特区制度活用 公園内保育所が仙台などで開所

特区制度活用 公園内保育所が仙台などで開所
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待機児童の解消に向け国の特区の制度を活用して公園の中に作られた保育所が、1日、全国6か所で開所し、このうち仙台市の保育所では、整備を求めてきた住民の代表も出席して入所式が開かれました。
新しい保育所は仙台市青葉区中山の公園の中に整備され、入所する70人の子どもや保護者などが出席して入所式が開かれました。

2階建ての保育所は延べ床面積がおよそ900平方メートルで、部屋には公園を見渡せる大きなガラス戸があります。公園内に保育所を建てることは地域を限って規制緩和を行う国家戦略特区の制度で認められ、仙台市は200人以上いる待機児童の解消を目指して準備を進めてきました。

1歳と2歳の子どもを預ける母親は「子どもが生まれて2年半、ずっと保育所を探してきました。ようやく仕事に復帰できるのでよかったです」と話していました。また、別の母親は「これまで通わせていた無認可の保育所は園庭が狭かったので、ここの保育所は広くていいです」と話していました。

保育所の運営は地域の住民でつくる社会福祉法人が行い、住民たちは、高齢化が進む中、若い家族が移住するきっかけになればと設置を求めてきました。

仙台市まちづくり政策局の中野賀枝子課長は「待機児童を解消したい市と若い世代を移住させたい地域の狙いが合致した。今回のように地元の理解が得られれば保育所設置は進むと思う」と話していました。

国土交通省によりますと、1日、東京・世田谷区や福岡市など5つの自治体でも公園内の保育所が開所したということです。

福岡ではJR博多駅近くの公園に

保育所を作ることができる場所が不足している都市部での保育のニーズに応えようと、福岡市のJR博多駅近くに、東京などとともに全国で初めてとなる、公園を利用した保育所がオープンしました。

保育所がオープンしたのは福岡市のJR博多駅近くにある中比恵公園で、0歳から5歳までの子ども90人を預かることができます。

1日の入園式では、保育所を設置した福岡市の高島市長が「市として、これからも子育てしている人たちをしっかり支援できるよう頑張っていきます」と述べたあと、保育士が歌をうたって子どもたちを歓迎しました。

オフィスビルが建ち並ぶ博多駅周辺などでは、保育所を作ることができる場所が不足しているうえ、地価も高いため、保育所の設置がニーズに追いついておらず、福岡市は、本来、保育所の設置が認められていない公園を活用できるよう国に申請して認められました。

福岡市によりますと、公園を活用した保育所は全国で初めてで、2歳の子どもを1人で育てている母親は「保育所が見つからず1年ほど探していました。正規で働いているので、駅から近い場所に保育所ができて本当にうれしい」と話していました。

全国6か所で初めて開所

公園内の保育所は、1日、全国6か所で初めて開所しました。

公園は災害時に避難場所になることなどから、都市公園法で、管理事務所やトイレなどのほかは建物を建てることが認められていません。しかし、全国的に待機児童の解消が課題になる中、保育所を整備しようとしても用地の確保が難しいため、国家戦略特区の制度で公園内に保育所を建てることが認められるようになりました。

特区に指定された自治体では、敷地を公園の広場の面積の30%以内に収めることや景観を損なわないことなどを条件に保育所の設置が認められます。

国土交通省によりますと、公園内保育所は、1日に開所した6か所のほかに全国8か所で認められていて、開所に向けた準備が進められているということです。また、国土交通省は都市公園法など法律を改正して規制を緩和する方針で、今国会に改正案が提出されています。

住民たちは街の若返りになればと期待

仙台市の公園内保育所の整備は地元の住民が要望して実現し、住民たちは街の若返りのきっかけになればと期待を寄せています。

公園に保育所ができた仙台市青葉区中山地区は1万8000人余りが住む仙台市郊外の住宅街で、50年ほど前、人口が増加する仙台市のニュータウンとして開発されました。しかし、高齢化が進み、地区の住民の4人に1人は65歳以上の高齢者で、このうち80歳以上は、おととしの時点でおよそ1500人と、10年前の2倍に増えました。

危機感を持ったのは、にぎわいがなくなった地区の商店街の人たちです。話し合いを重ねた結果、おととし3月、子育てがしやすい街づくりを進め、若い世代を呼び込むための基本構想を立てました。

およそ半年後、仙台市が地域を限って規制緩和を行う国家戦略特区に認められ、特区のメニューの中に公園内保育所の設置があったことから、市に保育所設置の要望書を出しました。そして、地元の住民とともに保育所を運営するための社会福祉法人を立ち上げ、去年、保育所の整備が決まりました。

1日に入所した70人の子どものうちおよそ8割が地区の外に住む家庭で、若い家族が商店街にも立ち寄ってほしいと期待を寄せています。さらに、商店街の人たちは、基本構想にあった空き家を減らす取り組みも具体化させていて、地区にある80以上の空き家を活用して若い世代に住んでもらおうと考えました。

保育所の整備で若い家族や保育所で働く若い人たちが移り住んでくることも想定し、空き家の所有者と借り手を結びつける活動を続けました。ことしからシェアハウスとして貸し出されている空き家の1つは月2万8000円の家賃で、1階の共有のフリースペースと2階の部屋を使えます。先月移住してきた公園内保育所で働く27歳の男性は「家賃が安く、きれいで、子育て支援もできて自分の住むところもある。すべての条件が合致した」と話していました。

一連の取り組みを中心になって進め、保育所を運営する社会福祉法人の理事の千葉裕貴さんは「若い世代が入って来ると街も活気づくし商店街としても非常にうれしい。取り組みをつなげて若い世代が中山地区に移り住んでもらえるようにしたい」と話していました。

公園内保育所の課題

仙台市の公園内保育所は地区に若い世代を呼び込む狙いがある一方、多くの子どもが地区の外から通うため、公園周辺の細い道路が送り迎えの車で混雑することも予想されます。

仙台市まちづくり政策局の中野賀枝子課長は「保育所設置前に行った住民説明会では、道路の渋滞や危険性について懸念の声が上がったが、地域の人たちと協議して車の誘導員を配置するなどの対策をとることになったので解決できると思う」と話していました。

また、1日に開所した東京の公園内保育所の中には、子どもたちの声などが周辺の住民の迷惑にならないよう、住宅街に近い壁には窓をつくらないなどの対応をとっているところもあるということです。