株式会社スルガコーポレーション

(株)スルガコーポレーション(資本金139億7680万4342円、横浜市神奈川区台町15-1、代表中良久氏、従業員136名)は、6月24日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた。

申請代理人弁護士は、鈴木学弁護士(港区赤坂1-12-32、電話03-5562-8500)ほか。監督委員には須藤英章弁護士(千代田区麹町3-3、電話03-3265-0691)が選任されている。

当社は、1972年(昭和47年)3月設立。創業以来、建築請負業務を主体に不動産事業にも進出し業容を拡大。90年10月には日本証券業協会に店頭登録、95年8月には東証2部に上場を果たしていた。用地調査から建物総合企画立案、売却先決定、設計・建築、アフターメンテナンスまでを手がける一貫体制をとり、ここ数年は権利関係が複雑化した物件を整理、転売する不動産ソリューション事業が伸長し売り上げを拡大。2008年3月期には年売上高約1250億8900万円を計上していた。

しかし、当社が所有していた商業ビル入居者に対する立ち退き交渉を依頼していた光誉実業の関係者が、弁護士法違反の容疑で逮捕。この光誉実業と反社会的勢力との関係がマスコミに大きく報じられたため、立ち退き交渉を依頼していた当社への信用も大きく低下。業績拡大の牽引となっていた不動産ソリューション事業のビジネスモデルを大きく転換する必要に迫られると共に、外部監査委員会を設置し、社内体制の見直しなどにも取り組んできた。しかし、この事件の影響から不動産事業をはじめとした業績が落ち込み資金繰りが悪化、金融機関からの支援も難しくなっていた。5月29日には2008年3月期決算を発表したものの、翌30日には監査法人の監査意見不表明が明らかになるなど動向が注目されていたが、6月末までの資金調達のメドが立たず、今回の措置となった。

負債は約620億円。

なお今年に入ってからの上場企業の倒産は、トスコ(東証2部・大証2部)に次いで6社目。

有村産業株式会社

有村産業(株)(資本金1億100万円、沖縄県那覇市港町2-16-10、代表飛鷹昌仁氏、従業員131名)は、6月23日に那覇地裁より更生手続き廃止決定を受けた。

当社は、1946年(昭和21年)6月創業、50年(昭和25年)11月法人に改組したフェリー運航業者。当初は貨物の内航運送を中心としていたが、65年に台湾・韓国航路、67年にはボルネオ・フィリピン・スマトラ航路をそれぞれ開設するなど業容を拡大。関係会社も相次いで設立して「有村産業グループ」を形成し、グループ中核企業として地元海運業者でトップクラスの地位を確立。98年3月期の年売上高は約120億4900万円をあげていた。

しかし、業容拡大にともなう設備投資から借入金が膨れ上がり経営を圧迫。債務超過に陥ったため、金融債務の棚上げのほか、所有船舶および不動産の売却による債務圧縮のほか、人件費、燃料費などの経費削減も進めていたが、競争激化による値引き競争に加え、外航貨物部門において近年の東南アジア危機の影響も重なり、自主再建を断念。99年6月23日に約290億9200万円という沖縄県過去最大の負債を抱え、那覇地裁へ会社更生法の適用を申請した。

その後、2000年12月25日に更生手続き開始決定、2002年7月4日に更生計画認可決定を同地裁より受け、20年間の更生計画に入り、近年はフェリー3隻を所有して那覇と大阪、北九州、台湾を結ぶ3航路を運航。2007年3月期には年売上高約63億5700万円をあげていた。

しかし、近年の原油価格高騰から年間の燃料費が5億円近く増加し、2008年3月の弁済(第1回目は2003年3月)が困難となり、返済条件変更案を裁判所へ申請したものの不調に終わり、6月5日以降は3隻とも一時運航休止状態となるなど事業継続が困難となり、職権により今回の措置となった。

負債は2008年3月末時点で約136億円。

なお、今後7月中旬をメドに破産手続き開始決定を受ける見通し。

丸栄建設株式会社

丸栄建設(株)(資本金2500万円、鹿屋市白水町1986-4、代表徳留聖一氏ほか1名、従業員42名)は、6月21日までに事業を停止し、事後処理を池田わたる(さんずいに亘という字)弁護士(鹿児島市照国町13-41、電話099-226-0100)ほか1名に一任、自己破産申請の準備に入った。

当社は、1961年(昭和36年)6月創業、69年(昭和44年)10月に法人改組した建築工事業者。当初は木造住宅の建築が主体であったが、近年は賃貸マンション建築に積極的に取り組み、「イリアス」ブランドのマンションを鹿屋市を中心とする大隅半島のほか霧島地区や鹿児島市内などでも展開。不動産管理、製材業をグループ企業で手がけ、積極的な宣伝策もあって知名度は深く浸透していた。富裕層に対する土地の活用提案のほか、自社や関係会社でも積極的な不動産購入を行って賃貸マンションを販売していた。また、本社敷地内に住宅設備展示場を設置し、一般木造住宅の新築やリフォーム工事の獲得にも成果を上げ、2007年9月期は年売上高約40億6000万円を計上していた。

しかし、2007年6月の建築基準法改正による高層マンション建築が長期化に伴い、資金の固定化・資金繰りが鈍化。加えて、鋼材価格の高騰もあり、コストが嵩んで利幅が薄くなる事態に陥っていた。2008年に入っても太陽光発電供給型マンションの新築など受注状況は良好であったものの、不動産投資などでの資金固定化により資金繰りはさらに悪化、現状では抜本的な改善は困難との見通しから今回の措置となった。

負債は約30億円の見込みだが、今後変動する可能性がある。

なお、債権者説明会は6月27日(金)午前10時30分より「かのや大黒グランドホテル」(鹿屋市共栄町12-3)にて開催予定。また、経営継続の方向にある関係会社(株)イリアスについても、財務状況・今後の方針に関する説明会を7月2日(水)午後1時30分より「ホテルさつき苑」(鹿児島県鹿屋市西原1-9-10)にて開催する予定。

株式会社NANBU

(株)NANBU(資本金4000万円、渋谷区恵比寿南3-7-27、代表川村裕彦氏、従業員20名)は、6月19日に東京地裁へ自己破産を申請した。

申請代理人は佐々川直幸弁護士(港区南青山5-4-35、電話03-5468-6500)ほか1名。

当社は、1994年(平成6年)8月に設立。港区、渋谷区、目黒区、世田谷区など城南地区を営業テリトリーとし、ビルやマンション、事業用用地の仕入れ販売を主力に、中古マンションや中古戸建住宅、宅地の仕入れ販売、また自社開発の新築戸建分譲を一部手がけるなど急速に売り上げを伸ばし、2007年6月期には年売上高約64億1900万円を計上。2009年頃をメドに株式上場を計画していた。

しかし、昨年の改正建築基準法の施行や景気の先行き不透明感が強まるなかで、消費者の購買意欲が減退し不動産市況が急速に悪化。またサブプライムローン問題の影響で金融機関の融資姿勢が硬化、買い手側にファイナンスがつかず、物件販売にブレーキがかかり、多くの在庫を抱えるなど急速に資金繰りが悪化していた。このため、仕入れを抑え、在庫の販売に注力していたものの、販売に改善が見られず、また商品不動産仕入れのための借入金負担も重く、支え切れず今回の措置となった。

負債は債権者約225名に対し約87億円。