有限会社蛸屋菓子店など2社

(有)蛸屋菓子店(資本金300万円、小山市城東4-19-15、登記面=小山市本郷町2-8-26、代表早坂一幸氏、従業員190名)および関係会社の(株)霽月庵早坂(セイゲツアンハヤサカ)(資本金1000万円、同住所、同代表、従業員10名)は、8月31日に東京地裁より会社更生法に基づく更生手続き開始決定を受けた。

管財人は上野保弁護士(東京都港区虎ノ門1-1-20、元木・上野法律会計事務所、電話03-3501-2356)。更生債権の届け出期間は10月31日まで。

(有)蛸屋菓子店は、1949年(昭和24年)6月創業、63年(昭和38年)1月設立の菓子小売業者。「御菓子司 蛸屋總本店」の屋号で栃木県内を中心に茨城、群馬、埼玉地区にも出店し、現在102店舗を展開する県内屈指の菓子店。直営店のほか、FC店、大手スーパーの菓子コーナーなどでも取り扱い、約40品目のオリジナル商品を扱い、抜群の知名度を誇っていた。しかし、バブル期の積極的な不動産購入による直営店出店が裏目に出たほか、主力金融機関の破綻などによる資金面の固定化もあって、厳しい運営を強いられる時期が続いた。2016年8月期の年売上高は約17億5500万円と、弱含みが続き、財務面も債務超過の状態であった。多額の金融負債は長年にわたり返済猶予を受けた状態であり、今回の申請を余儀なくされたもの。負債は約13億円。

(株)霽月庵早坂は、グループの製造部門という位置づけであったが、所有不動産の多くは当社名義であり、資産管理会社的な意味合いも強くあった。製販分離の立場を取っていたが、実質的には蛸屋菓子店の売上に頼る運営は変わらず、債務超過の財務体質は改善できなかった。負債は約22億円。

2社は第三者による申請を受け、6月23日には東京地裁より保全管理命令を受けていた。営業は継続中。

株式会社郷鉄工所

(株)郷鉄工所(資本金7億1735万5860円、登記面住所:不破郡垂井町表佐字大持野58-2、代表林直樹氏、従業員79名)は、9月11日に従業員を解雇のうえ事業を停止し、事後処理を佐久間信司弁護士(愛知県名古屋市中区丸の内2-18-22、名古屋第一法律事務所、電話052-211-2239)ほか1名に一任。自己破産申請の準備に入った。

当社は、1931年(昭和6年)5月創業、47年(昭和22年)2月に法人改組した各種産業機械、プラントの製造業者。1962年10月には名証2部に上場。焼却炉、廃材処理プラント、太陽光発電設備などの環境装置のほか、橋梁鉄構・水処理装置、特殊破砕機、プラント用機器など幅広い製品の製造を手がけ、岐阜県などの官公庁、ゼネコン、砂利砕石メーカーなどを得意先に、東海地区のほか東京、大阪、仙台にも拠点を有し、1997年3月期には年売上高約92億2100万円を計上、高額納税法人にも度々名を連ねるなど高収益を誇る有力企業として高い知名度を有していた。

しかし、近年は設備投資の冷え込みから受注の減少が続き、単価の厳しさから収益も悪化し度々欠損を計上、2016年3月期の年売上高は約37億9000万円に落ち込み、約9億1300万円の純損失の計上を余儀なくされた。また、同期末で債務超過に転落したため、上場廃止基準に抵触し、上場廃止に係わる猶予期間入り銘柄に指定されていた。そのため、有償株主割当による新株式発行で資金調達を図っていたが、見込み通りには進捗せず債務超過が続いたほか、監査法人も退任するなど対外信用は低下。2017年3月期第3四半期の開示が遅延していたうえ、有価証券取引所の提出延長承認を受けながらも提出期限までに2017年3月期の報告書が提出できなかったため、8月10日より整理銘柄に指定され、9月11日に上場廃止となっていた。

この間、不動産の売却などで銀行借入の一部を返済し、並行して業務提携先の模索や新たな資金調達先の確保に奔走したものの、決済難が表面化し、事業継続を断念。今回の事態となった。

負債は約40億円が見込まれるが、今後、膨らむ可能性がある。