雪崩発生から約10秒で直撃か、専門家が調査
栃木県で高校生ら8人が犠牲となった雪崩事故。専門家の検証の結果、発生からわずか10秒ほどで雪崩が生徒らを直撃したとみられることがわかりました。
雪崩が起きた現場近くに設置された献花台。4日も多くの人が花を手向ける中、栃木県教育委員会の職員の姿がありました。
「雪崩が起きてしまったのは一瞬のことだったのだろうと改めて思った。真相を解明して、今後、このようなことがないようにしていきたい」(栃木県教育委員会 伏木由佳子教育長代行)
先月27日に発生した雪崩は、新たに降った雪が崩れ落ちる「表層雪崩」が長さ160メートルにわたり発生したとみられています。この雪崩について、3日、名古屋大学大学院の西村浩一教授が現地で調査を行いました。
「この地形の元で雪崩の数値検査をしているが、実際の場所を見ておかないと状況がわからない。これぐらいの斜度ならば、それなりの速度で雪崩は流れ下るだろう」(名古屋大学大学院 西村浩一教授)
長年、雪崩の研究を続け、雪崩のメカニズムに詳しい西村教授。3日に西村教授が撮影した写真。
「斜面が流れて段差が見えている。雪崩が流れた横の面が残っているのかも」(名古屋大学大学院 西村浩一教授)
そして、雪崩が発生したとみられる現場の上部から撮影した写真。
「これが斜面で、まっすぐ流れていったとみられる」(名古屋大学大学院 西村浩一教授)
西村教授は、現場の地形や崩れた雪の量などのデータを基に雪崩の動きをシミュレーションしていました。シミュレーションの結果、雪崩は時速50~60キロの速さで流れ、発生からわずか10秒ほどで生徒らがいる場所に到達したとみられることがわかりました。
「10秒間で時速0から60キロに急激に増加したとみられる。30キロから50キロパスカルという単位。木造の家を大きく破壊するような力」(名古屋大学大学院 西村浩一教授)
警察は、業務上過失致死傷の疑いで、安全管理に問題がなかったかなど、当時の状況について捜査しています。