館へ行きます。

saebousaebou 2015/07/26 15:29 運動をしている学生はこれからもっと大きな舞台に立つ人たちだと思うので、いろいろなことを学んでほしいと思っていますし、そういうことを学べるような授業をしたいと自分でも思っています。砂防会館はかなり人が来るかもしれないと思いますが、もしお会いできたらお声がけくださいませ。

hiropontahiroponta 2015/07/27 04:16 うーんと、あの美女がなんたらとかいうのは、反戦派の人の「その記事を書いた個人の意見」であって、SEALDsの問題ではないと思いますけど。少なくとも、SEALDsが多くの人の共感を得て、若者が集まる場になって、政治に興味を持つ人が増えて、安倍を倒せるなら、それでいいと思います。

mumumumumumumumumumumumu 2015/07/28 10:28 スピーチの内容にブログ主さんが指摘する問題があることには同意します。しかし、反安保法制社会運動としては、保守的性別役割分業的家族観においては安倍首相の価値観に親和的であるが安全保障法案には反対であるような人々とも連帯する必要があるのではないでしょうか。現在の日本におけるフェミニストの数を考えると、反安保法制かつフェミニストという条件を付けると運動参加希望者の数が大きく減少してしまうのではないかと危惧します。

saebousaebou 2015/07/28 10:43 別に参加者が全員フェミニストになってほしいとは思っておりません。もっと説得力があり、性差別的要素などが少なく、洗練された演説を聞きたいし、活動している方々にはそういう力があるだろうと思っています。

mumumumumumumumumumumumu 2015/07/28 10:44 あとやっぱり、英語が読めないものからすると、たとえ見栄えが悪くても理解できる言葉で書いてほしいと思いました。Not Warしかわからなかった(汗。

saebousaebou 2015/07/28 10:52 次回作る時は事前にコンビニでよさそうな日本語のやつをコピーしておこうと思います。今回、私はほんとうにデザインのセンスなさすぎだと思いました。

mumumumumumumumumumumumu 2015/07/28 10:54 コメントが入れ違いになってしまって失礼しました。確かに、フェミニストから見ても問題のない演説をするのとフェミニスト以外を運動から排除することは別物ですね。

tas1014tas1014 2015/07/29 18:03 プラカードの文章ですが、英語圏に住んだことのない私のような庶民にはどうもよく理解できません。一応「我々の国会議員が兵隊になるわけではない。独裁政治に反対する男女同権主義者たち」と「道理にかなうことをして、戦争はするな。」というようなことかなと思ったのですが、本当の意味はどういうものなのでしょうか?

katamarankatamaran 2015/08/02 10:10 "warlords"は「兵隊」ではなくて「将軍」でしょう。それと、"feminists"は日本語でも「フェミニスト」と訳すのが今は一般的なようです。

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