リヒテンシュタイン
- リヒテンシュタイン公国
- Fürstentum Liechtenstein
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(国旗) (国章) - 国の標語:Für Gott, Fürst und Vaterland
(ドイツ語:神・公・祖国のために) - 国歌:若きライン川上流に
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公用語 ドイツ語 首都 ファドゥーツ 最大の都市 シャーン 形成
独立
- 日付
独立
- 日付1719年1月23日
神聖ローマ帝国より
1806年7月12日
ドイツ連邦解体
1866年8月23日通貨 スイス・フラン (CHF) 時間帯 UTC +1(DST:+2) ISO 3166-1 LI / LIE ccTLD .li 国際電話番号 423
リヒテンシュタイン公国(リヒテンシュタインこうこく、独: Fürstentum Liechtenstein、アレマン語:Förschtatum Liachtaschta)、通称リヒテンシュタインは、西ヨーロッパの中央部に位置する立憲君主制国家。スイスとオーストリアに囲まれている。首都はファドゥーツ。非武装中立政策をとる。1919年の合意に拠り、スイスがリヒテンシュタインの防衛を担当している。リヒテンシュタインは独自の軍事力を持たず、100名ほどの警察のみを保有している。欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国。
目次
国名[編集]
正式名称は公用語のドイツ語でFürstentum Liechtenstein(ドイツ語発音: [ˈfʏʁstn̩tuːm ˈlɪçtn̩ʃtaɪn] フュアシュテントゥーム・リヒテンシュタイン)、略称:Liechtensteinと表記する。公式の英語表記はPrincipality of Liechtenstein(プリンシパリティ・オヴ・リクテンスタイン)、略称 Liechtenstein。日本政府による公式の日本語表記はリヒテンシュタイン公国(リヒテンスタイン公国)、略称:リヒテンシュタイン(リヒテンスタイン)。「リヒテンシュタイン侯国」と表記することもある。なお、リヒテンシュタイン公国がある現地のアレマン語(リヒテンシュタイン方言)では、Förschtatum Liachtaschta(フェアシュタツーム・リアハタシュタ)と表記される。
元首であるリヒテンシュタイン家の当主の称号はドイツ語で„Fürst“(英語の"prince")であり、„Herzog“(公爵。英語の"duke")より一段下の爵位であるため、日本語では「公爵」ではなく「侯爵」と訳される場合もある[1]。一方、リヒテンシュタイン家の当主の親族(男子)は„Prinz“(英語の"prince")である。
歴史[編集]
- 1699年 ヨハン・アダム・アンドレアスがシェレンベルク男爵領を購入
- 1712年 ヨハン・アダム・アンドレアスがファドゥーツ伯爵領を購入
- 1719年 神聖ローマ皇帝カール6世は、リヒテンシュタイン家が買収したファドゥーツ伯爵領とシェレンベルク男爵領とを併せてリヒテンシュタイン公(侯)領とすることを認可(リヒテンシュタインの始まり)
- 1806年 神聖ローマ帝国の崩壊によって独立国となり、翌年にライン同盟に参加する
- 1815年 ドイツ連邦に加わる
- 1852年 オーストリアとの関税同盟を締結
- 1866年 ドイツ連邦が解体され、独立する
- 1867年 永世中立国(非武装)となる
- 1868年 軍隊を廃止し、その後は軍隊を保有せず
- 1919年 オーストリアとの関税同盟を解消
- 1921年 憲法制定。スイスフランを通貨とする
- 1923年 スイスと関税同盟を結ぶ。スイスフランを通貨とする
- 1984年6月 女性参政権を認める
- 1990年 国連に加盟する
- 1991年 EFTAに加盟する
- 1995年 欧州経済領域(EEA)に加盟する
- 2003年 憲法を改正
- 2011年 シェンゲン協定に加盟する
政治[編集]
元首は国家の君主である公(侯)。公はリヒテンシュタイン家の当主による男子世襲制で、欧州他国の君主が象徴・儀礼的存在であるのに対して強大な政治的権限を有している。そのため「ヨーロッパ最後の絶対君主制」と言われる事もあるが、立憲政治、法の支配が確立されており、立憲君主制に分類することもある。またEU諸国と同様、国民の市民的自由は十分に保障されている。
議会は一院制で、「Landtag」(国会)と称する。議員定数25、任期4年、解散あり。選挙は、複数投票制と比例代表制を組み合わせた直接選挙で行われる。女性参政権が認められたのは、世界的に見ても遅い1984年である。
議院内閣制を採用している。行政府の長である首相は議会の第一党党首が公によって任命される。また、副首相には第二党の党首が任命される。政党はリヒテンシュタイン進歩市民党(Fortschrittliche Bürgerpartei in Liechtenstein)と祖国連合 (リヒテンシュタイン)(Vaterländische Union)が二大政党である。
法律は歴史的経緯から、民法はオーストリアの民法が基本となっており、刑法はスイスの刑法を基本としている[2]。死刑制度は廃止されている。
国際関係[編集]
1919年のスイスとの合意に拠り、欧州評議会以外においてはスイスがリヒテンシュタイン利益代表を務める。
なお、リヒテンシュタイン公国はチェコ共和国とスロバキア共和国を国家として承認するのを拒否してきた。これは1945年に、当時のチェコスロバキア共和国政府が同国領内のドイツ系およびハンガリー系住民のチェコスロバキア国籍を剥奪のうえ私有財産を没収した(ベネシュ布告)ことに対して、チェコに領地を持っていたリヒテンシュタインはこの措置を違法行為とみなし、同国を国家承認しなかったことによるものであった。その後、2009年にリヒテンシュタインとチェコとの間で外交関係を開設することが発表された[3]。また同年12月9日にはスロバキアとの間でも外交関係が開設されることも発表された[4]。
地方行政区分[編集]
全部で11の基礎自治体(Gemeinde、ゲマインデ)に分かれる。これらは旧ファドゥーツ伯爵領のオーバーラント(Oberland、高地)と旧シェレンベルク男爵領のウンターラント(Unterland、低地)に分けることができ、現在でも国政選挙の選挙区としてこの区分が残っている。
オーバーラント[編集]
ウンターラント[編集]
地理[編集]
詳細はリヒテンシュタインの地理を参照
国境を接する全ての国が内陸国である「二重内陸国」(海に出るために少なくとも2つの国境を越えなければならない)である。面積は南北に25キロメートル、東西に6キロメートルと狭い。日本の小豆島とほぼ同じである。世界で6番目に小さい国。ドイツのシュヴェービッシュ・アルプスの延長線上に連なり、国土は山がち(最高地点2599m)だが南風が卓越し比較的温暖である。西はライン川に沿ってスイス(ザンクト・ガレン州・グラウビュンデン州)、東はオーストリア(フォアアールベルク州)と接している。
経済[編集]
主要な産業は精密機械、牧畜と医療。ほかに観光、国際金融、切手発行もよく知られている。スイスとの関税同盟があり、郵便や電話の制度はスイスと共通となっている。
タックス・ヘイブンとしても知られ、税金免除を目的とした外国企業のペーパーカンパニーも集中(人口より法人企業数が多いと言われる)。これら法人税が税収の40%に及び、この結果、一般の国民には直接税(所得税、相続税、贈与税)がない。
近年はEUとの課税に関する条約に調印し、EU市民の預金については利子課税がなされることになった。これらの預金者の情報は、相手国に通知しないで一括して課税分がリヒテンシュタインから支払われることになっており、「銀行守秘義務」は維持されている(同様の銀行守秘義務を維持している国は、欧州ではスイス、モナコ、サンマリノがある)。
OECDが指名する「非協力的タックス・ヘイブン・リスト」(租税回避地)に掲載されている7カ国の1つである[5]。
この国に拠点を持つ会社としては、薄膜コーティング装置の製造および、コーティングの受託加工で有名なエリコンバルザース社、電動工具・鋲打機・墨出し機などで建設業界において有名なヒルティ社、プロ用オーディオコネクターのノイトリック社、歯科材料のイボクラー社などが有名。労働者の約半数はスイス、オーストリアから毎日越境している。
交通[編集]
- 国内の主要な交通は路線バスであり、各所を結ぶ路線が頻繁に運転されている。黄色い車体のリヒテンシュタインバスをよく目にすることができる。主なバス停は郵便局の前であることが多い。バスはライン川対岸のスイスの鉄道駅(ザルガンスやブックス)のほか、オーストリアのフェルトキルヒ駅への路線もある。また、ユーロで運賃を支払うこともできる。
- 国内を鉄道が走っており、駅が4駅ある(主要駅はシャーン・ファドゥーツ駅)。運行をしているのはオーストリア国鉄である。オーストリアとスイスを結ぶ国際急行列車も通るが、リヒテンシュタイン国内の駅は全て通過する。
- 空港は存在しない。もっとも近い主要国際空港はスイスのチューリッヒ空港である。
国民[編集]
住民はドイツ系が大半で、ゲルマン系のドイツ・アレマン人が86%、その他イタリア人、トルコ人などが14%である。
言語[編集]
公用語は、標準ドイツ語(現地語は上部ドイツ語に属するアレマン語系最高地アレマン語の一方言で、その他にトリーゼンベルクでヴァリス語を使用される[6])。
宗教[編集]
宗教はローマ・カトリックが79.9%、プロテスタントが8.5%、その他にイスラムなどが5.4%存在する(2010年時点)。
文化[編集]
- チェコの作家カレル・チャペックの『山椒魚戦争』ではサンショウウオによる世界水没に対処するため、ファドゥーツで各国による国際会議が開かれた。
- 他の欧州諸国同様UEFAに加盟しているが、加盟する55の国と地域の中で唯一国内プロサッカーリーグを有しておらず、国内のサッカークラブはスイスのサッカーリーグに参加している。このため、UEFAチャンピオンズリーグの予選及び本大会に国内リーグの結果によって出場可能なチームが存在しない。カップ戦は開催されているためUEFAヨーロッパリーグには予選1回戦から出場可能であり、またスーパーリーグで優勝すればスイスの出場枠でのチャンピオンズリーグ出場は可能である。
- リヒテンシュタインでは冬場でも水風呂に入る習慣がある。
スポーツ[編集]
欧州小国競技大会を開催、参加している。
著名な出身者[編集]
- ヨーゼフ・ラインベルガー - 作曲家・オルガン奏者
- オットマール・ハスラー - 政治家、元首相
- クラウス・チュッチャー - 政治家、前首相
- ヴィリー・フロンメルト - アルペンスキー選手
- パウル・フロンメルト - アルペンスキー選手
- ハンニ・ウェンツェル - アルペンスキー選手
- アンドレアス・ウェンツェル - アルペンスキー選手
- マルコ・ビュッヘル - アルペンスキー選手
- ウルズラ・コンツェット - アルペンスキー選手
- ペーター・イェール - サッカー選手
- エリス - バンド
- バラック・ライディヒベルク - 画家
- ヨアヒム・スタンフォール - 物理学者
参考文献[編集]
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脚注[編集]
- ^ ただし、他の地域(フランスやイギリスなど)においてはprinceはdukeよりも上位である。イギリスの侯爵(Marquess)に相当するドイツの爵位は辺境伯(Markgraf)であり、FürstはHerzogの下、Markgrafの上の爵位と解釈するのが正しい。各国によって爵位体系には違いがあるので、単純に日本語訳できないというのが正解である。
- ^ 植田健嗣『ミニ国家「リヒテンシュタイン侯国」』(1999年 郁文堂)P131
- ^ “Liechtenstein and the Czech Republic establish diplomatic relations (PDF)” (英語). Stabsstelle für Kommunikation und Öffentlichkeitsarbeit (2009年7月12日). 2009年10月18日閲覧。
- ^ “Liechtenstein and the Slovak Republic establish diplomatic relations (PDF)” (英語). Stabsstelle für Kommunikation und Öffentlichkeitsarbeit (2009年12月9日). 2010年7月10日閲覧。
- ^ 外務省 - OECD有害税制プロジェクト(非協力的タックス・ヘイブン・リストの公表) - 3. 上記2. の国・地域のうち、2005年末までの透明性の確保及び実効的税務情報交換の実施を約束せず、2002年4月18日に発表された「非協力的タックス・ヘイブン・リスト」には掲載された国である[1]。
- ^ 植田健嗣『ミニ国家「リヒテンシュタイン侯国」』(1999年 郁文堂)P171
関連項目[編集]
- リヒテンシュタイン家
- 欧州自由貿易連合
- ドイツ人
- 若きライン川上流に - リヒテンシュタインの国歌(作成者:ヤーコプ・ヤウホ)
- 軍隊を保有していない国家の一覧
- 二重内陸国
- シェンゲン圏、シェンゲン協定
- ファドゥーツ城
外部リンク[編集]
- 政府
- リヒテンシュタイン公国政府(ドイツ語)(英語)
- 日本政府
- 日本外務省 - リヒテンシュタイン公国
- 在スイス日本国大使館 - 在リヒテンシュタイン大使館を兼轄する
- 観光
- リヒテンシュタイン政府観光局(ドイツ語)(英語) - 日本語のページも少々ある
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