“保育士の労働環境改善を” 労組が厚労省に申し入れ

“保育士の労働環境改善を” 労組が厚労省に申し入れ
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深刻な人手不足が続く保育の現場で、長時間のサービス残業などが横行しているとして、保育士などでつくる労働組合が28日、厚生労働省に申し入れを行い、保育士1人当たりの負担を減らすため、国が定める保育士の配置基準を見直すよう要請しました。
申し入れを行ったのは、保育士などでつくる労働組合「介護・保育ユニオン」で、28日午後、組合の職員が労働相談を行った保育士3人とともに厚生労働省を訪れました。

組合は去年6月に結成され、これまでに全国の保育現場から長時間のサービス残業など145件の相談が寄せられ、このうちの8割以上で労働基準法に違反している疑いがあったということで、申し入れでは、厚生労働省に対し実態調査を行うよう求めています。
そのうえで、保育士1人当たりの負担を減らすため、国が定める保育士の配置基準を見直し、保育所により多くの保育士を配置するよう求めています。

待機児童の解消に向けた保育士不足への対策では、短期間で辞めてしまう保育士が多い現状を、いかに改善するかが課題の1つとなっていて、介護・保育ユニオンの森進生代表は「労働基準法違反が改善されていけば、保育士として仕事を続けていける、戻ってきたいという人が増える。待機児童解消のためにも、労働環境の改善が必要だ」と話していました。

厳しい労働環境 職場を変えても

申し入れに参加した29歳の保育士の女性は、保育所の厳しい労働環境に悩み、この9年間で3回職場を変えました。
女性によりますと、いずれの保育所でも人手が不足し、サービス残業が当たり前になっていたということです。

女性は、保育所のサービス残業の実態について「書類や手作りしなければならないものを残業したり、家に持ち帰ったりして作ることが特に多い。保育士は全体的に持ち帰ってやっている人が多いと思う。給料は特に手当としてもらったことはほとんどない」と話していました。

こうした状況に、毎年保育士を辞める人が後を絶たず、女性が今勤めている保育所では、今月いっぱいで12人の職員のうち5人が退職する予定だということです。

女性は「友人や同僚は、仕事内容がきついという理由で保育所をやめ、『もう保育士には戻りたくない』と言っているので、環境を変えないと、保育士は戻ってこないと思う」として、保育士の配置基準を見直すなどして1人当たりの負担を減らさないかぎり、保育士を確保しても、短期間で辞めていく現状は変わらないとしています。
そのうえで、女性は「毎日子どもたちの笑顔を見ていると、やっぱりあすもこの子たちのために頑張りたいと思って、ここまで続けてきた。子どもたちも働いている保育士たちも安定して過ごせる環境を作ってほしい」と話していました。

東京都の調査では

東京都が保育士の確保に向けた課題を探ろうと、4年前に保育士を対象に行った実態調査では、およそ2割の人が、給料が安いことや仕事量が多いことを理由に「保育士を辞めたい」と答えました。

具体的には、当時保育士の仕事についていた人のうち、18%の人が「保育士を辞めたい」と答え、年代別では20代が25%と最も高くなりました。
そして、退職を考えている理由は複数回答で、「給料が安い」が65%、「仕事量が多い」が52%、「労働時間が長い」が37%でした。

一方、保育士の資格を持っていながら勤務していない、いわゆる「潜在保育士」が、保育士として働くための条件としては、「給与などよりも勤務条件が優先される」と指摘しています。

配置基準をめぐる問題

認可保育所では、預かる子どもの年齢と数に合わせて、配置しなければならない保育士の最低人数が、国の基準によって定められています。

例えば、0歳児を預かる場合、おおむね3人につき保育士を1人以上、1歳児と2歳児はおおむね6人につき保育士を1人以上、3歳児はおおむね20人につき保育士を1人以上、それぞれ配置する必要があります。

認可保育所を管轄するそれぞれの市区町村では、この国の基準に基づいて、具体的な配置基準を定めています。中には、「保育の質を確保したい」などとして、国よりも厳しい基準を設けて、受け入れる子どもの数を減らしている自治体もありますが、国は、待機児童の解消を目指し、基準を緩和して、多くの子どもを受け入れられるようにするよう求めています。
また、深刻な保育士不足が続く中、自治体の中には、国の配置基準の緩和を求めるところもあります。

これに対し、保育の現場からは、「現在の配置基準ですら人手が足りず、子どもを安全に預かることは難しい」として、保育士をより手厚く配置できるよう求める声も出ています。

保育士の配置基準をめぐる問題は、保育の質と量のバランスをいかに図るかという難しい課題に直結するだけに、待機児童の解消に向け、今後、さらに議論が活発になることも予想されます。