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警察の危険な権限強化! 元最高幹部が最後の訴え「警察がなんでもできる時代になろうとしている」

[2016年04月05日]

警察が強大な権力を持ち、国民を監視する「警察国家」への道を歩んでいるように思えてならないのです

「どこで写真を撮りましょうか」と聞くと、「じゃ、北海道議会の前で」と即座に答えが返ってきた。『警察捜査の正体』の著者・原田宏二氏にとっては思い出深い場所だ。

2004年2月、北海道警察の組織的な「裏金づくり」を実名告発したのに続き、3月には道議会で証言した。釧路方面本部長(他県では警察本部長クラスにあたる)まで務めた元道警最高幹部の詳細な証言は、地元・北海道だけでなく、全国に大きな衝撃を与えた。

それから12年。原田氏は全国各地を回って警察の実態を説き、違法捜査の被害者が国家賠償を求める裁判などを支援してきた。警察の権限がさらに拡大されようとする今、我々が知っておくべきことは何か。氏を直撃した。

***

―この本を書いた理由はどこにあるのでしょう。

原田 15年8月、捜査の権限を大幅に拡大する刑事訴訟法の改正案などが衆議院で可決しました。被疑者が他人の犯罪を明かした場合、求刑を軽くしたり、起訴を見送ったりする「司法取引」の導入や、通信傍受(盗聴)の対象となる犯罪を広げたりするものです。

実は、これだけでは終わりません。通信傍受は捜査員が通信事業者の施設でその社員などの立ち会いのもとで行なうものですが、改正されると警察署などで立会人なしでできるようになります。

さらに、容疑者宅に直接、盗聴器を仕掛ける「会話傍受」なども可能にしたいと捜査当局は考えています。犯罪計画を話し合っただけで処罰する「共謀罪」の導入なども視野に入っています。

―何が問題なのでしょう。

原田 こうした刑事司法の改革は、取り調べの録音や録画、つまり「可視化」など冤罪(えんざい)を防ぐための議論からスタートしたはずです。しかし、可視化について検察や警察は消極的で、対象となる犯罪は非常に限定されてしまいました。

一方、犯罪の認知件数は02年をピークに毎年10万件単位で減り続けている。日本は先進諸国の中でも「安全な国」なのに、なぜ捜査権限ばかり拡大しようとするのでしょう。

本来、警察の仕事は「起こった犯罪を捜査する」ことです。しかしそれが「将来発生するかもしれない犯罪まで捜査する」ものへと変貌しようとしているのです。警察が強大な権力を持ち、国民を監視する「警察国家」への道を歩んでいるように思えてならないのです。

―われわれ市民はそれを知っておくべきだと。

原田 この本を書く間、ずっと考えてきたことは「警察とは一体なんだろう」ということです。私の現職時代、しつこく叩き込まれてきたのが「警察権の限界」という考え方です。簡単に言うと、警察には被疑者を逮捕するなど強大な権限が与えられているため、その権限の行使には慎重さが求められるということです。

ところが最近、警察学校で使われている教科書を読む機会があり、「えっ」と驚いてしまいました。そこには警察権の限界を否定するような記述があったのです。警察がなんでもできる時代になろうとしている。これをぜひ、読者に知ってもらいたいのです。


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