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淡路島5人殺害

42歳男に死刑判決 神戸地裁

事件現場となった民家(手前)と平野達彦容疑者宅とみられる民家(左上)=兵庫県洲本市で2015年3月9日午前9時48分、本社ヘリから幾島健太郎撮影

 兵庫県洲本市(淡路島)の民家で2015年3月、50~80代の男女5人を刺殺したとして殺人罪などに問われた近所の無職、平野達彦被告(42)の裁判員裁判で、神戸地裁は22日、求刑通り死刑判決を言い渡した。長井秀典裁判長は「全く落ち度のない5人の命を奪った結果は重大。殺害行為に精神障害は大きな影響を与えていない」と刑事責任能力を認めた。弁護側は即日控訴した。

 平野被告には精神障害による入通院歴や措置入院歴があり、公判では「工作員に電磁波で操られていた」などとして起訴内容を否認。責任能力の有無と程度が争点だった。平野被告には過去の向精神薬大量摂取による薬剤性の精神障害があり、弁護側は事件時は刑事責任を問えない心神喪失か、軽減できる心神耗弱の状態だったと訴えていた。

 長井裁判長は「『被害者は工作員で、自分への攻撃に対する報復』との動機は、妄想を前提とするものだ」としたうえで、「被告の犯行前後の行動は合理的で一貫していた」と指摘。被害者の就寝時間を狙ったことや、犯行時にハンドタオルを落として被害者の注意をそらしたこと、逮捕時に「弁護士が来るまで答えない」と話したことなどを列挙し、「計画性があり、殺害を決意し実行した行動に病気は大きな影響を与えていない」と断じた。

 死刑選択については「動機は身勝手で全く反省していない。犯行態様の悪質さからも死刑回避の事情は見当たらない」と説明した。

 判決によると、平野被告は15年3月9日午前4時ごろ、同市中川原町中川原の自宅近くに住む平野毅(たけし)さん(当時82歳)宅で、毅さんと妻恒子(つねこ)さん(同79歳)の胸などをサバイバルナイフで複数回刺して殺害。約3時間後、近くの平野浩之さん(同62歳)宅で浩之さんと妻方子(まさこ)さん(同59歳)、母静子さん(同84歳)も同様に殺害した。【井上卓也、神足俊輔】

 【ことば】洲本5人刺殺事件

 兵庫県洲本市(淡路島)で2015年3月9日、無職の平野達彦被告(42)が、近くに住む平野毅さん(当時82歳)夫婦と、平野浩之さん(同62歳)ら3人の2家族計5人をサバイバルナイフで殺害したとされる事件。被告と被害者に親戚関係はない。平野被告には精神障害による措置入院歴があったが、治療は14年7月で途絶えていた。保健所は治療途絶後の被告の転居先を把握しておらず、措置入院患者の退院後の支援が課題として浮かんだ。

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