英の移民規制強化 研究者ら祖国に “人材の逆流”

英の移民規制強化 研究者ら祖国に “人材の逆流”
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イギリス政府がEU=ヨーロッパ連合からの離脱を巡り、移民規制の強化を打ち出す中、ポーランドからイギリスにやってきた研究者などの間では、帰国を検討する動きが広がっています。ポーランド政府も帰国を後押しする政策を打ち出し、人材の逆流という新たな現象が起き始めています。
このうち、5年前からロンドンの大学で、先端医療の研究をしているラファル・モストヴィさん(33)は、EU離脱の影響が研究に及ぶおそれがあるとして、ポーランドへの帰国を考え始めています。

イギリスでは、移民を標的にしたヘイトクライムと呼ばれる犯罪が急増するなど、移民排除の動きが強まっています。イギリスに90万人が暮らすポーランドからの移民も標的になっていて、ポーランド人研究者の間でも懸念が広がっているといいます。

いち早くポーランドに帰国した宇宙物理学の研究者、ヤコブ・ボチンスキーさん(28)のもとには、イギリスにいるポーランド人研究者から、帰国の相談が数多く寄せられているということで、「ポーランドでの仕事を求めるメッセージが、これだけ来るのは初めてだ」と話していました。

こうした動きをポーランド政府も全面的に後押ししようとしています。ポーランドでは、2004年のEU加盟以降、優秀な若者が待遇のよいイギリスなどに大量に流出した結果、医師や研究者などが不足し、産業や科学技術の基盤が育たない状況に苦しんできました。このため、今回のイギリスのEU離脱を高度人材を呼び戻す大きなチャンスととらえていて、去年、先端技術の育成などに日本円で2300億円を投じることを決めました。ルーカス・シュモフスキー副文部科学相は、「イギリスで知識や経験を身につけた人材が戻れば、ポーランドの経済や科学の発展にとってメリットが大きい」と期待を表していました。

イギリスに渡った高度人材を呼び戻そうという動きは、ポーランドだけでなく、バルト3国など、ほかの東ヨーロッパ諸国にも広がっていて、EU離脱決定によって、人材の逆流という新たな現象が起き始めています。